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Google Chrome 公開 ── 漫画で予告され、ブラウザの勢力図を塗り替えた

出典Google (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons で見る ↗

メタデータ

日付
年代
2000s
Tier
T1
出典数
13
関連項目
02
Tags
#launch#consumer#market#open-source#regulation

Google Chrome は Google の Web ブラウザで、2008年9月2日に Windows 向けのベータ版が100か国以上で公開された。これが Chrome の始まりである。「ベータ」が外れた最初の安定版は2008年12月11日、Mac と Linux の安定版は2010年5月25日に出た。

発表は公開の前日、2008年9月1日だった。Google は公式ブログで、紹介用の漫画を予定より早く送ってしまったと明かし、その漫画を公開したうえで、翌日にベータ版を出すと告げた。書いたのは製品管理担当副社長の Sundar Pichai と、エンジニアリングディレクターの Linus Upson である。

漫画で予告されたブラウザ

ブログの書き出しは、Google には「launch early and iterate」という言い回しがあり、それが郵便室にも当てはまったらしい、という冗談だった。ブログの公開後に投稿は更新され、漫画へのリンクが加わった。

Google Books で公開されている漫画には、文は Google Chrome チーム、漫画化は Scott McCloud と記されている。ライセンスはクリエイティブ・コモンズの表示・非営利・改変禁止 2.5 である。

何が新しかったのか

ブログは、Web が単純な文書の集まりから複雑なアプリケーションへ変わったので、ブラウザを根本から考え直したと説明した。挙げた柱は三つある。

柱ブログと Chromium ブログの説明
タブの隔離タブごとに「サンドボックス」に分け、一つのタブが他を巻き込んで落ちないようにする。悪意あるサイトからの保護も強める
V8新しく作った、より強力な JavaScript エンジン。次の世代の Web アプリケーションを動かすため
マルチプロセスChromium 独自のマルチプロセス構造。そのため Windows 上の WebKit を大きく改造した

画面は簡素にした。ブログは、多くの人にとって大事なのはブラウザではなくその中で動くページやアプリケーションだとして、Chrome を「clean and fast」と書いている。描画には Apple の WebKit を使い、Mozilla の Firefox などの部品も使ったと明記した。

コードは Chromium として公開

同じ9月2日、Chromium ブログで Ben Goodger は、Chrome のコードをすべて、寛容な BSD ライセンスで公開すると書いた。オープンソース版の名は Chromium で、クロムめっきに使う金属クロムにちなむ。Goodger は、Firefox や WebKit のようなオープンソース・プロジェクトが次の世代の Web 技術を導いてきたので、それに倣ったと説明し、同時に、Web でできることが増えれば人々が Google のサービスをもっと使うという自社の利点も隠さなかった。

Wikipedia によれば、Chrome のソースコードの大半は Chromium から来ているが、Chrome 自体はプロプライエタリなフリーウェアとして配布されている。2013年4月3日、Chromium は WebKit から分かれた新しい描画エンジン Blink を発表した。マルチプロセス構造の違いが WebKit と Chromium の双方を複雑にしていたためで、発表は7つのビルドシステムと7,000を超えるファイル(450万行超)をすぐに削れる見込みだと述べている。

日付で追う Chrome

日付出来事
2008年9月1日Google が公式ブログで発表。漫画を公開
2008年9月2日Windows 向けベータ版を100か国以上で公開。Chromium のソースも公開
2008年12月11日最初の安定版(Wikipedia による)
2009年7月7日Google Chrome OS を発表
2010年5月25日Mac と Linux の最初の安定版
2011年11月StatCounter のデスクトップ集計で Firefox を上回る
2012年5月StatCounter の集計で Internet Explorer を抜き首位に
2013年4月3日描画エンジン Blink を発表
2025年9月2日米連邦地裁が、司法省などの Chrome 売却の要求を退ける

ブラウザから OS へ

2009年7月7日、Google は Chrome を土台にした OS「Google Chrome OS」を発表した。ブログは、Chrome の公開から9か月で、すでに3,000万人以上が日常的に使っていると書いている。Chrome OS は Linux カーネルの上で Chrome を動かす軽量な OS で、まずネットブックを狙い、搭載機は2010年後半に出す予定とされた。実際の製品については Chromebook を参照。

最も使われるブラウザに

Web 解析サービス StatCounter の世界の集計(デスクトップ・モバイル・タブレット・ゲーム機を合わせた全端末)では、Chrome は2012年5月に29.15%となり、Internet Explorer の28.87%を初めて上回った。デスクトップだけの集計でも同じ月に32.43%対32.12%で首位に立った。その前年の2011年11月には、デスクトップで Firefox を抜いている(その経緯は Firefox 1.0 を参照)。

その後の差は大きい。StatCounter の全端末集計で、2026年9月の Chrome は66.45%、2位の Safari は18.20%である。デスクトップに限ると Chrome は65.14%、Microsoft Edge が14.64%で続く。その Edge も、Wikipedia が Chromium をもとにしたブラウザの例として Brave、Opera、Vivaldi と並べて挙げる一つである。

独占禁止訴訟と売却要求

Chrome の大きさは、米司法省と各州が Google の検索独占を訴えた裁判で正面から問われた。地裁は2024年8月、Google が一般検索サービスなどの市場を違法に独占したと認定した。是正策を決める段階で、原告は Chrome の即時売却を求めた。米議会調査局(CRS)の解説によれば、原告は、米国の全検索の20%を占め Google 検索を既定にしている Chrome を切り離せば、競合の検索エンジンに重要な入口が開くと主張した。

2025年9月2日、連邦地裁はこの売却要求を退けた。CRS によれば、理由は四つある。行動面の是正策が不十分だと原告が示していないこと、Google の行為と独占の維持との間に構造的な是正を正当化するだけの因果関係が示されていないこと、Chrome の利用者の大半は米国の外にいるなど是正の範囲を超えること、そして Chrome は Google の技術基盤や人員に依存しており、切り離しは「incredibly messy and highly risky」であること。代わりに地裁は、Google 検索・Chrome・Google アシスタント・Gemini アプリの配布をめぐる排他的な契約を禁じ、検索の索引データなどを競合と共有させた(司法省の発表による)。

Wikipedia によれば、判決の前の2025年8月12日には、AI 企業の Perplexity が Chrome を345億ドルで買うと申し出ていた。

判決には双方が控訴した。ただし、司法省と各州が2026年7月28日に控訴審へ出した書面は、売却を退けた判断については原告は控訴しないと明記している。2026年10月時点で、Chrome は Google のもとにとどまっている。

Web の流れは インターネットとWebの年表、企業については Google、検索については Google 検索を参照。

よくある質問

Google Chrome はいつから使えるようになったのですか。
2008年9月2日に Windows 向けのベータ版が100か国以上で公開されました。発表は前日の9月1日です。最初の安定版は2008年12月11日、Mac と Linux の安定版は2010年5月25日に出ました。
Chrome と Chromium の違いは何ですか。
Chromium は Google が2008年9月2日に BSD ライセンスで公開したオープンソースのプロジェクトです。Chrome のソースの大半は Chromium から来ていますが、Chrome 自体はプロプライエタリなフリーウェアとして配布されています。
Chrome はいつ最も使われるブラウザになりましたか。
StatCounter の世界の全端末集計で、2012年5月に29.15%となり、Internet Explorer の28.87%を初めて上回りました。2026年9月のシェアは66.45%です。
Google は Chrome を売却させられるのですか。
米司法省などは検索独占訴訟の是正策として Chrome の売却を求めましたが、連邦地裁は2025年9月2日にこれを退けました。2026年7月の控訴審の書面で、原告側はこの判断を控訴しないと明記しています。

出典

  1. 一次資料A fresh take on the browser — Official Google Blog, September 1, 2008

    漫画を早く送ってしまったこと、100か国以上でのベータ公開、サンドボックス、V8、WebKit と Firefox の部品、Pichai と Upson

    取得日: 2026-10-23

  2. 一次資料Google Chrome comic — Google Books

    Scott McCloud による漫画化と CC BY-NC-ND 2.5 のライセンス表示

    取得日: 2026-10-23

  3. 一次資料Welcome to Chromium — Chromium Blog, September 2, 2008

    取得日: 2026-10-23

  4. 一次資料Introducing the Google Chrome OS — Official Google Blog, July 7, 2009

    取得日: 2026-10-23

  5. 一次資料Response Brief and Opening Brief on Cross-Appeal for the United States and Co-Plaintiff States, United States v. Google LLC, Nos. 26-5023 et al. (D.C. Cir.), July 28, 2026 — U.S. Department of Justice

    地裁が Chrome 売却を退けたことと、原告がこの判断を控訴しないこと

    取得日: 2026-10-23

  6. 二次資料Federal Court Endorses Behavioral Remedies, Rejects Structural Relief, in Google Search Antitrust Litigation — Congressional Research Service, LSB11362, September 10, 2025

    原告の Chrome 売却要求と米国検索の20%という主張、地裁が退けた四つの理由

    取得日: 2026-10-23

  7. 二次資料Browser Market Share Worldwide (all platforms) — StatCounter Global Stats

    2012年5月の逆転(29.15% 対 28.87%)と2026年9月の値

    取得日: 2026-10-23

  8. 二次資料Desktop Browser Market Share Worldwide — StatCounter Global Stats

    取得日: 2026-10-23

  9. 三次資料Google Chrome — Wikipedia

    2008年12月11日の安定版、Chromium とプロプライエタリな配布、Chromium 系ブラウザ、Perplexity の買収提案

    取得日: 2026-10-23

  10. 三次資料United States v. Google LLC (2020) — Wikipedia

    取得日: 2026-10-23

最終更新:

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