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Microsoft が OpenAI に10億ドル投資

出典OpenAI (Wikimedia Commons) · Public domain (below threshold of originality) · Commons で見る ↗

メタデータ

日付
年代
2010s
Tier
T1
参照年表
Microsoftの歴史
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Microsoft が OpenAI に最初に投資したのは2019年7月22日である。この日、両社はサンフランシスコとレドモンドから複数年の提携を発表し、Microsoft は OpenAI に10億ドルを投資した。提携の中身は、Azure 上で AI 向けのスーパーコンピューティング技術を共同開発すること、OpenAI が自社のサービスを Azure で動かすようにすること、そして OpenAI が新しい AI 技術を商用化するときの優先パートナーを Microsoft にすること、の3点だった。

当時の OpenAI は、ChatGPT はおろか API 製品も持たない研究組織だった。このページでは、両社がこの日に何を発表したかを、それぞれの発表文に沿って確かめる。

2019年7月22日に発表されたこと

Microsoft のプレスリリースは、提携の内容を次のように列挙している。

項目Microsoft の発表OpenAI の発表
投資額10億ドル10億ドル
共同開発Azure の AI スーパーコンピューティング技術同じ
計算基盤OpenAI がサービスを Azure へ移すMicrosoft が独占的なクラウドプロバイダーになる
商用化Microsoft が新しい AI 技術の優先パートナー汎用人工知能より前の技術をライセンスし、Microsoft がその優先パートナー
目的汎用人工知能(AGI)の約束を果たす経済的な恩恵が広く行き渡る AGI を作る

見出しの言葉にも差がある。Microsoft の見出しは exclusive computing partnership(独占的なコンピューティング提携)という言葉を使い、本文は OpenAI が Azure にサービスを移すと書く。OpenAI のブログはもっとはっきりと、Microsoft が独占的なクラウドプロバイダーになると書いた。

Microsoft のリリースには OpenAI の CEO Sam Altman の言葉として、"The creation of AGI will be the most important technological development in human history, with the potential to shape the trajectory of humanity" という一文が載っている。AGI の実現を人類史上もっとも重要な技術的発展と位置づけたものだ。

なぜ OpenAI は資金を必要としたのか

OpenAI は2015年に非営利の研究組織として始まった。2019年3月11日、OpenAI は利益に上限を設けた営利部門 OpenAI LP を設けると発表し、その理由を、今後数年で大規模なクラウド計算や AI スーパーコンピュータに数十億ドルを投じる必要があるからだと説明している。投資家と従業員は上限付きのリターンを受け取り、それを超える利益は元の非営利組織のものになる、という仕組みだった。Microsoft の投資は、この新しい器ができて4か月後のことである。

OpenAI の7月22日のブログは、資金の手当て方も書いている。製品を作るのがいちばん分かりやすい方法だが、それでは研究の焦点が変わってしまう。そこで AGI より前の段階の技術の一部をライセンスし、その商用化の優先パートナーを Microsoft にする ── という説明である。

技術の面では、同じ年の2月14日に言語モデル GPT-2 を発表していた(GPT-3 の記事に経緯がある)。OpenAI の7月22日のブログは2012年以来の AI の進歩を年ごとに並べ、2019年の例として文章の生成を挙げている。

その後の提携の広がり

2019年の提携は、その後の数年で範囲を大きく広げた。

時期出来事
2019年7月22日10億ドルの投資と複数年の提携を発表
2020年9月22日Microsoft が GPT-3 の独占ライセンスを取得。OpenAI は自前の API での提供を続ける
2021年Microsoft による2度目の投資(Microsoft の2023年の発表による)
2023年1月23日第3段階の複数年・数十億ドル規模の投資を発表
2023年3月14日Microsoft が、2月から公開していた 新しい Bing が GPT-4 で動いていると公表
2025年1月21日新しい計算容量の独占を、Microsoft の優先交渉権に改める
2025年10月28日OpenAI の再編に合わせて新契約。Microsoft の持分は約27%(希薄化後)
2026年4月27日契約を再改定。Microsoft の知的財産ライセンスは非独占に

2020年の GPT-3 の独占ライセンスについて、Microsoft の CTO Kevin Scott は、OpenAI が自社の Azure 上の API で GPT-3 などのモデルを引き続き提供すると書いている。独占の対象は、Microsoft が自社製品に組み込むためのライセンスだった。

2023年1月の発表で、Microsoft はこれを提携の第3段階と位置づけ、2019年と2021年の投資に続くものだと説明した。金額は multiyear, multibillion dollar(複数年・数十億ドル規模)と書かれただけで、具体的な数字は示されていない。同じ発表は、Azure が OpenAI の研究・製品・API のすべての処理を担う独占クラウドであることを改めて確認している。

独占はどう緩んだか

2025年1月21日、Microsoft は、OpenAI が大規模な Azure の利用を新たに約束したうえで、新しい計算容量についての独占を Microsoft の優先交渉権(ROFR)に改めると発表した。あわせて、OpenAI が主に研究とモデルの学習のために追加の計算容量を自ら構築することも承認した。

2025年10月28日の新契約では、OpenAI の営利部門が公益法人 OpenAI Group PBC に再編され、Microsoft はその約27%(希薄化後、全株主ベース)を持つことになった。Microsoft はその価値を約1350億ドルとしている。この時点では、AGI の到来までは Microsoft が知的財産の独占的な権利と Azure API の独占を保つとされていた。

そして2026年4月27日、両社は契約を再び改めた。The Next Web の報道によれば、Microsoft は2032年までの知的財産ライセンスを持ち続けるものの、それは非独占となり、Azure は主要なクラウドとして残る一方、OpenAI は他社のクラウドでも製品を提供できるようになった。2019年に始まった排他的な関係は、この改定で大きく形を変えた。

2019年の投資の位置

10億ドルという額は、その後の投資規模と比べれば小さい。しかし2019年7月の発表で、計算基盤を Azure に置き、商用化の窓口を Microsoft にするという提携の骨組みが決まった。2023年の追加投資も、新しい Bing も、Microsoft 製品への OpenAI のモデルの組み込みも、この骨組みの上に積み上げられている。

当時の Microsoft の CEO は Satya Nadella で、2014年の就任以来クラウドを会社の中心に据えてきた(CEO 就任の記事)。企業については Microsoft と OpenAI、AI 全体の流れは AI の年表 にある。

よくある質問

Microsoft が OpenAI に最初に投資したのはいつですか。
2019年7月22日です。この日、両社が複数年の提携を発表し、Microsoft が OpenAI に10億ドルを投資すると明らかにしました。Microsoft は後に、この2019年の投資に続いて2021年にも投資したと書いています。
2019年の提携では何が決まりましたか。
Azure 上での AI スーパーコンピューティング技術の共同開発、OpenAI のサービスの Azure への移行、そして Microsoft を OpenAI の新技術を商用化する優先パートナーとすることです。OpenAI の発表は、Microsoft が独占的なクラウドプロバイダーになるとも書いています。
10億ドルの投資の時点で OpenAI はどんな組織でしたか。
2015年に非営利として始まった研究組織で、2019年3月に利益に上限を設けた営利部門 OpenAI LP を設けたばかりでした。製品としての API も ChatGPT もまだなく、OpenAI は資金を得る方法として、汎用人工知能より前の技術の一部をライセンスし、その優先パートナーを Microsoft にすると説明しました。
Azure の独占は今も続いていますか。
いいえ。2025年1月、新しい計算容量については Microsoft が優先交渉権を持つ形に改められました。2026年4月の改定では、Azure は主要なクラウドとして残る一方、OpenAI は他社のクラウドでも製品を提供できるようになり、Microsoft の知的財産ライセンスは非独占になりました。

出典

  1. 一次資料OpenAI forms exclusive computing partnership with Microsoft to build new Azure AI supercomputing technologies — Microsoft News, Jul 22, 2019

    10億ドルの投資、Azure スーパーコンピューティング技術の共同開発、Azure への移行、商用化の優先パートナー

    取得日: 2026-10-05

  2. 一次資料Microsoft invests in and partners with OpenAI to support us building beneficial AGI — OpenAI, Jul 22, 2019

    Microsoft を独占的なクラウドプロバイダーとする記述と、汎用人工知能以前の技術をライセンスするという資金計画

    取得日: 2026-10-05

  3. 一次資料OpenAI LP — OpenAI, Mar 11, 2019

    取得日: 2026-10-05

  4. 一次資料Microsoft and OpenAI extend partnership — The Official Microsoft Blog, Jan 23, 2023

    第3段階の複数年・数十億ドル規模の投資、2019年と2021年の先行投資、独占クラウドとしての Azure

    取得日: 2026-10-05

最終更新:

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