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MS-DOS の誕生 ── PC DOS 1.0 と IBM PC

メタデータ
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- 年代
- 1980s
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- T1
- 参照年表
- IT全史 ── 計算機が世界を編み変える · OSの歴史 · Microsoftの歴史
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- 05
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MS-DOS が初めて世に出たのは1981年8月、IBM が8月12日に発表した IBM Personal Computer の OS としてである。IBM の機械に付くものは PC DOS 1.0 と呼ばれ、Microsoft は同じソフトウェアを他のコンピュータメーカーへ自社の名前 ── MS-DOS ── で使用許諾した。Microsoft が一から書いたものではない。原型は Seattle Computer Products の Tim Paterson が書いた 86-DOS(別名 QDOS)で、Microsoft はまずその使用許諾を受け、次に全権利を買い取った。
Microsoft が持っていなかった OS
パーソナルコンピュータを開発するにあたり、IBM は自社で書いたのではない OS を採用することにした。Computer History Museum(CHM)が2014年に初期 DOS のソースコードを公開した際に Len Shustek が書いた解説によると、候補は三つあった。Digital Research の CP/M-86、Pascal ベースの UCSD p-System、そして本命として Microsoft に発注した PC DOS である。IBM 自身の発表文も、Microsoft と共同で「先進的なディスク OS」を IBM PC 向けに適合させたと述べ、残る二つについては Digital Research と SofTech Microsystems と契約したと記している。
問題が一つあった。CHM によれば、Microsoft が1980年11月に IBM と契約を結んだ時点で、同社はそんな OS を持っていなかった。
86-DOS ── 2万5千ドル、そして5万ドル
Paterson が 86-DOS を書いたのは、Seattle Computer Products の8086搭載コンピュータキットのためで、CP/M の16ビット版が間に合わなかったからだった。Microsoft は1980年12月、一括2万5千ドルでこれの使用許諾を得る。CHM によれば翌年の夏、Microsoft は所有すること ── IBM PC の互換機を作る会社へ使用許諾できること ── の重要さに気づき、さらに5万ドルを払って全権利を買い取った。Wikipedia はこの買い取りを、PC 発表の1か月前の1981年7月としている。
Paterson 自身も1981年に Seattle Computer Products を辞めて Microsoft に移り、その後の数か月、フロリダ州ボカラトンの IBM の技術者たちと密に作業した。PC DOS 1.0 は1981年7月に完成している。
Seattle Computer Products は後に、Microsoft が IBM との関係を隠して OS を安く買い取ったとして訴えた。CHM によれば、この件は100万ドル近い額で示談となった。
決め手になった条項
決定的だったのは、成果物を誰が持つかだった。Microsoft は OS の権利を手放さず、他のメーカーへ MS-DOS として使用許諾した。各メーカーは Microsoft のカーネルに自社ハードウェア用の入出力ドライバを組み合わせて自社版を作った。だから初期の MS-DOS には多くの OEM 版があり、互換機が IBM 互換のハードウェアに収斂するまでそれが続いた。
86-DOS を丸ごと買い取ったのは、まさにこのためだった。CHM は、Microsoft が互換機メーカーへ使用許諾できるよう所有を望んだと書いている。他社が作る互換機は、一台一台が MS-DOS の使用許諾の対象になりえた。機械そのものについては IBM PC、会社については Microsoft、共同創業者については Bill Gates を参照。
CP/M に似ていたが、写してはいない
86-DOS は、8ビットのマイクロコンピュータで主流だった OS である CP/M に意図して似せてあった。CHM の説明では、Paterson の OS は CP/M と似たコマンドや一部同じプログラミングインタフェースを使う一方、内部の実装は別物で、ファイルの格納形式も違っていた。Digital Research の Gary Kildall は MS-DOS が CP/M の著作権を侵害していると考え、Gates と IBM の双方に抗議したが、弁護士の助言で提訴は見送った。Kildall は代わりに CP/M-86 を IBM に使用許諾する。ところが、CHM が引く当時の記述によれば、PC が出てみると IBM は CP/M に1本240ドル、DOS にはわずか40ドルの値を付けており、Kildall は愕然とした。IBM PC で主流になったのは DOS だった。
Paterson は盗用を否定している。数十年後、ソフトウェアの知的財産の専門家 Bob Zeidman が QDOS・CP/M・PC DOS のコードを詳しく調べ、QDOS は CP/M から写されたものではないと結論した、と CHM は紹介している。
1.0 にできたこと
初期の DOS は小さかった。CHM はこれを、基本的にはファイル管理と簡単なプログラムローダーだったと説明する。キーボードで打ち込むコマンドと、画面に返る文字だけ。グラフィックスもマウスも無い。DOS 1.0 が使うメモリは約12KB で、フロッピーディスクしか扱えなかった。1982年5月の 1.1 で、両面320KB のフロッピードライブに対応する。
最初の大改訂は 2.0 で、Microsoft の共同創業者 Paul Allen も加わったチームが作った。階層的なサブディレクトリとハードディスクに対応し、メモリ使用量は約28KB に増えた。1983年3月、IBM PC XT とともに PC DOS 2.0 として、他のメーカーには MS-DOS 2.0 として出荷されている。
15年間の土台
CHM の評価では、DOS は15年にわたり、何百万台もの IBM PC と互換機の上で動く何千ものアプリケーションの土台だった。Microsoft は1990年代末まで改良を続けたが、そのころには Windows など、グラフィカルなユーザインタフェースを持つ OS が主役になっていた(Windows 95 を参照)。Wikipedia は最後の MS-DOS を、2000年9月の Windows Me に含まれたバージョン 8.0 としている。
初期のコードは残っている。CHM は2014年3月にバージョン 1.1 と 2.0 のソースを非商用利用の条件で公開し、Microsoft はのちに 1.25 と 2.0、さらに IBM と共同開発した 4.00 のソースを MIT ライセンスで GitHub に公開した。
この時代の流れは OS の年表 にある。
よくある質問
- MS-DOS はいつ発売されたのか
- 最初の版は1981年8月12日に発表された IBM PC 用の OS で、IBM の製品名は PC DOS 1.0 でした。Microsoft は同じものを他のメーカーへ MS-DOS の名で使用許諾しました。ハードディスクに対応した 2.0 は1983年3月、IBM PC XT とともに出ています。
- MS-DOS を作ったのは誰か
- 元になった 86-DOS を書いたのは Seattle Computer Products の Tim Paterson です。Microsoft はこれを1980年12月に2万5千ドルで使用許諾し、翌年夏にさらに5万ドルで全権利を買い取り、Paterson 自身も1981年に Microsoft へ移って IBM PC 向けの移植を進めました。
- MS-DOS と PC DOS の違いは何か
- どちらも Microsoft の同じ DOS です。IBM が自社の PC に付けて売ったものが PC DOS、Microsoft が他のコンピュータメーカーへ使用許諾したものが MS-DOS で、各メーカーは自社のハードウェア向けの入出力部分を組み込んで出荷しました。
出典
1,565ドルから、販売店での発売は「この秋から」、Microsoft と共同で「先進的なディスク OS」を適合させた、CP/M-86 と UCSD p-System も用意
二次資料Shustek, L. J. — Microsoft MS-DOS early source code, Computer History Museum blog (25 March 2014)
1980年11月の IBM との契約、1980年12月に2万5千ドルで使用許諾、翌年夏に5万ドルで全権利、PC-DOS 1.0 は1981年7月に完成、2.0 は1983年3月の PC-XT と同時、SCP との和解は約100万ドル、15年間の土台
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