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DVD ── 規格戦争を発売前に終わらせた光ディスク

CD と DVD の違いを示す図。ピックアップの構造、ピットの間隔、レーザーの波長、2層 DVD の読み取りを比べている
出典Hoikka1 (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 3.0 · Commons で見る ↗

メタデータ

日付
年代
1990s
Tier
T1
出典数
12
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DVD のプレーヤーが最初に発売されたのは日本で、1996年11月である。東芝は同年9月27日に、最初の DVD プレーヤー SD-3000 を11月1日に7万7000円で発売すると発表し、東芝自身は1996年11月に「世界初の家庭用DVDプレーヤ」として販売したとしている。米国での発売はおよそ4か月半後の1997年3月で、最初はロサンゼルスやニューヨークなど7都市に限られていた。日本は第1陣で、DVD FAQ によれば最初にプレーヤーが登場した市場でもある。

DVD の歴史でもう1つ重要なのは、発売の1年以上前に規格争いが決着していたことだ。ソニーとフィリップスの陣営と、東芝とタイム・ワーナーの陣営が別々の規格を打ち出していたが、1995年のうちに一本化された。規格の分裂を、製品が店頭に並ぶ前に避けたのである。

2つの規格 ── MMCD と SD

CD と同じ直径12cmのディスクに映画1本を収めるには、記録密度を上げることと、映像を MPEG-2 で圧縮することの両方が必要だった。Stewart Wolpin がまとめた DVD の歴史によると、ハリウッドの側では Warner Home Video の社長 Warren Lieberfarb が次世代のビデオディスクを求め、東芝と組んだ。1994年9月には、Lieberfarb が作った映画会社の諮問委員会が、135分以上の収録時間、3〜5か国語の音声、複数の字幕、複数の画面比、ドルビーデジタルの多チャンネル音声、ペアレンタルロックなどを求める要求仕様をまとめている。

MMCDSD(Super Density)
中心企業ソニー、フィリップス東芝、タイム・ワーナー、松下電器、日立、パイオニアなど
発表1994年12月16日1995年1月24日(SD 陣営としての発表)
ディスク構造厚さ1.2mmの1枚、3.75GB厚さ0.6mmの2枚を貼り合わせ、1層あたり5GB
変調方式CD の方式を拡張した EFM+より効率的だが実績の少ない独自方式

※ 値は Wolpin の記述による。

コンピュータ業界による仲介

決着の鍵を握ったのはコンピュータ業界だった。Wolpin によると、IBM の Alan Bell を議長とし、Apple・Compaq・Microsoft などが加わった技術作業グループ(TWG)が両陣営の技術を検討し、パソコンでも使えることを含む要件を1995年5月に公表して、単一の規格を求めた。7月末には、IBM が SD を支持する用意があると Bell が非公式に伝え、ソニーは自社の変調方式 EFM+ の採用を条件に歩み寄った。

ソニーとフィリップスは1995年8月24日、ベルリンの IFA の記者会見で譲歩を公表した。SD 陣営は内部の議論を経て、9月15日に受け入れを公表している。最終的な統一仕様は11月13日の Comdex で発表された。

DVD フォーラムの記録によると、統一規格を推進する組織は1995年に DVD コンソーシアム として10社で発足した。日立、松下電器、三菱電機、パイオニア、フィリップス、ソニー、トムソン、タイム・ワーナー、東芝、日本ビクターである。この組織は1997年8月7日に DVD フォーラムとして活動を始めた。

1996年11月、日本で発売

東芝の SD-3000 は、DVD ビデオと音楽 CD を再生でき、ドルビー AC-3 のデコーダ、S 映像出力、色差出力を備えていた。当時の Newsbytes の報道によると、東芝は日本の大手電機メーカーで3社目のプレーヤー発表であり、同時にパソコン向けの DVD-ROM ドライブ SD-M1002 のサンプル出荷も始めていた。容量4.7GB のディスクは CD-ROM の数倍のデータを収められ、ドライブは既存の CD-ROM も読めた。

SD-3000 と、DVD 専用の1チップ MPEG-2 デコーダ LSI「TC81201F」は、2020年に国立科学博物館の重要科学技術史資料(未来技術遺産)に登録された。同じ年には、松下電器(現パナソニック)が1996年に発売した DVD-A300 も登録されている。東芝は SD-3000 を、パナソニックは DVD-A300 を、それぞれ最初の家庭用 DVD プレーヤーと位置づけており、どちらが先かを一方の主張だけで決めることはできない。

DVD FAQ によると、東芝は1996年11月1日から年末までに日本で10万〜15万台の DVD ビデオプレーヤーが売れると予測していた。

1997年3月、米国で発売

地域発売時期補足
日本1996年11月東芝 SD-3000 は11月1日発売と予告、7万7000円
米国1997年3月7都市に限定。公式の開始は3月19日、ソフトの店頭販売は3月24日、プレーヤーの入荷は3月26日

The Digital Bits の Bill Hunt によると、米国の最初の試験市場はロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ、ダラス、ニューヨーク、シアトル、ワシントンの7都市で、Warner は25タイトルで販売を始めた。DVD FAQ は、最初の6か月は7大都市に限られ、1997年の最初のプレーヤーは1000ドル以上したと書いている。

日本と米国でソフトを分けたのが リージョンコード である。DVD FAQ によると、米国とカナダはリージョン1、日本は欧州などと同じリージョン2に割り当てられ、原則として地域の異なるディスクは再生できない。

名前と、その後

DVD は当初 digital video disc の頭文字で、のちに一部の関係者が、映像以外の用途も表す digital versatile disc という読み替えを唱えた。DVD FAQ によると、DVD フォーラム全体はどちらも正式には採用しておらず、公式の答えは「何の略でもない」である。

DVD フォーラムの解説では、DVD は1つの層に2時間以上の映像を収められ、両面2層の DVD ビデオなら総容量は17GB になる。録画用には DVD-R・DVD-RAM・DVD-RW が続いた。

普及を大きく後押ししたのはゲーム機だった。2000年3月4日に日本で発売された PlayStation 2 は DVD ビデオの再生に対応し、国立科学博物館は2024年に未来技術遺産に登録した際、当時の一般的な DVD プレーヤーより低価格で DVD の普及に貢献したと評価している。その翌年に出た Microsoft の Xbox も DVD ドライブを積んでいた。

同じ時代の機器の出来事は ハードウェアの年表 にある。

よくある質問

DVD プレーヤーはいつ発売されたのですか。
最初は日本で、1996年11月です。東芝は9月27日に SD-3000 を11月1日に7万7000円で発売すると発表しており、東芝自身は1996年11月に世界初の家庭用 DVD プレーヤーとして販売したとしています。米国では1997年3月に発売が始まりました。
アメリカで DVD が発売されたのはいつですか。
1997年3月です。最初の半年ほどはロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ、ダラス、ニューヨーク、シアトル、ワシントンの7都市に限られていました。The Digital Bits によると、3月19日が公式の開始日で、店頭にソフトが並んだのは3月24日、プレーヤーの入荷は3月26日でした。
DVD の規格争いはどう決着したのですか。
ソニーとフィリップスの MMCD と、東芝・タイム・ワーナーらの SD が対立していましたが、IBM などのコンピュータ業界が単一規格を求めて仲介しました。1995年8月24日にソニーとフィリップスが歩み寄りを公表し、9月15日に SD 陣営も受け入れを公表しています。SD 方式を基本に、ソニー側の変調方式 EFM+ を採用する形でした。
DVD は何の略ですか。
もとは digital video disc の頭文字で、のちに一部の関係者が digital versatile disc という読み替えを提案しました。DVD FAQ によると、DVD フォーラム全体としてはどちらも公式には採用しておらず、公式の答えは「何の略でもない」です。

出典

  1. 二次資料Toshiba Announces DVD Video And ROM Players — Newsbytes, Sep 27, 1996 (forwarded to the TLUG mailing list)

    SD-3000 の11月1日発売予定と7万7000円の価格、東芝が国内大手で3社目の発表、DVD-ROM ドライブ SD-M1002 のサンプル出荷、4.7GB

    取得日: 2026-10-05

  2. 一次資料【東芝】1996年に発売した世界初の家庭用DVDプレーヤとDVD用MPEG-2デコーダLSIが国立科学博物館の「未来技術遺産」に登録 — 東芝, 2020年9月15日

    1996年11月の SD-3000 の販売、規格化の主導、MPEG-2 デコーダ LSI TC81201F

    取得日: 2026-10-05

  3. 一次資料World's First DVD Player — Toshiba Science Museum

    取得日: 2026-10-05

  4. 一次資料Mission (Ten Founding Companies) — DVD Forum (archived Dec 21, 2001)

    1995年に DVD コンソーシアムとして10社で発足、創設10社の一覧

    取得日: 2026-10-05

  5. 一次資料Forum FAQ — DVD Forum (archived Mar 2, 2009)

    DVD フォーラムの発足は1997年8月7日

    取得日: 2026-10-05

  6. 一次資料DVD Primer — DVD Forum (archived Dec 5, 2001)

    取得日: 2026-10-05

  7. 二次資料The History of DVD — Stewart Wolpin, Sep 24, 2015 (originally written for DVD Etc., 2007)

    MMCD(1994年12月16日)と SD 陣営(1995年1月24日)の発表、スタジオの要求仕様、IBM の Alan Bell の仲介、9月15日の公表、11月13日の最終仕様

    取得日: 2026-10-05

  8. 二次資料DVD Frequently Asked Questions (and Answers) — Jim Taylor, DVD Demystified

    日本で1996年11月、米国で1997年3月(最初の6か月は7大都市のみ)、リージョンコード、DVD の名称、東芝の販売見込み

    取得日: 2026-10-05

  9. 二次資料Time Flies When You're Having Fun: The DVD Format Turns 20 This Month! — Bill Hunt, The Digital Bits, Mar 1, 2017

    米国の開始日(3月19日)、7つの試験市場、ソフト3月24日・プレーヤー3月26日、ワーナーの初回25タイトル

    取得日: 2026-10-05

  10. 三次資料DVD — Wikipedia

    取得日: 2026-10-05

最終更新:

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