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Zip ドライブ ── 100MB でフロッピーの後継を狙った Iomega

メタデータ
- 日付
- 年代
- 1990s
- Tier
- T1
- 参照年表
- 半導体・ハードウェアの歴史
- 出典数
- 08
- 関連項目
- 00
- Tags
- #storage#consumer#market
Zip ドライブは、米ユタ州ロイの Iomega が 1994年 に発表し、1995年に出荷を始めた、取り外しできる磁気ディスクの記録装置である。3.5インチのフロッピーより少し厚いカートリッジに 100MB を収めた。当時の3.5インチの高密度フロッピーは1.44MB で、その約70倍にあたる。ディスク1枚付きの外付けドライブは199ドルで、フロッピーに入りきらない仕事のデータを運ぶ手段として広く使われた。一方で「クリック・オブ・デス」と呼ばれる故障が知られ、集団訴訟にまで発展した。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1994年 | Iomega が Zip を発表 |
| 1995年 | 出荷を開始。最初は外付けのパラレルポート版 |
| 1998年 | 「クリック・オブ・デス」をめぐる集団訴訟がデラウェア州の裁判所に起こされる |
| 1999年ごろ | 250MB の ZIP 250 |
| 2001年 | Iomega が和解案を示す |
| 2002年 | 750MB の ZIP 750 |
| 2008年 | EMC が Iomega を約2億1,300万ドルで買収すると発表 |
| 2013年 | EMC と Lenovo の合弁 LenovoEMC が事業を引き継ぐ |
いつ出たのか ── 1994年の発表と1995年の出荷
発表と出荷の年はずれている。英語版 Wikipedia が引く Iomega の1995年3月の年次報告書は、1994年に発表した Zip 製品を1995年上半期に出荷し始める見込みだと書いており、Wikipedia はこの製品の販売期間を1995年から2003年としている。レトロPC の解説サイト DOS Days は、1994年初めに発表され、199ドルで発売されたとし、最初に店頭に出たのは外付けのパラレルポート版だったと記している。
何が新しかったのか
| 項目 | 内容(DOS Days による) |
|---|---|
| 容量 | 100MB(25MB のディスクもあった) |
| 価格 | 外付けドライブ199ドル(ディスク1枚付き)、追加の100MB ディスク1枚19.95ドル |
| 接続 | パラレルポート、SCSI。のちに IDE/ATAPI の内蔵型、USB |
| 対応機種 | Macintosh と、Windows・OS/2・DOS の PC |
| 英国価格 | ドライブ150ポンド、ディスク15ポンド |
DOS Days によると、Windows では Zip ドライブがフロッピーと同じようにエクスプローラーに現れ、使い始めるのにほとんど手間がかからなかった。最初の15か月で200万台以上が出荷され、Iomega 自身の楽観的な見通しも大きく上回ったという。
広がった理由として、複数の解説が価格を挙げる。Iomega がそれ以前に売っていた Bernoulli Box は、1985年に10MB 版が2,695ドルした(DOS Days)。Vice に転載された Tedium の記事は、1990年代末のピークには外付けが149ドル、内蔵が99ドルまで下がったとし、Dell が自社のパソコンに標準で載せたことを挙げている。書き込み型の CD がまだ一般的でなかった時期に、何度でも書き換えられる100MB は、デザイナーなど大きなファイルを扱う人にとって手頃な受け渡し手段になった。
「クリック・オブ・デス」
1998年の Low End Mac の解説によると、Zip と Jaz のドライブは、休止するときや読み取りに失敗したときにヘッドを退避させ、清掃し、位置を合わせ直すように作られていた。カチカチという音が止まらないのは、ディスクが読めなくなっているしるしで、多くはドライブが誤った書き込みでディスクを傷めた結果だという。厄介なのは、傷んだディスクを別のドライブに入れると、そのドライブも同じ音を立て、ときにはヘッドまで傷めうる点だった。DOS Days は、原因をヘッドの位置ずれとし、主に初期の ZIP 100 で起きたとしている。
1998年、デラウェア州の裁判所に集団訴訟が起こされた。2001年4月の Deseret News によると、原告は Zip の機器とディスクに製造上または設計上の欠陥があり、データが失われたと主張した。Iomega が示した和解案は、1995年1月1日から2001年3月19日までに Zip ドライブを買った米国の購入者に Iomega 製品の割引を提供し、「クリック」の問題について無料の技術サポートを行い、学校に100万ドル相当の製品とサービスを寄付するものだった。原告側代理人は、対象は最大2,800万人に及びうるとした。Globe and Mail によれば、割引は5〜40ドルで、現金を受け取るのは最大470万ドルの原告側弁護士だけだった。Iomega の CEO は、申し立てそのものは引き続き争うとしつつ、過去の製品をめぐる問題に区切りをつけることが株主と顧客の利益になると述べた。
容量を増やしても追いつけなかった
Iomega は容量を増やした。DOS Days によると、1999年までに250MB の ZIP 250(180ドル)、2002年には750MB の ZIP 750 を出し、ディスク1枚の容量が初めて CD を上回った。しかし Silicon UK の回顧は、Zip の売れ行きの頂点は1990年代半ばから後半で、2000年代初めには CD-R、CD-RW、そして USB フラッシュメモリに押されたとする。パソコンに数 GB のハードディスクが載るようになり、外付けの記録媒体の必要そのものも薄れた。
2008年4月8日、EMC は Iomega を1株3.85ドル、総額約2億1,300万ドルの現金による公開買付けで買収すると発表した。EMC のリリースは、Iomega を消費者・中小企業向けの新部門の中核に据えるとし、Zip にはもう触れていない。Silicon UK と Low End Mac によると、2013年に EMC と Lenovo の合弁 LenovoEMC が事業を引き継ぎ、製品は LenovoEMC の名に改められた。
位置づけ
Zip は、規格団体ではなく1社が「次のフロッピー」を作ろうとした試みとして、もっとも遠くまで進んだものの一つである。容量の軸では フロッピーディスク の延長にあり、配布の軸では読み出し専用の CD-ROM がすでにソフトの媒体になりつつあった。書き込める光ディスクと、動く部品のないフラッシュメモリが安くなったとき、その間に立っていた理由がなくなった。同じ時代の機器は 半導体・ハードウェアの年表 を参照。
よくある質問
- Zip ドライブはいつ出たのですか。
- Iomega が1994年に発表し、出荷は1995年に始まりました。英語版 Wikipedia が引く Iomega の1995年3月の年次報告書は、1994年に発表した Zip 製品を1995年上半期に出荷し始める見込みだと書いています。
- Zip ディスクの容量はどれくらいでしたか。
- 最初は100MB で、1.44MB の3.5インチフロッピーの約70倍でした。のちに250MB、2002年に750MB の型が出ました。
- 「クリック・オブ・デス」とは何ですか。
- Zip ドライブが読めないディスクに対して頭出しを繰り返し、カチカチと鳴り続ける症状です。原因はドライブ側の不具合とされ、傷んだディスクを別のドライブに入れると、そのドライブまで傷めることがあると指摘されました。1998年に集団訴訟が起こされ、2001年に和解案が示されました。
- Iomega はその後どうなりましたか。
- EMC が2008年4月8日、Iomega を1株3.85ドル、総額約2億1,300万ドルで買収すると発表しました。2013年には EMC と Lenovo の合弁会社 LenovoEMC が事業を引き継ぎ、製品は LenovoEMC の名に改められました。
出典
二次資料Iomega Drives (Part 1) — DOS Days
1994年の発表と199ドル、最初は外付けパラレル版、ディスク19.95ドル・25MB ディスク9.95ドル、最初の15か月で200万台超、ヘッドのずれによる不具合、ZIP 250 と ZIP 750
二次資料Tales In Tech History: Iomega Zip Drive — Silicon UK
1994年の設計、SCSI・パラレルから USB・FireWire へ、1998年の訴訟、CD-R・USB メモリ・大容量 HDD による衰退、2008年の EMC 買収と2013年の LenovoEMC
1990年代末の価格(外付け149ドル・内蔵99ドル)、Dell の標準搭載、1996年からの有料サポート
二次資料The Zip Disk Click of Death — Low End Mac, 1998
症状と仕組み(ヘッドの退避・清掃・再調整)、傷んだディスクが別のドライブを傷める可能性、2001年4月の和解と最大40ドルの割引
二次資料Iomega proposes settlement to end suit — Deseret News, Apr 13, 2001
1998年にデラウェア州の裁判所に起こされた訴訟、和解案の対象(1995年1月1日〜2001年3月19日の米国の購入者)、割引と無料サポート、学校への100万ドル相当の寄付、最大2,800万人という原告側代理人の見積もり、Iomega の声明
二次資料Lawyers are big winners in Iomega suit — The Globe and Mail, 2001
現金の支払いは原告側弁護士への最大470万ドルだけ、割引は5〜40ドル、6月に裁判所の承認待ち
一次資料EMC to Acquire Iomega — EMC press release, Apr 8, 2008 (Dell Technologies newsroom)
1株3.85ドル、約2億1,300万ドルの現金による公開買付け、消費者・中小企業向け部門の中核に
1995年から2003年までの販売、Iomega の1995年3月の年次報告書の引用(1994年に発表、1995年上半期に出荷開始の見込み)
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