概観 · 72件の出来事

IT全史 ── 計算機が世界を編み変える

数式の上にあった抽象が、真空管、半導体、回線、画面、ポケットの中へと身を移した。 ChatGPT 公開で生成 AI が一般化し、 EU AI Act から DeepSeek-R1、 Stargate、 AI へのノーベル賞まで、 2020年代後半には地政学と AI が一つの物語に編まれた。 本年表は、 そうした時代区切りの節目だけを並べる ── ジャンルの細部はそれぞれの年表に譲る。

1940年代

この十年で、 計算機は「配線し直す装置」から「記憶の中身を書き換える装置」へ向かい始めた。 弾道計算のための ENIAC は問題ごとにケーブルとスイッチで組み替えたが、 同じ頃に回覧された EDVAC の草稿は命令と数値を一つの記憶に置く構成を論理の言葉で描き、 マンチェスターの実験機がそれを書き換え可能な電子記憶で走らせた。 Bell 研究所は、 真空管に代わる固体の増幅素子と、 情報を bit で量る理論を世に出している。 ENIAC の発明者とされた二人は、 次の十年に計算機を売り物にする。

  1. EVT.001T1EDVAC 報告書第一草稿 ── プログラム内蔵方式が文章になった日半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  2. EVT.002T1ENIAC 公開 ── 配線でプログラムする電子計算機半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  3. EVT.003T1点接触トランジスタの発明 ── Bell 研究所半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  4. EVT.004T1マンチェスター Baby ── 記憶からプログラムが動いた半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  5. EVT.005T1「通信の数学的理論」── 情報に単位が与えられた詳細を読む →

1950年代

1950年代、 計算機は研究所の外で働き始め、 その上に人の記法に近い層が積まれた。 官庁が商用機を受け取り、 Hopper は同じ機械で副ルーチンを綴じる仕組みを動かし、 IBM は数式から速い機械語を出すコンパイラを届けた。 ディスクは記録をテープを巻かずに引けるものにした。 bit を定義した Shannon が名を連ねた申請書は「artificial intelligence」の呼称を生み、 トランジスタは回路ごと一片の半導体へ作り込まれる。 言語と集積回路が次の十年の土台になる。

  1. EVT.006T1チューリングテスト ── 「機械は考えられるか」を模倣ゲームに置き換えた論文AIの歴史詳細を読む →
  2. EVT.007T1UNIVAC I 受領 ── 計算機が製品になった日半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  3. EVT.008T1A-0 システム ── 「コンパイラ」という語がまだ別の意味だった頃プログラミング言語の歴史詳細を読む →
  4. EVT.009T1ダートマス会議 ── 「人工知能」の命名AIの歴史詳細を読む →
  5. EVT.010T1IBM 305 RAMAC ── 世界初の商用ハードディスク半導体・ハードウェアの歴史データベースの歴史詳細を読む →
  6. EVT.011T1FORTRAN 公開プログラミング言語の歴史詳細を読む →
  7. EVT.012T1集積回路(IC)の発明半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →

1960年代

1960年代、 計算機は一台ごとの道具から、 共有され受け継がれるものへ変わった。 ALGOL 60 は構文を形式的な記法で定め、 Simula はクラスと継承を一つの言語に揃えた。 IBM は機種をまたぐ互換性を売り物にし、 ダートマスでは BASIC と時分割が同時に産声を上げた。 Engelbart は人が画面越しに機械や遠くの同僚と協働する姿を実演する。 1969年、 UNIX の作業が始まり、 ARPANET が最初の2文字を運んだ。 OS と網の二本の系譜はここから現在へ続く。

  1. EVT.013T1ALGOL 60 報告 ── 言語を文法で定義するということプログラミング言語の歴史詳細を読む →
  2. EVT.014T1IBM System/360 発表 ── 互換性という商品半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  3. EVT.015T1BASIC、 ダートマスで最初に動くプログラミング言語の歴史詳細を読む →
  4. EVT.016T1Simula 67 ── クラスと継承が言語に入るプログラミング言語の歴史詳細を読む →
  5. EVT.017T1Engelbart のデモ ── 対話型計算機の90分インターネットとWebの歴史OSの歴史詳細を読む →
  6. EVT.018T1UNIX の誕生 ── Bell 研究所OSの歴史オープンソースの歴史詳細を読む →
  7. EVT.019T1ARPANET 最初の通信インターネットとWebの歴史詳細を読む →

1970年代

1970年代、 大型機と研究網で育った考え方が、 一人が机で使える大きさへ縮んだ。 C で書き直された UNIX は、 別の機械へ持ち運べる OS になった。 PARC はマウス付きの Alto を Ethernet でつなぎ、 売らずに日常の業務で使った。 Altair 向け BASIC を売る会社が生まれ、 BASIC を ROM に積んだ Apple II は趣味人から会社の机へ広がる。 鍵の一方を公開できる暗号もこの時期に示された。 Apple が PARC で見たものは、 やがて Macintosh の形をとる。

  1. EVT.020T1C 言語の誕生 ── Dennis Ritchieプログラミング言語の歴史詳細を読む →
  2. EVT.021T1Xerox Alto ── 売られなかった機械が、机の上のコンピュータを定義した半導体・ハードウェアの歴史OSの歴史詳細を読む →
  3. EVT.022T1Ethernet の提案 ── 建物の中を1本のケーブルで結ぶインターネットとWebの歴史詳細を読む →
  4. EVT.023T1Altair 8800 ── 雑誌の表紙から始まったパーソナルコンピュータ半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  5. EVT.024T1Microsoft 設立Microsoftの歴史詳細を読む →
  6. EVT.025T1New Directions in Cryptography ── 鍵を配らずに秘密を共有するサイバーセキュリティの歴史インターネットとWebの歴史詳細を読む →
  7. EVT.026T1Apple II ── 拡張スロットとカラー画面を持って現れた完成品半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  8. EVT.027T1VisiCalc ── パソコンを買う理由になった表計算ソフト半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →

1980年代

1980年代の PC は、 一社の製品ではなく規格として広がった。 IBM は既製部品で組んで資料を公開し、 OS を他社に売る権利を Microsoft に残したため、 互換機と MS-DOS が市場を形づくる。 Macintosh は PARC 由来の画面操作を消費者の価格帯へ下ろした。 回線では ARPANET が TCP/IP へ一斉に移り、 NSF の学術網は営利の通信を利用規定で締め出していた。 1989年、 CERN でハイパーテキストが提案される。 この三つが出会うのは次の十年だ。

  1. EVT.028T1MS-DOS の誕生 ── PC DOS 1.0 と IBM PCOSの歴史Microsoftの歴史詳細を読む →
  2. EVT.029T1IBM Personal Computer 5150 ── 開いた設計が生んだ、失われた市場半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  3. EVT.030T1NEC PC-9801 ── 日本語を扱える16ビット機が「国民機」になるまで半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  4. EVT.031T1TCP/IP への切り替え ── 「フラグ・デー」インターネットとWebの歴史詳細を読む →
  5. EVT.032T1Macintosh 発表 ── GUI の大衆化OSの歴史詳細を読む →
  6. EVT.033T1NSFNET ── 研究網が公共のインターネットになるまでの10年インターネットとWebの歴史詳細を読む →
  7. EVT.034T1World Wide Web の提案 ── CERNインターネットとWebの歴史詳細を読む →

1990年代

1990年代、 研究者のものだった回線と文書が一般に開かれた。 画像を本文に流し込む Mosaic が Web を人々の視界に入れ、 1995年には NSFNET の基幹網が止まる。 同じ年の Windows 95 は、 発売の深夜に行列を生んだ。 Web が膨らむと、 リンク構造でページの重みを測る Google が検索に割り込む。 学生の趣味だった Linux は GPL のもとで世界中の手を借りて育った。 Deep Blue を勝たせたのは探索と、 ほぼ人手で調整した評価関数だった ── 学習の番は2010年代に来る。

  1. EVT.035T1Linux ── 21歳の Linus Torvalds による発表OSの歴史オープンソースの歴史詳細を読む →
  2. EVT.036T1NCSA Mosaic ── 画像が表示できる Web ブラウザインターネットとWebの歴史オープンソースの歴史詳細を読む →
  3. EVT.037T1Windows 95 発売OSの歴史Microsoftの歴史詳細を読む →
  4. EVT.038T1Deep Blue が Garry Kasparov を破るAIの歴史詳細を読む →
  5. EVT.039T1Google 設立インターネットとWebの歴史検索エンジンの歴史詳細を読む →

2000年代

2000年代の三つの出来事は、 計算の置き場所と、 人がそれに触れる経路を組み替えた。 Amazon は自社の販売用に組んだ設備を、 前払いなしの従量課金で外部に貸し始める。 iPhone は物理キーボードを捨て、 指で触れる画面を電話の中心に据えた。 翌年の Android は、 Linux カーネルを核にした OS を各社の端末へ配るという逆の道を選ぶ。 OS X 由来の iPhone にも Android にも、 UNIX の系譜が流れている。 次の十年、 Microsoft もクラウドへ軸足を移す。

  1. EVT.040T12000年問題(Y2K) ── 西暦下2桁が招いた世界規模の改修プログラミング言語の歴史詳細を読む →
  2. EVT.041T1ドットコム・バブルの頂点と崩壊 ── NASDAQ 5,048.62インターネットとWebの歴史詳細を読む →
  3. EVT.042T1Amazon S3 公開 ── AWS のクラウドはストレージから始まったクラウドコンピューティングの歴史詳細を読む →
  4. EVT.043T1初代 iPhone 発売iPhone の歴史OSの歴史携帯電話・スマートフォンの歴史詳細を読む →
  5. EVT.044T1Android 1.0 発表と HTC DreamOSの歴史携帯電話・スマートフォンの歴史詳細を読む →

2010年代

2010年代、 計算機に学ばせる手法が成果を出し始めた。 2012年の画像認識コンテストでは NVIDIA の GPU 2枚で学習した畳み込みネットワークが従来手法を大差で退け、 2016年には深層強化学習を組み込んだ AlphaGo が李世乭を破った。 探索と人手の評価関数で勝った Deep Blue からの転換である。 Microsoft は Nadella のもとでクラウドへ重心を移し、 OpenAI への大型投資を始める。 AlexNet の著者の一人と GPU の作り手は、 次の十年に再び表舞台に立つ。

  1. EVT.045T1AlexNet ── 深層学習時代の幕開けAIの歴史半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  2. EVT.046T1Satya Nadella、Microsoft CEO 就任Microsoftの歴史詳細を読む →
  3. EVT.047T1AlphaGo が李世乭に勝利AIの歴史詳細を読む →

2020年代

2020年代、 生成 AI は誰もが触れる道具になると同時に、 国家の案件になった。 ChatGPT 公開後の数年で、 米国の AI 大統領令は署名・撤回・方針の反転を経て、 EU は包括的な規制を採択する。 AlexNet を学習させた GPU の作り手は時価総額で首位に立ち、 停止した原子炉は Microsoft との契約で再稼働へ向かい、 米政府は Intel の株主になった。 中国製のオープン重みモデル、 名指しのモデルへのアクセス停止、 TikTok の合弁化 ── 技術と地政学はもう分けて語れない。

  1. EVT.048T1PlayStation 5 発売ゲーム機・ゲーム技術の歴史詳細を読む →
  2. EVT.049T1Elon Musk が Twitter を440億ドルで買収インターネットとWebの歴史ソーシャルメディアの歴史詳細を読む →
  3. EVT.050T1ChatGPT 公開AIの歴史AIと社会の歴史詳細を読む →
  4. EVT.051T12023年のテック業界人員削減 ── 増え続けた10年が終わった月AIと雇用の歴史詳細を読む →
  5. EVT.052T1Anthropic Claude 公開 ── 安全性主軸の対抗 LLMAIの歴史詳細を読む →
  6. EVT.053T1Geoffrey Hinton、Google を退社して AI の危険性を警告AIの歴史AIと社会の歴史詳細を読む →
  7. EVT.054T1Biden 大統領令「安全で信頼できる AI」AIの歴史AIと社会の歴史詳細を読む →
  8. EVT.055T1OpenAI 内紛 ── Altman 解任、5日後に復帰AIの歴史詳細を読む →
  9. EVT.056T1AI の軍事利用解禁 ── OpenAI ポリシー改訂と Anthropic-Palantir-AWS 契約AIの歴史AIと社会の歴史詳細を読む →
  10. EVT.057T1EU AI Act 採択 ── EU の包括的 AI 規制AIの歴史AIと社会の歴史詳細を読む →
  11. EVT.058T1NVIDIA、時価総額で世界一位(一時)半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  12. EVT.059T1CrowdStrike Falcon 障害 ── 史上最大の IT 障害クラウドコンピューティングの歴史サイバーセキュリティの歴史詳細を読む →
  13. EVT.060T1スリーマイル島1号機の再稼働契約 ── データセンタが原子炉を呼び戻すAIの歴史AIと社会の歴史クラウドコンピューティングの歴史詳細を読む →
  14. EVT.061T1AI 研究にノーベル賞 ── 物理学・化学を同時受賞AIの歴史AIと医療の歴史詳細を読む →
  15. EVT.062T1DeepSeek-R1 ショック ── 中国産低コスト推論モデルが市場を揺らすAIの歴史詳細を読む →
  16. EVT.063T1Trump 政権の AI 政策転換 ── Biden 大統領令撤回と Stargate 5000億ドル計画AIの歴史クラウドコンピューティングの歴史詳細を読む →
  17. EVT.064T1Nintendo Switch 2 発売ゲーム機・ゲーム技術の歴史詳細を読む →
  18. EVT.065T1Bartz 対 Anthropic ── LLM の学習は fair use、 海賊版の収集はそうではないAIの歴史AIと社会の歴史AIと著作権の歴史詳細を読む →
  19. EVT.066T1米国政府が Intel の株主になる ── CHIPS 法の補助金を株式に換えた日半導体・ハードウェアの歴史詳細を読む →
  20. EVT.067T1Windows 10 のサポート終了OSの歴史詳細を読む →
  21. EVT.068T1OpenAI 再資本化 ── 営利部門が PBC になり、非営利が26%の支配株主として残るAIの歴史詳細を読む →
  22. EVT.069T1TikTok 米国事業、合弁会社へ ── 分割命令法が実際に発動した日ソーシャルメディアの歴史詳細を読む →
  23. EVT.070T1量子情報科学にチューリング賞 ── 2025年度を Bennett と Brassard が受賞詳細を読む →
  24. EVT.071T1大統領令14409 ── 「カバード・フロンティアモデル」と任意の事前アクセス枠組みAIの歴史AIと社会の歴史サイバーセキュリティの歴史詳細を読む →
  25. EVT.072T1商務省が Anthropic の2モデルに輸出管理 ── 19日間の全世界停止AIの歴史AIと社会の歴史サイバーセキュリティの歴史詳細を読む →