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Lotus 1-2-3 ── IBM PC を業務の標準にした表計算ソフト

メタデータ
- 日付
- 年代
- 1980s
- Tier
- T1
- 参照年表
- 半導体・ハードウェアの歴史 · Microsoftの歴史
- 出典数
- 09
- 関連項目
- 02
- Tags
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Lotus 1-2-3(ロータス・ワン・ツー・スリー)は、Lotus Development Corporation が1983年1月26日に発売した IBM PC 用の表計算ソフトである。会社は1982年に Mitch Kapor が、プログラムの共同開発者 Jonathan Sachs とともに設立した。名前は中身を表している。表計算、ビジネスグラフ、データベース管理の三つを一つのプログラムにまとめたものだ。1-2-3 は IBM PC の最初の「キラーアプリ」 ── 会社がそれを動かすために機械を買うソフト ── となり、Apple II で同じ役割を果たした VisiCalc を追い越した。
生まれるまで
Kapor は VisiCalc の販売元 Personal Software(1982年に VisiCorp と改称)で働き、同社が VisiCalc と並べて売った統計ソフト VisiTrend とグラフ作成ソフト VisiPlot を書いた。自分のソフトの権利は個人で持っており、The Register によれば VisiCorp がその権利を170万ドルで買い取ったことが、Kapor が自分の会社を始める資金になった。1981年夏、彼は DEC や Data General のミニコンピュータに VisiCalc を移植していたプログラマー Sachs と出会う。VisiCalc の共同作者 Dan Bricklin は後に、Kapor の背後にはパソコン業界と最も深くつながったベンチャーキャピタリストの一人、Ben Rosen がいたとも書いている。
BYTE が1982年12月に見たもの
BYTE 誌は発売の1か月前に製品紹介を載せた。シニアエディターの Gregg Williams は、三つのパッケージを組み合わせた点で「modestly revolutionary」(控えめに言って革命的)だと評し、機能を次のように紹介している。
| BYTE 1982年12月号の製品紹介 | |
|---|---|
| シートの大きさ | 2,048行 × 256列 |
| メモリ | 最大640KB まで扱えると Lotus は説明 |
| 必要な構成 | IBM PC、ディスクドライブ2台、128KB、モノクロまたはカラーのディスプレイ |
| 2画面 | 両方あれば、モノクロにシート、カラーにグラフを同時表示 |
| データベース | シートの一部にレコードを格納し、並べ替え・検索 |
| ヘルプ | F1 で呼ぶディスク上のヘルプと、対話型のチュートリアル |
| マクロ | ALT と英字の組み合わせで使うユーザー定義のマクロキー |
| 範囲名 | 任意のセルや範囲に15文字までの名前 |
Williams は、各コマンドの下に説明の行を出すメニューや、座標を打つ代わりにカーソルでセルを指す操作にも触れ、メニューの作りが VisiPlot に似ているのは偶然ではないと書いた。VisiPlot を設計した Kapor が Lotus の社長だったからである。
VisiCalc に勝った理由
負けた側からの最も明快な説明は、1-2-3 の30周年に Bricklin が書いたものだ。1-2-3 は VisiCalc のうまくいっていた部分 ── たとえば A1 形式のセル名 ── を残し、利用者の不満だった桁区切りの欠如や列幅を個別に変えられない点を直した。絶対参照には「$」記号を使えるようにし、IBM PC のファンクションキーを活用し、増えたメモリと2台目のディスクを使って、より良いプロンプトと文脈に応じたヘルプを用意した。
何より速かった。1-2-3 は IBM PC 向けに引き締まったアセンブリ言語で書かれ、他の機械への移植が難しくなることを受け入れていた。画面表示も OS を経由せず PC のビデオメモリに直接書き込み、応答を速くする代わりに IBM のハードウェアに縛られた。これは業界全体に副作用をもたらした。1-2-3 が動くかどうかが、互換機が本当に IBM 互換かを確かめる試験になったのである。コンピュータ歴史博物館は、1-2-3 が Microsoft Flight Simulator と並んで、ハードウェアの完全互換性を確かめる基準になったと記している。
Bricklin は、Kapor が発表前に個人的に見せてくれたとき、初年度に6,000万ドル売れると思ったと回想している。Lotus 自身の予測は500万ドルにすぎず、実際は5,000万ドルを少し超えたという。Lotus は1983年10月に株式を公開した。
ヒットを守る
似た製品が現れると、Lotus は裁判に訴えた。Bricklin によれば、1-2-3 に似すぎていると考えた製品の作り手を Lotus が訴えたとき、根拠にしたのは特許ではなく著作権だった。ソフトウェア特許はまだ当たり前の道具になっていなかったのである。1985年、Lotus は VisiCalc を生んだ Bricklin と Frankston の会社 Software Arts を買収した。
首位を失う
Release 2 は1985年、Release 3 は1989年に出た。しかし The Register の振り返りによれば、Lotus は Symphony や Jazz といった統合ソフトに力を分散し、Windows 版の Release 1 for Windows が出たのは1991年になってからだった。その間に Microsoft は Excel を1985年に Macintosh 向け、1987年に Windows 向けに出しており、PC が Windows へ移ると Excel が首位に立った。コンピュータ歴史博物館は、1-2-3 は最終的に Excel に追い越されたと簡潔に記している。The Register は、Microsoft の Office スイートが Lotus のシェアを削ったことも挙げている。
IBM は1995年に Lotus を買収した。IBM の四半期報告書によれば、6月5日に公開買付けを発表し、6月12日に1株64ドルの現金で合意 ── 株式価値の総額は約35億ドル ── し、7月初めに公開買付けを完了している。IBM はその後も Lotus のグループウェア製品の開発を続け、1-2-3 は SmartSuite の一部として残った。最後の版 Lotus 123 Millennium Edition のサポートを IBM が終えたのは、2014年9月末のことだった。
関連する流れは ハードウェアの年表、Microsoft の年表、企業については IBM と Microsoft を参照。
よくある質問
- Lotus 1-2-3 とは何ですか。
- Lotus Development が IBM PC 向けに出した表計算ソフトです。名前の1-2-3は、表計算・ビジネスグラフ・データベース管理の三つの機能を表しています。IBM PC 向けにアセンブリ言語で書かれ、当時の表計算ソフトの中で抜きん出て速く動きました。
- Lotus 1-2-3 はいつ発売されましたか。
- 1983年1月26日です。それに先立ち、BYTE 誌が1982年12月号で製品紹介を載せていました。
- Lotus 1-2-3 を作ったのは誰ですか。
- Lotus Development の創業者 Mitch Kapor が製品を設計・主導し、Jonathan Sachs が共同で開発しました。Kapor はそれ以前、VisiCalc を販売していた Personal Software(VisiCorp)向けに VisiPlot などのソフトを作っていました。
- Lotus 1-2-3 はその後どうなりましたか。
- Windows への移行で Microsoft Excel に首位を奪われました。IBM は1995年に1株64ドル、総額約35億ドルで Lotus を買収し、2014年に Lotus 1-2-3 のサポートを終えました。
出典
一次資料Williams, G. Lotus Development Corporation's 1-2-3 — BYTE, December 1982, pp. 182–194
発売前の製品紹介。2048行×256列、必要構成、グラフ・データベース・ヘルプ・マクロ
一次資料Bricklin, D. 30 years since Lotus 1-2-3 — Dan Bricklin's Log, Jan 28, 2013
VisiCalc の作者による評価。1983年1月26日の発売、アセンブリ言語、初年度の売上
一次資料IBM Form 10-Q, quarter ended June 30, 1995 — SEC EDGAR
Lotus 買収の公開買付けと総額約35億ドル
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