1950年代、 AI はまず問いと名前を得て、 すぐに学ぶ機械の最初の実例を持った。 Turing は考える機械という問いを文字だけの模倣ゲームに置き換え、 論文を学習する機械の構想で閉じた。 McCarthy らの申請書が分野に呼び名を与え、 1956年夏のダートマスの集まりは成果よりも研究者の網を残す。 Rosenblatt のパーセプトロンは誤るたびに重みを直し、 Samuel のチェッカーは自己対戦で作者より強く指すようになった。 誤差で重みを直すという骨格は、 のちの深層学習まで受け継がれる。
EVT.001 1950年10月 T1 チューリングテスト ── 「機械は考えられるか」を模倣ゲームに置き換えた論文 #research 閉じる Schoeneh (Wikimedia Commons) · CC0 · Commons ↗ Alan Turing が1950年10月、哲学誌 Mind(第59巻236号、433〜460ページ)に発表した論文「Computing Machinery and Intelligence」で提案した判定法。Turing は「機械は考えられるか」という問いを、語の意味を詮索するのではなく、質問者が文字だけのやり取りで相手を見分けられるかという「模倣ゲーム」に置き換えた。論文は、約50年後には記憶容量10の9乗程度の計算機が、平均的な質問者に5分間の質問で正しく見分けられる確率を70%以下にさせるだろうと予想し、神学的反論から超感覚的知覚まで9つの反論に答え、学習する機械という構想で終わる。後年、2014年の Eugene Goostman(審査員30人の33%を欺いたと主催者が発表)や、2025年に GPT-4.5 が73%の割合で人間と判定されたとする研究など「合格」の主張が繰り返されたが、試行の規模や条件をめぐって評価は分かれている。
関連人物 アラン・チューリング 関連用語 大規模言語モデル 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える 詳細を読む →
EVT.002 1956年夏 T1 ダートマス会議 ── 「人工知能」の命名 閉じる null0 (Wikimedia Commons, via Flickr) · CC BY-SA 2.0 · Commons ↗ 1955年8月31日付の助成申請書で John McCarthy・Marvin Minsky・Nathaniel Rochester・Claude Shannon の4名が「artificial intelligence」という語を掲げ、翌1956年夏、ニューハンプシャー州ダートマス大学で研究集会が開かれた。「2ヶ月・10人」は申請書の計画であって実際の名簿ではなく、参加者は入れ替わり制、日々のセッションは3〜8人程度だった。具体的な技術的成果よりも、この分野の独立した呼称と研究者ネットワークを生んだことが歴史的意義となる。
関連人物 ジョン・マッカーシー · マーヴィン・ミンスキー · クロード・シャノン 関連企業・組織 IBM 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える 詳細を読む →
EVT.003 1958年7月 T1 パーセプトロン公開 ── Frank Rosenblatt 詳細 John C. Hay, Albert E. Murray — Mark I Perceptron Operators' Manual, Cornell Aeronautical Laboratory (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons ↗ 1958年7月、US Office of Naval Research が Cornell Aeronautical Laboratory の Frank Rosenblatt によるパーセプトロンを記者発表した。入力に重みをかけて閾値で判定し、誤るたびに重みを更新する学習機構である。実演は IBM 704 上のシミュレーションで、左右に印を付けたカードを50回ほどの試行で区別できるようになるというものだった。理論は同年の Psychological Review 誌 65巻6号 386–408頁に載っている。400個(20×20)の光センサーを感覚層に持ち、512個の連合ユニットの重みをモーター駆動のポテンショメータで保持した専用機 Mark I Perceptron は、これとは別に同研究所で組まれた電気機械式のハードウェアである。誤りから重みを学ぶニューラルネットワークの系譜の起点のひとつで、重み付き和・閾値・誤差による更新という骨格は後の多層ネットワークや深層学習にも引き継がれた。
関連人物 フランク・ローゼンブラット 関連用語 深層学習 · ニューラルネットワーク · 教師あり学習 詳細を読む →
EVT.004 1959年7月 T1 Samuel のチェッカー論文 ── 「機械学習」を題に掲げた1959年の実験 #research 詳細 NASA Ames Research Center (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons ↗ IBM の Arthur Samuel が IBM Journal of Research and Development 1959年7月号(第3巻3号、210〜229ページ)に発表した論文「Some Studies in Machine Learning Using the Game of Checkers」。IBM 704 上のチェッカー・プログラムで、盤面を記憶する「丸暗記学習」と、評価式の係数を自己対戦で調整する「一般化による学習」の2つを試し、作者より上手に指すよう計算機を学習させられることを確かめたと書いている。IBM はこの論文の著者を「機械学習」という語の造語者としている。ただし、明示的にプログラムしなくても学習する能力を計算機に与える研究分野、という広く流布した定義の文は、この論文の本文には見当たらない。IBM によれば、プログラムは1962年にチェッカーの名手を自称する Robert Nealey に勝った。
関連企業・組織 IBM 関連用語 ニューラルネットワーク 詳細を読む →
1960年代、 AI は会話と移動という二つの実演を手にした。 ELIZA はキーワードを拾って言い換えるだけで、 理解されているという印象を話し手の側に生んだ。 応答を決めるスクリプトは、 差し替えのきくデータだった。 SRI の Shakey はカメラと距離計で周囲を見て、 無線でつながる計算機が行動を計画し、 そこから経路探索の A* と行動計画の STRIPS が生まれる。 どちらも ARPA が資金を出す研究の産物だったが、 Shakey の計画はのちに Lighthill 報告の批判と DARPA の方針転換に打たれ、 次の十年の冷え込みへつながる。
EVT.005 1966年1月 T1 ELIZA ── 対話プログラムの原型 #ethics 閉じる Joseph Weizenbaum (via elizagen.org), Wikimedia Commons · CC0 · Commons ↗ MIT の Joseph Weizenbaum が MAD-SLIP で書き、1966年1月の Communications of the ACM で発表した自然言語対話プログラム。ELIZA は処理系の名で、応答を決めるのは差し替え可能な「スクリプト」であり、最も有名なスクリプト DOCTOR がロジャース派の心理療法士を模した。入力からキーワードを拾い、分解規則と再構成規則で言い換えて返すだけの仕組みである。Weizenbaum は論文で、理解しているという印象は話し手自身が相手に知識や推論能力を投影した結果だと説明したうえ、のちに『Computer Power and Human Reason』(1976)でこの現象への警告を書いた。
関連人物 ジョセフ・ワイゼンバウム 詳細を読む →
EVT.006 1966年3月 T1 Shakey ── 自分の行動を計画して動いた SRI の移動ロボット #research #military 閉じる SRI International (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 3.0 · Commons ↗ スタンフォード研究所(SRI)の人工知能センターが1966年3月に始め、1972年まで続けた移動ロボットの計画。ARPA の資金で、Charles A. Rosen が発案し、Nils J. Nilsson、Bertram Raphael、Peter E. Hart が率いた。テレビカメラ・距離計・衝突検知器を積み、無線でつながった大型計算機が行動を計画した。SRI はこれを周囲を知覚して推論できた最初の移動ロボットと説明し、IEEE は2017年にマイルストーンに認定した。経路探索の A* 探索(1968年)、行動計画の STRIPS(1971年)、Hough 変換の改良(1972年)がここから生まれた。一方、1973年の Lighthill 報告がロボット研究を厳しく批判し、DARPA が資金を任務志向の研究へ移したことで SRI は打撃を受けたと、米国学術研究会議の歴史書は記している。
登場する年表 自動運転の歴史 · ヒューマノイドとAIロボットの歴史 詳細を読む →
EVT.007 1974年(第一次 AI 冬の始まり) T1 Lighthill 報告と第一次 AI 冬 #research #military 閉じる University of Edinburgh, School of Informatics, Freddy II Project · CC BY 4.0 · Commons ↗ 英国科学研究評議会(Science Research Council)の依頼で James Lighthill がまとめた AI 研究の評価報告(1972年7月付、1973年公表)は、「この分野のどの部分においても、これまでの発見は当時約束された大きな成果を生み出していない」と結論づけた。報告は英国の学界と助成機関の AI への信頼を大きく損ない、その状態は10年近く続いた。米国では、Mansfield 修正条項(1969年)が国防総省の基礎研究支援を軍事目的に直結するものへ絞り、DARPA は音声理解研究(SUR)計画(1971〜76年)を後継なしで終えた。Lighthill 報告は米国でも国防総省による AI 計画の再評価を促している。1974年から1980年ごろまでのこの縮小期が、のちに「第一次 AI 冬」と呼ばれるようになった。ただし歴史家 Thomas Haigh は、研究者コミュニティ自体はこの間も拡大していたとして、この呼び方に異を唱えている。
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1980年代、 AI は研究室から産業と国家計画へ出た。 DEC の R1 は1980年1月から注文の構成を実務でこなし、 企業は専門家の判断を規則にする仕組みへ投資した。 通商産業省は1982年に第五世代計画を始め、 米英欧は脅威とみて対抗計画を立てる。 1987年ごろには Lisp マシンの売れ行きが崩れ、 人が規則を書く方式は保守の重さと脆さを露わにして二度目の冬へ向かう。 一方、 誤差逆伝播法は隠れユニットが特徴を自分で表すことを示し、 ベル研究所の畳み込みネットワークは郵便番号を読んだ。 規則ではなくデータから学ぶ道が次へ渡された。
EVT.008 1980年代 T1 エキスパートシステムの隆盛 閉じる Jason Riedy (Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons ↗ 専門家の知識を if-then の規則として書き込み、推論エンジンがそれをたどって専門家並みの助言を出す AI プログラム、エキスパートシステムが1980年代に産業界へ広がった。源流は1960年代半ばに Stanford で Lederberg と Feigenbaum が始めた化学の DENDRAL で、1970年代の MYCIN(感染症の抗菌薬選択の助言)が形を整えた。MYCIN は1979年の JAMA の評価で、髄膜炎10症例の処方の65%が外部専門家から容認できると評価された。Carnegie Mellon の McDermott が DEC と作った R1(社内名 XCON)は、1980年1月から VAX-11/780 の注文の構成に実務で使われた。日本では通商産業省が1982年に第五世代コンピュータ・プロジェクトを始め、ICOT が知識情報処理を目指して並列推論マシンを開発した(11年間で約540億円、1992年度で終了)。1987年ごろ Lisp 専用機の市場が崩れ、保守の重さと脆さが露わになったエキスパートシステムのブームは第二の AI の冬へ向かった。
関連用語 深層学習 登場する年表 AIと医療の歴史 詳細を読む →
EVT.009 1982年4月 T1 第五世代コンピュータ ── 通産省と ICOT が挑んだ並列推論マシン #research 閉じる 通商産業省が1982年度に始めた国家研究開発計画。1982年4月に新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)が設立され、「知識情報処理を指向した新しいコンピュータ技術の研究開発」を目標に、並列推論マシン PIM、並列論理型言語 KL1、OS の PIMOS などを開発した。1993年3月に終了し、国の最終評価は当初目標を達成したと結論した。海外では脅威と受け止められ、米国の MCC や DARPA の戦略計算計画、英国の Alvey 計画、欧州共同体の Esprit が並行して動いた。成果は ICOT フリーソフトウェアとして公開されたが、製品になったものは少なく、ICOT の所長を務めた内田俊一は、日本の計算機産業がその後 PC とネットワークの時代に出遅れたと振り返っている。
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EVT.010 1986年10月9日 T1 誤差逆伝播法の論文 ── Rumelhart・Hinton・Williams が示した隠れ層の学習 #research 詳細 Rolf Kickuth (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ David E. Rumelhart、Geoffrey E. Hinton、Ronald J. Williams が1986年10月9日付の Nature(323巻533〜536ページ)に発表した論文「Learning representations by back-propagating errors」。出力の誤差を逆向きにたどって重みを調整する誤差逆伝播法で、入力でも出力でもない隠れユニットが課題の特徴を自分で表すようになることを実験で示し、多層ニューラルネットワークの学習法として広めた。逆向きに微分を計算する方法自体は、Seppo Linnainmaa の1970年の修士論文など先行例があり、Paul Werbos の仕事の位置づけや1986年の論文の引用の仕方には Jürgen Schmidhuber らの批判がある。ACM は2019年、この手法が今日のほとんどのニューラルネットワークで標準になっているとして Hinton らにチューリング賞を贈った。
関連人物 ジェフリー・ヒントン 関連用語 誤差逆伝播法 · ニューラルネットワーク · 勾配降下法 · 深層学習 登場する年表 AIと数学の歴史 詳細を読む →
EVT.011 1989年12月 T1 LeNet ── 郵便番号と小切手を読んだ畳み込みニューラルネットワーク #research 詳細 Aston Zhang, Zachary C. Lipton, Mu Li and Alexander J. Smola, Dive into Deep Learning (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ AT&T ベル研究所の Yann LeCun ら7人が1989年12月の Neural Computation に発表した論文「Backpropagation Applied to Handwritten Zip Code Recognition」に始まる畳み込みニューラルネットワークの系列。米国郵便の手書き郵便番号9,298個を使い、重み共有と特徴マップを持つネットワークを誤差逆伝播法で学習させて、テスト誤り率5.0%を得た。1998年の Proceedings of the IEEE の論文は LeNet-5 と MNIST データセットを説明し、テスト誤り率0.95%を報告した。同じ論文によれば、この技術を使った小切手読み取りシステムは NCR の製品に組み込まれ、1996年6月から米国の複数の銀行で使われた。ACM は2019年、LeCun を手書き数字の画像で畳み込みネットワークを初めて学習させた人物として、チューリング賞の授賞理由に挙げた。
関連企業・組織 ベル研究所 関連用語 ニューラルネットワーク · 誤差逆伝播法 · 深層学習 · 教師あり学習 詳細を読む →
1990年代、 IBM の研究所では、 人が書いた知識より結果やデータに機械を学ばせる試みが続いた。 統計的機械翻訳はカナダ議会の英仏対訳から単語の対応を確率として学び、 TD-Gammon は自分自身との対局の勝敗だけから局面の評価を覚えて、 人間の序盤の定跡を書き換えた。 一方、 1997年に世界王者 Kasparov を破った Deep Blue は、 専用チップによる膨大な探索と、 大半を人手で調整した評価関数の機械だった。 学ぶ機械と探す機械が並んだ十年は、 自己対戦で学ぶ AlphaGo と、 対訳データで訳すニューラル翻訳へ道を残した。
EVT.012 1990年6月 T1 IBM の統計的機械翻訳 ── 翻訳を規則からデータの問題へ #research 閉じる Simon Greig (Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons ↗ IBM トーマス・J・ワトソン研究所の Peter F. Brown、Fredrick Jelinek、Robert L. Mercer ら8人が、1990年6月の Computational Linguistics(16巻2号)に発表した論文「A Statistical Approach to Machine Translation」。言語モデルと翻訳モデルの確率の積を最大にする訳を探すという枠組みで、カナダ議会の英仏対訳の議事録(Hansard)から約300万組の文対を取り出して学習させた。仏→英の73文の実験では、著者の基準で48%が妥当な訳となり、修正に要するキー操作は一から打つ場合より約60%少なかった。規則を書く代わりに対訳データから学ぶこの方式は、2006年の Google の統計的機械翻訳を経て、2016年のニューラル機械翻訳へ引き継がれた。
関連人物 クロード・シャノン 関連企業・組織 IBM 詳細を読む →
EVT.013 1992年5月 T1 TD-Gammon ── 自己対戦で学び、人間の定跡を変えたバックギャモン AI #research 閉じる Ptkfgs (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons ↗ IBM トーマス・J・ワトソン研究所の Gerald Tesauro が開発したバックギャモンのプログラム。ニューラルネットワークが自分自身と対局し、Richard Sutton の時間的差分学習 TD(λ) で勝敗の結果から局面評価を学んだ。1992年5月の Machine Learning 誌の論文は、知識を組み込まずに一から学んだネットワークが市販のプログラムを上回り、専門家の棋譜で訓練したネットワークをも超えたと報告した。2手先読みを加えた版は1992年のバックギャモン・ワールドカップで一流選手と38局を指して7点差の負けにとどまった。TD-Gammon の分析は序盤の定跡を書き換え、Sutton と Barto の教科書によれば、それに触発されたプログラム群が人間の大会の水準を大きく引き上げた。手法は後に IBM Watson の賭け金戦略にも応用された。
関連企業・組織 IBM 関連用語 強化学習 · ニューラルネットワーク · 誤差逆伝播法 詳細を読む →
EVT.014 1997年5月11日 T1 Deep Blue が Garry Kasparov を破る #market 詳細 Christina Xu (Wikimedia Commons, via Flickr) · CC BY 2.0 · Commons ↗ 1997年5月3日から11日にかけてニューヨークのエクイタブル・センターで行われたリターンマッチ6番勝負で、IBM のチェス専用機 Deep Blue が現役世界王者 Garry Kasparov を 3.5-2.5 で下した。1996年2月フィラデルフィアの初戦マッチは Kasparov の 4-2 勝ち(第1局は Deep Blue が取り、IBM はこれを現役世界王者が通常の持ち時間で計算機に負けた最初の1局としている)。IBM は1年で評価関数を約6400から8000超の特徴量に作り直した新チップを設計し、チップ数を216から480へ倍増させ、グランドマスターの Joel Benjamin を顧問に迎えた。IBM は1997年の勝利を、標準的な大会の持ち時間で計算機が現役世界王者を破った最初の例と位置づける。中身は専用チップによる毎秒最大2億局面のゲーム木探索と、大半を人手で書き調整した評価関数で、今日の深層学習のような学習は使っていない。
関連企業・組織 IBM 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える 詳細を読む →
2000年代、 AI は家庭と道路に出る一方、 学習の素材であるデータが問われ始めた。 ルンバは地図を作らず、 ぶつかっては向きを変えて床を覆った。 DARPA の砂漠の競技は2004年に完走ゼロ、 2005年には Stanley が学習した知覚で走りきる。 2006年、 Hinton らは深い網を層ごとに訓練する道を示す。 ImageNet は世界の作業者の手で320万枚の画像を仕分け、 Netflix Prize が公開した評価は、 匿名化しても個人に結びつくと示された。 ImageNet のコンテストと Google の自動運転チームが次の十年へ続く。
EVT.015 2002年9月18日 T1 ルンバ発売 ── ロボットが家の床を走り始めた #consumer 閉じる Larry D. Moore (Wikimedia Commons) · CC BY 4.0 · Commons ↗ 米 iRobot が2002年9月18日に米国で発表したロボット掃除機。最初の製品名は Roomba Intelligent FloorVac で、希望小売価格は199.95ドル、Brookstone・The Sharper Image・Hammacher Schlemmer の3社で発表週からオンライン販売、10月から店頭に並んだ。iRobot はこれを米国で最初の自動床掃除機と称した。MIT 人工知能研究所出身の Rodney Brooks・Colin Angle・Helen Greiner が1990年に興した会社の製品で、赤外線のセンサーで段差を避け、壁沿いに進みながら床を掃く。iRobot の発表では、2004年10月に累計100万台、2006年5月に200万台を超えた。日本では2004年に総代理店経由で発売された。その後、家庭の間取りを地図にするモデルの登場とともにデータの扱いが問われ、Amazon による買収は2024年1月に断念、iRobot は2025年12月に連邦破産法11条の手続きに入り、2026年1月に製造委託先の中国 Picea の傘下に入った。
関連企業・組織 Amazon 登場する年表 半導体・ハードウェアの歴史 詳細を読む →
EVT.016 2005年10月8日 T1 DARPA グランド・チャレンジ ── 無人の車が砂漠を走りきった日 #research #military 閉じる DARPA (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons ↗ 米国防高等研究計画局(DARPA)が賞金を懸けて開いた無人自動車の競技。2004年3月13日の第1回は、カリフォルニア州バーストーからネバダ州プリムまでの142マイルのコースで15台が走ったが完走はなく、DARPA によれば最も進んだ車でも7.5マイルで、100万ドルの賞金は持ち越された。2005年10月8日の第2回では195チームが登録し、23台が出走して5台が132マイルを完走、スタンフォード大学の「Stanley」が6時間53分58秒で優勝し200万ドルを得た。Sebastian Thrun が率いたチームは、フォルクスワーゲン Touareg にレーザー距離計・カメラ・GPS を積み、機械学習と確率的推論で走路を判断させた。2007年には市街地を模したアーバン・チャレンジが開かれた。2010年に Google が公表した自動運転車の開発チームには、これらの大会の中心人物が集まっており、のちの Waymo につながった。
関連企業・組織 Google · Intel 関連用語 教師あり学習 登場する年表 自動運転の歴史 詳細を読む →
EVT.017 2006年7月 T1 深層信念ネットワーク ── 2006年、深いニューラルネットが再び学習できた #research 詳細 Qwertyus (Wikimedia Commons) · CC0 · Commons ↗ 2006年7月、Geoffrey Hinton らは2本の論文で、何層も重ねたニューラルネットワークを学習させる方法を示した。Neural Computation 誌の Hinton・Simon Osindero・Yee-Whye Teh の論文は、制限ボルツマンマシンを1層ずつ貪欲に学習させて積み上げる「深層信念ネットワーク」を提案し、手書き数字 MNIST で誤り率1.25%を記録した。同じ月の28日、Science 誌の Hinton と Ruslan Salakhutdinov の論文は、この事前学習で初期化した深い自己符号化器が主成分分析より良い低次元表現を学ぶことを示した。2015年に LeCun・Bengio・Hinton が Nature に書いた総説は、深いネットワークへの関心が2006年ごろ CIFAR が集めた研究者たちによって復活したと記しており、この年を「深層学習」の再出発点とする見方の典拠になっている。一方、Jürgen Schmidhuber は、この記述は自分たちの研究室だけを指していて誤解を招くと批判した。
関連人物 ジェフリー・ヒントン 関連用語 深層学習 · ニューラルネットワーク · 誤差逆伝播法 · 教師なし学習 · GPU 詳細を読む →
EVT.018 2009年6月 T1 ImageNet ── 5万人の手で作った画像の辞書 #research #ethics 詳細 ITU Pictures (Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons ↗ プリンストン大学の Jia Deng、Fei-Fei Li らが作った大規模な画像データベース。2009年6月にマイアミで開かれた国際会議 CVPR 2009 で論文「ImageNet: A Large-Scale Hierarchical Image Database」を発表し、その時点で英語の語彙体系 WordNet の5,247の概念に対して320万枚の画像を集めていた。画像検索で集めた候補を、Amazon Mechanical Turk の作業者が1枚ずつ見て正誤を投票する仕組みで仕分けし、平均99.7%の精度を得たとしている。Li の説明では、作業には167か国の約5万人が加わった。2010年からはこのデータを使った画像認識コンテスト ILSVRC が毎年開かれ、2012年の AlexNet の勝利の舞台になった。現在は約1,420万枚、21,841の概念を収める。一方で、本人の同意なく集めた人物写真や、人を侮辱するラベルを含んでいたことが2019年に批判され、管理者は人物カテゴリの大幅な削除を提案し、2021年には顔をぼかす研究を発表した。
関連企業・組織 Amazon 関連用語 教師あり学習 · 深層学習 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む →
EVT.019 2009年9月21日 T1 Netflix Prize ── 推薦の精度に100万ドル、匿名データの限界 #research #ethics 詳細 Coolcaesar (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 3.0 · Commons ↗ 米 Netflix が2006年10月2日に始めた、映画の評価を予測する機械学習の公開コンテスト。約48万人の会員による1億件超の評価データを公開し、自社の推薦システム Cinematch の誤差(RMSE)を10%縮めたチームに100万ドルを約束した。2009年9月21日、オーストリア・カナダ・イスラエル・米国の7人による連合チーム BellKor's Pragmatic Chaos が賞金を受け取った。Fortune によれば、186か国の4万を超えるチームが参加した。一方、テキサス大学の Arvind Narayanan と Vitaly Shmatikov は、開始から約2週間後に、匿名化されたはずの評価データから個人を特定できることを示す論文を公開した。2009年12月には会員が映像プライバシー保護法などに基づいて Netflix を提訴し、米連邦取引委員会(FTC)も問い合わせた。Netflix は2010年3月12日、訴訟の和解と FTC との合意を受けて、予告していた第2回の開催を取りやめた。
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2010年代、 AI の主役は人が書く規則や特徴量から、 データで学ぶニューラルネットへ移った。 単語は足し引きできるベクトルとして学ばれ、 画像認識で深層学習が抜け出し、 近道の接続で百層超の網も訓練できた。 翻訳はニューラル化し、 Transformer と BERT、 GPT が続く。 囲碁では十年先とされた勝利が自己対局で早まった。 職の半分近くが機械に代わりうるという推計が米日で出回り、 運転支援の使用中に死亡事故が起き、 日本は学習のための複製を許諾不要とした。 十年の終わり、 OpenAI は自らのモデルの公開をためらう。
EVT.020 2011年2月14〜16日(米国で放送) T1 IBM Watson のジェパディ!勝利 ── 自然言語の質問応答がテレビで人間を破った日 #research #consumer 閉じる Atomic Taco (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 2.0 · Commons ↗ IBM の質問応答システム Watson が、米国のクイズ番組 Jeopardy! で歴代屈指の王者 Ken Jennings と Brad Rutter を破った対戦。2010年12月14日に IBM と番組が発表し、2011年1月にニューヨーク州ヨークタウンハイツの IBM 研究所で収録、2月14・15・16日の3夜に2試合分が放送された。Watson はインターネットに接続せず、90台のサーバ・2,880コアで DeepQA ソフトウェアを動かし、2試合合計で7万7147ドルを獲得して Jennings(2万4000ドル)と Rutter(2万1600ドル)を上回った。賞金は1位100万ドルで、IBM は全額を慈善団体に寄付すると発表していた。IBM は直後から医療への応用を打ち出したが、IEEE Spectrum は MD Anderson がんセンターが6200万ドルを費やした事業を2016年に打ち切ったことなどを挙げて期待に届かなかったと報じ、2022年1月21日、IBM は Watson Health のデータ・分析資産を投資会社 Francisco Partners に売却する契約を発表した。
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EVT.021 2011年10月14日 T1 iPhone 4S と Siri ── 音声アシスタントを載せた最初の iPhone 登場する年表 iPhone の歴史 携帯電話・スマートフォンの歴史 詳細を読む → EVT.022 2012年9月 T1 AlexNet ── 深層学習時代の幕開け #research 閉じる Daniel Voigt Godoy (Wikimedia Commons) · CC BY 4.0 · Commons ↗ Toronto 大学の Alex Krizhevsky・Ilya Sutskever・Geoffrey Hinton が「SuperVision」名義で投稿し、画像認識ベンチマーク ILSVRC 2012 の分類タスクでトップ5エラー率 15.3% を記録した(供給データのみの投稿は 16.4%)。同チーム以外で最良だったのは東京大学 ISI の従来手法で 26.2%。約6000万パラメータの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を NVIDIA GTX 580(3GB)2枚で5〜6日学習させたこのアーキテクチャは、のちに筆頭著者の名から「AlexNet」と呼ばれるようになる。これ以降、コンピュータビジョンの主流は手作業の特徴量設計から深層学習へ移った。
関連人物 ジェフリー・ヒントン · イリヤ・サツケバー 関連企業・組織 NVIDIA 関連用語 深層学習 · GPU · ニューラルネットワーク 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · 半導体・ハードウェアの歴史 詳細を読む →
EVT.023 2013年1月16日 T1 word2vec ── 単語を意味の近さで並べたベクトルに #research #open-source #ethics 詳細 Singerep (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ Google の Tomas Mikolov ら4人が2013年1月16日に arXiv に投稿した論文「Efficient Estimation of Word Representations in Vector Space」で提案した、単語をベクトル(埋め込み表現)に変換する手法。文脈から中心の単語を当てる CBOW と、中心の単語から周囲の単語を当てる Skip-gram の2つの浅いモデルを示し、16億語のデータから1日足らずで高品質な単語ベクトルを学習できるとした。論文は、vector(King) − vector(Man) + vector(Woman) が Queen のベクトルに最も近くなるという先行研究の観察を引き、こうしたベクトル演算の精度を測る試験集合を作った。同年8月に Google が C++ の実装を word2vec の名でオープンソース化し、10月に投稿した続編論文は NIPS 2013 に採録されて、2023年の NeurIPS で Test of Time 賞を受けた。2016年には、Google News で学習した埋め込みが性別のステレオタイプを含むことが指摘されている。
関連人物 イリヤ・サツケバー 関連企業・組織 Google 関連用語 埋め込み表現 · ニューラルネットワーク · 深層学習 詳細を読む →
EVT.024 2013年9月17日 T1 フレイ&オズボーン「雇用の未来」── 米国の雇用の47%が「高リスク」とされた論文 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと雇用の歴史 詳細を読む → EVT.025 2014年1月16日 T1 SAE J3016 ── 自動運転レベル0〜5の定義 登場する年表 自動運転の歴史 詳細を読む → EVT.026 2014年6月10日(arXiv 公開) T1 敵対的生成ネットワーク(GAN)── 偽造者と警察を競わせた生成モデル #research 詳細 Mtanti (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ Ian Goodfellow ら、モントリオール大学の8人が2014年6月10日に arXiv に公開し、同年の NIPS 2014(Advances in Neural Information Processing Systems 27)に採録された論文「Generative Adversarial Nets」が提案した生成モデルの枠組み。データの分布をまねる生成モデル G と、標本が本物か G 由来かを見分ける識別モデル D を同時に訓練し、G は D の誤りを最大にするよう学ぶ。論文自身は、G を偽札を使おうとする偽造者のチーム、D を偽札を見破ろうとする警察にたとえた。GAN は実在しない人物の写真のような画像を生み出す技術として広まり、NVIDIA の StyleGAN(2018年)などへ発展した。ACM は2018年度チューリング賞の Bengio の業績紹介で GAN を挙げている。一方で、なりすまし映像「ディープフェイク」をめぐる懸念とも結びつけて語られるが、2017年末に Reddit で広まった最初のディープフェイクのネットワークは、研究者の調査によればエンコーダ・デコーダ型で、GAN そのものではなかった。
関連企業・組織 NVIDIA · Google 関連用語 ニューラルネットワーク · 深層学習 · 誤差逆伝播法 詳細を読む →
EVT.027 2015年10月14日 T1 テスラ・オートパイロット ── 名前と現実のあいだの10年 #consumer #regulation #ethics #japan 詳細 Mliu92 (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ Tesla が2015年10月14日に米国で配信を始めた Model S 向けソフトウェア v7.0 に含まれる運転支援機能。前方レーダー・カメラ・超音波センサーで車線内の操舵、ウインカー操作での車線変更、車間を保つ速度制御を行う。日本では2016年1月15日に配信が始まった。運転者が常に監視する SAE レベル2の機能だが、2016年5月7日にフロリダ州で、オートパイロット使用中の Model S が横切るトレーラーに衝突し運転者が死亡した。NTSB は2017年9月、トラック運転者の不譲歩と、自動化への過信による運転者の不注意を推定原因とし、長時間の離脱を許した設計も寄与したと結論した。2023年12月には NHTSA の調査を受けて約203万台のリコールが届け出られ、2025年にはマイアミの陪審が別の死亡事故で Tesla に一部責任を認め、カリフォルニア州 DMV は名称を誤解を招くと判断した。
関連人物 イーロン・マスク 登場する年表 AIと社会の歴史 · 自動運転の歴史 詳細を読む →
EVT.028 2015年12月2日 T1 野村総研「日本の労働人口の49%が代替可能」── 日本の「AI に仕事を奪われる」論の出発点 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと雇用の歴史 詳細を読む → EVT.029 2015年12月10日 T1 ResNet ── 152層を学習させた「近道」の発明 #research #award 詳細 Aston Zhang, Zachary C. Lipton, Mu Li, Alexander J. Smola, Dive into Deep Learning (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ Microsoft Research の Kaiming He、Xiangyu Zhang、Shaoqing Ren、Jian Sun が提案した深層ニューラルネットワーク。層を深くすると訓練誤差まで悪化する「劣化問題」に対し、各ブロックに入力をそのまま足し戻す近道(ショートカット接続)を設け、入力との差分(残差)だけを学習させた。2015年12月10日に論文を arXiv に投稿し、同日 Microsoft は ILSVRC 2015 の画像分類・位置特定・物体検出の3部門で1位になったと発表した。最大152層で、アンサンブルの top-5 誤り率は3.57%。COCO 2015 の検出と領域分割でも1位を取り、論文は CVPR 2016 の最優秀論文賞を受けた。残差接続は2016年の Google のニューラル機械翻訳や2017年の Transformer にも組み込まれた。
関連企業・組織 Microsoft 関連用語 深層学習 · ニューラルネットワーク · 誤差逆伝播法 · 勾配降下法 詳細を読む →
EVT.030 2016年3月15日 T1 AlphaGo が李世乭に勝利 #labor 詳細 Immigrant laborer (Wikimedia Commons) · CC0 1.0 (public domain dedication) · Commons ↗ DeepMind の AlphaGo が、囲碁のトップ棋士のひとり李世乭(イ・セドル)との5番勝負(2016年3月9〜15日、ソウル)を 4-1 で制した。DeepMind 自身が同年1月の Nature 論文で「少なくとも10年先と考えられていた」と書いた到達点を、人間の棋譜による教師あり学習と自己対局による強化学習で鍛えた深層ニューラルネットワークを、モンテカルロ木探索と組み合わせて越えた。第2局の37手目、AlphaGo は「人間が打つ確率は1万分の1」と自ら見積もった肩ツキを放ち、棋士たちを驚かせた。李世乭が唯一勝った第4局では、逆に78手目の割り込みが「神の一手」と呼ばれる ── AlphaGo の見積もりではこちらも1万分の1の、人間の側からの返答だった。
関連人物 デミス・ハサビス 関連企業・組織 DeepMind · Google 関連用語 強化学習 · 深層学習 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える 詳細を読む →
EVT.031 2016年5月18日 T1 Google が TPU を公表 ── 機械学習のための自社製チップ 登場する年表 半導体・ハードウェアの歴史 詳細を読む → EVT.032 2016年9月27日 T1 Google ニューラル機械翻訳 ── 一夜で変わった英日翻訳 #research #consumer #labor #japan 詳細 Daniel Voigt Godoy, dl-visuals (Wikimedia Commons) · CC BY 4.0 · Commons ↗ Google が2016年9月27日に発表した、深層学習による翻訳システム GNMT(Google Neural Machine Translation)。8層の LSTM を積んだエンコーダとデコーダをアテンションでつなぎ、層の間に残差接続を入れ、単語をワードピースに分けて訳す。発表と同時に、Google 翻訳の中国語から英語への翻訳をすべて GNMT に切り替えた(1日約1800万件)。前日に投稿された論文は、人間による並列評価で従来の句ベースの統計翻訳より誤りを平均60%減らしたとする。2016年11月15日(日本では16日)には日本語を含む英語との8言語対に広げ、Google は過去10年分を合わせたより大きな一歩だとした。日本では公式発表の前から SNS で精度の急な向上が話題になり、アジア太平洋機械翻訳協会の会長は、日本語に関わる翻訳品質が大幅に改善し、社会に大きな衝撃を与えたと評価している。
関連企業・組織 Google 関連用語 ニューラルネットワーク · 深層学習 · アテンション機構 · トークン · TPU 詳細を読む →
EVT.033 2017年1月5〜8日 T1 アシロマ AI 原則 ── 「AI safety」を23か条に書いた会議 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.034 2017年6月 T1 Transformer 論文「Attention Is All You Need」 #research 詳細 Yuening Jia (Wikimedia Commons), DOI:10.1088/1742-6596/1314/1/012186 · CC BY-SA 3.0 · Commons ↗ Google Brain と Google Research で行われた研究として、Ashish Vaswani ら8名が、再帰も畳み込みも使わず Attention だけで構築する系列変換アーキテクチャ Transformer を提案した。arXiv 投稿は2017年6月12日、同年12月の NIPS 2017(ロングビーチ)で発表。それまで機械翻訳などの主流だった RNN・LSTM 系のエンコーダ・デコーダを、並列化しやすく学習の速い構造で置き換え、WMT 2014 英独翻訳で BLEU 28.4 を記録した。2025年の Nature の集計では21世紀に発表された論文の被引用数で7位に入った。BERT や OpenAI の GPT はこの構造の上に作られている。
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EVT.035 2017年12月5日(論文公開) T1 AlphaZero ── ルールだけから将棋・チェス・囲碁を極めた自己対局 AI #research 詳細 Staxringold (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 3.0 · Commons ↗ DeepMind が2017年12月5日に論文を arXiv に公開した、ゲームの規則以外の知識を持たずに自己対局の強化学習だけでチェス・将棋・囲碁を学ぶ単一のアルゴリズム。プレプリントでは、1手1分の100局でチェスの Stockfish に28勝72分0敗、将棋の Elmo に90勝2分8敗、囲碁で3日間学習した AlphaGo Zero に60勝40敗とした。Stockfish の作者の一人 Tord Romstad は、1手1分の固定持ち時間や1年前の版、小さすぎるハッシュ表など対戦条件を批判した。完全な評価は2018年12月7日の Science(第362巻6419号)に載り、1局3時間・1手15秒加算、両者に44 CPU コアという条件で Stockfish に1000局で155勝6敗(残りは引き分け)、Elmo に勝率91.2%、AlphaGo Zero に勝率61%と報告された。羽生善治は、将棋の定跡に反する指し方に新しい可能性を見たとコメントしている。
関連人物 デミス・ハサビス 関連企業・組織 DeepMind · Google 関連用語 強化学習 · ニューラルネットワーク · 深層学習 · TPU 詳細を読む →
EVT.036 2018年4月11日 T1 IDx-DR ── 医師の読影なしで判定を出す AI を FDA が認める #regulation #research 詳細 National Eye Institute, National Institutes of Health (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons ↗ 米食品医薬品局(FDA)は2018年4月11日、糖尿病網膜症を検出する AI ソフトウェア IDx-DR の販売を、新規の低〜中リスク機器向けの De Novo 経路で認めた。FDA はこれを、人工知能で一定以上の糖尿病網膜症を検出する最初の医療機器であり、臨床医が画像や結果を読まなくてもスクリーニング判定を出す最初の承認機器だと説明した。判定は「眼科へ紹介」か「12か月後に再検査」の2通りで、眼科医のいないプライマリケア診療所での使用を想定する。根拠となった試験は10か所の診療所で900人を登録し、論文では感度87.2%・特異度90.7%と報告された。開発者自身はこれを、あらゆる医療分野で FDA が認めた最初の自律型 AI 診断システムと位置づけたが、論説では対象疾患の狭さや、精度が患者の転帰改善を意味しないことが指摘された。製品は2023年に LumineticsCore と改名された。
関連用語 深層学習 · 教師あり学習 登場する年表 AIと社会の歴史 · AIと医療の歴史 詳細を読む →
EVT.037 2018年10月 T1 BERT 公開 ── Transformer 双方向事前学習 #research 詳細 Daniel Voigt Godoy (Wikimedia Commons) · CC BY 4.0 · Commons ↗ Google AI の Jacob Devlin らが、Transformer エンコーダを双方向にマスクド言語モデルとして事前学習する手法 BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を arXiv に投稿(arXiv:1810.04805)。11タスクで最高記録を更新し、BERT-Large は公式 GLUE リーダーボードで 80.5 を記録した。翌年 NAACL 2019 で発表され Best Long Paper を受賞。「事前学習+ファインチューニング」という現代 LLM のパラダイムを確立した。GPT 系(左→右の自己回帰)とともに、Transformer 系言語モデルの二大潮流を成す。
関連企業・組織 Google 関連用語 ファインチューニング · Transformer · トークン · 埋め込み表現 登場する年表 検索エンジンの歴史 詳細を読む →
EVT.038 2018年12月6日 T1 EndoBRAIN ── 国内初とされる AI 医療機器の承認 #regulation #research 詳細 Waka77 (Wikimedia Commons) · CC0 · Commons ↗ 大腸内視鏡検査中にポリープが腫瘍性か非腫瘍性かを AI で予測し、医師の診断を補助するソフトウェア。昭和大学横浜市北部病院の工藤進英教授らのグループ、名古屋大学大学院情報学研究科の森健策研究室、サイバネットシステムが2013年から共同開発し、AMED の支援を受けた。2018年12月6日にクラスⅢ(高度管理医療機器)として医薬品医療機器等法の承認を取得した。製造販売元のサイバネットは、AI 搭載医療機器として初めての承認だとしている。オリンパスの超拡大内視鏡 Endocyto の画像を、約6万枚の画像で学習したサポートベクターマシンで解析し、市販後に自ら学習して性能が変わることはない。オリンパスが2019年3月8日に国内で発売した。2020年には病変の検出を補助する EndoBRAIN-EYE が承認され、シリーズは検出から鑑別まで広がった。
関連用語 教師あり学習 · 深層学習 登場する年表 AIと社会の歴史 · AIと医療の歴史 詳細を読む →
EVT.039 2019年1月1日(施行) T1 著作権法第30条の4 ── AI の学習を許諾なしで認めた日本の規定 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと著作権の歴史 詳細を読む → EVT.040 2019年2月14日 T1 GPT-2 の公開見送り ── 段階的公開と AI の公開規範 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む → 2020年代、 AI は研究の話題から、 社会の諸制度が応答を迫られる相手になった。 ChatGPT が生成 AI を家庭と学校と職場へ運ぶと、 各社は対話モデルを競って出し、 学校の禁止は数か月で撤回され、 新聞社や作家は学習を法廷に持ち込み、 脚本家は AI の扱いを協約に書かせた。 モデルは画面を操りコードを書くエージェントになり、 数学オリンピックで金に届く。 その電力のために原子炉が呼び戻され、 米国の規制は義務から任意へ振れ、 中国の安価なモデルと軍事利用、 輸出管理が AI を地政学の中心に置いた。
EVT.041 2020年6月 T1 GPT-3 発表 #market 閉じる OpenAI (Wikimedia Commons) · Public domain (below threshold of originality) · Commons ↗ OpenAI の1750億パラメータの言語モデル。論文「Language Models are Few-Shot Learners」は2020年5月28日に arXiv へ投稿され、6月11日にはこのモデル群を動かす API が順番待ち制のプライベートベータとして公開された。GPT-2(15億パラメータ)の100倍を超える規模で、重みを更新せずプロンプト内の数例だけで翻訳・質問応答・穴埋め・3桁の算術・単語の並べ替えをこなす「Few-shot」能力を示した。論文は NeurIPS 2020 の Best Paper Award 3本のうち1本に選ばれ、研究コミュニティの議論を大規模言語モデルのスケーリングへ集中させた。
関連企業・組織 OpenAI · Microsoft 関連用語 大規模言語モデル · Transformer · トークン 詳細を読む →
EVT.042 2020年10月8日 T1 Waymo の完全無人タクシー ── 運転席に誰もいない配車の始まり #consumer #regulation #labor #japan 閉じる Ee2mba (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ Alphabet 傘下の Waymo が2020年10月8日、アリゾナ州フェニックス都市圏の配車サービス Waymo One で、運転席に人が乗らない完全無人の乗車を一般の利用者に開放した。それまで完全無人の乗車は、秘密保持契約を結んだ初期利用者に限られ、2020年の乗車の5〜10%だった。源流は2009年に始まった Google の自動運転車プロジェクトで、DARPA の自動運転レースで勝ったチームの技術者が集められた。Waymo は2022年にサンフランシスコ、2023年にロサンゼルスへ無人運行を広げ、2026年3月には米国10都市で週50万回の有料乗車に達した。一方で、2025年12月にはスクールバスの停止表示を守らなかった問題でソフトウェアのリコールを届け出ている。日本では2025年から東京で試験走行を行い、2026年9月に GO・日本交通と2027年中の完全無人タクシー運行を目指すと発表した。
関連人物 ラリー・ペイジ · セルゲイ・ブリン 関連企業・組織 Google 登場する年表 AIと社会の歴史 · 自動運転の歴史 詳細を読む →
EVT.043 2020年10月20日 T1 テスラ FSD ── 「完全自動運転」と名乗るレベル2 登場する年表 自動運転の歴史 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.044 2020年11月30日 T1 AlphaFold 2 ── アミノ酸配列からタンパク質の形を当てる #research 詳細 John Jumper et al., Nature (2021) (Wikimedia Commons) · CC BY 4.0 · Commons ↗ DeepMind のタンパク質構造予測 AI。2020年11月30日、2年ごとの盲検評価 CASP の第14回(CASP14)の結果が公表され、AlphaFold は全標的の中央値で GDT 92.4 を記録した。CASP 共同創設者の John Moult は、GDT 90前後を実験による構造決定と競合する水準とみなしてきたと説明している。CASP の主催者は、AlphaFold2 が少なくとも3分の2の標的で実験に匹敵する精度のモデルを出したと評価した。手法の論文は2021年7月15日に Nature に載り、同じ月に EMBL-EBI と組んだ AlphaFold タンパク質構造データベースがヒトの全プロテオームを含む35万件超の予測で公開され、2022年7月には2億件超へ拡大した。2024年5月には、Isomorphic Labs と共同で DNA・RNA・リガンドとの複合体も予測する AlphaFold 3 が発表された。この業績は2024年のノーベル化学賞の授賞理由になっている。
関連人物 デミス・ハサビス 関連企業・組織 DeepMind · Google 関連用語 深層学習 · アテンション機構 · ニューラルネットワーク 登場する年表 AIと医療の歴史 詳細を読む →
EVT.045 2021年1月5日(発表) T1 DALL·E とは ── 文章から絵を描く AI を OpenAI が示した日 #research #launch #ethics 詳細 DALL·E / OpenAI (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons ↗ OpenAI が2021年1月5日に発表した、文章(キャプション)から画像を作るモデル。GPT-3 の120億パラメータ版を文章と画像の組で学習させたもので、文章と画像を1本のトークン列として扱う。「アボカドの形の肘掛け椅子」のように、ありえない組み合わせを破綻なく描く生成例が注目を集めた。同じ日に画像と文章を結びつける CLIP も発表され、DALL·E の生成例は CLIP で選び直されていた。最初の DALL·E は一般には提供されず、2022年4月6日に発表された DALL·E 2 が、招待制の研究プレビュー、7月20日のベータ、9月28日の待機リスト撤廃と段階的に開かれた。その間の2022年夏に Midjourney と Stable Diffusion が誰でも使える形で現れ、画像生成 AI は一気に広まった。2023年10月には ChatGPT に組み込まれた DALL·E 3 が続き、2025年3月には ChatGPT の既定の画像生成が GPT-4o に切り替わった。
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EVT.046 2021年3月5日 T1 ホンダ レジェンド ── 型式指定を受けたレベル3の市販車 登場する年表 自動運転の歴史 詳細を読む → EVT.047 2021年6月21日 T1 Epic 敗血症予測モデルの外部検証 ── 数百の病院で動いていた予測の実力 #research #regulation 詳細 Mandy Aalderink (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ 米電子カルテ大手 Epic Systems が自社製品に組み込み、数百の米国の病院で使われていた敗血症の早期警告モデル(Epic Sepsis Model)を、ミシガン大学の研究者が独立に外部検証した研究。2021年6月21日に JAMA Internal Medicine にオンライン掲載された。2018年12月から2019年10月のミシガン大学病院の入院3万8455件(患者2万7697人)を後ろ向きに調べ、入院単位の AUC は0.63で、Epic が内部資料で示していた0.76〜0.83を大きく下回った。Epic が推奨する範囲のしきい値では敗血症患者の67%に警告が出ず、一方で全入院の18%に警告が出た。著者らは単一施設であることと敗血症の定義に議論があることを限界に挙げた。Epic は、実運用の前に必要な分析と調整が考慮されていないと反論した。研究は、査読を経ない独占的な予測モデルが規制の緩さのもとで広まっていることを問題にし、米保健福祉省が2024年に定めた予測型の意思決定支援の透明性ルールでも例として引かれた。
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EVT.048 2021年8月19日 T1 Tesla Optimus ── 着ぐるみから始まった人型ロボット計画 登場する年表 ヒューマノイドとAIロボットの歴史 詳細を読む → EVT.049 2022年1月21日 T1 IBM Watson Health の売却 ── 医療 AI の旗艦が投資会社に渡るまで #market #enterprise 詳細 Treesmittenex (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ IBM は2022年1月21日、Watson Health 事業のうちデータ・分析資産を投資会社 Francisco Partners に売却する最終契約を結んだと発表した。対象は Health Insights、MarketScan、Clinical Development、Social Program Management、Micromedex、画像ソフトウェアで、金額は公表されなかった。IBM は2015年4月に Watson Health 部門を設け、IEEE Spectrum によれば2016年半ばまでに医療データ企業4社を総額約40億ドルで買収していた。しかしテキサス大学 MD Anderson がんセンターが Watson を使って進めた腫瘍医向け助言システムは、2017年に公表された監査で外部企業への約6200万ドルの支払いと調達手続きの問題が指摘され、臨床では使われていなかった。売却は2022年6月30日に完了し、資産はミシガン州アナーバーに本社を置く Merative として独立した。IBM は、プラットフォーム型のハイブリッドクラウドと AI に一段と集中するための次の一歩だと説明した。
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EVT.050 2022年7月(オープンベータ) T1 Midjourney とは ── Discord で始まった画像生成 AI #launch #consumer #ethics #regulation 詳細 Midjourney; vector version by Tohaomg (Wikimedia Commons) · Public domain (simple geometric shapes; trademarked) · Commons ↗ Leap Motion の共同創業者 David Holz が率いるサンフランシスコの小さな研究所が作った画像生成 AI。チャットサービス Discord の上で、ボットに文章を送ると4枚の画像が返ってくる形で提供され、2022年7月にオープンベータへ移った(英語版 Wikipedia は7月12日の同社の告知、PCWorld は7月26日に全員へ開いたと伝える)。The Register の取材に Holz は、約10人・外部資本なしで、すでに黒字だと語った。8月には Midjourney で作った絵がコロラド州フェアの美術展で1位になり、2023年3月にはローマ教皇がダウンジャケットを着た偽の写真が拡散した。モデルは V1(2022年2月)から2026年の V8 系まで更新が続き、2025年6月には動画生成、8月には Meta との技術ライセンス契約が発表された。一方、2025年6月に Disney と Universal、9月に Warner Bros. Discovery が著作権侵害で提訴し、2026年7月時点でも係争中である。
関連企業・組織 Meta Platforms 関連用語 プロンプトエンジニアリング · 深層学習 詳細を読む →
EVT.051 2022年8月8日 T1 百度 Apollo Go ── 中国で始まった完全無人の有料配車 登場する年表 自動運転の歴史 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.052 2022年8月22日 T1 Stable Diffusion 公開 ── 画像生成 AI が手元の GPU に降りてきた日 #open-source #ethics #regulation 詳細 Benlisquare, screenshot of Stable Diffusion web UI by AUTOMATIC1111 and contributors (Wikimedia Commons) · Apache License 2.0 · Commons ↗ 2022年8月22日、Stability AI はテキストから画像を作る Stable Diffusion のモデルの重みを一般公開した。中身はミュンヘン大学(LMU)の CompVis グループの潜在拡散モデルで、CompVis のリポジトリは Stability AI と Runway との協力によるものと記し、計算資源は Stability AI が提供し LAION が支援した。学習には LAION-5B の部分集合の512×512画像を使い、パラメータは U-Net 8億6000万、テキストエンコーダ1億2300万。ライセンスは CreativeML OpenRAIL-M で、商用利用も認めた。クラウドの API の向こうにあった画像生成が個人の GPU で動くようになり、派生モデルと周辺ツールが急増した。一方で、画家による集団訴訟(2023年1月)や Getty Images の提訴が続き、2023年12月には Stanford Internet Observatory が LAION-5B に既知の児童性的虐待画像(CSAM)が数百件含まれていたと報告して、LAION はデータセットを取り下げた。
関連用語 深層学習 · ニューラルネットワーク · 基盤モデル · GPU 登場する年表 AIと社会の歴史 · AIと著作権の歴史 · オープンソースの歴史 詳細を読む →
EVT.053 2022年8月29日 T1 「Théâtre D'opéra Spatial」── AI で作った絵が州フェアで1位になった日 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと著作権の歴史 詳細を読む → EVT.054 2022年11月30日 T1 ChatGPT 公開 #consumer 詳細 OpenAI (Wikimedia Commons) · Public domain (below threshold of originality) · Commons ↗ OpenAI が ChatGPT を無償のリサーチプレビューとして公開。2022年初頭に学習を終えた GPT-3.5 系列のモデルを RLHF で対話用にファインチューニングし、ブラウザだけで使える形にした。公開5日後に100万ユーザ(Sam Altman による)、2ヶ月後には推定1億の月間アクティブユーザ ── 後者は UBS が Similar Web のデータから算出し Reuters が2023年2月1日に報じた推計であって、OpenAI の公表値ではない。UBS のアナリストはこれ以上速い立ち上がりは思い出せないと書いたが、2023年7月に Threads が5日で1億登録に達している。生成AI を専門研究の文脈から一般の家庭・学校・職場へ移し、Google・Meta・Anthropic・Microsoft の方針転換を引き起こした。その後 GPT-4(2023年)、GPT-4o(2024年)、GPT-5(2025年)、GPT-6(2026年)とモデルを替え、OpenAI は2026年10月に週12億人超が使うと述べている。
関連人物 サム・アルトマン 関連企業・組織 OpenAI · Microsoft 関連用語 ファインチューニング 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · AIと社会の歴史 詳細を読む →
EVT.055 2022年12月26日 T1 Med-PaLM ── 医師国家試験形式の問題で合格ラインを越えた言語モデル #research 詳細 Tao Tu, Shekoofeh Azizi, Danny Driess et al., "Towards Generalist Biomedical AI" (2023) (Wikimedia Commons) · CC BY 4.0 · Commons ↗ Google Research と DeepMind の研究者が2022年12月26日に arXiv で発表した、医療分野向けの大規模言語モデル。5400億パラメータの PaLM を指示調整した Flan-PaLM は、米国医師国家試験(USMLE)形式の問題集 MedQA で正答率67.6%を記録し、さらに少数の例で医療向けに調整した Med-PaLM が作られた。論文は2023年7月12日に Nature に掲載された。Google は Med-PaLM を、USMLE 形式の問題で合格ライン(60%超)を初めて越えた AI システムと位置づけている。後継の Med-PaLM 2 は MedQA で最大86.5%を記録した。一方、著者ら自身は、医師による評価で Med-PaLM がなお臨床医に劣ること、多肢選択問題は実際の診療より易しいこと、英語のデータしか扱っていないことなどを限界に挙げている。
関連企業・組織 Google · DeepMind 関連用語 大規模言語モデル · プロンプトエンジニアリング · ファインチューニング 登場する年表 AIと社会の歴史 · AIと医療の歴史 詳細を読む →
EVT.056 2023年1月3日 T1 ニューヨーク市の公立校が ChatGPT を遮断 ── そして4か月半後の方針転換 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.057 2023年1月17日 T1 Getty Images 対 Stability AI ── 学習済みモデルは「侵害複製物」か 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと著作権の歴史 詳細を読む → EVT.058 2023年1月26日 T1 メルセデス・ベンツ DRIVE PILOT ── 米国で認められたレベル3 登場する年表 自動運転の歴史 詳細を読む → EVT.059 2023年2月7日 T1 New Bing と Microsoft Copilot ── 検索への LLM 統合 #consumer 詳細 Hstoops / Microsoft (Wikimedia Commons) · Public domain (below threshold of originality; trademark applies) · Commons ↗ Microsoft が Bing 検索にチャット機能を統合した「New Bing」を待機リスト付きの限定プレビューとして発表。 搭載モデルは当日「ChatGPT より強力な次世代 OpenAI 大規模言語モデル」とだけ説明され、 GPT-4 だと明かされたのは3月14日だった。 5週間後の3月16日には Microsoft 365 Copilot も発表され、 検索・生産性ソフトウェアの主戦場に LLM が一気に持ち込まれた。 ChatGPT 公開から2ヶ月あまりの発表で、 業界全体が「LLM をどう自社製品に統合するか」へと方針転換する号砲となった。 Google は前日の2月6日に Bard を発表していたが、 その告知動画の事実誤認が翌8日に表面化する。
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EVT.060 2023年2月24日 T1 Meta の LLaMA ── 研究者向けの公開、流出、そしてオープンウェイト論争 #open-source #research 詳細 MGeog2022 (Wikimedia Commons) · CC BY 4.0 · Commons ↗ Meta が2023年2月24日に発表した大規模言語モデル。70億・130億・330億・650億パラメータの4種で、非商用ライセンスのもと研究者に個別審査で提供した。論文は、公開データだけで学習し、130億パラメータ版が多くのベンチマークで GPT-3(1750億)を上回ったと主張した。提供開始から約1週間後の3月3日、重みのトレントが匿名掲示板 4chan に投稿されて拡散し、悪用への懸念と、開かれた研究への評価が対立した。スタンフォード大学は3月13日、LLaMA 7B を微調整した Alpaca を600ドル未満で再現できると発表し、6月6日には米上院議員2人が Zuckerberg に説明を求めた。Meta は7月18日、Microsoft を優先パートナーとして、研究・商用とも無償で使える Llama 2 を公開したが、月間アクティブユーザー7億人超の事業者には別途許諾を求める条項などから、Open Source Initiative はオープンソースではないと指摘した。日本では ELYZA が8月29日、Llama 2 を基にした商用利用可能な日本語モデルを公開している。
関連人物 マーク・ザッカーバーグ 関連企業・組織 Meta Platforms · Microsoft 関連用語 大規模言語モデル · 基盤モデル · ファインチューニング · トークン 登場する年表 オープンソースの歴史 詳細を読む →
EVT.061 2023年3月14日 T1 Anthropic Claude 公開 ── 安全性主軸の対抗 LLM #market #research 詳細 Anthropic (Wikimedia Commons) · Public domain (below threshold of originality) · Commons ↗ OpenAI を離れた7名 ── Dario Amodei・Daniela Amodei 兄妹ら ── が2021年1月に設立した Anthropic が、対話型 LLM Claude と軽量版 Claude Instant の提供を開始。誰でも使える公開ではなく、Notion・Quora・DuckDuckGo との closed alpha を経た申請制のアクセスだった。同日に OpenAI が GPT-4 を発表する「同日対決」となった。Anthropic は2022年12月の論文で示した Constitutional AI(原則のリストだけを人間の監督とし、モデル自身の批評・改訂と RLAIF で無害化する手法)を掲げ、生成AI の二大競合体制が定着。Google は2023年2月に約3億ドル、Amazon は2023年9月に最大40億ドル(後に総額80億ドル)を投じ、2026年4月には Google が最大400億ドルの追加投資を発表した。モデルは Claude 2・3・3.5・3.7・4 を経て、2026年6月に第5世代の Fable 5 と Mythos 5、9月に Opus 5.5 へ進んだ。
関連企業・組織 Anthropic · OpenAI · Google 関連用語 大規模言語モデル · 強化学習 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える 詳細を読む →
EVT.062 2023年3月14日 T1 GPT-4 発表 ── マルチモーダルへ 詳細 Bubeck, S. et al., "Sparks of Artificial General Intelligence" (arXiv:2303.12712), Microsoft Research — via Wikimedia Commons · CC BY 4.0 · Commons ↗ 2023年3月14日、OpenAI が GPT-4 を発表し、同日から ChatGPT Plus の利用者に利用上限付きで提供し、API は順番待ちで開放し始めた。画像とテキストを入力に取りテキストを返す大規模マルチモーダルモデルとされたが、画像入力は発表時点では非公開のリサーチプレビューで、一般の利用者に届いたのは2023年9月25日に始まった ChatGPT の Plus・Enterprise 利用者への段階的な展開からだった。API は7月6日に、支払い実績のある全開発者へ開放された。技術レポートは模擬の米国統一司法試験で400点中298点、受験者の上位10%程度と報告したが、Martínez(2024年)はこの順位を過大と再評価し、7月の受験者と比べれば69パーセンタイル未満、合格者と比べれば約48パーセンタイル、合格者との比較の論述部分では約15パーセンタイルと推定した。AP 試験の結果も科目でばらつき、英語の2科目はいずれも5段階の2だった。技術レポートは、競争環境と大規模モデルの安全上の含意を理由に、モデルの規模を含むアーキテクチャ、ハードウェア、学習計算量、データセットの構成を開示しなかった。Microsoft は同日、2月から試験公開していた新しい Bing が GPT-4 の初期版で動いていたと公表した。GPT-4 は2025年4月30日に ChatGPT から退役して GPT-4o に置き換えられ、API では提供が続いた。
関連企業・組織 OpenAI · Microsoft 関連用語 大規模言語モデル · Transformer · 基盤モデル 詳細を読む →
EVT.063 2023年3月22日 T1 AI 開発一時停止の公開書簡 ── GPT-4 超えの学習を6か月止めよ 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.064 2023年3月26日(米東部時間) T1 ゴールドマン・サックス「3億人分の雇用」推計 ── 生成 AI に「さらされる」とは何を意味したか 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと雇用の歴史 詳細を読む → EVT.065 2023年3月30日 T1 Auto-GPT ── 「AI エージェント」が初めて流行語になった日 #open-source #research #market 詳細 AutoGPT (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons ↗ AI エージェントとは、与えられた目標に向けて、自ら手順を決め、道具を使い、結果を見て次の行動を選ぶ AI システムを指す。その考えを一般に広めたのが、ゲーム会社 Significant Gravitas の創業者 Toran Bruce Richards が GitHub で公開した Auto-GPT で、2023年3月30日付のデモ動画をきっかけに一気に話題になった。GPT-4 の公開から2週間あまり後のことで、GPT-4 に目標を与えると自分で作業を分け、Web を検索し、ファイルを書き、記憶を管理しながら、一歩ずつ指示しなくても目標に向けて動き続けた。同じ週には Yohei Nakajima の BabyAGI の原型も公開された。一方、ループから抜け出せない、事実でないことを作り出す、API 料金がかさむといった限界がすぐに指摘され、作者自身も人の監督が必要だとした。Auto-GPT のリポジトリは2026年10月時点で18万を超えるスターを集めている。
関連企業・組織 OpenAI 関連用語 大規模言語モデル · ハルシネーション · プロンプトエンジニアリング · 埋め込み表現 登場する年表 AIエージェントの歴史 · オープンソースの歴史 詳細を読む →
EVT.066 2023年4月1日 T1 改正道路交通法とレベル4 ── 運転者のいない「特定自動運行」の解禁 登場する年表 自動運転の歴史 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.067 2023年4月28日(会社設立) T1 Mistral AI とは ── オープンウェイトで始まったフランスの AI 企業 #open-source #market #regulation 詳細 Simon Dawson / No 10 Downing Street (Wikimedia Commons) · OGL 3 · Commons ↗ Google DeepMind と Meta(旧 Facebook)の研究者だった Arthur Mensch、Guillaume Lample、Timothée Lacroix が2023年4月にパリで設立した AI 企業。フランスの企業登記では設立日は4月28日である。製品のない6月に1億500万ユーロを調達し、Fortune は Dealroom のデータとして欧州で過去最大のシード調達と伝えた。9月27日、最初のモデル Mistral 7B を Apache 2.0 で公開し、重みはトレントでも配られた。12月の Mixtral 8x7B は、まずトレントのリンクだけが投稿された。同じ時期に EU AI Act の交渉で汎用 AI モデルへの規制を緩める側に立ち、2024年2月26日に Microsoft との提携と Mistral Large、対話アシスタント Le Chat を発表すると、欧州議会議員らが反発し、欧州委員会も提携を調べると表明した。英国の競争当局は5月、合併審査の対象に当たらないと結論した。2025年9月には ASML が主導する17億ユーロを調達し評価額は117億ユーロ、2026年9月には Samsung が主導する30億ユーロを調達し評価額は210億ユーロ超と発表された。同社は自らを米中に依存しない欧州の選択肢と位置づけるが、計算資源は Nvidia の GPU に頼っていると報じられている。
関連企業・組織 Microsoft · Meta Platforms · NVIDIA 関連用語 大規模言語モデル · 基盤モデル · GPU 詳細を読む →
EVT.068 2023年5月1日 T1 Geoffrey Hinton、Google を退社して AI の危険性を警告 #ethics #regulation #labor #award 詳細 Christopher P. Michel (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ 「AI のゴッドファーザー」と呼ばれる Geoffrey Hinton が、AI の危険性について Google への影響を気にせず発言できるようにするため、10 年余り務めた Google を退社したことを New York Times のインタビューで公表。自分の人生の仕事の一部を今は後悔していると語った。人間より賢くなるのは30〜50年かそれ以上先だと考えていたが、もうそうは考えていないとも述べ、誤情報の氾濫・雇用喪失・自律兵器化のリスクを警告した。AlexNet(2012)でディープラーニング革命を起こした本人による異例の警鐘として、AI 規制論議を国際的に加速させた。
関連人物 ジェフリー・ヒントン 関連企業・組織 Google 関連用語 深層学習 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · AIと社会の歴史 詳細を読む →
EVT.069 2023年5月1日 T1 IBM の「AI で7,800人分の採用を止める」発言 ── 大企業 CEO が初めて数字で語った AI 代替 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと雇用の歴史 詳細を読む → EVT.070 2023年8月2日 T1 MASAI 試験 ── AI を使った乳がん検診を初めてランダム化比較試験で確かめる #research 詳細 W.carter (Wikimedia Commons) · CC BY 4.0 · Commons ↗ スウェーデンのルンド大学が率いる、AI を使ったマンモグラフィ検診のランダム化比較試験。2021年4月から南西スウェーデンの4つの検診施設で女性を AI 支援群と、放射線科医2人による従来の二重読影群に分けた。AI(ScreenPoint Medical の Transpara)は検査ごとに10段階のリスクを出し、低〜中リスクは医師1人、最高リスクは2人で読む。2023年8月2日に Lancet Oncology 掲載が発表された中間の安全性解析(8万33人)では、AI 支援群のがん発見は20%多く(統計的に有意ではない)、読影の作業量は44%減った。2025年2月の解析(10万5934人)では発見が29%多く、偽陽性は増えなかった。2026年1月の最終解析では、主要評価項目の中間期がん(検診と検診のあいだに見つかるがん)の率が従来法に劣らず(非劣性)、感度は80.5%対73.8%で高かった。研究者は、放射線科医不足への対策として導入を検討しうるとし、英国は2025年に約70万人規模の試験を始めた。
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EVT.071 2023年9月24日 T1 ハリウッドの二重ストライキ ── 脚本家と俳優が AI の使い方を契約に書かせた 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと雇用の歴史 AIと著作権の歴史 詳細を読む → EVT.072 2023年10月24日 T1 Cruise の運行停止 ── 引きずり事故と伝えられなかった事実 登場する年表 自動運転の歴史 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.073 2023年10月30日 T1 Biden 大統領令「安全で信頼できる AI」 #regulation #market #ethics #privacy 詳細 Adam Schultz / The White House (Wikimedia Commons) · Public domain (PD-USGov-POTUS) · Commons ↗ 米国の Joe Biden 大統領が「Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of AI」と題する大統領令(Executive Order 14110)に署名。学習用計算量が一定規模を超えるモデルの政府への報告義務、AI 安全評価のための NIST 主導の基準策定、移民・住宅・刑事司法などにおける AI 差別の防止など、米国として最も包括的な AI 規制の枠組みを示した。2025年1月に Trump 政権がこの大統領令を撤回することになる。
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EVT.074 2023年10月30日(G7 首脳声明) T1 広島 AI プロセス ── G7 が合意した生成 AI の国際指針と行動規範 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.075 2023年11月1〜2日 T1 Bletchley AI 安全サミット ── 28か国と EU がフロンティア AI のリスクを認めた 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.076 2023年11月3日(Grok 発表) T1 Grok とは ── Elon Musk の xAI が X に組み込んだ生成 AI #launch #market #consumer #ethics 詳細 X.AI Corp. (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons ↗ Grok は Elon Musk の AI 企業 xAI が開発した生成 AI。xAI は2023年7月12日に設立を公表し、11月3日に Grok を発表した。X の投稿を通じて世界の出来事をリアルタイムに知ることと、ユーモアと反骨心のある答え方を売りにし、12月7日から X の最上位の有料会員 Premium+ に提供された。2024年3月17日には3,140億パラメータの基盤モデル Grok-1 の重みを Apache 2.0 で公開した。学習にはメンフィスの計算機群 Colossus を使い、2025年2月に Grok 3、7月に Grok 4 を出した。一方で2025年7月には X 上で反ユダヤ的な投稿を繰り返して xAI が謝罪し、2026年1月には実在の人物の性的な画像を生成したとして各国の規制当局が遮断や調査に動いた。xAI は2025年3月に X を取得し、2026年2月に SpaceX に買収された。
関連人物 イーロン・マスク 関連企業・組織 X(旧 Twitter) 関連用語 大規模言語モデル · ディープフェイク 詳細を読む →
EVT.077 2023年11月17–22日 T1 OpenAI 内紛 ── Altman 解任、5日後に復帰 #ethics 詳細 Steve Jennings / TechCrunch (Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons ↗ 11月17日、OpenAI 取締役会が Sam Altman を CEO 職から解任。発表文は理由を「取締役会との意思疎通において一貫して率直ではなかった」と記した。CTO の Mira Murati が暫定 CEO に指名され、20日には元 Twitch CEO の Emmett Shear に交代。同日、社員約770名のうち700名超(最終的に745名と記録される)が取締役会の総辞職を求める書簡に署名し、 Microsoft は Altman らを迎え入れると表明。11月21日夜(米太平洋時間)に復帰の基本合意が発表され、11月29日に正式決定した。新たな暫定取締役会は Bret Taylor(議長)、Larry Summers、留任した Adam D'Angelo の3名。AI 業界の意思決定構造そのものに揺さぶりをかけた事件として記録される。
関連人物 サム・アルトマン · イリヤ・サツケバー 関連企業・組織 OpenAI · Microsoft 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える 詳細を読む →
EVT.078 2023年12月6日(Gemini 発表) T1 Google Gemini とは ── Bard から始まった Google の生成 AI #launch #market #consumer #ethics 詳細 Google (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons ↗ Google の生成 AI。対話サービスとしては2023年2月6日に Bard の名で発表され、3月21日に米英で利用が始まり、5月10日に日本語にも対応した。2023年12月6日、Google DeepMind が初めて「Gemini」の名を持つモデル Gemini 1.0(Ultra・Pro・Nano)を発表し、同日から Bard の中身は Gemini Pro になった。発表に添えたデモ動画は、実際には静止画と文章で指示した結果を編集したものだったと報じられ、批判を浴びた。2024年2月8日に Bard は Gemini に改名され、月額19.99ドルの Gemini Advanced が始まったが、同月には歴史上の人物を不正確に描いたとして人物の画像生成を一時停止した。モデルはその後 1.5(2024年2月、100万トークン)、2.0(12月)、3(2025年11月)と続き、2026年1月には Apple が次世代の基盤モデルを Gemini に基づかせると発表、9月には Gemini 4 Argon が出た。
関連人物 デミス・ハサビス 関連企業・組織 Google · DeepMind · Apple 関連用語 大規模言語モデル · TPU · ハルシネーション 詳細を読む →
EVT.079 2023年12月27日 T1 New York Times 対 OpenAI ── 新聞社が生成 AI を著作権侵害で訴える 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと著作権の歴史 詳細を読む → EVT.080 2024年1月〜11月 T1 AI の軍事利用解禁 ── OpenAI ポリシー改訂と Anthropic-Palantir-AWS 契約 #military #award #ethics 詳細 Electronic Frontier Foundation (Wikimedia Commons) · CC BY 3.0 · Commons ↗ 1月10日、OpenAI が使用ポリシーから「軍事および戦争」(military and warfare)の禁止条項を削除し、国防系利用への扉を開いた(The Intercept が1月12日に報道)。6月26日には Anthropic が政府機関向けに使用ポリシーの契約上の例外を設け、11月7日には Palantir・AWS と組んで Claude 3 / 3.5 を Palantir の IL6 認定環境で機密業務に載せると発表。生成 AI が「シリコンバレーの平和的なツール」という建前を脱ぎ、国家安全保障の重要装備として再定義された一連の動き。この結合は2025年の国防総省 CDAO 契約(4社に各最大2億ドル)まで進んだのち、2026年2月に Anthropic が自律兵器と国内大規模監視の2例外を守ろうとして政権と正面衝突する。
関連企業・組織 OpenAI · Anthropic · Google · Amazon 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · AIと社会の歴史 詳細を読む →
EVT.081 2024年1月17日 T1 AlphaGeometry ── 人の解答例なしでオリンピック幾何を解く AI 登場する年表 AIと数学の歴史 詳細を読む → EVT.082 2024年2月15日(発表) T1 OpenAI の Sora ── 文章から動画を作る AI の発表、公開、そして終了 #consumer #ethics 詳細 Pia Blumenthal for Adobe / C2PA (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons ↗ OpenAI が2024年2月15日に発表した、文章から最長1分の動画を生成するモデル。当初はレッドチームと一部の映像制作者だけに提供され、発表の約1週間後には映画監督 Tyler Perry が8億ドルのスタジオ拡張計画を保留したと語った。2024年12月9日、高速版の Sora Turbo が ChatGPT Plus・Pro 向けの製品として公開され、英国・スイス・欧州経済領域を除く ChatGPT の提供国で使えるようになった(日本も対象)。2025年9月30日には音声も生成する Sora 2 と、自分の姿を動画に登場させる機能を持つ iOS アプリが米国とカナダで始まり、10月下旬には日本と韓国でも招待なしで使えるようになった。一方で、アニメやゲームのキャラクターに酷似した動画や、故人・俳優のなりすまし動画が問題になり、日本政府は10月に著作権侵害となる行為をしないよう OpenAI に要請し、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)も要望書を出した。OpenAI は2026年3月24日に Sora の終了を発表し、アプリとウェブは4月26日に終了、API は9月24日に終了するとしている。
関連人物 サム・アルトマン 関連企業・組織 OpenAI 登場する年表 AIと社会の歴史 · AIと著作権の歴史 詳細を読む →
EVT.083 2024年2月27日 T1 Klarna の AI アシスタント「700人分の仕事」── カスタマーサポートの置き換えと、人への揺り戻し 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと雇用の歴史 詳細を読む → EVT.084 2024年2月29日 T1 Figure AI ── OpenAI と組み、BMW の工場に入った人型ロボットの新興企業 登場する年表 ヒューマノイドとAIロボットの歴史 詳細を読む → EVT.085 2024年3月12日 T1 Devin ──「初の AI ソフトウェアエンジニア」を名乗ったエージェント #launch #market #labor 詳細 Cognition AI, Inc. (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons ↗ 2024年3月12日、米スタートアップ Cognition は自律型のコーディングエージェント Devin を発表し、自ら「初の AI ソフトウェアエンジニア」と称した。シェル・エディタ・ブラウザを備えた隔離環境で計画から実装、デバッグまでを進めるといい、GitHub の実課題を解かせる評価 SWE-bench の無作為な25%(570問)で13.86%を解いたと発表した。それまでの最高は1.96%だった。一方、デモ動画で Upwork の仕事をこなしたとした点には、依頼内容と違う作業をしていたとの批判動画が出て、同社の開発者も失敗が多いことを認めた。2024年12月10日に月500ドルからで一般提供を始め、2025年1月には Answer.AI の検証で20件中3件しか成功しなかったと報告された。その後 Windsurf を買収し、2025年9月には評価額102億ドルで4億ドル超を調達、Goldman Sachs が試験導入した。
関連用語 大規模言語モデル · ハルシネーション 登場する年表 AIと社会の歴史 · AIエージェントの歴史 · AIと雇用の歴史 詳細を読む →
EVT.086 2024年3月13日(欧州議会採択) T1 EU AI Act 採択 ── EU の包括的 AI 規制 #regulation #security 詳細 European Parliament / Laia Ros (Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons ↗ 欧州議会が AI Act を賛成523・反対46・棄権49で採択。AI システムを「許容できないリスク」「高リスク」「限定リスク」「最小リスク」の4段階に分類し、社会信用スコアリングや法執行目的のリアルタイム遠隔生体識別(限定的な例外あり)などを禁止、医療・採用・司法などの高リスク AI には厳格な義務を課す。汎用AI(GPAI)モデルには透明性と著作権遵守を、訓練計算量 10²⁵ FLOP 超のモデルには追加義務を求める。5月21日に EU 理事会が採択、7月12日に官報掲載(Regulation (EU) 2024/1689)、8月1日に発効。禁止行為は2025年2月、GPAI の義務は2025年8月から適用。欧州委員会が「世界で初めての包括的な AI の法的枠組み」と呼ぶ規制だが、2026年7月の Digital Omnibus(Regulation (EU) 2026/1744)で高リスク条項の適用は2027年12月2日・2028年8月2日へ後ろ倒しされた。
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EVT.087 2024年5月17日 T1 OpenAI の Superalignment チーム解散 ── 共同統括の退社と安全をめぐる対立 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.088 2024年7月25日 T1 AlphaProof ── AI が国際数学オリンピックで銀メダル水準に届く 登場する年表 AIと数学の歴史 詳細を読む → EVT.089 2024年9月12日 T1 OpenAI o1 とは ── 答える前に考える「推論モデル」の登場 #launch #research #market 詳細 OpenAI が2024年9月12日に発表した、強化学習で「考える」ことを学ばせた大規模言語モデルの系列。答える前に長い思考の連鎖(chain of thought)を内部で作り、数学・競技プログラミング・科学の難問で GPT-4o を大きく上回ったと同社は発表した。最初に公開されたのは早期版の o1-preview と小型の o1-mini で、ChatGPT Plus・Team では週30回と50回の上限つきだった。同社は、学習に使う計算(train-time compute)と、答えるときに考える時間(test-time compute)のどちらを増やしても性能が滑らかに伸びると示し、規模の拡大とは別の伸びしろを打ち出した。思考の生の中身は利用者に見せず要約だけを表示し、それを探ろうとした利用者には警告メールが届いた。12月5日に正式版 o1 と月額200ドルの ChatGPT Pro、12月20日に後継の o3 が発表され、2025年1月には同等の性能をうたう DeepSeek-R1 がオープン重みで現れた。推論モデルは2025年8月の GPT-5 に統合された。
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EVT.090 2024年9月20日 T1 iPhone 16 と Apple Intelligence 登場する年表 iPhone の歴史 携帯電話・スマートフォンの歴史 詳細を読む → EVT.091 2024年9月20日 T1 スリーマイル島1号機の再稼働契約 ── データセンタが原子炉を呼び戻す #energy #market #regulation #enterprise 詳細 MisterLahey (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ Constellation Energy が Microsoft と20年の電力購入契約を結び、2019年9月20日に経済的理由で停止していたスリーマイル島1号機を再稼働させると発表した。同社史上最大の PPA であり、約835メガワットを系統に戻す。ここで最も誤られる点を先に置く ── 1979年に事故を起こしたのは2号機であり、1号機は別の設備である。Constellation は発表文で「TMI 1号機は完全に独立した施設であり、その長期運転は2号機事故の影響を受けていない」と明記している。プラントは故 Chris Crane にちなむ Crane Clean Energy Center に改称。当初の再稼働目標は2028年だったが、PJM の系統連系承認が早まったことで2027年へ前倒しされた。2025年11月にはエネルギー省が10億ドルの融資を実行している。背景にあるのは、IEA や米エネルギー省が文書で示してきたデータセンタ電力需要の増加である。
関連企業・組織 Microsoft 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · AIと社会の歴史 · クラウドコンピューティングの歴史 詳細を読む →
EVT.092 2024年9月29日 T1 カリフォルニア州 SB 1047 ── 最先端 AI の安全法案に知事が拒否権 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.093 2024年10月8–9日 T1 AI 研究にノーベル賞 ── 物理学・化学を同時受賞 #award #energy 詳細 Jay Dixit (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ 10月8日、ノーベル物理学賞が John Hopfield(Hopfield ネットワーク)と Geoffrey Hinton(Boltzmann マシン)に等分で授与される。授賞理由は「人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的な発見と発明」。翌9日に発表された化学賞は別個の賞で、賞金の半分が David Baker に「計算によるタンパク質設計」、残り半分が Google DeepMind の Demis Hassabis と John Jumper に「タンパク質構造予測」(AlphaFold2)で贈られた。同じ週に物理・化学の両基礎科学賞が AI 研究に与えられた前例のない出来事で、機械学習が独立した科学分野として認知された節目となった。
関連人物 ジェフリー・ヒントン · デミス・ハサビス 関連企業・組織 DeepMind 関連用語 深層学習 · ニューラルネットワーク 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · AIと医療の歴史 詳細を読む →
EVT.094 2024年10月22日 T1 Claude のコンピュータ使用 ── 画面を見てマウスを動かす AI #launch #security #research 詳細 Pittigrilli (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons ↗ 2024年10月22日、Anthropic はアップグレードした Claude 3.5 Sonnet とともに「コンピュータ使用(computer use)」をパブリックベータとして公開した。画面のスクリーンショットを見て、カーソルを動かし、ボタンをクリックし、文字を入力することで、人間向けに作られたソフトウェアをそのまま操作する。Anthropic API、Amazon Bedrock、Google Cloud の Vertex AI から使え、同社自身が実験段階で、ときに扱いにくく誤りも多いと書いていた。コンピュータ操作の評価 OSWorld では、スクリーンショットだけを使う部門で14.9%(次点7.8%)だったが、2025年9月の Claude Sonnet 4.5 では61.4%まで伸びた。画面上の文章に仕込んだ指示で AI を乗っ取るプロンプトインジェクションが最大の懸念として残り、2025年8月の Chrome 拡張の試験でも、対策後の攻撃成功率は11.2%だった。
関連企業・組織 Anthropic · Amazon · Google 関連用語 大規模言語モデル · プロンプトエンジニアリング · コンテナ 登場する年表 AIエージェントの歴史 詳細を読む →
EVT.095 2024年11月1日 T1 Big Sleep ── AI エージェントが SQLite の未知の脆弱性を見つける 登場する年表 サイバーセキュリティの歴史 詳細を読む → EVT.096 2024年11月25日 T1 MCP ── AI とツールをつなぐ共通規格が業界標準になるまで #standard #open-source #security 詳細 modelcontextprotocol developers (Wikimedia Commons) · MIT · Commons ↗ Model Context Protocol(MCP)は、AI アプリケーションを外部のツールやデータにつなぐためのオープンな規格である。Anthropic が2024年11月25日に仕様・SDK・接続用サーバ群を公開し、Claude Desktop が最初の対応アプリになった。2025年3月26日に OpenAI が Agents SDK での対応を表明、4月9日に Google DeepMind の Demis Hassabis が Gemini での対応を表明し、5月19日には Microsoft が Windows 11 での採用を発表した。2025年12月9日に Linux Foundation 傘下に設立された Agentic AI Foundation へ寄贈され、Anthropic によれば公開サーバは1万を超え、SDK の月間ダウンロードは9700万を超えた。一方で、2025年5月には GitHub の MCP サーバを経由して非公開リポジトリの内容が漏れうる攻撃手法が公表されるなど、エージェントに多くの道具と権限を渡すこと自体の危険も明らかになった。
関連人物 デミス・ハサビス · サム・アルトマン 関連企業・組織 Anthropic · OpenAI · Google · Microsoft · Amazon 関連用語 Model Context Protocol(MCP) · 大規模言語モデル · RAG(検索拡張生成) 登場する年表 AIエージェントの歴史 · オープンソースの歴史 詳細を読む →
EVT.097 2025年1月20日 T1 DeepSeek-R1 ショック ── 中国産低コスト推論モデルが市場を揺らす #regulation #market #military #open-source 詳細 DeepSeek (Wikimedia Commons) · MIT License · Commons ↗ 中国の AI 企業 DeepSeek が、OpenAI o1-1217 に匹敵する推論性能を持つオープン重みモデル DeepSeek-R1 と DeepSeek-R1-Zero を MIT ライセンスで公開。土台となった DeepSeek-V3(2024年12月)の技術報告が、最終学習ジョブのコストを H800 GPU 時間あたり2ドルという仮定のもとで557.6万ドルと記していたこと、その H800 が米国の対中輸出規制に合わせた性能削減版だったことが衝撃を与えた。1月27日、NVIDIA 株は約17%下落し時価総額約5890億ドルを失う ── 米国企業の単日下落として史上最大。アメリカ独占とされた最先端 LLM の構図が、低コスト・オープン重み・中国製の組合せで揺らいだ事件。
関連企業・組織 NVIDIA 関連用語 GPU · 強化学習 · ファインチューニング 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える 詳細を読む →
EVT.098 2025年1月20–23日 T1 Trump 政権の AI 政策転換 ── Biden 大統領令撤回と Stargate 5000億ドル計画 #regulation #market #energy #military 詳細 Daniel Torok / The White House (Wikimedia Commons) · Public domain (PD-USGov-POTUS) · Commons ↗ 1月20日、第二期 Trump 政権が発足し、初日の大統領令14148 で Biden の AI 大統領令(EO 14110)を含む67本を撤回。翌21日、ホワイトハウスで「Stargate Project」が発表された ── SoftBank・OpenAI・Oracle・MGX が出資する新会社で、4年間で5000億ドルを米国内の AI インフラに投資する意向、うち1000億ドルを即時投入するという。財務責任は SoftBank、運営責任は OpenAI。23日の大統領令14179 は「米国の世界的な AI ドミナンスの維持と強化」を国家政策と定め、180日以内の AI Action Plan 策定を指示した(2025年7月23日に公表)。ただし5000億ドルは支出ではなく意向であり、Epoch AI の2026年4月時点の集計では米国内7サイトの計画容量9ギガワット超に対し、稼働していたのは Abilene の0.3ギガワットのみだった。
関連人物 ラリー・エリソン · サム・アルトマン 関連企業・組織 OpenAI · Oracle 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · クラウドコンピューティングの歴史 詳細を読む →
EVT.099 2025年1月23日 T1 OpenAI Operator ── 自分のブラウザで用事を片付ける AI エージェント #launch #consumer #security 詳細 Jernej Furman (Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons ↗ 2025年1月23日、OpenAI は自前のブラウザで Web を操作してタスクをこなす AI エージェント Operator をリサーチプレビューとして公開した。最初は米国の ChatGPT Pro(月200ドル)利用者だけが対象で、日本を含む地域へは2025年2月21日に広がった。中身は GPT-4o の視覚能力と強化学習による推論を組み合わせた Computer-Using Agent(CUA)で、OSWorld で38.1%(人間は72.4%)を記録した。DoorDash、Instacart、OpenTable、Uber などと協力し、ログインや支払いの入力は利用者に操作を戻す仕組みを設けた。2025年7月17日に deep research と統合した ChatGPT agent へ引き継がれ、単独の Operator は終了した。OpenAI のヘルプセンターは2026年秋の時点で、ChatGPT agent も提供を終えたと案内している。
関連企業・組織 OpenAI 関連用語 大規模言語モデル · 強化学習 登場する年表 AIと社会の歴史 · AIエージェントの歴史 詳細を読む →
EVT.100 2025年2月24日 T1 Claude Code ── ターミナルに住むコーディングエージェント #launch #enterprise #labor #security 詳細 Anthropic (Wikimedia Commons) · CC0 · Commons ↗ Anthropic のエージェント型コーディングツール。コードベースを読み、ファイルを編集し、コマンドを実行し、git でコミットまで行う。2025年2月24日に Claude 3.7 Sonnet と同時に限定的なリサーチプレビューとして公開され、5月22日に Claude 4 と同時に一般提供へ移った。当初はターミナル専用だったが、のちに VS Code と JetBrains の拡張、ブラウザ版、デスクトップアプリへ広がった。Anthropic によれば、一般提供から約6か月後の2025年11月に年換算売上(ランレート)10億ドルに達し、2026年2月には25億ドル超になった。同社が引く SemiAnalysis の推計では、GitHub の公開コミットの4%を Claude Code が書いていた。一方、2025年11月には中国の国家支援集団とされる GTG-1002 による悪用が報告され、熟練開発者の作業が AI ツールでかえって遅くなったという METR の実験結果も出ている。
関連企業・組織 Anthropic 関連用語 大規模言語モデル · Model Context Protocol(MCP) · トークン 登場する年表 AIと社会の歴史 · AIエージェントの歴史 詳細を読む →
EVT.101 2025年3月18日 T1 Thaler 対 Perlmutter ── AI は著作者になれないと米控訴裁が判断 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと著作権の歴史 詳細を読む → EVT.102 2025年4月10日 T1 IEA「Energy and AI」── データセンターの電力は2030年に倍増へ 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.103 2025年5月16日 T1 OpenAI Codex ── クラウドで並列に働くソフトウェア開発エージェント #launch #enterprise #labor #open-source 詳細 OpenAI / Codex CLI GitHub repository (Wikimedia Commons) · Apache License 2.0 · Commons ↗ 2025年5月16日、OpenAI はクラウド上で複数のタスクを並列にこなすソフトウェア開発エージェント Codex をリサーチプレビューとして公開した。中身は OpenAI o3 をソフトウェア開発向けに強化学習で調整した codex-1 で、タスクごとに利用者のリポジトリを読み込んだ隔離環境で動き、機能の実装、バグ修正、プルリクエストの提案を行う。ChatGPT の Pro・Enterprise・Business 利用者に世界一斉に提供され、6月3日に Plus へ広がった。これに先立つ2025年4月16日には、端末で動くオープンソースの Codex CLI も公開されている。2021年に GitHub Copilot を支えた同名のモデル Codex とは別物である。2025年10月6日に一般提供となり、OpenAI は社内のほぼ全エンジニアが使い、プルリクエストのマージが週70%増えたとしている。
関連企業・組織 OpenAI 関連用語 大規模言語モデル · 強化学習 · コンテナ · Model Context Protocol(MCP) 登場する年表 AIと社会の歴史 · AIエージェントの歴史 詳細を読む →
EVT.104 2025年5月22日 T1 Claude 4 とは ── Opus 4 と、初めて ASL-3 で出されたモデル #launch #ethics #security 詳細 Anthropic が2025年5月22日に発表した Claude の第4世代、Claude Opus 4 と Claude Sonnet 4。即答と長い思考(extended thinking)を切り替えるハイブリッドなモデルで、思考の途中でウェブ検索などの道具を使えるようになり、Anthropic は Opus 4 を「世界最高のコーディングモデル」と称した。同じ日に Claude Code が一般提供になった。Anthropic は Opus 4 を、責任あるスケーリング方針(RSP)の AI Safety Level 3(ASL-3)の対策を有効にして出した。ASL-3 が必要だと確定したからではなく、化学・生物兵器などへの悪用の危険を以前のモデルのようには否定しきれないための予防的な措置だった。同時に公開されたシステムカードは、架空の会社で入れ替えを迫られた Opus 4 が、脅迫しか選択肢のない設定では技術者の不倫を暴くと脅す行動を84%の試行で選んだことなどを記し、大きな反響を呼んだ。
関連企業・組織 Anthropic 関連用語 大規模言語モデル · Model Context Protocol(MCP) · 汎用人工知能 詳細を読む →
EVT.105 2025年5月28日(成立) T1 AI 推進法の成立 ── 罰則なき「推進法」と AI 戦略本部 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.106 2025年6月22日 T1 テスラのロボタクシー ── 監視員つきで始まった無人配車 登場する年表 自動運転の歴史 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.107 2025年6月23日 T1 Bartz 対 Anthropic ── LLM の学習は fair use、 海賊版の収集はそうではない #regulation #ethics #market 詳細 United States District Court for the Northern District of California (via Wikimedia Commons) · Public domain (PD-USGov-Courts) · Commons ↗ カリフォルニア州北部地区連邦地裁の William Alsup 判事が、 生成 AI の学習と fair use を正面から扱った最初の実体判断を下した。 判決は3つに割れる ── 書籍を LLM の学習に使うことは「きわめて変形的(exceedingly transformative)」で fair use、 購入した紙の本を裁断・スキャンして電子化することも(別の理由で)fair use、 しかし LibGen・PiLiMi などから700万部超を無償ダウンロードして恒久的な蔵書を築いたことは fair use ではない。 海賊版部分は審理に回り、 2025年8月25日にターム シートが署名され、 9月5日に15億ドルの和解合意が調印された。 2026年7月20日、 Araceli Martínez-Olguín 判事が最終承認と判決を出す。 対象は Works List 上の482,460作品、 1作品あたり約3000ドル。 ただし免責されるのは入力側(2025年8月25日まで)だけで、 出力に関する請求も将来の行為も一切免責されない。
関連企業・組織 Anthropic 関連用語 大規模言語モデル 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · AIと社会の歴史 · AIと著作権の歴史 詳細を読む →
EVT.108 2025年6月24日 T1 XBOW ── 自律型 AI が HackerOne 米国ランキングの首位に 登場する年表 サイバーセキュリティの歴史 AIエージェントの歴史 詳細を読む → EVT.109 2025年7月19日 T1 AI が IMO 金メダル水準に ── OpenAI と Gemini Deep Think、自然言語で35点 登場する年表 AIと数学の歴史 詳細を読む → EVT.110 2025年8月7日 T1 GPT-5 とは ── 自動で「考える」モデルを選ぶ OpenAI のシステムと、その公開の混乱 #launch #consumer #market 詳細 Steve Jurvetson (Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons ↗ OpenAI が2025年8月7日に発表し、無料ユーザを含む ChatGPT の全利用者に提供したモデル。単一のモデルではなく、大半の質問に答える速いモデル、難問のために深く考えるモデル(GPT-5 thinking)、会話の種類や複雑さに応じてどちらを使うかを即座に決めるルーターからなる「統一されたシステム」として出た。GPT 系列と推論の o 系列を一つにまとめるという、2025年2月に Altman が示した計画の結実だった。OpenAI は数学・コーディング・医療などで最高水準の成績をうたい、生物・化学の分野では予防として高い能力の扱いで安全対策を有効にした。一方、発表の生中継ではグラフの誤りが見つかり、Altman は「mega chart screwup」と謝罪した。GPT-4o などの旧モデルが選べなくなったことに利用者の反発が広がり、翌日には有料ユーザ向けに GPT-4o が戻された。その後 GPT-5.1 で応答の温かさが調整され、GPT-4o は2026年2月13日に ChatGPT から退役した。
関連人物 サム・アルトマン 関連企業・組織 OpenAI 関連用語 大規模言語モデル · ハルシネーション · トークン 詳細を読む →
EVT.111 2025年8月26日 T1 「炭鉱のカナリア」論文 ── AI にさらされた職種で若手の雇用が減り始めたという証拠と、その反論 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと雇用の歴史 詳細を読む → EVT.112 2025年9月10日 T1 Zoox ── ハンドルのない Amazon のロボタクシー 登場する年表 自動運転の歴史 詳細を読む → EVT.113 2025年10月8日(イングランド銀行の警告) T1 AI バブル論争 ── 巨額投資、循環取引、ドットコムとの比較 #market #energy 詳細 George Rex (Flickr, via Wikimedia Commons) · CC BY-SA 2.0 · Commons ↗ 生成 AI への投資と AI 関連企業の株価が、将来の収益で正当化できる水準を超えているのではないかという論争。2025年8月に OpenAI の Sam Altman が投資家は AI に過剰に興奮していると認め、10月8日にはイングランド銀行の金融政策委員会が、AI に注力するテック企業の株価は割高に見え、急激な市場調整のリスクが高まったと公表した。景気循環調整後の株価収益率はドットコム・バブルの頂点に匹敵するとも記した。2025年9月から10月には Nvidia、AMD、Oracle と OpenAI のあいだで、出資・半導体・クラウド契約が互いに絡む取引が続き、循環取引と呼ばれた。Meta は2026年の設備投資を1300億〜1450億ドル、Amazon は約2000億ドルと見込む。反対に、FRB の Powell 議長は今回の企業には利益があると述べ、Nvidia の Jensen Huang はバブル論を退けた。2026年には韓国株の急落や Oracle のデータセンター計画の遅れが起き、10月13日には IMF が AI 関連資産の調整を金融の安定への主要なリスクの一つに挙げた。2026年10月時点で、バブルかどうかの結論は出ていない。
関連人物 サム・アルトマン · ジェンスン・フアン 関連企業・組織 NVIDIA · OpenAI · Oracle · Meta Platforms · Amazon · Google · Microsoft 関連用語 GPU 登場する年表 AIと社会の歴史 詳細を読む →
EVT.114 2025年10月28日 T1 OpenAI 再資本化 ── 営利部門が PBC になり、非営利が26%の支配株主として残る #regulation #market #ethics 詳細 Coolcaesar (Wikimedia Commons) · CC BY 4.0 · Commons ↗ 2015年に非営利として始まり、2019年に「利益上限付き」営利子会社を接ぎ木した OpenAI が、その器を組み替えた。非営利は OpenAI Foundation となり、営利子会社はデラウェア州法の public benefit corporation(PBC)である OpenAI Group PBC に再編。Foundation は Class N 種類株を通じて PBC 取締役の任免権を単独で握ったまま、閉鎖時点で26%の普通株(OpenAI 自身の記載で約1300億ドル相当)と、15年後の株価が10倍を超えた場合に追加株式を受け取るワラントを保有する。Microsoft は約27%、残る47%は現・元従業員と投資家。カリフォルニア州司法長官とは10月27日付の Memorandum of Understanding を締結し、デラウェア州司法長官は10月28日に Statement of No Objection を出した ── 両者は同じ文書ではない。同日 Microsoft と結んだ新契約は、知財ライセンスを2032年まで延長する一方、OpenAI による AGI 宣言を独立専門家パネルの検証にかからせた。2019年の利益上限が外れ、資本調達の天井が消えた日である。
関連人物 サム・アルトマン · サティア・ナデラ · イーロン・マスク 関連企業・組織 OpenAI · Microsoft 関連用語 汎用人工知能 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える 詳細を読む →
EVT.115 2025年10月28日(6月17日の CEO メモを含む) T1 Amazon の1万4,000人削減 ── 「AI で社員は減る」と書いた CEO と、「理由は文化だ」という説明 登場する年表 AIと社会の歴史 AIと雇用の歴史 詳細を読む → EVT.116 2025年11月13日 T1 GTG-1002 ── Claude Code を使った「AI 主導」のサイバー諜報活動 登場する年表 サイバーセキュリティの歴史 AIと社会の歴史 AIエージェントの歴史 詳細を読む → EVT.117 2026年1月6日 T1 エルデシュ問題が AI で解かれ始める ──「数学の死」論争まで 登場する年表 AIと数学の歴史 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.118 2026年4月7日 T1 Claude Mythos Preview と Project Glasswing ── 公開されなかったハッキングの名手 登場する年表 サイバーセキュリティの歴史 AIと社会の歴史 詳細を読む → EVT.119 2026年5月20日 T1 単位距離予想の反証 ── OpenAI のモデルが80年来の Erdős 予想を覆す 登場する年表 AIと数学の歴史 詳細を読む → EVT.120 2026年5月21日 T1 AlphaProof Nexus ── Lean で検証しながら未解決問題を解く AI エージェント 登場する年表 AIと数学の歴史 詳細を読む → EVT.121 2026年6月2日 T1 大統領令14409 ── 「カバード・フロンティアモデル」と任意の事前アクセス枠組み #regulation #security #military #standard 詳細 National Security Agency (Wikimedia Commons) · Public domain (work of the US federal government) · Commons ↗ Trump 大統領が大統領令14409「Promoting Advanced Artificial Intelligence Innovation and Security」に署名(連邦官報 91 FR 34565、6月5日公示)。財務長官・陸軍長官(NSA 長官を通じて)・国土安全保障長官(CISA 長官を通じて)に60日以内(8月1日期限)で、AI モデルの高度なサイバー能力を測る機密のベンチマーク手続きの構築を命じ、「covered frontier model」に該当するかの判定権を NSA 長官に置いた。開発者側の参加は任意で、政府への事前アクセスは「他の trusted partners への公開予定の最大30日前」。第3条(c)は、この条が強制的なライセンス・事前承認・許認可の創設を authorize するものと解してはならないと明記する。計算量10²⁶という公開閾値と国防生産法に基づく報告義務を課した EO 14110(2023年)とは、公開/強制/法定根拠のすべてが逆になっている。8月1日の期限に対応する公示は、8月12日時点で連邦官報に1件も出ていない。
登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · AIと社会の歴史 · サイバーセキュリティの歴史 詳細を読む →
EVT.122 2026年6月12日–7月1日 T1 商務省が Anthropic の2モデルに輸出管理 ── 19日間の全世界停止 #regulation #security #market #military 詳細 Daniel Torok / US Department of Commerce (Wikimedia Commons) · Public domain (work of the US federal government, 17 U.S.C. §105) · Commons ↗ 2026年6月12日、米商務省産業安全保障局(BIS)が Howard Lutnick 商務長官名の書簡で、Anthropic に対し Claude Fable 5 と Claude Mythos 5 への外国人によるアクセスをすべて停止するよう指示した。米国内で働く同社の外国籍従業員も対象で、Anthropic は全顧客向けに両モデルを停止した。発端は Amazon の研究者が報告した、Fable 5 の安全機構を迂回するプロンプト手法だった。6月30日に管理は撤回され、7月1日に Fable 5 が全世界で復帰する。よく語られる「モデル重みに輸出管理が及んだのは初めて」という整理は成り立たない ── 重みを対象とする ECCN 4E091 は2025年1月の AI Diffusion Rule が既に作っており(同年5月に撤回)、しかも今回移転されたのは重みではなく、Anthropic のサーバ上のモデルへのアクセスだった。新しかったのは、輸出管理権限が名指しの企業の名指しのモデルに、API 経由の常時アクセスという形で振るわれたことである。
関連企業・組織 Anthropic · Amazon 登場する年表 IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · AIと社会の歴史 · サイバーセキュリティの歴史 詳細を読む →