標準 · 12件の出来事

クラウドコンピューティングの歴史

計算の場所は所有から借用へ、そして従量課金へと移った。仮想化、ハイパーバイザ、コンテナ、サーバレス。十年あまりで「サーバ」という言葉の意味は、室内の鉄箱から請求書の一行へと変わった。

1990年代

  1. サンフランシスコの街並みの上にそびえる Salesforce Tower の白黒写真(2019年撮影)。同ビルの完成は2018年で、1999年の設立当時に同社はここにいない
    Christopher Michel (Flickr, via Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons ↗

    元 Oracle 幹部の Marc Benioff が、Parker Harris・Frank Dominguez・Dave Moellenhoff とともに1999年3月8日に salesforce.com を法人登記した。拠点はサンフランシスコ Telegraph Hill、モンゴメリー通り1449番地の1ベッドルームのアパートだった。顧客関係管理(CRM)をインストール不要のサービスとして Web ブラウザから使わせ、「No Software」のロゴと、2000年2月7日の正式ローンチイベント「The End of Software」を旗印にした。ホスト型ソフトウェアそのものを発明したわけではないが、企業向けソフトを自社サーバに入れるのではなくサービスとして使う形 ── のちに SaaS と呼ばれる ── を前面に押し出した。2004年6月23日に NYSE に上場し、2005年に AppExchange、2008年に Force.com を出して、アプリケーションから基盤へと広がった。

    関連用語
    IaaS / PaaS / SaaS

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2000年代

  1. Amazon.com Inc. (Wikimedia Commons) · Apache License 2.0 · Commons ↗

    Amazon Web Services が2006年3月14日、Web 経由で誰でも借りられるオブジェクトストレージ Amazon S3 を公開した。前払いも最低料金もなく、保管は 1GB あたり月 0.15 ドル、転送は 1GB あたり 0.20 ドル。オブジェクトは1バイトから5GBまで、REST と SOAP で出し入れし、可用性は99.99%を目標に設計された。AWS の名は2002年7月の商品カタログ API から、SQS のベータは2004年11月からあったが、自社のインフラそのものを従量課金で外部に売ったのは S3 が最初である。同年8月25日には計算資源を時間課金で貸す EC2 が限定ベータで続いた。欧州での保管は2007年11月6日、東京リージョンは2011年3月2日に加わる。

    関連企業・組織
    Amazon
    関連用語
    IaaS / PaaS / SaaS
    登場する年表
    IT全史 ── 計算機が世界を編み変える

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  2. 2012年のパリ Open World Forum で Google App Engine と Compute Engine について講演する Google のピーター・マグヌソン
    Copyleft (Wikimedia Commons) · CC0 1.0 Public Domain Dedication · Commons ↗

    Google が2008年4月7日夜の開発者イベント Campfire One で、App Engine をプレビュー公開した。開発者が書いた Web アプリケーションを Google のインフラで動かし、スケーリングもデータの保管も Google が引き受ける、今日でいう PaaS の初期の代表例である。プレビューは先着1万人の開発者限定で、ストレージ500MB・CPU 1日2億メガサイクル・転送量1日10GB の無料枠付き。データは Bigtable と GFS を土台にしたストアに置いた。対応言語は Python のみで、Java は2009年4月7日に先行公開、プレビューを卒業して正式製品となるのは2011年11月7日のリリース 1.6.0 で、このとき有料アプリ向けに99.95%の SLA が導入された。

    関連人物
    グイド・ヴァンロッサム
    関連企業・組織
    Google
    関連用語
    IaaS / PaaS / SaaS

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  3. EVT.004T1Go 言語 公開 ── Googleプログラミング言語の歴史詳細を読む →

2010年代

  1. Windows Azure のロゴとワードマーク(2012年当時)
    Microsoft Corporation · Public domain (PD-textlogo; trademarked) · Commons ↗

    Microsoft は2008年10月27日、ロサンゼルスの PDC で Ray Ozzie が Windows Azure と Azure Services Platform を発表し、限定プレビューを始めた。2009年7月に料金(計算1時間0.12ドル、ストレージ1GB 月0.15ドルなど)を示し、2010年1月の無料期間を経て、2010年2月1日に Windows Azure と SQL Azure が21か国で SLA 付きの一般提供に入り、課金が始まった。日本の東日本・西日本リージョンは2014年2月25日に一般提供を発表、Microsoft Azure への改称は2014年4月3日である。Synergy Research Group の推計では、2020年第4四半期にクラウドインフラサービス市場で約20%のシェアを持ち、Amazon に次ぐ2位だった。

    関連企業・組織
    Microsoft
    関連用語
    IaaS / PaaS / SaaS
    登場する年表
    Microsoftの歴史

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  2. dotCloud, Inc. (Wikimedia Commons) · Apache License 2.0 · Commons ↗

    PaaS 企業 dotCloud の Solomon Hykes が2013年3月15日、PyCon US 2013(サンタクララ)の5分間のライトニングトーク「The future of Linux Containers」で Docker を初めて公の場で示した。Docker がコンテナを発明したわけではない。資源制限を担う cgroups は2006年に Google の Paul Menage と Rohit Seth が process containers として着手し、2008年1月の Linux 2.6.24 で本流に入ったもので、隔離を担う namespaces は2002年の 2.4.19 から段階的に足されてきた。初期の Docker はそれらを LXC 経由で使い、自前の libcontainer を既定にしたのは2014年3月10日の 0.9 である。Docker の寄与は、イメージのビルドと配布と扱いやすい CLI でこの積み上げを一般の開発者に届けたことにある。v0.1.0 は2013年3月26日、Docker, Inc. への改称は同年10月29日、1.0 は2014年6月9日。

    関連用語
    コンテナ

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2020年代

  1. Amazon Web Services のロゴ ── Bedrock を提供するクラウド
    Amazon.com Inc. (Wikimedia Commons) · Apache License 2.0 (trademark applies) · Commons ↗

    Amazon Web Services が、 複数の基盤モデル(Anthropic Claude、 AI21 Jurassic、 Stability Stable Diffusion、 Amazon Titan 等)を統一 API で提供する「Amazon Bedrock」を発表。 顧客は自社データを AWS から出さずに、 サーバレスで基盤モデルを呼べる構造。 Microsoft Azure × OpenAI の独占的提携に対抗し、 「複数モデル並列」を売りにした AWS の戦略表明。 後の Anthropic への最大40億ドル投資(2023年9月)と組み合わさり、 「マルチモデル」陣営の旗艦サービスとなる。

    関連企業・組織
    Anthropic · Amazon
    関連用語
    基盤モデル · サーバーレス

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  2. ラガーディア空港の手荷物カルーセルに並ぶブルースクリーン
    Smishra1 (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗

    7月19日04:09 UTC、サイバーセキュリティ企業 CrowdStrike が Falcon Sensor 向けに配信したコンテンツ更新(Channel File 291)の不具合により、 Windows 端末が一斉にブルースクリーンとブートループに陥った。 カーネルドライバの更新ではなく、 ドライバが読み込む検知ロジックのデータファイルが原因だった点が、 この事故の本質である。 影響台数の850万台は Microsoft の推計(全 Windows 機の1%未満)。 航空・病院・銀行 ATM・緊急通報・放送が同時に停止し、 米デルタ航空は5日間で約7,000便を欠航、 自社見積もりで5億ドル超の損失を計上した。 経済損失については Parametrix が Fortune 500 の直接損失を54億ドル(Microsoft を除く)と試算しており、 世界全体の権威ある集計は存在しない。 復旧はセーフモードでの手動作業が必要で、 BitLocker 環境ではさらに回復キーを要した。 この事故は、 EDR がカーネル特権を持つ設計そのものを議論の対象に押し上げた。

    関連企業・組織
    Microsoft
    関連用語
    カーネル
    登場する年表
    IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · サイバーセキュリティの歴史

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  3. EVT.011T1スリーマイル島1号機の再稼働契約 ── データセンタが原子炉を呼び戻すAIの歴史IT全史 ── 計算機が世界を編み変えるAIと社会の歴史詳細を読む →
  4. EVT.012T1Trump 政権の AI 政策転換 ── Biden 大統領令撤回と Stargate 5000億ドル計画AIの歴史IT全史 ── 計算機が世界を編み変える詳細を読む →