標準 · 12件の出来事
クラウドコンピューティングの歴史
1990年代

Christopher Michel (Flickr, via Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons ↗ 元 Oracle 役員の Marc Benioff が、Parker Harris・Dave Moellenhoff・Frank Dominguez とともに salesforce.com を法人登記。拠点はサンフランシスコ Telegraph Hill、モンゴメリー通り1449番地の1ベッドルームのアパートだった。顧客関係管理(CRM)を Web ブラウザから使わせる形態を、2000年2月7日の正式ローンチイベント「The End of Software」を旗印に広める。ホスト型ソフトウェアそのものを発明したわけではないが、企業向けソフトを自社サーバに入れるのではなく「サービスとして」買う形 ── のちに SaaS と呼ばれる ── を主流へ押し上げた最も影響力の大きい一社。
2000年代
Amazon.com Inc. (Wikimedia Commons) · Apache License 2.0 · Commons ↗ Amazon が2006年3月14日、オブジェクトストレージ Amazon S3 を公開。前払いも最低料金もなく、保管は 1GB あたり月 0.15 ドル、転送は 1GB あたり 0.20 ドルという従量課金だった。データの保管先は当初 US のみで、欧州リージョンは2007年11月6日に追加される。同年8月25日には計算資源を時間課金で貸す EC2 が限定ベータで続き、この2つが Amazon Web Services(AWS)の中核となった。書籍販売のために自社で組んだインフラを外部に売るという発想が、以後の IT 産業の構造を書き換えることになる。
よくある質問
- S3 と EC2 はどちらが先か
- S3 が先です。S3 の公開は2006年3月14日、EC2 の限定ベータは同年8月25日でした。
- S3 は最初から欧州にデータを置けたのか
- 置けません。当初の保管先は米国のみで、欧州リージョンが加わったのは2007年11月6日です。

Copyleft (Wikimedia Commons) · CC0 1.0 Public Domain Dedication · Commons ↗ Google が、開発者がアプリケーションコードを書けば Google のインフラ上でそのまま動くサービス App Engine を、4月7日夜のイベント Campfire One でプレビュー公開。OS やサーバの管理を完全に隠蔽し、アプリケーション層だけを開発者に意識させる「Platform as a Service(PaaS)」の代表的な実装となった。公開当初は先着1万人の開発者限定で、ストレージ500MB・CPU 1日2億メガサイクル・転送量1日10GB という無料枠付き。対応言語は Python のみで、Java の追加は2009年4月、プレビューを卒業して正式製品となるのは2011年11月だった。先行する Heroku とともに、後の Cloud Foundry や AWS Elastic Beanstalk へ続く PaaS の系譜を形づくった。
- EVT.004T2Go 言語 公開 ── Googleプログラミング言語の歴史
2010年代

Microsoft Corporation · Public domain (PD-textlogo; trademarked) · Commons ↗ Microsoft が、2008年10月の PDC で発表したクラウド計算サービスを Windows Azure として商用展開。2010年2月1日、21か国で SLA 付きの一般提供が始まった(「Microsoft Azure」への改称は2014年4月3日)。AWS の後追いとなる立ち位置から、企業向け既存ソフトウェア(Active Directory、Office、SQL Server)との統合を強みとして急成長し、2020年には世界シェア約20%と、首位 AWS に次ぐ第二位のクラウド基盤事業者に。Satya Nadella 体制(2014-)の核となる事業。
よくある質問
- Azure の開始は2008年と2010年のどちらか
- どちらも実在する日付ですが、別の出来事です。2008年10月の PDC で発表され、SLA 付きの商用一般提供が21か国で始まったのが2010年2月1日です。
- Windows Azure から Microsoft Azure への改称はいつか
- 2014年4月3日です。改称の予告は同年3月25日に出ています。
dotCloud, Inc. (Wikimedia Commons) · Apache License 2.0 · Commons ↗ PaaS スタートアップ dotCloud の Solomon Hykes が、2013年3月15日、PyCon US 2013(Santa Clara)の5分間のライトニングトーク「The future of Linux Containers」で Docker を公の場に初めて示した。Docker がコンテナを発明したわけではない。資源制限を担う cgroups は2006年に Google の Paul Menage と Rohit Seth が process containers として着手し2008年の Linux 2.6.24 で本流に入ったもので、隔離を担う namespaces は2002年の 2.4.19 以降段階的に足された既存機能である。初期の Docker はそれらを直接ではなく LXC 経由で使い、自前の libcontainer に置き換えたのは2014年3月の 0.9 だった。Docker の寄与は、Dockerfile とイメージ配布と扱いやすい CLI によって、この積み上げを一般の開発者が使える形に束ねた点にある。最初のタグ付きリリース v0.1.0 は3月26日、dotCloud 社は同年10月29日に Docker, Inc. へ改称し、1.0 は2014年6月に出た。
よくある質問
- Docker がコンテナを発明したのか
- していません。資源制限を担う cgroups は2008年の Linux 2.6.24 で本流に入り、隔離を担う namespaces は2002年以降段階的に足されたものです。Docker の寄与は、Dockerfile とイメージ配布と扱いやすい CLI でそれらを一般の開発者に届けた点にあります。
- 最初の Docker リリースはいつか
- タグ付きの v0.1.0 が2013年3月26日、1.0 は2014年6月です。dotCloud 社が Docker, Inc. へ改称したのは2013年10月29日でした。
Kubernetes / kubernetes.io (Wikimedia Commons) · Public domain (PD-textlogo; the mark is a trademark of the Linux Foundation) · Commons ↗ 2014年6月10日、Google の Eric Brewer(VP of Infrastructure)がブログ記事「An update on container support on Google Cloud Platform」でコンテナマネージャ Kubernetes のオープンソース公開を告げた。リポジトリの最初のコミット(Joe Beda による "First commit")は6月6日で、設計自体は Craig McLuckie・Joe Beda・Brendan Burns の3人が2013年秋に始めている。Kubernetes は Borg のオープンソース版ではない。公式ブログは「Kubernetes traces its lineage directly from Borg」と述べ、Borg の良い考えを取り込みつつ利用者が指摘してきた不満点を直したものだと説明している(告知記事自身が社内例として挙げたのは Borg ではなく Omega だった)。1.0 は2015年7月21日に OSCON で発表され、同日 Google は Linux Foundation とともに設立された Cloud Native Computing Foundation(CNCF)へ Kubernetes を寄贈した。以後 AWS・GCP・Azure のいずれもマネージド Kubernetes を提供し、宣言的なクラスタ管理の事実上の標準となる。
Amazon.com, Inc.; vector by DraftSaturn15 (Wikimedia Commons) · Public domain (PD-textlogo) · Commons ↗ AWS が re:Invent 2014 に合わせて Lambda を発表。関数単位でコードを実行し、100ミリ秒単位の実行時間とリクエスト数だけが課金される。この時点ではまだプレビュー版で、対応言語は Node.js のみ、メモリ128MB〜1GB、実行時間上限60秒、提供リージョンも米国東部(バージニア北部)・米国西部(オレゴン)・欧州(アイルランド)の3つに限られていた。本番利用可能となるのは翌2015年4月9日、Java 対応と SNS トリガーの追加を伴ってのことである。サーバを意識する必要すらないという「サーバレス」モデルはここから本格化し、Google Cloud Functions、Cloudflare Workers、Vercel Functions が後に続いて、現代の Web 開発のサーバ側構成の主流となった。
よくある質問
- Lambda はいつから本番で使えたのか
- 2015年4月9日です。Java 対応と SNS トリガーの追加を伴っていました。2014年11月13日の発表時点ではプレビューで、Node.js のみ、実行時間の上限60秒、3リージョンでした。
2020年代

Amazon.com Inc. (Wikimedia Commons) · Apache License 2.0 (trademark applies) · Commons ↗ Amazon Web Services が、 複数の基盤モデル(Anthropic Claude、 AI21 Jurassic、 Stability Stable Diffusion、 Amazon Titan 等)を統一 API で提供する「Amazon Bedrock」を発表。 顧客は自社データを AWS から出さずに、 サーバレスで基盤モデルを呼べる構造。 Microsoft Azure × OpenAI の独占的提携に対抗し、 「複数モデル並列」を売りにした AWS の戦略表明。 後の Anthropic への最大40億ドル投資(2023年9月)と組み合わさり、 「マルチモデル」陣営の旗艦サービスとなる。

Smishra1 (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ 7月19日04:09 UTC、サイバーセキュリティ企業 CrowdStrike が Falcon Sensor 向けに配信したコンテンツ更新(Channel File 291)の不具合により、 Windows 端末が一斉にブルースクリーンとブートループに陥った。 カーネルドライバの更新ではなく、 ドライバが読み込む検知ロジックのデータファイルが原因だった点が、 この事故の本質である。 影響台数の850万台は Microsoft の推計(全 Windows 機の1%未満)。 航空・病院・銀行 ATM・緊急通報・放送が同時に停止し、 米デルタ航空は5日間で約7,000便を欠航、 自社見積もりで5億ドル超の損失を計上した。 経済損失については Parametrix が Fortune 500 の直接損失を54億ドル(Microsoft を除く)と試算しており、 世界全体の権威ある集計は存在しない。 復旧はセーフモードでの手動作業が必要で、 BitLocker 環境ではさらに回復キーを要した。 この事故は、 EDR がカーネル特権を持つ設計そのものを議論の対象に押し上げた。
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