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NCSA Mosaic ── 画像が表示できる Web ブラウザ

Marc Andreessen(2013年・サンフランシスコ)── NCSA Mosaic の共同開発者
出典JD Lasica (Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons で見る ↗

メタデータ

日付
年代
1990s
Tier
T1
出典数
08
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02
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#research

NCSA Mosaic は、イリノイ大学の National Center for Supercomputing Applications(NCSA)が1993年に公開した Web ブラウザである。Web の仕組みそのものは1989〜1990年に CERN の Tim Berners-Lee が作っていた(Web の提案)。Mosaic が変えたのは、その Web がどう見えるかだった。文字と画像が同じページの中に並び、マウスでリンクをたどれる ── 今日のブラウザの基本形を、研究者以外の人々が初めて大規模に目にしたのがこのソフトウェアである。

1993年の4か月

Mosaic の公開は、Web 関係者のメーリングリスト www-talk の上で、ほぼ2週間おきの更新として進んだ。

日付出来事
1993年1月23日Andreessen が X Window System(Motif)向けのアルファ/ベータ版 0.5 を告知。SGI・IBM・Sun 向けのバイナリを用意
1993年2月25日Andreessen が www-talk に新しい HTML タグ IMG を提案
1993年4月21日版 1.0 を告知。Sun・SGI・IBM・DEC・Alpha 向けのバイナリとソースを FTP で配布
1993年4月30日CERN が WorldWideWeb のソフトウェアをロイヤリティなしで利用できるようにする
1993年後半Windows 版と Macintosh 版が続く
1993年12月New York Times のビジネス面のトップを飾る

0.5 の告知で Andreessen は、いまは不具合報告よりも設計と機能への意見がほしいと書き、1.0 までは7〜14日ごとに新版を出すつもりだと予告している。実際、www-talk には 0.6、0.7、0.8 と版を重ねる告知が並ぶ。利用者の声を聞きながら短い周期で出し続けるというやり方は、Berners-Lee も後に著書で評価している、と NCSA は紹介している。

IMG タグという提案

Mosaic を象徴する機能は、1993年2月25日のメール1通にほぼ全部書かれている。Andreessen は、必須の引数 SRC に URL を取る閉じタグのない IMG タグを提案し、指定された画像をネットワーク越しに取ってきて、タグのある位置で本文の中に埋め込んで表示すると説明した。リンクの中に置けば、画像がそのままクリックできるアイコンになる。

対応する画像形式はブラウザの裁量に任せるとし、X Mosaic では読めない形式なら代わりの既定ビットマップを出すと書いた。そして、この機能は X Mosaic ではすでに動いており、少なくとも NCSA 内では使うつもりだと付け加えている。標準化の議論を待つのではなく、動く実装を先に出してから提案する、という順番だった。

このスレッドには Berners-Lee、Dave Raggett、Guido van Rossum らが返信している。結果的に <img> は HTML の一部として定着し、いまも Web のあらゆるページで使われている。

最初のグラフィカルブラウザではない

Mosaic は「最初のグラフィカルブラウザ」と紹介されることがあるが、正確ではない。CERN の Web 史は、Mosaic 以前に主に X Window System 向けのブラウザがいくつも書かれていたとして、SLAC の Tony Johnson による MIDAS、Pei Wei の Viola、ヘルシンキ工科大学の学生たちによる Erwise を挙げている。

NCSA 自身の説明は、もっと限定した言い方をしている。それまでのブラウザは導入が面倒だったが Mosaic は格段に簡単だったこと(NCSA は Eric Bina のプログラミングの腕に帰している)、そして Mosaic が画像を文字と一緒に自動で表示した最初の公開ブラウザだったこと。雑誌や絵本のように画像と文章が並ぶページが作れるようになったことが、のちの Web の広がりを決めた、というのが NCSA の見立てである。

1.0 の中身

1993年4月21日の 1.0 の告知は、華々しい発表というより変更履歴だった。並んでいるのは、自分のホスト名を調べようとするとクラッシュする Sun 機への回避策、ウィンドウを閉じたときにダイアログも閉じる処理、GIF 読み込みの堅牢化、IMG タグに余分な空白があると無限ループする不具合の修正、Solaris・HP-UX・NeXT への対応強化といった項目である。署名は「Marc & Eric」。まだ大学の研究センターの、2人の開発者による道具だった。

この時点で Mosaic が動いたのは Unix ワークステーションだけである。一般の人に届くには、同じ年の後半に出た Windows 版と Mac 版を待つ必要があった。CERN は、PC と Macintosh で使えるようになったことが Web の普及にすぐさま影響したと書いている。

数字で見る広がり

CERN の記録では、1993年末に知られている Web サーバは500を超え、Web はインターネットのトラフィックの1%を占めていた。1994年末にはサーバが1万台(うち2000台が商用)、利用者は1000万人に達している。

1993年12月、Mosaic は New York Times のビジネス面のトップに載った。NCSA によれば、その頃には月に5,000本を超えるダウンロードがあり、記事は Mosaic を支持者たちがネットワークコンピューティング初の「キラーアプリ」と呼んでいると紹介した。

Mosaic のその後

Mosaic を作った人々の多くは、まもなく NCSA を離れる。Andreessen は1994年4月、Silicon Graphics の創業者 Jim Clark と Mosaic Communications を設立した。設立メンバーには NCSA Mosaic の設計と開発に関わった大学の元学生・職員5人が加わっている。イリノイ大学の懸念を受けて社名は同年11月に Netscape Communications に変わり、その経緯は Netscape Navigator の記事で扱っている。

もう一つの系譜は、大学からのライセンスである。Spyglass 社は NCSA から Mosaic の技術と商標のライセンスを受けたが、同社の開発者だった Eric Sink によれば、NCSA のコードは一切使わず Windows・Mac・Unix 版を一から書いた。Microsoft はこの Spyglass Mosaic のライセンスを受けて Internet Explorer を作り、Sink は、IE 2.0 は Spyglass Mosaic にあまり手を加えていないものだったと回想している。

NCSA Mosaic 自身の開発は1997年1月の版 3.0 を最後に終わった。わずか4年ほどの寿命だったが、画像の入ったページ、クリックできる画像、すぐに入れて使えるブラウザという、Web の見た目と使い勝手の出発点はここにある。

よくある質問

Mosaic ブラウザはいつ公開されたのか
最初の公開版は1993年1月23日に www-talk で告知された X Window System 向けのアルファ/ベータ版 0.5 で、正式版 1.0 は1993年4月21日です。Windows 版と Macintosh 版は同じ年の後半に続きました。
Mosaic は最初のグラフィカルな Web ブラウザなのか
いいえ。Erwise・ViolaWWW・MidasWWW など X Window System 向けのグラフィカルブラウザが先にありました。Mosaic が違ったのは、画像を別ウィンドウではなく本文の中に表示したこと、導入が簡単だったこと、そしてやがて Windows と Mac でも動いたことです。
Mosaic を作ったのは誰か
イリノイ大学の National Center for Supercomputing Applications(NCSA)で、学部生だった Marc Andreessen と NCSA の開発者 Eric Bina が中心になって作りました。1.0 の告知は2人の連名です。
Mosaic と Netscape・Internet Explorer の関係は
Andreessen は1994年4月に Jim Clark と Mosaic Communications(同年11月に Netscape へ改名)を設立し、同社の Netscape Navigator が Mosaic に代わる主流のブラウザになっていきます。Internet Explorer の元になった Spyglass Mosaic は NCSA から技術と商標のライセンスを受けていましたが、Spyglass の開発者によれば NCSA のコードは使わず一から書かれています。

出典

  1. 一次資料Andreessen, M. (Apr 21, 1993). 'NCSA Mosaic 1.0 released' — www-talk

    取得日: 2026-10-05

  2. 一次資料About NCSA Mosaic — NCSA, University of Illinois

    取得日: 2026-10-05

  3. 一次資料Andreessen, M. (Jan 23, 1993). 'NCSA X Mosaic 0.5 released' — www-talk

    取得日: 2026-10-05

  4. 一次資料Andreessen, M. (Feb 25, 1993). 'proposed new tag: IMG' — www-talk

    取得日: 2026-10-05

  5. 一次資料Sink, E. Memoirs From the Browser Wars — Eric Sink's weblog, 2003 (a Spyglass developer's account)

    Spyglass が NCSA から技術と商標のライセンスを受けたがコードは使わなかったこと、IE 2.0 が Spyglass Mosaic をほぼそのまま使っていたこと

    取得日: 2026-10-05

  6. 三次資料NCSA Mosaic — Wikipedia

    取得日: 2026-10-05

最終更新:

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