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Zoox ── ハンドルのない Amazon のロボタクシー

Zoox(ズークス)とは、Amazon 傘下の自動運転の配車会社である。2014年に創業し、既存の車を改造するのではなく、ハンドルもペダルもないロボタクシー専用の電気自動車を一から設計してきた。前後の区別がなく両方向に走れる箱形の車で、乗客は向かい合わせに座る。Amazon は2020年6月26日に Zoox の買収で合意したと発表した。Zoox は2025年9月10日、ネバダ州ラスベガスのストリップ周辺で、この専用車による配車を一般の人に開放した。当初は無料で、2026年7月30日に NHTSA から運賃を受け取るための連邦の適用除外を得て、8月10日からラスベガスで有料の運行を始めた。
Zoox とは ── 「車を改造しない」という選択
Amazon の発表によると、Zoox は2014年に、ゼロエミッションの専用車とロボタクシー向けの一貫した自動運転ソフトウェアを作る構想で始まった。多くの競合、たとえば Waymo は自動車メーカーの量産車にセンサーとシステムを後付けしている。Zoox は2026年の発表で、移動を作り直すなら一から始めなければならないという信念で創業したと説明している。
CNBC によると、Zoox は2018年の資金調達で32億ドルと評価されたが、同年に共同創業者で CEO だった Tim Kentley-Klay が解任されるなど経営陣の混乱が続き、2020年4月には従業員の約10%にあたる約100人を削減していた。Amazon は買収額を明かさなかったが、Financial Times は12億ドル超と報じていた。発表では、CEO の Aicha Evans と共同創業者で CTO の Jesse Levinson が引き続き率い、Zoox は独立した事業として運営されるとした。
2020年12月 ── 専用車の公開
Amazon によると、Zoox は2020年12月14日、実際に走る専用車を初めて公開した。
| 項目 | Zoox の説明(2020年12月) |
|---|---|
| 走行方向 | 前後どちらにも走れる(双方向) |
| 操舵 | 4輪操舵で、後退せずに向きを変えられる |
| 最高速度 | 時速75マイル(約120キロ) |
| 安全装備 | 通常の車にない100以上の安全上の工夫。双方向の車向けの新しいエアバッグ |
| センサー | カメラ・レーダー・ライダーを車の四隅に置き、270度の視野 |
| 座席 | 向かい合わせの4席 |
Zoox は、双方向走行と4輪操舵を備えた最初の車を作ったとしているが、これは同社の主張である。発表時点では、ラスベガスとサンフランシスコ湾岸で試験を行っていた。
ハンドルのない車と連邦の基準
ハンドルとペダルのない車は、人間の運転者を前提に書かれた連邦自動車安全基準(FMVSS)に合わない。テスラの Cybercab も同じ問題を抱え、GM の Cruise は専用車 Origin で必要な承認を得られないまま計画を断念した(Cruise の運行停止を参照)。
Zoox によると、米政府と NHTSA は2025年、手動の操作装置を持たない国産の自動運転車のための新しい適用除外の手続きを設け、Zoox は同年8月、この手続きで実演用の適用除外を受けた最初の自動運転企業になった。これで公道での実演と無料の乗車はできるようになったが、運賃は取れなかった。
2025年9月10日 ── ラスベガスで一般に開放
Zoox は2025年9月10日、ラスベガスのストリップとその周辺で、アプリから呼べる配車サービスを一般に開放した。Zoox はこれを、専用のロボタクシーによる完全自動運転の配車を提供する史上初の会社になったと位置づけている。CEO の Aicha Evans は、ラスベガスは忘れられない瞬間で知られる街で、デビューの場所として理想的だと述べた。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2014年 | 創業 |
| 2020年6月26日 | Amazon が買収で合意 |
| 2020年12月14日 | 専用車を公開 |
| 2025年8月 | NHTSA の実演用の適用除外を受ける |
| 2025年9月10日 | ラスベガスで一般向けの無料配車を開始 |
| 2025年11月18日 | サンフランシスコで順番待ちの一般利用者を乗せ始める(無料) |
| 2026年3月11日 | Uber と提携。2026年中にラスベガス、2027年にロサンゼルスで Uber のアプリからも配車 |
| 2026年3月23日 | オースティンとマイアミで専用車の試験を始めると発表 |
| 2026年7月30日 | NHTSA が初の商用の適用除外を認める |
| 2026年8月10日 | ラスベガスで有料の運行を開始 |
サンフランシスコでは、2017年から試験を続けてきたとし、2025年11月に「Zoox Explorers」と呼ぶ早期利用者向けの無料の乗車を始めた。対象は SoMa、Mission、Design District の大半である。Zoox は2026年3月、ラスベガスでの開始から1年足らずで約200万マイルを自動運転で走り、35万人超を乗せたと発表した。
リコールと安全
Zoox は運行の拡大と並行して、ソフトウェアのリコールを繰り返し届け出た。
- 2025年3月: 安全運転者が乗る改造試験車が、ブレーキをかけた後にオートバイに追突された2件を受けて。NHTSA は2024年5月から予備評価を行っていた
- 2025年4〜5月: ラスベガスで、無人のロボタクシーが乗用車と接触した事故を受けて。Zoox は無人運行をいったん止め、原因を特定して全車のソフトウェアを更新した
- 2025年5月: サンフランシスコで、停止中のロボタクシーに電動キックボードの利用者がぶつかって倒れた後、車が動き出した事例を受けて
- 2026年7月: Quartz によると、6月にラスベガスで1台が濃い煙を検知できず火災現場に入ったことを受けて、105台の全車隊を対象に
Quartz は、このリコールの前に NHTSA の Morrison 長官が、無人の車が緊急対応を妨げる事例が続いていると警告していたと伝えている。Zoox は、車を自社で所有し運行しているため、ソフトウェアの更新を全車に素早く適用できると説明している。
2026年 ── 運賃を取れるようになった日
2026年7月30日、NHTSA は Zoox に一時的な適用除外を認めた。Quartz によると、対象はフロントガラスの曇り取りやブレーキなどに関わる8つの安全基準で、これによりハンドルもペダルもない車を公道に出せる。期間は2年間で、年に最大2,500台まで走らせることができる。Reuters によると、NHTSA は Zoox の車が基準に適合した同等の車と同じ程度に安全だと判断したうえで、衝突や路上での不適切な停止について追加の報告を義務づけた。Zoox はこれを、専用ロボタクシーに対する NHTSA の史上初の商用の適用除外だとしている。
Zoox によると、ラスベガスとサンフランシスコでの開始以来、乗車した人は50万人を超え、さらに50万人が順番待ちに登録した。Reuters によると、Zoox はそれまでラスベガス、サンフランシスコ、オースティン、マイアミで、試験として無料で乗客を乗せていた。8月10日からのラスベガスの運賃は、他の配車サービスの上位クラス並みに設定された。カリフォルニア州で有料の運行をするには、州の公益事業委員会と DMV の許可がまだ必要である。
社会への影響
Zoox の歩みは、自動車の規則そのものが人間の運転者を前提に作られていることを浮き彫りにした。Zoox は、NHTSA と協力して安全基準そのものを改め、人間の運転者にしか意味のない要素に縛られずに自動運転車を展開できるようにしたいとしている。Waymo のように既存の車を使う会社はこの適用除外を必要としないため、規制の上でも両者は別の道を歩むことになった(Quartz)。
配車の仕事との関係も変わりつつある。Zoox は Uber と組み、自社のアプリに加えて Uber のアプリでも専用車を呼べるようにした。同じ配車アプリの中に、人間の運転手の車とロボタクシーが並ぶことになる。中国でも百度の Apollo Goが同じ問いを突きつけている。
親会社は Amazon である。自動化の段階は SAE の自動運転レベルに、全体の流れは自動運転の年表にある。
よくある質問
- Zoox とは何ですか。
- Amazon 傘下の自動運転の配車会社です。2014年に創業し、既存の車を改造するのではなく、ハンドルもペダルもなく前後どちらにも走れるロボタクシー専用の電気自動車を一から設計しました。Amazon は2020年6月26日に買収で合意しています。
- Zoox にはどこで乗れますか。
- 2025年9月10日にラスベガスのストリップ周辺で一般向けに始まり、2026年8月10日からは有料です。サンフランシスコでは2025年11月から順番待ちの利用者に無料の乗車を提供しています。Reuters によると、オースティンとマイアミでも試験として無料で乗客を乗せていました。
- Zoox はなぜ NHTSA の適用除外が必要なのですか。
- 連邦自動車安全基準は人間の運転者を前提に書かれており、ハンドルもペダルもない Zoox の車は適合しないためです。2025年8月の実演用の適用除外では運賃を取れず、2026年7月30日の適用除外で、年最大2,500台・2年間の範囲で有料の運行ができるようになりました。
- Zoox はリコールをしたことがありますか。
- はい。2025年3月にはオートバイに追突された試験車の事例、同年4〜5月にはラスベガスでの乗用車との接触と、サンフランシスコでの電動キックボードの利用者との事例を受けて、ソフトウェアのリコールを届け出ました。2026年7月には、火災現場の濃い煙を検知できなかった件で105台の全車隊が対象になりました。
出典
一次資料Amazon subsidiary Zoox reveals first look at autonomous robotaxi — Amazon, Dec 14, 2020
双方向走行と4輪操舵、時速75マイル、100以上の安全上の工夫、四隅のセンサーによる270度の視野
一次資料Zoox granted first-ever NHTSA commercial exemption for purpose-built robotaxi — Zoox, Jul 30, 2026
2025年8月の実演用の適用除外、2026年7月の商用の適用除外、乗車50万人超と順番待ち50万人
二次資料Amazon's Zoox gets federal OK to charge for robotaxi rides — Quartz, Jul 30, 2026
8つの安全基準、年最大2,500台・2年間、カリフォルニア州で残る許可、105台のリコールと NHTSA 長官の警告
三次資料Zoox — Wikipedia
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