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AI が IMO 金メダル水準に ── OpenAI と Gemini Deep Think、自然言語で35点

2015年の第56回国際数学オリンピック(タイ・チェンマイ)の閉会式。各国の参加者が国旗を掲げて舞台に並んでいる
出典Z3144228 (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons で見る ↗

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年代
2020s
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2025年7月、AI は国際数学オリンピック(IMO)の問題で金メダル基準に届いた。オーストラリアのサンシャイン・コーストで開かれた第66回 IMO の問題に対し、OpenAI の実験的な推論モデルと、Google DeepMind の Gemini Deep Think 高度版が、ともに6問中5問を解いて42点中35点を得たと発表した。この年の金メダル基準は35点ちょうどである。

前年の AlphaProof(2024年)との違いは条件にある。問題を人手で形式言語に翻訳せず、公式の問題文を自然言語のまま読み、人間と同じ4.5時間×2回の制限時間内に、自然言語で証明を書いた。数学に特化したシステムではなく、汎用の大規模言語モデルの延長で金メダル水準に届いたことが、この出来事の核心である。ただし、メダルは授与されていない。AI は大会の参加者ではなく、両社の発表の仕方も、検証の手続きも違っていた。

2つの発表

OpenAIGoogle DeepMind
発表日2025年7月19日(研究者 Alexander Wei の X 投稿)2025年7月21日(公式ブログ)
モデル未公開の実験的な推論 LLMGemini Deep Think の高度版
解いた問題6問中5問(35点)6問中5問(35点)
条件4.5時間×2回、道具・インターネットなし、自然言語4.5時間以内、自然言語のエンドツーエンド
採点同社が依頼した元 IMO メダリスト3人が独立に採点し、全会一致で確定IMO の調整役が生徒と同じ基準で採点・認定

OpenAI の Wei は2025年7月19日07時50分(協定世界時)、X への投稿で、最新の実験的な推論 LLM が IMO で金メダル水準の成績に達したと発表した。続く投稿によれば、モデルは人間と同じ規則、つまり4.5時間の試験2回、道具やインターネットなし、公式の問題文を読んで自然言語で証明を書く、という条件で評価された。各問題の証明は元 IMO メダリスト3人が独立に採点し、全会一致で点を確定した。Wei は、間もなく GPT-5 を公開するが、IMO で金を取ったモデルは実験的な研究モデルで、この水準の数学能力を持つものを数か月は公開する予定はないとも書いている。解答は GitHub で公開された。

DeepMind は2日後の7月21日に発表した。同社によれば、Gemini Deep Think の高度版は、複数の解き方を同時に探って組み合わせる「並列思考」などの新しい技術を使い、公式の問題文から直接、厳密な証明を自然言語で書き上げた。解答は IMO の調整役が生徒と同じ基準で採点した。DeepMind は IMO 会長 Gregor Dolinar の次の言葉を載せている。「Their solutions were astonishing in many respects.」(その解答は多くの点で驚くべきものだった)。同時に、IMO が確認したのは解答が完全で正しいことであり、システムやモデルそのものの検証には及ばないとも明記した。

IMO の立場 ── 「正しい証明は正しい」

IMO 2025 の大会側は7月19日、閉幕の日のお知らせで、選ばれた AI 企業を初めて付随イベントに招き、それらの企業が今年の問題で非公開のモデルを個別に試したことを明らかにした。Dolinar 会長はそこで、AI の数学能力の進歩を見るのは非常に刺激的だとしたうえで、IMO は使われた計算量や人の関与の有無、結果を再現できるかといった方法を検証できないと述べている。そして次のように結んだ。「What we can say is that correct mathematical proofs, whether produced by the brightest students or AI models, are valid.」(言えるのは、正しい数学の証明は、最も優秀な生徒が書いたものであれ AI が書いたものであれ、正しいということだ)。

発表の時期をめぐる対立

対立の火種は発表の時期だった。TechCrunch によれば、DeepMind の Demis Hassabis は、公式結果が独立した専門家に検証され、生徒たちが当然受けるべき称賛を受けた後に結果を公表する、という IMO 理事会の当初の要請を尊重して金曜日には発表しなかったと書いた。DeepMind の Thang Luong は、IMO の採点基準に基づかない評価は金メダル水準を主張できないと述べている。

OpenAI 側の Noam Brown は、IMO から授賞式の後まで待つよう言われ、そのとおりにしたと説明した。TechCrunch によると、IMO は数か月前に正式な数学競技への参加を OpenAI に打診していたが、同社は自然言語のシステムのほうが追求する価値があると考えて断っており、IMO が Google と非公式の試験をしていることは知らなかったという。

比較は公平か ── Tao の注意

IMO 金メダリストでもある数学者 Terence Tao は、閉幕当日の7月19日に Mathstodon で注意を促した。試験の形式を変えれば、たとえば数日の時間を与える、問題を解きやすい形に書き直す、計算機や証明支援系を使わせる、6人で協力させる、最良の解答だけを選んで提出する、失敗したら黙って参加をやめる、といった変更で、同じ生徒でも銅メダルに届かない水準から安定した金メダル水準まで成績が大きく変わりうる。だから、方法が自己申告で統制されていない限り、AI どうし、あるいは AI と人間を単純に比べるべきではない、という指摘である。Tao は、競技の前に方法が開示されていない自己申告の結果にはコメントしないとも書いた。

Scientific American に寄稿した数学者 Emily Riehl も、2社の金メダルは非公式なものだと位置づけ、Dolinar 会長の留保を紹介している。

誰にとって何が変わったか

最も直接の当事者は、630人の参加者(IMO 公式記録、110か国・地域)である。この年、金メダルは72人、満点は5人だった。彼らの大会は、同じ週末に AI 企業の発表競争の舞台にもなった。Hassabis の発言も、生徒たちが受けるべき称賛に触れていた。

AI 企業は IMO の支援者にもなった。2026年の IMO 公式サイトのスポンサー一覧には、最上位の Diamond に OpenAI が、Gold に Meta AI と NVIDIA が並ぶ。公式ニュースには、OpenAI が IMO 2026 の金メダリストらに ChatGPT Pro を提供するという見出しも載った。

その後、自然言語の推論モデルは競技数学から研究の未解決問題へと向かい、半年後には エルデシュ問題が AI で次々と解かれる波(2026年)が始まる。経緯は AI と数学の年表 と AI の年表、各社の歩みは OpenAI と DeepMind のページにある。

よくある質問

AI は IMO 2025 で金メダルを取ったのですか。
公式の参加者ではないのでメダルは受けていません。OpenAI と Google DeepMind のモデルが大会の問題で金メダル基準と同じ35点に達した、というのが正確です。IMO 側の調整役が公式に採点・認定したのは DeepMind の解答で、OpenAI の解答は同社が依頼した元 IMO メダリスト3人が採点しました。
2024年の AlphaProof と何が違うのですか。
2024年は問題を専門家が Lean の形式言語に訳し、計算に2〜3日かかりました。2025年は両社とも、公式の問題文を自然言語のまま読み、4.5時間の試験2回という人間と同じ制限時間内に自然言語で証明を書いたと説明しています。
なぜ OpenAI の発表は批判されたのですか。
DeepMind の Demis Hassabis は、すべての AI 研究所は公式結果が独立した専門家に検証され、生徒が称賛を受けた後に結果を公表するという IMO 理事会の当初の要請を尊重し、金曜日には発表しなかったと述べました。OpenAI は、IMO から授賞式の後まで待つよう言われ、そのとおりにしたと説明しています。数か月前に IMO から正式な競技への参加を打診され、断っていたとも報じられました。

出典

  1. 一次資料Alexander Wei on X: OpenAI experimental reasoning LLM achieves gold medal-level performance at IMO 2025 — July 19, 2025

    2025年7月19日07:50(UTC)の投稿。4.5時間×2回、道具・ネットなし、自然言語の証明、5問・35点、元 IMO メダリスト3人の全会一致採点、当面は公開しない

    取得日: 2026-10-17

  2. 一次資料Advanced version of Gemini with Deep Think officially achieves gold-medal standard at the International Mathematical Olympiad — Google DeepMind, July 21, 2025

    35点、IMO 調整役による採点、Dolinar 会長の言葉、4.5時間以内に自然言語で、並列思考、IMO の確認はシステムの検証に及ばない

    取得日: 2026-10-17

  3. 一次資料The 66th International Mathematical Olympiad draws to a close today — IMO 2025, July 19, 2025

    AI 企業の非公開の試験、Dolinar 会長の声明(計算量や人の関与は検証できない、正しい証明は誰が書いても正しい)

    取得日: 2026-10-17

  4. 一次資料IMO 2025 — International Mathematical Olympiad, editions page

    金35点・銀28点・銅19点以上、金72人、満点5人

    取得日: 2026-10-17

  5. 二次資料OpenAI and Google outdo the mathletes, but not each other — TechCrunch, July 21, 2025

    発表時期をめぐる Hassabis と Thang Luong の発言、OpenAI の Noam Brown の説明

    取得日: 2026-10-17

  6. 一次資料Sponsors — International Mathematical Olympiad

    取得日: 2026-10-17

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