T1#market#open-source#ethics
Android 1.0 発表と HTC Dream

メタデータ
- 日付
- 年代
- 2000s
- Tier
- T1
- 参照年表
- IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · OSの歴史 · 携帯電話・スマートフォンの歴史
- 出典数
- 09
- 関連項目
- 02
- Tags
- #market#open-source#ethics
2005年8月、BusinessWeek は Google がスタートアップの Android Inc. を「ひそかに買収した」と報じた。会社は設立から22か月で、本拠は Palo Alto。秘密主義が徹底していて、同誌が書けたのは携帯電話向けのソフトウェアを作っているということくらいだった。共同創業者の Andy Rubin は、以前にモバイル端末メーカー Danger を創業した人物である。Google のコメントは、優秀な技術者とすぐれた技術のために Android を買ったという一言だけだった。
3年後の2008年9月23日、その買収の成果がニューヨークでお披露目された。スライド式のキーボードを持つ電話機と、そのためのプログラムを書くソフトウェア開発キットである。
よく混同される三つの日付
Android の「発売」はふつう一つの日付で語られるが、実際には別々の三つの出来事であり、それぞれが固有の一次資料に記録されている。
| 日付 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2007年11月5日 | Open Handset Alliance(34社)の設立とともに Android を発表 | OHA のプレスリリース |
| 2008年9月23日 | Android 1.0 SDK 公開、T-Mobile G1(HTC Dream)お披露目 | Android Developers Blog、T-Mobile |
| 2008年10月22日 | 米国で G1 発売、2年契約で179ドル | T-Mobile |
このページは真ん中の日付を採る。プラットフォームが安定版と宣言され、最初の端末が示された日である。2007年の発表は計画の発表であり、10月の発売は製品の発売だった。9月23日は、その両方がそろった日である。
Open Handset Alliance
2007年11月の発表は、Google 単独のものではなかった。プラットフォームを支えるために34社が Open Handset Alliance を結成した。HTC、Motorola、Samsung、LG などの端末メーカー、T-Mobile、Sprint Nextel、China Mobile、KDDI、NTT ドコモなどの通信事業者、Qualcomm、Broadcom、Intel、NVIDIA、Texas Instruments などの半導体企業、そしてソフトウェア企業である。アライアンスは完全に統合されたモバイル向け「ソフトウェアスタック」をオープンソースのライセンスで公開すると約束し、端末は2008年後半に出ると見込んだ。初期の SDK は翌週に公開された。
この構造こそが戦略だった。Google は電話機を作らない。端末メーカーや通信事業者が採用し、手を加え、自社のハードウェアに載せて出荷できる OS を供給する。これは、1社がハードウェアも OS も握り、2008年7月からは App Store も握った Apple の iPhone(2007年)とは正反対の手法だった。
Android 1.0 SDK
2008年9月23日、Android Developers Blog は Android 1.0 SDK, release 1 を発表した。発表の要点は安定性にあった。1年の開発とプレビュー版を経た最初の正式な安定版であり、開発者はこれからは SDK の API を当てにしてよい、と。チームはまた、Open Handset Alliance と協力して、2008年第4四半期にプラットフォームのソースコードをオープンソースとして公開するつもりだと書いている。
内部は次の組み合わせだった。
- Linux カーネル ── Android Open Source Project は現在の Android カーネルを、上流の Linux 長期サポート(LTS)カーネルに Android 固有のパッチを加えたものと説明している。系譜は Linux そのものにさかのぼる
- Dalvik 仮想マシン ── Dalvik 実行形式(DEX)にまとめられたアプリケーションを実行した。Dalvik は後に Android Runtime(ART)に置き換えられる。ART は Android 4.4 で選択肢として導入され、Android 5.0 で標準のランタイムになった
- Google のアプリケーションとアプリストア ── ストアは当初 Android Market と呼ばれた
T-Mobile G1
最初の電話機は HTC が作り、HTC は Dream と名付け、T-Mobile は T-Mobile G1 として売った。9月23日の T-Mobile のプレスリリースは、これを「世界初の Android 搭載携帯電話」と呼んでいる。タッチスクリーンに、下から引き出すフル QWERTY キーボードと、片手で操作するためのトラックボールを組み合わせ、T-Mobile の 3G と EDGE、Wi-Fi に対応した。
リリースの多くは Google のサービスの説明に割かれている。ワンタッチの Google 検索、Gmail、YouTube、そしてストリートビュー付きの Google マップで、T-Mobile はこれが端末内蔵のコンパスと連動すると書き、業界初の機能だと称した。リリースはまた、G1 が Android Market を利用できる最初の電話機だとしている。
予約は発表当日から始まった。米国での発売は10月22日で、音声とデータの2年契約付きで179ドル。英国は11月、ドイツ、オーストリア、チェコ、オランダは2009年第1四半期とされた。
当時 Google のモバイルプラットフォーム担当シニアディレクターだった Andy Rubin は、この発表を Open Handset Alliance にとって重要な第一歩だと語っている。
1機種から市場の大半へ
G1 が登場したのは、Nokia の Symbian と BlackBerry が長く地位を築き、iPhone が発売から1年を過ぎた市場だった。1社の通信事業者が売る1機種だけでは、それ自体は大きく何かを変えたわけではない。効いたのはライセンスの形である。プラットフォームはオープンソースで、端末メーカーと通信事業者の連合に支えられていたので、どの会社でも出荷できた。
今日の数字で見ると、結果は大きく偏っている。Statcounter の2026年9月の数字では、世界のモバイル OS シェアは Android が69.17%、iOS が30.81%である。ただし指標には注意が要る。Statcounter が測っているのは、同社が追跡するウェブサイトへのモバイル端末からのページビューであって、販売台数でも稼働台数でもない。同社自身、利用状況を測るためにユニークビジターではなくページビューを基準にしていると説明している。ウェブ上の利用という尺度で、モバイルのページビューのおよそ7割が Android から来ている、ということである。
そのシェアを生んだモデル ── Google 自身の電話機で売るのではなく、他社のハードウェアに OS を供給する ── は2007年11月に示され、2008年9月23日、キーボード付きの電話機の上で完成した製品として初めて姿を見せた。
よくある質問
- Android はいつ発売されたのか
- 日付が三つあり、しばしば混同されます。プラットフォームの発表は2007年11月5日の Open Handset Alliance 設立時、Android 1.0 SDK と HTC Dream のお披露目が2008年9月23日、端末の店頭発売が2008年10月22日で2年契約179ドルでした。
- Android のシェア約7割とは何の数字か
- Statcounter の集計で、2026年9月の世界のモバイル OS シェアは Android 69.17%、iOS 30.81% です。これは同社が追跡するウェブサイトへのモバイル端末からのページビューに基づく数字で、販売台数や稼働台数ではありません。
出典
二次資料Mobile Operating System Market Share Worldwide — Statcounter GlobalStats
2026年9月: Android 69.17%、iOS 30.81%(ページビュー基準)
最終更新: