詳述 · 25件の出来事
AIの歴史
1950年代
02 件
null0 (Wikimedia Commons, via Flickr) · CC BY-SA 2.0 · Commons ↗ 1956年夏、ニューハンプシャー州ダートマス大学で開かれた約8週間のワークショップで、John McCarthy・Marvin Minsky・Claude Shannon・Nathaniel Rochester ら10名が「artificial intelligence」という言葉を提案・採用した。具体的な技術的成果よりも、後の数十年にわたるこの分野の独立した呼称と研究者ネットワークを生んだことが歴史的意義となる。
- 関連人物
- ジョン・マッカーシー · マーヴィン・ミンスキー · クロード・シャノン
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- IT全史 ── 計算機が世界を編み変える
Cornell Aeronautical Laboratory の Frank Rosenblatt が、入力に重みをかけて閾値判定する単純な学習機構「パーセプトロン」を発表。1960年には IBM 704 上で動かしたソフトウェアを 400 画素のセンサに接続した実装「Mark I Perceptron」を US Navy 向けに披露した。ニューラルネットワークという系譜の出発点で、後の MLP・畳み込みネットワーク・深層学習に至る基本骨格となる。
- 関連人物
- フランク・ローゼンブラット
1960年代
01 件MIT の Joseph Weizenbaum が開発した自然言語対話プログラム。最も有名なスクリプト「DOCTOR」はロジャース派の心理療法士を模倣し、ユーザの入力をパターンマッチで切り取って質問に変換する単純な仕組みだった。にもかかわらず多くの実験参加者がこの機械を「自分を理解している」と感じたため、Weizenbaum 自身がのちにこの現象を批判する書物(『Computer Power and Human Reason』, 1976)を書くことになる。
- 関連人物
- ジョセフ・ワイゼンバウム
1970年代
01 件英国学術研究評議会の依頼により James Lighthill が AI 研究の現状を評価し、1973年に発表された報告書は「これまでの AI 研究は、初期の楽観論が約束した成果を出していない」と結論づけた。これを受けて英国政府は AI への助成を大幅に削減、米国でも DARPA が同種の方針転換を行い、「第一次 AI 冬」と呼ばれる十年に及ぶ低迷期が始まる。Newell や Minsky が想定していた楽観的なスケジュールへの最初の本格的な反論となった。
1980年代
01 件Stanford の MYCIN(細菌感染症の診断)や DEC の XCON(VAX 構成の自動化)が示した、特定領域の専門知識を「if-then」ルールで明示的にコード化するアプローチが、1980年代前半に産業界へ広がる。日本では通産省が「第五世代コンピュータ」計画を主導(1982-1992)。ピーク時の1985年には世界の AI 関連支出は10億ドル規模に達するが、ルールベース系の保守困難さと汎化能力の欠如により、80年代末には急速に失速する(第二次 AI 冬)。
1990年代
01 件IBM のチェス専用機 Deep Blue が、当時のチェス世界王者 Garry Kasparov との6番勝負(リターンマッチ)に 3.5-2.5 で勝利した。前年(1996年)の対戦では Kasparov が勝っていたが、IBM はその後の1年でハードウェアと評価関数を大幅強化した。チェスのトップレベルにおいて、機械が人間に勝った最初の決着であり、AI 報道の文脈では象徴的な節目とされる(実態はゲーム木探索+特化評価関数で、現代的な学習は含まない)。
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- IBM
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- IT全史 ── 計算機が世界を編み変える
2010年代
05 件
Daniel Voigt Godoy (Wikimedia Commons) · CC BY 4.0 · Commons ↗ Toronto 大学の Alex Krizhevsky・Ilya Sutskever・Geoffrey Hinton らが、画像認識ベンチマーク ImageNet 2012 でトップ5エラー率 15.3% を達成。2位の従来手法(26.2%)を10ポイント以上引き離す決定的な差で、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を二枚の NVIDIA GTX 580 GPU で学習させたアーキテクチャ「AlexNet」が、深層学習の実用性を一夜にして証明した。これ以降、コンピュータビジョンの主流は手作業の特徴量設計から深層学習へと完全に移行する。
- 関連人物
- ジェフリー・ヒントン
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- IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · 半導体・ハードウェアの歴史
DeepMind の AlphaGo が、囲碁世界トップ棋士のひとり李世乭(イ・セドル)との5番勝負を 4-1 で制した。組合せ爆発のため「あと10年は機械に解けない」とされてきた囲碁の壁を、モンテカルロ木探索+深層強化学習の組合せで突破した出来事。第2局37手目の「神の一手」と呼ばれた打ち回しは、人間の対局では見られない発想として棋士コミュニティを驚かせた。
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- DeepMind · Google
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Google Brain と Google Research の Ashish Vaswani らが、Self-Attention のみで構築される系列変換アーキテクチャ Transformer を提案。それまで自然言語処理の主役だった RNN・LSTM を、並列化可能で学習効率の高い構造で置き換えた。論文の引用数は2026年時点で15万を超え、現代の大規模言語モデル(BERT、GPT 系、Claude、Gemini)はすべてこのアーキテクチャの拡張である。
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Daniel Voigt Godoy (Wikimedia Commons) · CC BY 4.0 · Commons ↗ Google AI の Jacob Devlin らが、Transformer エンコーダを双方向にマスクド言語モデルとして事前学習する手法 BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を arXiv に投稿。GLUE などの自然言語処理ベンチマークを一斉に塗り替え、「事前学習+ファインチューニング」という現代 LLM のパラダイムを確立した。GPT 系(左→右の自己回帰)とともに、Transformer 系言語モデルの二大潮流を成す。
デュアルコア A5、800万画素カメラ、そして音声アシスタント Siri。発表会の翌日、10月5日に Steve Jobs が他界し、iPhone 4S は事実上、彼の遺品となった。Siri は買収した SRI 発のスタートアップ技術をベースとし、自然言語によるスマートフォン操作という発想を主流に押し出した。
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- スティーブ・ジョブズ
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- Apple
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- iPhone
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- iPhone の歴史 · 携帯電話・スマートフォンの歴史
2020年代
14 件OpenAI が公開した 1750 億パラメータの言語モデル。前年の GPT-2(15億パラメータ)から100倍以上の規模拡張で、文章生成・要約・翻訳・コード生成を含む多様なタスクを少数例の Prompt から処理できる「Few-shot」能力を示した。研究コミュニティの議論を大規模言語モデルの「スケーリング則」へ集中させ、AI 投資の方向性を一変させた。
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- OpenAI
OpenAI (Wikimedia Commons) · Public domain (below threshold of originality) · Commons ↗ OpenAI が ChatGPT を一般公開。GPT-3.5 を対話用にチューニングし、無償で誰でもブラウザから使える形にしたサービスで、公開後5日で100万ユーザ、2ヶ月で1億ユーザに到達した(消費者向けインターネットサービスの最速記録)。生成AIという概念を専門研究の文脈から一般の家庭・学校・職場へ一夜にして移行させ、Google・Meta・Anthropic・Microsoft の方針転換を引き起こす起点となった。
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- OpenAI
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Hstoops / Microsoft (Wikimedia Commons) · Public domain (below threshold of originality; trademark applies) · Commons ↗ Microsoft が GPT-4 ベースのチャット機能を Bing 検索に統合した「New Bing」を発表。同時期に Microsoft 365 への Copilot 展開計画も公表され、検索・生産性ソフトウェアの主戦場に LLM が一気に持ち込まれた。ChatGPT 公開からわずか2ヶ月後の発表で、業界全体が「LLM をどう自社製品に統合するか」へと方針転換する号砲となった。Google は翌日に Bard を発表し追随。
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- Microsoft · OpenAI
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Anthropic (Wikimedia Commons) · Public domain (below threshold of originality) · Commons ↗ 2021年に OpenAI から離脱した Dario Amodei・Daniela Amodei 兄妹らが設立した Anthropic が、対話型 LLM Claude を一般公開。同日に OpenAI も GPT-4 を発表する「同日対決」となった。Anthropic は Constitutional AI など独自の安全性手法を強調し、生成AI の二大競合体制が定着。Google が2023年に4億ドル、Amazon が2023-2024年に最大40億ドル投資し、AI 業界の覇権争いに最も大規模な対抗軸として成長した。
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- Anthropic · OpenAI
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- IT全史 ── 計算機が世界を編み変える
OpenAI が GPT-4 を発表。画像入力に対応する初の主要 LLM で、米国の司法試験や AP 試験で受験者上位の成績を示した。パラメータ数・学習データ・アーキテクチャの詳細は非公開とされ、「公開と研究」という GPT-3 までの建前から、商業的に閉ざされた研究機関への OpenAI の転身を象徴する世代となった。
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- OpenAI

Christopher P. Michel (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ 「AI のゴッドファーザー」と呼ばれる Geoffrey Hinton が、AI の危険性について Google の利益を気にせず発言できるようにするため、10 年務めた Google を退社したことを New York Times のインタビューで公表。「自分の人生の仕事の一部を後悔している」「AGI までの距離が30〜50年と思っていたが、もうそうは思わない」と述べ、誤情報の氾濫・雇用喪失・自律兵器化のリスクを警告した。AlexNet(2012)でディープラーニング革命を起こした本人による異例の警鐘として、AI 規制論議を国際的に加速させた。
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- ジェフリー・ヒントン
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Adam Schultz / The White House (Wikimedia Commons) · Public domain (PD-USGov-POTUS) · Commons ↗ 米国の Joe Biden 大統領が「Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of AI」と題する大統領令(Executive Order 14110)に署名。学習用計算量が一定規模を超えるモデルの政府への報告義務、AI 安全評価のための NIST 主導の基準策定、移民・住宅・刑事司法などにおける AI 差別の防止など、米国として最も包括的な AI 規制の枠組みを示した。2025年1月に Trump 政権がこの大統領令を撤回することになる。
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Steve Jennings / TechCrunch (Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons ↗ 11月17日、OpenAI 取締役会が Sam Altman を CEO 職から解任。理由は「取締役会との意思疎通において一貫した率直さを欠いた」とされ、AI 安全派と加速派の対立、 Altman の手法への疑問が背景にあった。社員770名のうち約700名が抗議の辞任を表明し、 Microsoft が Altman を引き受ける構えを見せた結果、わずか5日後の11月22日に Altman は CEO に復帰。安全派の取締役は退任し、新取締役会には Bret Taylor(議長)、Larry Summers、Adam D'Angelo が就任。AI 業界の意思決定構造そのものに揺さぶりをかけた事件として記録される。
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- OpenAI · Microsoft
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European Parliament / Laia Ros (Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons ↗ 欧州議会が AI Act を 523対46 で採択。AI システムを「許容できないリスク」「高リスク」「限定リスク」「最小リスク」の4段階に分類し、社会信用スコアリングや無差別な顔認証など一部を全面禁止、医療・採用・司法などの高リスク AI には厳格な義務を課す。汎用AI(GPAI)モデルにも透明性と著作権遵守を要求。5月21日に EU 理事会が正式承認、8月1日に発効。世界初の包括的 AI 規制として「Brussels Effect」の典型例となり、各国の AI 法整備の参照点になった。
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Electronic Frontier Foundation (Wikimedia Commons) · CC BY 3.0 · Commons ↗ 1月10日、OpenAI が使用ポリシーから「軍事および戦争」の禁止条項を削除し、国防系利用への扉を開いた。同年11月、Anthropic は Palantir、AWS と提携し、米国の情報・国防コミュニティ(インテリジェンス・コミュニティ)に Claude を提供すると発表。生成 AI が「シリコンバレーの平和的なツール」という建前を脱ぎ、国家安全保障の重要装備として再定義された一連の動き。同年、米国防総省と OpenAI の協業も公表され、軍産との結合は不可逆な段階に入った。
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- OpenAI · Anthropic
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Jay Dixit (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ 10月8日、ノーベル物理学賞が John Hopfield(Hopfield ネットワーク)と Geoffrey Hinton(Boltzmann マシン、深層学習)に授与される。翌9日、ノーベル化学賞は David Baker(タンパク質設計)と Demis Hassabis・John Jumper(DeepMind の AlphaFold2 によるタンパク質構造予測)に。同じ週に物理・化学の両基礎科学賞が AI 研究に与えられた前例のない出来事で、機械学習が独立した科学分野として認知された節目となった。Hinton 自身が「AlphaFold は私の研究の延長線上にある」と言及。
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DeepSeek (Wikimedia Commons) · MIT License · Commons ↗ 中国の AI 企業 DeepSeek が、OpenAI o1 に匹敵する推論性能を持つオープン重みモデル DeepSeek-R1 を MIT ライセンスで公開。報告された学習コストが極めて低く(数百万ドル規模)、米国の輸出規制下にある旧型 NVIDIA H800 で訓練したとされたことが市場に衝撃を与えた。1月27日、NVIDIA 株は一日で約17%下落、時価総額約5890億ドルを失う米国株式市場史上最大の単日下落となる。アメリカ独占とされた最先端 LLM の構図が、低コスト・オープン重み・中国製の組合せで揺らいだ事件。
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Daniel Torok / The White House (Wikimedia Commons) · Public domain (PD-USGov-POTUS) · Commons ↗ 1月20日、第二期 Trump 政権が発足、初日のうちに Biden の AI 大統領令(EO 14110)を撤回。AI 開発の自由化と「米国優位」を掲げる路線へ転換した。翌21日、ホワイトハウスで OpenAI・Oracle・SoftBank が共同設立する AI インフラ合弁「Stargate Project」が発表され、4年で最大5000億ドルをデータセンター・電力・チップに投資する計画が公表された。23日には「AI のリーダーシップ」を主題とした新大統領令が署名され、規制緩和と国家戦略としての AI 推進が公式化。米中対立の構図の中で、AI を国家インフラとして位置づける流れが鮮明化した。
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- IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · クラウドコンピューティングの歴史
Apple が独自に展開する生成AIスイート「Apple Intelligence」を全面に押し出した世代。要約・書き換え・画像生成・Siri 強化を、可能な限りオンデバイスで実行する設計が特徴で、必要な場合のみ Apple 専用のサーバ(Private Cloud Compute)に処理を委ねる。AIの主導権を OpenAI や Google に渡さないための、ハードウェアと OS の共設計だった。
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