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ミニディスク ── カセットの後を継ごうとした録音できる小型ディスク

メタデータ
- 日付
- 年代
- 1990s
- Tier
- T1
- 参照年表
- 半導体・ハードウェアの歴史
- 出典数
- 06
- 関連項目
- 01
- Tags
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ミニディスク(MD) は、1992年11月に日本で発売された。ソニーの社史によると、このとき録音・再生機「MZ-1」、再生専用機「MZ-2P」、録音用ディスク「MDW-60」が、ソニー・ミュージックエンタテインメントの音楽ソフト88タイトルとともに店頭に並んだ。海外では翌12月に発売されている。カセットのように録音でき、CD のように瞬時に頭出しができる小型ディスクとして、ソニーはコンパクトカセットの後継を狙った。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発の開始 | 1990年 |
| 発表 | 1991年5月 |
| 発売 | 1992年11月(日本)、12月(海外) |
| 最初の製品 | MZ-1(録音・再生)、MZ-2P(再生専用)、MDW-60(録音用ディスク) |
| ディスク | 直径6.4cm、カートリッジ入り、光磁気記録 |
| 記録時間 | 74分(CD と同じ) |
| 音声圧縮 | ATRAC(Adaptive TRansform Acoustic Coding) |
| 音飛び対策 | 半導体メモリーによる「ショックプルーフメモリー」 |
| 録音再生機器の販売終了 | 2013年3月(ソニー) |
| 録音用ディスクの生産終了 | 2025年2月(ソニー) |
※ 開発から発売まではソニーの社史、終了時期はソニーのお知らせによる。
カセットの頭打ちと、CD を使った録音機
ソニーの社史によると、1990年に入るころ、音楽テープを含むコンパクトカセットの売り上げは頭打ちになり、国内の生産量・生産額は1988年をピークに下がり続けていた。CD は再生専用で、大賀典雄(当時社長)は録音できる次世代の音楽メディアもディスクでつくりたいと考えていた。
きっかけは1989年のオーディオフェアに出品された「CD を使った録音機」だった。ソニーは CD のあと、1回だけ書き込める光ディスク(WO)を1986年に、書き換えができる光磁気ディスク(MO)を1988年に商品化しており、この試作機は MO の光磁気記録技術で作られていた。大賀は CD ではなく、もっと小さなディスクでカセットに代わるものをつくるべきだと告げ、1990年に開発が始まった。
CD のときに組んだフィリップスとは、今回は道が分かれた。社史は、コンパクトカセットの生みの親であるフィリップスはカセットのデジタル化を考えていたとし、話し合いを重ねても共同歩調はとれなかったと書く。フィリップスなどが開発したのが「デジタルコンパクトカセット(DCC)」で、MD の発売目標は DCC と同じ1992年11月に置かれた。
6.4cm に74分を入れる ATRAC
ディスクの直径は6.4cm に決まった。CD と同じ74分の音声を、面積で約4分の1のディスクに記録しなければならない。そのためにソニーが開発したのが、音声圧縮技術「ATRAC(Adaptive TRansform Acoustic Coding)」である。持ち歩いて聴くことを前提に、再生中に衝撃を受けても音が途切れないよう、半導体メモリーにためた音で再生をつなぐ「ショックプルーフメモリー」も同時に開発された。ディスクはカートリッジに収められている。
1991年5月、ソニーは MD システムを発表した。社史によると、大賀は日本と米国の発表会で、1992年末の発売を目標に国内外のメーカー各社へ MD の採用を提案すると呼びかけ、有力なハード・ソフトのメーカーとライセンス契約を結んでいった。CD は家でゆったり聴くとき、MD は ウォークマン のようにどこでも手軽に、と用途を分けて打ち出している。
1年で仕上げた1号機
社史によると、6cm 四方ほどの録音・再生機という課題が技術者に伝えられたのは1991年末で、発売まで1年しかなかった。担当したのは、ウォークマンやポータブル CD プレーヤー「D-50」を手がけた小型化の専門家たちだった。光学ピックアップは開発途上で、マイコンのソフトウエアも再生専用の CD 機とは勝手が違った。本部長の高篠静雄は、連日の深夜作業と休日出勤を続ける担当者の家族に1人ずつ手紙を出して理解を求めたという。
ソフトの側では、CD のために整えた日米欧の生産拠点が使えた。1992年8月に日本で MD ソフトの量産が始まり、秋には海外工場でも生産が始まった。録音用 MD は同じ年の7月に仙台テクノロジーセンターで生産が始まっている。11月の発売に合わせ、東京・大阪・名古屋の主要電気店で試聴キャンペーンが行われた。
日本で広まったディスク
社史によると、1995年には業界全体の MD ハードウェアの国内販売台数が100万台に達した。MD は音楽以外にも広げられ、音声・画像・文字用の「MD データ」が1993年、画像用の「MD ピクチャー」が1994年に規格化されている。
普及の度合いは地域で大きく違った。英語版ウィキペディアは、MD は日本とアジアの一部で非常に人気があり、欧州でもそこそこ売れたとし、ソニーは2011年3月までに MD プレーヤーを2200万台販売したと記している。これらの数字はソニーの一次資料では確認できなかった。
Hi-MD ── 1GB への延命
2004年1月8日、ソニーマーケティングは新規格「Hi-MD」の第1弾製品を発表した。記録方式の変更と信号処理の効率化で、従来の MD ディスクにも約2倍の密度で記録できるようにし、80分ディスクに約300MB のデータを入れられた。新しい「記録用 Hi-MD ディスク(1GB)」では最長約45時間の録音ができ、圧縮しないリニア PCM での録音・再生にも対応した。発売は当初の6月から7月10日(ウォークマン3機種とディスク)、7月21日(デスクトップオーディオ)に変更されている。
それでも流れは戻らなかった。GIGAZINE の2011年7月8日の記事によると、ソニーは Hi-MD ウォークマン「MZ-RH1」の出荷を2011年9月に、Hi-MD ディスクの出荷を2012年9月に終えると発表した。同記事は、MP3 に対応しパソコンとの相性がよいフラッシュメモリーのプレーヤーが広がったことを衰退の理由に挙げている。MP3 と、パソコンの音楽ライブラリと同期する iPod の流れである。
2013年の機器、2025年のディスク
ソニーは2013年1月31日、MD を搭載したシステムステレオ「CMT-M35WM」の出荷を2013年3月(予定)で終えると告知した。これでソニーの MD 対応録音再生機器の販売はすべて終わることになった。このとき、記録ディスクの生産は当面続けるとしていた。
そのディスクも2025年に終わった。ソニーは2025年1月23日、録音用ミニディスクと記録用 MD データの全モデルの生産を2025年2月で終えると案内した。同じ告知でブルーレイディスクメディアとミニ DV カセットの生産終了も示し、後継機種はないとしている。
機器全体の流れは 半導体・ハードウェアの年表 を参照。
よくある質問
- MD はいつ発売されたのですか。
- ソニーの社史によると、1992年11月にまず日本で、録音・再生機 MZ-1、再生専用機 MZ-2P、録音用ディスク MDW-60 が、ソニー・ミュージックエンタテインメントの音楽ソフト88タイトルとともに発売されました。海外では同年12月です。
- MD はなぜ小さなディスクに74分入るのですか。
- 直径6.4cm、面積で CD の約4分の1のディスクに同じ74分を記録するため、ソニーは ATRAC(Adaptive TRansform Acoustic Coding)という音声圧縮技術を開発しました。
- MD はいつ終わったのですか。
- ソニーは2013年1月31日に、MD 対応システムステレオの出荷を2013年3月に終え、MD 対応録音再生機器の販売をすべて終えると発表しました。録音用ミニディスクと記録用 MD データの生産は2025年2月に終了し、後継機種はないとしています。
出典
一次資料第10章 スタジオ録音もデジタルに <ミニディスク> — ソニーグループ「Sony History」(archived Nov 17, 2025)
カセットの国内生産が1988年をピークに減少、1989年の CD 録音機の試作と1990年の開発開始、フィリップスとの別路線、直径6.4cm・74分・ATRAC・ショックプルーフメモリー、1991年5月の発表、1992年11月の国内発売と88タイトル、12月の海外発売、1995年の国内販売100万台、MD データと MD ピクチャー
一次資料「Hi-MD」規格 対応MDウォークマン3機種、デスクトップオーディオ1機種 計4機種 発売 — ソニーマーケティング, 2004年1月8日
Hi-MD の1GB ディスク HMD1G と最長約45時間の録音、リニア PCM、既存ディスクの約2倍の高密度化、発売日の7月10日・7月21日への変更
二次資料一世を風靡したMD(ミニディスク)の最終進化形「Hi-MD」が出荷完了へ — GIGAZINE, 2011年7月8日
Hi-MD ウォークマン MZ-RH1 の出荷完了を2011年9月、Hi-MD ディスク HMD1GA を2012年9月とするソニーの発表
一次資料MD搭載システムステレオ『CMT-M35WM』出荷終了のお知らせ — ソニー, 2013年1月31日
2013年3月の出荷終了で MD 対応録音再生機器の販売をすべて終了、MD(記録ディスク)の生産は当面継続
一次資料ブルーレイディスクメディア、録音用ミニディスク、記録用MDデータ、ミニDVカセット生産終了のご案内 — ソニー, 2025年1月23日
録音用ミニディスクと記録用 MD データの全モデルの生産を2025年2月で終了、後継機種なし
日本とアジアの一部での普及、2011年3月までの MD プレーヤー2200万台
最終更新: