企業・組織 :: ORG
Apple
1976年に Steve Jobs、Steve Wozniak、Ronald Wayne によって設立されたコンピュータ・電子機器メーカー。Apple I・II によるパーソナルコンピュータの大衆化、Macintosh による GUI の普及、iMac による色付き家電としての PC、iPod と iTunes による音楽産業の再編、iPhone によるスマートフォン市場の創設、と数次にわたって電子機器市場の構図を書き換えてきた。
組織情報
- 設立
- 1976
- 状態
- 稼働中
- 存続
- 50 年
- 関連事象
- 25
- 名称
- ENApple Inc.JAApple
Apple
Apple Inc. は、 1976年に Steve Jobs、 Steve Wozniak、 Ronald Wayne によって設立された米国の電子機器・ソフトウェア企業である。 カリフォルニア州クパチーノに本社を置き、 パーソナルコンピュータ、 スマートフォン、 タブレット、 ウェアラブル、 サービスを軸とする垂直統合型のビジネスモデルで運営される。 2025年度(9月決算)の年間売上は約 4,160億ドル、 純利益は 1,120億ドルに達し、 時価総額は 3〜4兆ドル圏を推移する世界最大級の上場企業である。
沿革 / History
1976年4月、 Jobs と Wozniak の自宅ガレージで Apple I が組み立てられた。 翌1977年の Apple II は、 カラー画像とフロッピーディスクの組合せで個人向けコンピュータ市場を一気に拡大させ、 表計算ソフト VisiCalc(1979年)と組んで「ビジネスで使える PC」という新カテゴリを生んだ。 1984年の Macintosh は、 Xerox PARC の Alto に源流をもつグラフィカル・ユーザインタフェース(GUI)を量産価格帯で実装し、 後の Windows を含むパーソナル GUI の基準を作った。
1985年に Jobs は社内政争で会社を離れ、 1990年代の Apple は Performa シリーズの乱発、 IBM-PowerPC 連合の不調、 Newton MessagePad の失速で経営を悪化させた。 1997年、 NeXT 買収を通じて Jobs が暫定 CEO として復帰、 不採算ラインを切り捨てて1998年に iMac G3 を投入。 半透明ボンダイブルーの筐体は「家電としての PC」という新しい設計言語を提示した。 2001年の Mac OS X で OS の基盤を Mach + BSD に置き換え、 同年の iPod と2003年の iTunes Store で音楽産業を再編、 2007年に iPhone を発表してスマートフォン市場そのものを作った。 2010年の iPad、 2015年の Apple Watch、 2020年の M1 を皮切りとする Apple Silicon への移行、 2024年の Vision Pro、 同年から本格展開した Apple Intelligence と、 ハードウェア・OS・チップ・サービスの垂直統合をいっそう深めている。
主要製品・事業 / Products and Services
| カテゴリ | 代表製品 | 売上シェア (FY2025) |
|---|---|---|
| iPhone | iPhone 17 シリーズ | 約 52% |
| サービス | App Store、 iCloud、 Apple Music、 Apple TV+、 Apple Pay | 約 25% |
| ウェアラブル・ホーム・アクセサリ | Apple Watch、 AirPods、 Vision Pro | 約 9% |
| Mac | M シリーズ Mac、 MacBook Pro/Air、 iMac、 Mac Studio | 約 8% |
| iPad | iPad Pro M4、 iPad Air、 iPad mini | 約 6% |
サービス部門は粗利益率 70% 超で、 ハードウェア依存からの脱却を支える柱となった。 2025年時点での Apple ID 有効数は 22億超、 App Store の累計開発者支払額は 4,000億ドルを上回る。
重要事件 / Key Events
- 1985年: Jobs 退社、 Wozniak も退社。 John Sculley 体制へ。
- 1997年: Microsoft が Apple に 1.5億ドル出資、 Internet Explorer for Mac の搭載で和解。 同年 Steve Jobs が暫定 CEO に復帰。
- 2007年: iPhone 初代発表。 翌2008年に App Store を開設。
- 2011年: Jobs 死去、 Tim Cook が CEO に就任。
- 2016年: FBI と San Bernardino 銃乱射事件 iPhone のロック解除を巡って対立、 暗号化政策の象徴的事案に。
- 2020年: M1 チップ発表、 Intel 依存からの脱却を開始。
- 2022年1月: 時価総額が世界初の 3兆ドルを突破。
- 2024年: Vision Pro 発売(米国2月、 国際展開6月)。 EU DMA 対応として App Store の代替マーケットプレイス・サードパーティ決済を EU 域内で解禁。 Apple Intelligence を WWDC で発表、 OpenAI との連携で Siri に ChatGPT を統合。
- 2024年9月: EU 司法裁判所 が「アイルランド税制優遇 130億ユーロ追徴」を確定、 Apple の敗訴。
- 2025年: iPhone 17 シリーズが「過去最強の立ち上がり」(Tim Cook)。 FY2025 売上 4,160億ドル、 過去最高益更新。
業績指標 / Key Metrics
- 売上 (FY2025): 4,160億ドル / 純利益: 1,120億ドル / 営業 CF: 約 1,300億ドル
- 従業員数 (2025年): 約 16万4,000人
- 時価総額: 3〜4兆ドル圏(世界 1〜3位を Microsoft・NVIDIA と争う)
- iPhone 累計出荷台数: 2024年時点で 23億台超、 2025年には iPhone だけで年間 2億4,000万台超を出荷
- 株主還元: 自社株買い・配当の累計が 9,000億ドル超(2012年以降)
影響と批判 / Influence and Criticism
Apple は「閉じた庭園 (walled garden)」型の生態系を磨き込むことで産業構造を再編した一方、 同じ仕組みが反トラストと労働問題を継続的に呼び込んでいる。 2020年からの Epic Games との訴訟は、 App Store 30% 手数料と外部決済禁止の妥当性を米連邦裁判所で争い、 2021年判決で「反ステアリング条項」が違法と判断された。 2024年から本格適用された EU の Digital Markets Act は、 ゲートキーパー指定企業に対する代替ストア・サイドローディング解禁を強制し、 Apple は域内に限り当初渋々ながら制度設計を変更した。 米司法省も2024年3月にスマートフォン市場での独占維持を理由に Apple を提訴している。
労働面では、 中国 Foxconn 工場の長時間労働・寮内事故、 米国 Apple Store 従業員の労働組合結成(2022年メリーランド州初承認)が継続的争点となる。 環境面では2030年カーボン・ニュートラルを公約し、 再エネ100% 達成(自社運用ベース)を 2020年に宣言したが、 サプライチェーン全体での実現にはレアアース調達・コバルト調達の問題が残る。 プライバシーを差別化軸に掲げる戦略(App Tracking Transparency, 2021年)は Meta などの広告事業に直接打撃を与え、 競争政策と人権言説を同時に動員する Apple 流の規制対応スタイルを定着させた。
最後に、 中国市場依存と地政学リスクは未解決のままである。 売上の約 17%(700億ドル規模)を中国本土・香港・台湾が占め、 製造の中核も中国に集中する。 インド・ベトナムへの生産分散は加速したが、 数年単位の課題として続いている。
関連する出来事
- 1984年1月24日Macintosh 発表 ── GUI の大衆化Apple が Macintosh を発表。Xerox PARC で発明されたグラフィカルユーザインタフェース(ウィンドウ・アイコン・マウス)を、2495 ドルという大衆向け価格帯で一般消費者に届けた。前年の Lisa が商業的に失敗した経験から、シンプルさと拡張性のバランスを大胆に「シンプル側」へ寄せた製品。1984年の Super Bowl で放映された Ridley Scott 監督の CM は、テレビ広告史にも刻まれた。
- 2001年3月24日Mac OS X 10.0 発売1985年に Apple を追われた Steve Jobs が NeXT で開発した NeXTSTEP(Mach マイクロカーネル + BSD UNIX)を、1996年の Apple による NeXT 買収を経て Mac OS の基盤に据え直した世代。1984年の Classic Mac OS から決別し、UNIX 系の堅牢性とプロセス分離を Mac にもたらした。後の Aqua UI、iOS、macOS の出発点。
- 2007年6月29日初代 iPhone 発売2007年1月の Macworld で Steve Jobs が発表した iPhone は、半年後の6月29日に米国で発売された。物理キーボードを排し、静電容量式マルチタッチと OS X 派生のソフトウェアを電話に据えたこの機械は、後に「スマートフォン」と呼ばれる製品カテゴリ全体の文法を書き換えることになる。
- 2008年7月10日App Store 開設iPhone OS 2.0 と同時に開設された App Store は、約500本のアプリケーションとともに公開された。Apple が公式に承認する流通網を介して開発者がソフトウェアを配信し、収益を 7:3 で分け合う仕組みは、その後の十数年にわたるモバイル経済の根幹を作った。初代 iPhone 発表時に Steve Jobs が示したのは「Web アプリだけで充分」というものだったが、わずか一年半後には、その方針は静かに撤回されたことになる。
- 2008年7月11日iPhone 3G 発売初代から1年で発表された2世代目。3G 通信に対応し、価格を 8GB 199ドルに下げて市場拡大を狙った。前日に開設された App Store とともに、iPhone を「電話+アプリの動くコンピュータ」というカテゴリへと押し上げた。同日に世界22カ国で同時発売され、iPhone は米国市場専用機械ではなくなった。
- 2009年6月19日iPhone 3GS 発売「S」は Speed の頭文字。CPU・GPU・メモリの強化により、初代から二倍以上の性能を得た。動画撮影、音声制御、コンパス、デジタル磁石、ボイスメモが加わり、iPhone OS 3.0 ではコピー&ペースト、MMS、横画面キーボードといった基本機能がようやく実装された。一年で完成度を上げる「S 世代」の文法が、ここから定着していく。
- 2010年6月4日Samsung Galaxy S 発売 ── Android 帝国の本格起点サムスン電子が2010年6月4日に Galaxy S(GT-I9000) を欧州市場で発売(米国市場へは同年夏以降)。 4 インチ Super AMOLED、 1 GHz Cortex-A8(Hummingbird) SoC、 Android 2.1 Eclair(後に 2.3 まで更新)。 サムスン初の本格 Android ハイエンド機で、 発売から半年でグローバル累計1000万台販売。 以後、 S シリーズは2024年現在 Galaxy S25 までほぼ毎年継続、 累計10億台超を販売する Android の代表機種となる。 同時に Apple との特許訴訟(2011年〜数十億ドル規模和解)、 Galaxy Note 7 発火事故(2016年) などの紆余曲折を経て、 サムスンは世界最大のスマホ販売台数を10年以上保ち続けることになる。
- 2010年6月24日iPhone 4 発売 ── Retina ディスプレイと「Antennagate」326ppi の高解像度パネルを「Retina ディスプレイ」と名付け、人間の視力では個々のピクセルを判別できないとうたった。デザインは前面・背面ガラス、側面ステンレスへと一変し、現在まで続く iPhone の造形言語の原型となった。一方、その側面ステンレス枠がアンテナを兼ねていたため、握り方によって信号が落ちる「Antennagate」騒動を引き起こし、Apple 史上最も派手な PR 失敗の一つとなった。
- 2011年10月14日iPhone 4S と Siri ── ジョブズ最後の発表デュアルコア A5、800万画素カメラ、そして音声アシスタント Siri。発表会の翌日、10月5日に Steve Jobs が他界し、iPhone 4S は事実上、彼の遺品となった。Siri は買収した SRI 発のスタートアップ技術をベースとし、自然言語によるスマートフォン操作という発想を主流に押し出した。
- 2012年9月21日iPhone 5 ── 縦長画面、LTE、Lightningアスペクト比を 3:2 から 16:9 へ変更し、画面サイズを 4 インチへ拡大。本体はアルミ筐体で薄型化、初の LTE 対応となった。最大の物議は、9年間続いた 30 ピンの Dock コネクタを廃し、リバーシブルな 8 ピンの Lightning に置き換えたこと。サードパーティ製アクセサリ市場の互換性を一度に破壊する決断だった。
- 2013年9月20日iPhone 5s ── Touch ID と 64bit プロセッサ A7ホームボタンに指紋センサ Touch ID を内蔵し、生体認証によるロック解除と購入承認を一般化した。同時に世界初の 64bit スマートフォンプロセッサ A7 を搭載 ── 業界の予想より2年早い移行で、Qualcomm を含む競合各社を不意打ちにした。Touch ID は決済システム Apple Pay(2014年)の基盤にもなる。
- 2014年9月19日iPhone 6 / 6 Plus ── 大画面への転向4.7 インチと 5.5 インチの二機種展開で、Apple は遂に「ファブレット」市場へ参入した。Samsung Galaxy Note が切り拓いてきた領域に4年遅れで応じた格好になる。発売最初の週末に1000万台を売り、それまでの iPhone 売上記録を更新。同時に Apple Pay を発表し、NFC とトークン化技術によるモバイル決済を本格展開させた。
- 2015年9月25日iPhone 6s と 3D Touch圧力を感知するディスプレイ「3D Touch」を搭載。プレスの深さで挙動を変える新しい入力次元を試みたが、開発者・ユーザー双方からの定着には恵まれず、2018年の iPhone XR を皮切りに段階的に廃止される。Apple が出して引っ込めた数少ない UI 機能の一つ。
- 2016年3月31日初代 iPhone SE 発売4インチ筐体を維持したまま中身を iPhone 6s 相当にした小型機。大画面化の流れに馴染めない既存ユーザーと、新興市場向けの低価格機を狙った戦略製品で、それまで存在しなかった「廉価かつ最新世代」というポジションを Apple のラインナップに恒常的に組み込んだ。
- 2016年9月16日iPhone 7 ── 3.5mm ヘッドフォンジャック廃止Apple は、1世紀近く電子機器の標準だった 3.5mm のヘッドフォンジャックを iPhone から取り除いた。当時 Phil Schiller が用いた「Courage(勇気)」という言葉は、Apple の傲慢さの象徴として揶揄されたが、結果としてワイヤレスイヤホンを家電カテゴリの主流に押し上げ、同時発売の AirPods は数年で Apple 最大の周辺機器事業となった。
- 2017年11月3日iPhone X ── ホームボタン廃止と Face ID初代発表から十周年の節目に、Apple は iPhone 設計の二大要素 ── 物理ホームボタンと指紋認証 ── を同時に廃止した。代わりに、画面上端の「ノッチ」に深度センサと赤外線投光器を埋め込み、顔認証 Face ID で生体認証を継続。OLED の縁無しディスプレイと組み合わせ、iPhone の造形を再びゼロから書き直した世代となった。
- 2018年9月iPhone XS / XR ── ノッチ世代の量産化iPhone X が提示した新しい筐体言語(ノッチ・Face ID・縁無し)を、価格帯を分けた XS / XS Max(OLED 上位機)と XR(LCD・カラフルな低価格機)の三機種展開で量産化した世代。一年前の「実験的高級機」を、Apple のラインナップ全体に拡張した区切りだった。
- 2019年9月20日iPhone 11 ── 二眼カメラとナイトモード標準モデルの iPhone 11 と Pro / Pro Max 二機種で、背面に複数レンズを搭載した「カメラの塊」としての iPhone を確立。低照度撮影を一気に底上げする「ナイトモード」が導入され、夜景はもはや一眼レフの専売特許ではなくなった。
- 2020年10月23日iPhone 12 ── 5G と MagSafe の復活5G 対応の初代 iPhone であり、iPhone 4 を思わせる平面側面のデザインへ回帰した世代。背面に磁石を配し、MacBook で消えていた「MagSafe」の名を、ワイヤレス充電とアクセサリ取り付けの規格として復活させた。コロナ禍中の発表となり、通例より一ヶ月遅れの10月発売。
- 2020年11月Apple Silicon M1 ── Mac の ARM 移行Apple が、15年にわたって採用してきた Intel x86 プロセッサから、自社設計の ARM ベース M1 チップへと Mac を移行した最初のモデル(MacBook Air、Mac mini、13インチ MacBook Pro)を発表。電力効率と性能の両面で Intel 機を上回り、Apple がチップ設計の自社内製化を進めてきた十年強の集大成となった。Mac、iPhone、iPad、Apple Watch がすべて Apple Silicon で統合される基盤。
- 2021年9月24日iPhone 13 ── ノッチ縮小と ProMotioniPhone X 以来の TrueDepth ノッチを 20% 縮小。Pro モデルは可変リフレッシュレート ProMotion ディスプレイ(10〜120Hz)を初搭載し、スクロールやアニメーションの滑らかさが感覚的にも明らかに変わった。電池寿命の改善も大きく、地味だが堅実な世代として評価される。
- 2022年9月16日iPhone 14 Pro と Dynamic IslandiPhone X から5年続いた「ノッチ」を、Pro モデルでは丸いパンチ穴二つに置き換え、その黒い領域を OS が動的に拡張・縮小する「Dynamic Island」というインタラクティブな UI 要素に転化させた。ハードウェアの制約(フロントカメラ・センサの配置)を、欠点として隠さず、UI として積極的に演出した。Always-On ディスプレイも同時に導入された。
- 2023年9月22日iPhone 15 ── USB-C 移行11年続いた Lightning 端子を廃し、USB-C を採用。Apple 自身の選択というよりは、EU の共通充電器規則(2022年成立、2024年末発効)への対応として迫られた変更であり、規制によって端子規格が決まった象徴的な転換でもあった。Pro モデルは USB 3 のデータ転送速度(最大10Gbps)に対応。
- 2024年9月16日macOS Sequoia と Apple Intelligence ── OS 内蔵 AIApple が macOS 15「Sequoia」を公開し、 iOS 18・iPadOS 18 と同時に「Apple Intelligence」を搭載。 オンデバイス(A17 Pro / M シリーズ以降)で動く要約・書き換え・画像生成・Siri 強化、 必要に応じて Apple 専用サーバ(Private Cloud Compute)で処理を行う構造。 ChatGPT との連携機能も同梱。 OS 開発の主軸が「機能追加」から「AI を OS のあらゆる文脈に埋め込む」に移行したことを象徴する世代。 EU では DMA との緊張で Apple Intelligence の一部機能が遅れて展開された。
- 2024年9月20日iPhone 16 と Apple IntelligenceApple が独自に展開する生成AIスイート「Apple Intelligence」を全面に押し出した世代。要約・書き換え・画像生成・Siri 強化を、可能な限りオンデバイスで実行する設計が特徴で、必要な場合のみ Apple 専用のサーバ(Private Cloud Compute)に処理を委ねる。AIの主導権を OpenAI や Google に渡さないための、ハードウェアと OS の共設計だった。