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Netscape Navigator 1.0 リリース

メタデータ
- 日付
- 年代
- 1990s
- Tier
- T1
- 参照年表
- インターネットとWebの歴史 · オープンソースの歴史
- 出典数
- 12
- 関連項目
- 02
- Tags
- #market#open-source
ネットスケープ(Netscape)は、1990年代半ばの Web を代表したブラウザ Netscape Navigator と、それを作った会社 Netscape Communications の名前である。会社を興したのは、NCSA Mosaic を作った Marc Andreessen と、Silicon Graphics の創業者 Jim Clark。ブラウザを個人には無償で配りながら商用ライセンスとサーバソフトウェアを売るという事業の組み立てと、1995年の株式上場の熱狂によって、Netscape は「インターネットで商売ができる」ことを世間に示した最初期の会社の一つになった。
創業6か月の会社が配ったベータ
1994年10月13日、カリフォルニア州マウンテンビューの会社が、新しいネットワークナビゲータをインターネットで無償配布すると発表した。対象は個人・学術・研究の利用者で、商用利用には1ユーザ99ドルからのライセンスが用意された。インターネット向けのソフトウェアは無料で配られてきたという伝統の上に立つ、と発表文は説明している。
このベータが売りにしたのは速さだった。
- 文書のストリーミング表示:ページ全体の読み込みを待たず、届いた部分から読んだり操作したりできる
- 複数の同時接続:複数の文書や画像を並行してダウンロードする
- JPEG のネイティブ対応
14.4 kbps のモデムでも快適に動くよう最適化したとし、他のブラウザの「少なくとも10倍」の性能をうたった。数字は会社自身の主張である。Windows・Macintosh・X Window System で同じ機能と画面を提供したことも、最初から強調されていた。
「Mosaic」の名を手放す
会社の最初の名前は Mosaic Communications だった。1994年11月14日、同社は社名を Netscape Communications に変えると発表する。理由として挙げたのは、独自のアイデンティティを確立すること、そしてイリノイ大学が示した懸念に応えることだった。発表文の末尾には、NCSA Mosaic がイリノイ大学の商標であると明記されている。
同じ発表は、創業チームに Andreessen のほか、NCSA Mosaic の設計と開発に深く関わった大学の元学生・職員5人がいることも記している。一方、NCSA から Mosaic の技術と商標のライセンスを受けていた Spyglass 社の開発者 Eric Sink は、Mosaic の商標を使う法的な権利を持っていたのは Spyglass の側であり、弁護士を交えたやりとりの末に改名に至ったと回想している。
1.0 と SSL ── ブラウザとサーバをセットで
1994年12月15日、Netscape は Navigator 1.0 と、Web サーバ製品群 Netsite の 1.0 を同時に出荷した。
| 製品 | 価格(1994年12月の発表) |
|---|---|
| Netscape Navigator(商用、1ユーザ) | 39ドルから |
| Netsite Communications Server | 1,495ドル |
| Netsite Commerce Server | 5,000ドル |
Navigator 1.0 は、学術・非営利の利用と試用目的なら無償でダウンロードできた。Commerce Server は RSA Data Security の技術を使った Secure Sockets Layer(SSL) を組み込み、通信を暗号化してサーバの正当性を確かめる仕組みを持っていた。Netscape はこれを「インターネットで入手できる最初のセキュアなサーバソフトウェア」と発表している。オンライン出版、金融サービス、ショッピングといった用途が、最初から想定されていた。
発表文で Andreessen は、この製品群によって "the Internet is now open for business"(インターネットはいまや商売に開かれた)と述べている。後の HTTPS につながる暗号化の仕組みが、ブラウザとサーバの両側に同時に届けられたことになる。
1995年8月9日の上場
Netscape の名を一般に広めたのは、製品よりも株価だった。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 公開株数 | 500万株 |
| 公開価格 | 28ドル |
| 初値 | 71ドル |
| 初日終値 | 58.25ドル |
| 終値での時価総額 | 約29億ドル |
| 初日の出来高 | 約1400万株 |
AP 通信は翌日、出来高は発行株数のほぼ3倍で、時価総額は Dell に迫ると報じた。同じ記事によれば、売上は創業の1994年4月から12月までで70万ドル、1995年上半期で1660万ドル。まだ黒字化していない、創業16か月の会社だった。AP は、無償ダウンロードによって同社の利用者が700万を超え、Web 利用者の70%に達していたとも伝えている。
この上場は、後に振り返られるとき、しばしばドットコムバブルの起点として語られる。
ブラウザ戦争と、その結末
Netscape の成功は Microsoft を Web ブラウザ市場へ呼び込んだ。Microsoft が Internet Explorer の基盤にしたのは、Spyglass が書いた Spyglass Mosaic のライセンスである(経緯は Mosaic の記事 を参照)。IE 1.0 は Windows 95 と同じ日に、有料アドオン Microsoft Plus! の一部として登場した。
Windows に組み込まれたブラウザとの競争で、Netscape は劣勢に追い込まれていく。1998年1月22日、同社は Navigator と Communicator 4.0 を全利用者に無償化し、次世代 Communicator のソースコードを公開すると発表した。この決定から Mozilla プロジェクトが生まれ、のちの Firefox へとつながる。
会社としての Netscape の独立は長く続かなかった。SEC への届け出によれば、Netscape は1998年11月23日に America Online(AOL)と合併契約を結び、合併は1999年3月に完了した。上場からわずか3年半余りである。
何が残ったか
Netscape が去ったあとも、同社が持ち込んだものはブラウザの中に残った。暗号化通信の SSL は TLS へと引き継がれ、ソースコードの公開は Mozilla として続いた。そして、ブラウザそのものは無償で配るという形は、1998年の全面無償化を経て、その後のブラウザの当たり前になった。
よくある質問
- Netscape Navigator はいつ公開されたのか
- 最初の公開ベータが1994年10月13日にインターネットで配布され、正式版 1.0 は1994年12月15日に出荷されました。ベータの時点の社名は Mosaic Communications で、11月14日に Netscape Communications へ改名しています。
- Netscape は無料だったのか
- 最初は条件付きでした。1.0 は学術・非営利の利用と試用は無償で、商用利用は1ユーザ39ドルからの有償ライセンスでした。全利用者に無償となったのは1998年1月22日で、同じ発表で次世代版のソースコード公開も予告されました。
- Netscape と Mosaic はどういう関係か
- NCSA Mosaic を学部生として作った Marc Andreessen が、Silicon Graphics 創業者の Jim Clark と1994年4月に設立したのが Netscape の前身 Mosaic Communications です。Mosaic の商標を持つイリノイ大学の懸念を受け、同年11月に社名を Netscape Communications に改めました。
- Netscape はその後どうなったのか
- Microsoft の Internet Explorer に市場を奪われ、1998年1月にソースコード公開を表明して Mozilla プロジェクトが生まれました。同年11月23日に AOL との合併契約を結び、合併は1999年3月に完了しています。
出典
公開価格28ドル、初値71ドル、終値58.25ドル、時価総額29億ドル、約1400万株の出来高
最終更新: