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Google Gemini とは ── Bard から始まった Google の生成 AI
メタデータ
- 日付
- 年代
- 2020s
- Tier
- T1
- 参照年表
- AIの歴史
- 出典数
- 15
- 関連項目
- 07
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Gemini(ジェミニ)は Google の生成 AI である。いまは対話アプリの名前であり、その中で動くモデル群の名前でもある。「Gemini とは何か」に一言で答えるなら、ChatGPT への Google の応答として2023年2月に Bard の名で始まり、2023年12月6日に発表された Gemini モデルへ中身を入れ替え、2024年2月8日に名前まで Gemini にそろえたサービスである。2026年10月時点の最新の大型モデルは Gemini 4 Argon だ。
Bard ── 急いで出した対話サービス
2023年2月6日、Sundar Pichai は Google のブログで、対話型の AI サービス Bard を発表した。中身は Google が2021年に発表した対話用の言語モデル LaMDA の軽量版で、まず「trusted testers」(信頼できるテスター)に開放した。この発表と翌日の Microsoft の 新しい Bing の公開、そして告知動画での Bard の事実誤認と Alphabet 株の急落は、その記事に詳しい。
一般の利用は2023年3月21日に米国と英国から始まった。Google は Bard を「early experiment」(初期の実験)と呼び、待機リストへの登録制とした。5月10日の Google I/O では、中身を PaLM 2 に移したことを明かし、待機リストを撤廃して180を超える国と地域に開放、日本語と韓国語にも対応した。Bard を日本語で使えるようになったのは、このときである。
| 日付 | 出来事(Google の発表による) |
|---|---|
| 2023年2月6日 | Bard を発表。LaMDA の軽量版で、まずテスターに開放 |
| 2023年3月21日 | 米英で利用受付を開始(待機リスト制) |
| 2023年5月10日 | PaLM 2 へ移行。待機リスト撤廃、180超の国と地域、日本語・韓国語に対応 |
| 2023年12月6日 | Gemini 1.0(Ultra・Pro・Nano)を発表。Bard が Gemini Pro に |
| 2024年2月8日 | Bard を Gemini に改名。Gemini Advanced とモバイルアプリ |
| 2024年2月15日 | Gemini 1.5。最大100万トークンを扱えると発表 |
| 2024年12月11日 | Gemini 2.0。「エージェントの時代」のモデルと位置づけ |
| 2025年11月18日 | Gemini 3。初日から検索に搭載 |
| 2026年9〜10月 | Gemini 4 Argon。まずサイバー防御の利用者へ、10月13日にアプリの有料プランへ |
2023年12月6日 ── 「Gemini」の名が付いたモデル
2023年12月6日、Pichai と Google DeepMind の Demis Hassabis は、Gemini を「our largest and most capable AI model」(最大で最も高性能な AI モデル)として発表した。最初の Gemini 1.0 は大きさの違う3種で、複雑な課題向けの Ultra、幅広い用途向けの Pro、端末上で動かす Nano である。発表文は、Gemini を同年に発足した Google DeepMind(DeepMind の項を参照)の構想を初めて形にしたものと位置づけた。
Google が強調したのは二つだった。一つは、文章・画像・音声などを最初からまとめて学習させた「natively multimodal」(ネイティブにマルチモーダル)な設計であること。もう一つは成績で、Gemini Ultra は MMLU(57分野の知識と問題解決を問う試験)で90.0%を出し、人間の専門家を上回った最初のモデルになったと書いた。ただしこれは Google 自身の測定であり、同じ発表文は、Gemini が難問の前で「より慎重に考える」ための新しい評価方法を MMLU に使ったとも書いている。学習には Google が自社で設計した TPU の v4 と v5e を使った。
同じ日から Bard の中身は、Gemini Pro を微調整したものに替わった。Google はこれを Bard 公開以来最大の更新と呼び、まず英語で170を超える国と地域に提供した。Nano は Pixel 8 Pro に載り、録音アプリの要約などに使われた。
デモ動画の「編集」
発表を最も目立たせたのは、「Hands-on with Gemini」という動画だった。人が机の上でアヒルの絵を描き、カップの中のボールを動かし、影絵を作ると、Gemini が映像を見ながら声で次々に答えていく ── ように見えた。
翌12月7日、TechCrunch は「Google's best Gemini demo was faked」(Gemini の最高のデモは偽物だった)という見出しで、この動画が実際のやりとりを映していないと報じた。TechCrunch によれば、最初に食い違いを報じたのは Bloomberg の Parmy Olson で、Google 自身の説明は、撮影した映像から静止画を切り出し、それと文章で Gemini に指示して動画を作った、というものだった。動画には「遅延を減らし、Gemini の出力を短くした」という注記も入っていた。Google DeepMind の研究担当副社長 Oriol Vinyals は、動画は Gemini で作れるマルチモーダルな体験がどんなものになりうるかを示したもので、開発者を触発するために作ったと説明している。
実際の指示と応答の一部は、動画の説明欄からリンクされた関連ブログ記事で公開されていた。TechCrunch はそれを認めたうえで、Google の広報から見出しの変更を求められたことも明かしつつ、動画は現実を反映していないとして「faked」の語を残した。
2024年2月 ── 改名と、画像生成の停止
2024年2月8日、Google は Bard を Gemini に改名した。同時に、最上位の Ultra 1.0 を使える Gemini Advanced を、月額19.99ドルの新プラン Google One AI Premium の一部として始め、英語で150を超える国と地域に提供した。Android と iOS のモバイルアプリも米国から始まり、翌週から日本語と韓国語にも広げるとした。サービスとモデルの名前が一つになったのはこのときである。
その直後に失敗が来た。Raghavan の説明によれば、Gemini アプリ(当時はまだ Bard)では2月初めに、人物も描ける画像生成の機能が始まっていた。2月下旬、歴史的に白人が中心だった場面を多様な人種の人物で描いた画像が SNS で拡散した。AP 通信によれば、Google は2月21日に歴史的な描写の不正確さを認め、翌22日に人物の画像生成を一時停止すると X で発表した。
2月23日、上級副社長の Prabhakar Raghavan は「Gemini image generation got it wrong. We'll do better.」(Gemini の画像生成は間違えた。もっとうまくやる)と題した文章で原因を説明した。一つは、さまざまな人物を描くための調整が、明らかにそうすべきでない場面まで考慮していなかったこと。もう一つは、モデルが意図した以上に慎重になり、ごく無害な依頼まで敏感だと誤って判断して断るようになったことである。Raghavan は、Gemini は創造と生産性のための道具であり、時事や論争的な話題では信頼できないことがあると認め、ハルシネーションはすべての LLM に共通する既知の課題だと書いた。
1.5、2.0、そして 3
その後の Gemini は、モデルの番号で語られるようになる。2024年2月15日の Gemini 1.5 では、Google は最大100万トークンを安定して処理できると発表し、長い文書や動画を丸ごと読ませる用途を打ち出した。2024年12月11日の Gemini 2.0 は「エージェントの時代」のためのモデルとされた。Gemini 3 を発表した2025年11月18日の文章で Google は、Gemini 2.5 Pro が評価サイト LMArena で6か月以上首位にあったと書いている。
Gemini 3 は、初日から Google 検索に搭載された。同じ発表で Google は、Gemini アプリの月間利用者が6億5000万人を超え、検索の AI による概要の月間利用者が20億人に達したとした(いずれも同社の数字)。Gemini の名を持つ推論モデルは数学でも結果を出し、2025年7月には Gemini Deep Think の高度版が 国際数学オリンピックで金メダルの基準に届いた。
Apple との提携と Gemini 4
2026年1月12日、Apple と Google は共同声明で、Apple の次世代の基盤モデル(Apple Foundation Models)を Gemini のモデルとクラウド技術に基づかせる複数年の協業を発表した。声明によれば、これらのモデルは同年に予定する、より個人に合わせた Siri を含む Apple Intelligence の機能を支え、Apple Intelligence は引き続き Apple の端末と Private Cloud Compute で動く。
一方で、モデルの開発は順調一辺倒ではなかった。TechCrunch によれば、Google は2026年5月に「翌月」と予告した Gemini 3.5 Pro を7月になっても出せず、軽量の Flash 系を先に更新した。9月に発表された Gemini 4 Argon は、出力の上限を100万トークンとし、Google によればまずサイバー防御の信頼できる利用者に段階的に提供された。10月13日には、Gemini アプリで Google AI Pro と Ultra の加入者向けに全世界で展開が始まっている。
その後
Gemini の歩みは、後から追う側に回った Google の3年間でもある。急いで出した Bard、編集されたデモ、行き過ぎた調整による画像生成の停止 ── 最初の1年は失敗のほうが目立った。その後、名前を一本化し、検索・Android・そして Apple の Siri へとモデルを配る側に立った。生成 AI 全体の流れは AI の年表、Google の歩みは Google のページで辿れる。
よくある質問
- Google Gemini はいつ発表されたのですか。
- Gemini の名を持つモデルは2023年12月6日に発表されました(Gemini 1.0 の Ultra・Pro・Nano)。対話サービスとしては、その前身の Bard が2023年2月6日に発表され、2024年2月8日に Gemini へ改名されています。
- Bard と Gemini はどういう関係ですか。
- Bard は Google の対話サービスの旧名です。当初は LaMDA の軽量版、2023年春に PaLM 2 で動いていましたが、2023年12月6日から Gemini Pro を使うようになり、2024年2月8日にサービス名そのものが Gemini に変わりました。
- Gemini のデモ動画は何が問題だったのですか。
- 動画は Gemini が映像を見ながら音声で即答しているように見えましたが、Google は撮影した映像の静止画と文章で指示して作ったと説明していました。動画にも遅延を減らし出力を短くしたという注記があり、TechCrunch は実際のやりとりを誤解させると批判しました。
- Gemini の画像生成はなぜ止められたのですか。
- 2024年2月、歴史的な場面の人物を史実と違う人種で描いた画像が拡散し、Google は2月22日に人物の画像生成を一時停止しました。翌日の説明で Google は、多様な人物を示す調整が明らかにそうすべきでない場面まで適用されたことと、モデルが意図以上に慎重になり無害な依頼まで断ったことの二つを原因に挙げています。
出典
一次資料What’s ahead for Bard: More global, more visual, more integrated — Google, May 10, 2023
待機リストの撤廃、180超の国と地域、日本語と韓国語への対応、PaLM 2 への移行
一次資料A new era of intelligence with Gemini 3 — Google, November 18, 2025
Gemini アプリの月間利用者6億5000万超、AI による概要の月間20億人(いずれも Google の数字)
二次資料Google confirms that it won't get Apple user data in new Siri deal — AppleInsider, January 12, 2026
Apple と Google の共同声明の本文
一次資料The latest AI news we announced in September 2026 — Google
Gemini 4 Argon(出力上限100万トークン、まずサイバー防御の信頼できる利用者へ段階的に提供)
一次資料Gemini Apps' release updates & improvements — Google
2026年10月13日、Gemini アプリで Google AI Pro・Ultra 加入者向けに Gemini 4 Argon を全世界で展開
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