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GPT-4 発表 ── マルチモーダルへ

「TikZ でユニコーンを描け」という同一のプロンプトに対する GPT-4 の出力を、約1ヶ月の改良期間中に3回サンプリングして並べた図
出典Bubeck, S. et al., "Sparks of Artificial General Intelligence" (arXiv:2303.12712), Microsoft Research — via Wikimedia Commons · CC BY 4.0 · Commons で見る ↗

メタデータ

日付
年代
2020s
Tier
T1
参照年表
AIの歴史
出典数
13
関連項目
05

GPT-4 は2023年3月14日に OpenAI が発表した大規模言語モデルである。発表と同じ日から、有料の ChatGPT Plus の利用者は利用上限付きで GPT-4 を使えた。開発者向けの API は順番待ちの登録者を少しずつ招く形で始まり、2023年7月6日に支払い実績のあるすべての API 開発者へ開放された。発表文に提供する国や地域を限る記述はなく、提供の経路は ChatGPT Plus と API というオンラインのサービスだった。

OpenAI は GPT-4 を、画像とテキストを入力に取りテキストを返す大規模マルチモーダルモデルと紹介した。ただし画像入力は、発表時点では一般には公開されていなかった。

発表と提供の時系列

日付出来事
2023年3月14日GPT-4 を発表。ChatGPT Plus で利用上限付きの提供、API は順番待ち。技術レポートを公開
2023年3月14日Microsoft が、2月から試験公開していた新しい Bing は GPT-4 の初期版で動いていたと公表
2023年7月6日支払い実績のある全 API 開発者に GPT-4(8K 文脈)を開放
2023年9月25日ChatGPT の Plus・Enterprise 利用者へ、画像入力と音声の段階的な展開を開始
2024年5月13日後継の GPT-4o を発表
2025年4月30日ChatGPT から退役し GPT-4o に置き換え。API では提供を継続

発表日の提供条件

2023年3月の発表ページ(Internet Archive の保存版で確認できる)は、提供の条件を具体的に書いている。

項目内容
ChatGPTPlus の利用者が利用上限付きで使える。需要に応じて上限を調整
API順番待ちに登録した開発者を、当日から段階的に招待
入力API はテキストのみ。画像入力はまだ限られた試験段階
文脈長gpt-4 は8,192トークン。32,768トークンの gpt-4-32k は限定提供
API 価格(8K)入力1,000トークンあたり0.03ドル、出力1,000トークンあたり0.06ドル
API 価格(32K)入力0.06ドル、出力0.12ドル(いずれも1,000トークンあたり)

画像入力について、発表ページは "Image inputs are still a research preview and not publicly available." と書いている。より広く提供する準備として、OpenAI は1社のパートナーとだけ協力を始めていた。リンク先は視覚障害者を支援するアプリの Be My Eyes だった。ChatGPT の利用者に画像入力が届き始めたのは半年後の2023年9月25日で、OpenAI はこの日、Plus と Enterprise の利用者へ2週間かけて音声と画像の機能を展開すると発表した。

何が新しかったか

OpenAI は GPT-4 を、多くの現実の場面では人間に及ばないものの、さまざまな専門・学術のベンチマークで人間並みの成績を示すモデルと説明した。例として挙げたのが、模擬の司法試験で受験者の上位10%前後の点を取ったことで、前世代の GPT-3.5 は下位10%前後だった。

開発の過程も語られている。OpenAI は2年かけて深層学習の基盤を作り直し、Azure と共同でスーパーコンピュータを一から設計した。1年前に GPT-3.5 をその試運転として学習させ、GPT-4 の学習は、性能を事前に正確に予測できた初めての大規模モデルになったという。発表までの6か月間は、敵対的なテストと ChatGPT の経験を生かした調整に充てたとしている。同時に、モデルを評価する枠組み OpenAI Evals をオープンソースで公開した。

試験の成績と、その再評価

技術レポートは、多数の試験での成績を表にまとめた。その一部が次のとおりである。

試験GPT-4GPT-3.5
統一司法試験(模擬)298 / 400(約90パーセンタイル)213 / 400(約10パーセンタイル)
LSAT163(約88パーセンタイル)149(約40パーセンタイル)
AP 生物5(85〜100パーセンタイル)4
AP 環境科学5(91〜100パーセンタイル)5
AP マクロ経済5(84〜100パーセンタイル)2
AP 英語(言語と作文)2(14〜44パーセンタイル)2
AP 英語(文学と作文)2(8〜22パーセンタイル)2

いちばん注目を集めた司法試験の順位には、後に疑問が出た。Eric Martínez は2024年に Artificial Intelligence and Law 誌に載った論文で、上位10%という推定は2月実施回の受験者との比較に基づくが、2月の受験者は7月に不合格だった再受験者に偏っており、一般の受験者より点が低いと指摘した。そのうえで、7月実施回のデータと比べると GPT-4 は69パーセンタイル未満(論述は約48)、初回受験者と比べると約62パーセンタイル(論述は約42)、合格者に限ると約48パーセンタイル(論述は約15)と推定している。

AP 試験の結果も一様ではない。生物・環境科学・マクロ経済では最高の5を取った一方、英語の2科目はどちらも5段階の2で、GPT-3.5 と変わらなかった。

開示されなかったもの

技術レポートは GPT-4 を、文書の次のトークンを予測するよう事前学習した Transformer 型のモデルで、公開データと第三者からライセンスを受けたデータを使い、人間のフィードバックによる強化学習(RLHF)で調整したと説明した。それ以上の詳細は書かれていない。レポートの言葉はこうである。

"Given both the competitive landscape and the safety implications of large-scale models like GPT-4, this report contains no further details about the architecture (including model size), hardware, training compute, dataset construction, training method, or similar."

モデルの規模 ── パラメータ数 ── は、OpenAI からは公表されていない。前世代の GPT-3 が論文で1750億パラメータと明かしたのとは対照的である。事前学習データの大半は2021年9月までのもので、それ以降の出来事はほとんど知らないとも書かれている。

同じ時期に起きていたこと

GPT-4 の発表日、Anthropic も対話型モデル Claude の提供を始めた。8日後の3月22日、Future of Life Institute は、GPT-4 より強力な AI システムの学習を少なくとも6か月停止するよう全 AI 研究所に求める公開書簡を出した。GPT-4 は性能の目安であると同時に、規制と安全をめぐる議論の基準点にもなった。

翌2024年5月13日、OpenAI は音声・画像・テキストを実時間で扱う GPT-4o を発表した。Ars Technica によれば、OpenAI は2025年4月10日の変更履歴で、4月30日をもって GPT-4 を ChatGPT から退役させ GPT-4o に完全に置き換えると告知し、API では引き続き提供するとした。

GPT-4 の位置

GPT-4 は、ChatGPT の公開から3か月半後に出た。OpenAI の計算基盤は Microsoft の Azure で、その提携は 2019年の投資に始まり、2023年1月にさらに拡大したばかりだった。用語は 大規模言語モデル と 基盤モデル、流れは AI の年表、企業は OpenAI にある。

よくある質問

GPT-4 はいつ発表され、いつから使えましたか。
発表は2023年3月14日です。同じ日から ChatGPT Plus の利用者は利用上限付きで GPT-4 を使えました。API は順番待ちの開発者を少しずつ招く形で始まり、2023年7月6日に支払い実績のあるすべての API 開発者へ開放されました。
GPT-4 は最初から画像を読めましたか。
モデルとしては画像入力に対応していましたが、発表時点では非公開のリサーチプレビューで、OpenAI は1社のパートナー(Be My Eyes)とだけ準備を進めていました。ChatGPT の Plus・Enterprise 利用者への画像入力の展開が始まったのは2023年9月25日です。
GPT-4 は司法試験で上位10%だったのですか。
OpenAI の技術レポートは、模擬の統一司法試験で400点中298点、受験者の約90パーセンタイルと報告しました。ただし Martínez(2024年)は、この比較が2月の受験者、つまり再受験者に偏っていると指摘し、7月の受験者と比べると69パーセンタイル未満、合格者と比べると約48パーセンタイルと推定しています。
GPT-4 のパラメータ数は公表されていますか。
公表されていません。技術レポートは、競争環境と大規模モデルの安全上の含意を理由に、モデルの規模を含むアーキテクチャ、ハードウェア、学習計算量、データセットの構成などの詳細を載せないと明記しました。

出典

  1. 一次資料OpenAI (2023). GPT-4 Technical Report. arXiv:2303.08774

    試験成績の表(統一司法試験298/400、AP 各科目)、非開示の理由、2021年9月までの事前学習データ

    取得日: 2026-10-05

  2. 一次資料GPT-4 — OpenAI, Mar 14, 2023

    取得日: 2026-10-05

  3. 一次資料GPT-4 — OpenAI, Mar 14, 2023 (Internet Archive snapshot of Mar 16, 2023)

    ChatGPT Plus での提供と利用上限、API の順番待ち、価格、8,192 / 32,768 トークンの文脈長、画像入力がリサーチプレビューであること、Be My Eyes との協力

    取得日: 2026-10-05

  4. 一次資料ChatGPT can now see, hear, and speak — OpenAI, Sep 25, 2023

    取得日: 2026-10-05

  5. 一次資料Martínez, E. (2024). Re-evaluating GPT-4's bar exam performance — MIT Open Access Articles (DSpace@MIT)

    抄録。2月の受験者への偏り、7月実施回で69パーセンタイル未満、初回受験者で約62、合格者で約48(論述は約15)

    取得日: 2026-10-05

  6. 一次資料Hello GPT-4o — OpenAI, May 13, 2024

    取得日: 2026-10-05

  7. 二次資料Edwards, B. (Apr 30, 2025). The AI that sparked tech panic and scared world leaders heads to retirement — Ars Technica

    2025年4月30日の ChatGPT からの退役と、API での提供継続(OpenAI の変更履歴の引用)

    取得日: 2026-10-05

  8. 三次資料GPT-4 — Wikipedia

    取得日: 2026-08-03

最終更新:

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