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初代 iPhone 発売

出典Rafael Fernandez / TheGoldenBox (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons で見る

メタデータ

日付
年代
2000s
Tier
T1
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11
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2007年6月29日、現地時間の午後6時。米国内164店の Apple Store が一斉に初代 iPhone を売りはじめた。発表から発売までの半年、業界はこの製品をどう評価していいか測りかねていた。物理キーボードを持たない携帯電話、専用 OS のかわりに Mac の派生 OS を載せた電話、そして 499 ドル(4GB)あるいは 599 ドル(8GB)── しかもこれは端末代であって、別に AT&T との新規2年契約(月額 59.99 ドルから)が要る。

しかし発売後の数年で、この機械は携帯電話というカテゴリの輪郭そのものを塗り替えることになる。

発表の瞬間

発売の半年前、2007年1月9日。サンフランシスコの Macworld 基調講演で、Steve Jobs は「この種の革新的な製品を三つ」紹介すると告げた。タッチ操作のワイドスクリーン iPod、革新的な携帯電話、画期的なインターネット通信機器。三つを読み上げたあと、彼はこう続けた ──「これらは三つの別々のデバイスではない。一つのデバイスだ。名前は iPhone」。

同日の Apple のプレスリリースで、ジョブズは iPhone を「他のどの携帯電話よりも文字どおり5年進んだ、革命的で魔法のような製品」と呼び、「我々は誰もが究極のポインティングデバイス ── 指 ── を持って生まれてくる。iPhone はそれを使って、マウス以来もっとも革命的なユーザーインターフェイスを作る」と述べている。

このプレゼンテーションは、後に何度も再生されることになる。ただし、マルチタッチの公開実演そのものが初めてだったわけではない。Bill Buxton が整理したマルチタッチの年表によれば、この種の入力装置は1980年代初頭から研究室で動いており、iPhone 発表の時点ですでに20年以上のあいだ人前で実演されてきていた。ジョブズがやってのけたのは、その操作を「店頭で買える一台」の上で見せたことである。

統合の仕方が決定的だった

iPhone が技術的に「最初」だったわけではない。Buxton の整理では最初のマルチタッチ入力装置は1982年のトロント大学 Flexible Machine Interface であり、IBM Simon(1994年発売)に始まる「スマートフォン」と呼ばれる機種は十年以上前から市場にあった。タッチスクリーンも、QWERTY ソフトキーボードも、ウェブブラウザを内蔵した携帯も、それぞれは既に存在していた。

iPhone が決定的に新しかったのは、それらの統合の仕方である。

  • 静電容量式マルチタッチを中心に置いた: 当時の主流は、スタイラスを必要とする抵抗膜方式だった。iPhone は指で直接、しかも複数本で操作することを前提に設計された。
  • 物理キーボードを排した: BlackBerry が支配していた業界において、これは異端だった。Microsoft の CEO Steve Ballmer は発表直後の CNBC で、500ドルという価格を「世界一高い電話」と切り捨てたうえで、「キーボードがないから、あまりいいメールマシンにならない。だからビジネス顧客には受けない」と述べている。
  • OS X 派生のソフトウェアを搭載した: 携帯電話としては、これも前例がない選択だった。後に iPhone OS(後の iOS)と呼ばれるこのソフトウェアは、デスクトップから派生した完全な UNIX 系 OS だった。

制約と未完成

ただし、発売時の iPhone は決して完成された製品ではなかった。

  • 3G に対応せず、EDGE(2.5G)のみ。米国 AT&T の独占契約だった。
  • 米国でしか売られなかった。 Apple は発表時点で欧州を2007年後半、アジアを2008年としており、日本で初代 iPhone が発売されることは結局一度もなかった。国内デビューは翌2008年7月11日の iPhone 3G(ソフトバンクモバイル)である。
  • サードパーティ製アプリは存在せず、Apple は当初 Web アプリのみを「公式の開発方法」として提示した。App Store の登場は翌年7月まで待つことになる。
  • コピー&ペースト機能もまだなかった。これは iPhone OS 3.0(2009年)まで実装されない。
  • カメラは2メガピクセルで、動画撮影機能も持たなかった。

売れ行きそのものは速かった。Apple の発表では、発売74日後の2007年9月9日に累計100万台に到達している。同社が四半期決算で公表した「販売台数」は、2007会計年度末(9月29日)までの累計で 1,389,000 台 ── この時点ではまだ米国のみの数字だ ── そして続く10〜12月期がさらに 2,315,000 台で、こちらには2007年11月以降に発売した欧州市場が加わる。いずれも Apple 自身が発表した数値であり、最終ユーザーへの販売実績とは別物である点に注意がいる。

価格は半年ももたなかった。2007年9月5日、Apple は 8GB モデルを 599 ドルから 399 ドルへ引き下げる。発売から二ヶ月で 200 ドル下がった格好になった初期購入者の抗議に対し、ジョブズは翌日の公開書簡で 100 ドル分のストアクレジットを配ると表明した。「技術の道は凸凹している」と彼は書き、そのうえで「早くから買ってくれた顧客は我々を信頼してくれた。こういう場面では、行動でその信頼に応えねばならない」と続けている。

2007年から2010年の地殻変動

iPhone そのものよりも、その後の波及効果が業界を再編した。

2007年から2010年の三年間に、Google は Android を急ピッチで作り直し(当初は BlackBerry 型のキーボード端末を先に出すつもりだった計画を、iPhone 発表を受けてタッチスクリーン中心へ組み替えたと、後年の関係者証言は伝えている)、Nokia は Symbian の長期低迷へと滑り落ち、Microsoft の Windows Mobile はモバイル市場から事実上撤退することになる。Palm は数年で消滅した。

産業の地殻変動という言葉が陳腐に響かないほどの規模で、それは起きた。


iPod からの延長線上にある計画

iPhone の発表より前には、Apple は2001年の iPod、2003年の iTunes Store によって、すでに音楽機器メーカーへの転身を済ませていた。iPhone はその延長線上で計画された製品である。後続の系譜については、iPhone の歴史年表を参照されたい。

よくある質問

初代 iPhone はいつ発表され、いつ発売されたのか
発表は2007年1月9日、サンフランシスコの Macworld 基調講演で Steve Jobs が行った。米国での発売はその半年後の2007年6月29日、現地時間午後6時に164店の Apple Store が一斉に売りはじめている。
初代 iPhone の価格はいくらだったのか
発売時は 4GB モデルが499ドル、8GB モデルが599ドルで、これとは別に AT&T との2年契約(月額59.99ドルから)が必要だった。9月5日には 8GB が399ドルへ引き下げられ、初期購入者の抗議に対して Jobs は翌日の公開書簡で100ドル分のストアクレジットを配ると表明した。
初代 iPhone の何が新しかったのか
物理キーボードを持たないこと、静電容量式のマルチタッチ、そして専用の組込み OS ではなく OS X 派生のソフトウェアを電話に載せたことである。この組合せが、後に「スマートフォン」と呼ばれるカテゴリの文法を書き換えた。

出典

  1. 二次資料Macworld 2007 iPhone keynote transcript — European Rhetoric

    取得日: 2026-08-03

  2. 二次資料Multi-Touch Systems that I Have Known and Loved — Bill Buxton

    取得日: 2026-08-03

  3. 三次資料iPhone (1st generation) — Wikipedia

    取得日: 2026-08-03

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