標準 · 8件の出来事
クラウドコンピューティングの歴史
1990年代
元 Oracle 役員の Marc Benioff が、顧客関係管理(CRM)ソフトウェアを Web ブラウザから利用させる Salesforce.com を設立。「No Software」をスローガンに、それまで自社サーバへインストールするのが当然だった企業向けソフトウェアの提供形態を「サービスとして」(後の SaaS の概念)へと移行させた最初の主要事例。
2000年代
Amazon が、オブジェクトストレージサービス S3(Simple Storage Service)を公開。同年8月には計算リソースの従量課金サービス EC2 が続き、Amazon Web Services(AWS)が「クラウド」と呼ばれる新しい計算基盤の事実上の起点となった。書籍販売の傍ら社内向けに作っていたインフラを外部に開放するという発想が、後の十数年で IT 業界全体の構造を書き換えることになる。
Google が、開発者がアプリケーションコードを書いて Google のインフラ上で実行できるサービス App Engine を公開。OS や仮想マシンの管理を完全に隠蔽し、アプリケーション層だけを開発者に意識させる「Platform as a Service(PaaS)」概念の先行的な実装。後の Heroku、Cloud Foundry、AWS Elastic Beanstalk へつながる系譜の出発点となった。
Robert Griesemer、Rob Pike、Ken Thompson(UNIX 作者)の3人が Google で設計したシステムプログラミング言語。C++ のビルド時間と複雑さへの不満を出発点に、ガベージコレクション、goroutine による軽量並行性、シンプルな構文を持つ。Docker、Kubernetes、Terraform、Prometheus など、2010年代のクラウドネイティブインフラの大半が Go で書かれた。
2010年代
Microsoft が、2008年に発表していたクラウド計算サービスを Windows Azure として商用展開(後に「Microsoft Azure」と改名、2014年)。AWS の後追いとなる立ち位置から、企業向け既存ソフトウェア(Active Directory、Office、SQL Server)との統合を強みとして急成長し、2010年代後半には AWS に次ぐ世界二位のクラウド事業者に。Satya Nadella 体制(2014-)の核となる事業。
PaaS スタートアップ dotCloud(後の Docker, Inc.)の Solomon Hykes が、Linux カーネルが既に持っていた cgroups と namespaces を扱いやすい CLI と Dockerfile によってラップした「Docker」を公開。仮想マシンよりも軽量で、開発環境と本番環境を統一できる「コンテナ」という概念を、それまでよりはるかに広い開発者層に普及させた。後の Kubernetes(2014年)と合わせ、2010年代後半のクラウドネイティブ運用の標準となる。
Google が、社内の Borg システム(数年来運用してきたクラスタ管理基盤)の経験を基に設計したコンテナオーケストレータ Kubernetes をオープンソース公開。2015年に Cloud Native Computing Foundation(CNCF)へ寄贈され、Linux Foundation 傘下となる。2020年代の本番運用において、複数台のコンテナを宣言的に管理する標準として、AWS・GCP・Azure すべてに搭載される事実上の業界標準に。
AWS が、関数単位でコードを実行し、実行された時間とリクエスト数だけが課金される Lambda を発表。サーバを意識する必要すらないという「サーバレス」モデルの本格的な始まりで、後の Cloudflare Workers、Vercel Functions、Google Cloud Functions など、現代の Web 開発のサーバ側構成の主流の起点となった。