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東芝
1875年に田中久重が東京に開いた電信機の工場と、1890年に藤岡市助らが設立した白熱舎を源流とし、両社の後身が1939年に合併して東京芝浦電気となった企業。1984年に社名を東芝とした。社員の舛岡富士雄らがフラッシュメモリと NAND 型のセルを学会で発表し、1985年には欧米向けのラップトップ T1100 を出展した。2015年に不適切会計が発覚して金融庁から課徴金73億7,350万円の納付を命じられ、2006年に買収した米 Westinghouse は2017年に米連邦破産法第11章の適用を申請した。医療機器、白物家電、メモリ、パソコン、テレビを手放し、2023年12月に日本産業パートナーズ系の TBJH による買収で上場を廃止した。2026年3月期の売上高は3兆7,091億円。

組織情報
- 設立
- 1875
- 状態
- 稼働中
- 活動期間
- 1875–
- 関連事象
- 03
- 名称
- ENToshiba CorporationJA東芝
株式会社東芝の源流は2つある。同社の沿革によると、1つは田中久重が1875年に東京・新橋で始めた電信機の工場で、1882年に田中製造所、1893年に芝浦製作所となった。もう1つは藤岡市助と三吉正一が1890年に設立した電球メーカーの白熱舎で、1899年に東京電気と改称した。三井系の両社は1939年に合併して 東京芝浦電気 となり、英文社名は1983年に Toshiba Corporation、和文の正式社名は1984年に東芝となった。
東芝がつくった「最初」
このサイトの項目と重なる東芝の技術・製品を並べると、記録媒体と持ち運べるパソコンが目立つ。
| 年 | 技術・製品 | 出典に書かれていること |
|---|---|---|
| 1984年 | フラッシュメモリ | 舛岡富士雄らが12月の国際電子デバイス会議(IEDM)でフラッシュ型 E2PROM のセルを発表。日本半導体歴史館はこれをフラッシュメモリの最初の発表とする |
| 1985年 | ラップトップ T1100 | IBM PC 互換の16ビット機。日本では発売されず、ハノーバーメッセで欧米市場向けに出展(情報処理学会)。東芝の沿革は「世界初のラップトップ」とする |
| 1987年 | NAND 型フラッシュ | 舛岡、M. Momodomi、Y. Iwata、R. Shirota が IEDM で NAND 構造のセルを発表 |
| 1989年 | ノートパソコン DynaBook J-3100SS | A4ファイルサイズ、2.7kg(情報処理学会) |
| 1996年 | DVD | 東芝の沿革は、高密度光ディスク DVD の開発と規格化、日本での DVD プレーヤーの商品化を挙げる |
| 2006年 | HD DVD | 東芝の沿革は、世界初の HD DVD プレーヤーとレコーダーの商品化を挙げる。Blu-rayとの規格争いはその項目に譲る |
メモリ事業は東芝メモリとして分社され、後で見るとおり2018年に売却された。売却に先立ち、SanDisk と設けたフラッシュメモリの製造合弁3社の持分も東芝メモリへ移されている。
2015年から2023年 ── 会計問題、原子力、非上場化
東芝の沿革は、2015年の不適切会計の発覚と、その後の海外原子力事業の巨額損失によって、創業以来もっとも深刻な危機に陥ったと書いている。
- 会計: 金融庁は2015年12月25日、2012年3月期と2013年3月期の有価証券報告書に重要な虚偽の記載があったなどとして、東芝に課徴金73億7,350万円の納付を命じた。金融庁の決定文は、たとえば2010年3月期の連結当期純損益が539億円の損失だったところを197億円の損失と記載した報告書を参照して社債を発行したと認定している。
- 原子力: 東芝は2006年2月、英国核燃料会社(BNFL)から Westinghouse を54億ドル(約6,210億円)で買収することで合意し、同年10月に買収を完了した。2017年3月29日、Westinghouse とそのグループは米連邦破産法第11章の適用を申請した。東芝の発表では、2016年12月末の負債総額は98億1,100万ドルで、うち12億8,700万ドルが東芝グループに対するものだった。
- 事業の売却: 沿革によれば、東芝はこの間に医療機器(東芝メディカルシステムズ、現キヤノンメディカルシステムズ)、白物家電(中国 Midea へ)、テレビ(中国 Hisense グループへ)を譲渡した。メモリ事業の東芝メモリ(現キオクシア)は2018年6月1日に売却を完了し、パソコンの東芝クライアントソリューション(現 Dynabook)は同年10月1日に株式の80.1%をシャープへ譲渡した。
- 非上場化: 日本産業パートナーズ(JIP)が間接的に全株を持つ TBJH が、2023年8月8日から9月20日まで1株4,620円で公開買付けを行い、議決権の78.65%に当たる応募を得た。株式併合を経て、東芝株は2023年12月20日に東京証券取引所プライム市場と名古屋証券取引所プレミア市場で上場廃止となった。
重要事件
- 1875年: 田中久重が東京に電信機の工場を開く。
- 1890年: 藤岡市助らが白熱舎を設立。
- 1939年: 芝浦製作所と東京電気が合併し、東京芝浦電気が発足。
- 1984年: 正式な社名が東芝に。フラッシュメモリのセルを IEDM で発表。
- 1985年: ラップトップ T1100 をハノーバーメッセに出展。
- 1987年: NAND 構造のセルを IEDM で発表。
- 2006年10月: Westinghouse の買収を完了。
- 2015年12月: 金融庁が課徴金73億7,350万円の納付を命じる。
- 2017年3月: Westinghouse が米連邦破産法第11章の適用を申請。
- 2018年: メモリ事業(6月)とパソコン事業(10月)を売却。
- 2023年12月20日: 上場廃止。
業績指標
2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)、米国会計基準、未監査。2026年5月15日の決算資料による。
- 売上高: 3兆7,091億円(前期3兆5,139億円、+5.6%)
- 営業利益: 3,008億円(前期1,985億円) / 売上高営業利益率 8.1%(同社は過去最高としている)
- 営業外損益: 2兆4,129億円(うちキオクシア関連2兆2,770億円)
- 当期純利益: 1兆9,673億円(前期2,790億円)
決算資料によれば、売上と営業利益の伸びは送変電を含むエネルギー、データセンター向け需要による HDD、防衛・鉄道・社会システムを含むインフラ事業などによる。
数字の形は、この会社の20年を映している。本業の営業利益3,008億円に対し、純利益はその6倍を超える1兆9,673億円で、差の大半は2018年に売ったメモリ事業、キオクシアの株式から来ている。東芝は売却の際に買い手の Pangea に再出資し、議決権の約40.2%を持っていた。フラッシュメモリを生んだ会社は、その事業を手放したあとも、株主としてその価値の上昇から大きな利益を得たことになる。非上場化の際の借入れは2026年3月末に有利な条件で借り換えたと、同社は資料で説明している。
関連する出来事
よくある質問
- 東芝の創業はいつですか。
- 源流は2つあります。1875年に田中久重が東京に開いた電信機の工場(のちの芝浦製作所)と、1890年に藤岡市助と三吉正一が設立した白熱舎(のちの東京電気)です。この2社が1939年に合併して東京芝浦電気となり、1984年に正式な社名が東芝になりました。
- フラッシュメモリを発明したのは東芝ですか。
- 東芝の舛岡富士雄らが、1984年の国際電子デバイス会議(IEDM)でフラッシュ型の E2PROM セルを、1987年の同会議で NAND 構造のセルを発表しました。日本半導体歴史館は、フラッシュメモリの最初の発表を1984年12月の舛岡によるものとしています。
- 東芝はなぜ上場を廃止したのですか。
- 日本産業パートナーズ(JIP)が間接的に全株を持つ TBJH が、2023年8月8日から9月20日まで1株4,620円で株式公開買付けを行い、議決権の78.65%に当たる応募を得て成立しました。その後の株式併合を経て、東芝株は2023年12月20日に東京証券取引所と名古屋証券取引所で上場廃止となりました。
- 東芝の最近の業績はどれくらいですか。
- 2026年3月期(2025年4月〜2026年3月、米国会計基準、未監査)の売上高は3兆7,091億円、営業利益は3,008億円、当期純利益は1兆9,673億円でした。純利益には、キオクシアの株式の売却益と評価益が含まれます。
出典
一次資料History / Chronology of History — Toshiba
1875年の田中久重の工場と1890年の白熱舎、1939年の合併、英文社名(1983年)と和文社名(1984年)、ラップトップ、DVD、HD DVD、Westinghouse、2015年の不適切会計と事業の譲渡、上場廃止
一次資料株式会社東芝に係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について — 金融庁、平成27年12月25日
課徴金73億7,350万円の納付命令。2012年3月期・2013年3月期の有価証券報告書の虚偽記載と、虚偽の報告書を参照した社債の募集
一次資料TOSHIBA ACQUIRES WESTINGHOUSE FROM BNFL — Toshiba, February 6, 2006
買収額54億ドル(約6,210億円)
Westinghouse グループの米連邦破産法第11章の申請、2016年12月末の負債総額98億1,100万ドル
パソコン事業会社の株式80.1%をシャープへ譲渡
TBJH は日本産業パートナーズの100%間接子会社
公開買付期間2023年8月8日〜9月20日、買付価格4,620円、応募は議決権の78.65%
一次資料FY2025 Consolidated Business Results — Toshiba Corporation, May 15, 2026
売上高・営業利益・当期純利益(米国会計基準、未監査)、キオクシア株式の売却益と評価益
二次資料Flash memory released (Toshiba), 1984 — Semiconductor History Museum of Japan
フラッシュメモリの最初の発表は1984年12月の IEDM での舛岡富士雄によるもの
二次資料【東芝】 T-1100 — 情報処理学会 コンピュータ博物館(Wayback Machine 保存版)
IBM PC 互換の16ビットポータブル。日本国内では発売されず、1985年にハノーバーメッセで欧米市場向けに出展
二次資料【東芝】 DynaBook J-3100SS — 情報処理学会 コンピュータ博物館(Wayback Machine 保存版)
1989年発売、A4ファイルサイズ、2.7kg
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