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百度 Apollo Go ── 中国で始まった完全無人の有料配車

Apollo Go(アポロ・ゴー、中国名は萝卜快跑)は、中国の百度(Baidu)が運営する自動運転の配車サービスである。2022年8月8日、百度は湖北省武漢市と重慶市永川区で、車内に運転者も係員もいない完全無人のロボタクシーで運賃を受け取る許可を得たと発表した。百度はこれを中国で最初の許可だとしている。その後 Apollo Go は武漢で数百台規模に広がり、2024年夏には仕事を奪われるという運転手の不安が SNS で大きな話題になった。2026年には中東のアブダビとドバイで完全無人の商用運行を始め、同年8月の発表では世界28都市に展開している。
2022年8月8日 ── 運賃を取れる完全無人の許可
百度の発表によると、許可は武漢市と重慶市永川区の行政機関が出した。Apollo Go はすでに北京、上海、広州、深圳に展開していたが、今回の許可で、車内に人間の運転者がいない車で有料の乗車を提供できるようになった。
| 項目 | 武漢 | 重慶 |
|---|---|---|
| 運行時間 | 午前9時〜午後5時 | 午前9時30分〜午後4時30分 |
| 台数 | 5台 | 5台 |
| 範囲 | 武漢経済技術開発区の13平方キロ | 永川区の30平方キロ |
| 車両 | 第5世代の Apollo ロボタクシー | 同左 |
百度は、許可を得るまでに、運転席に安全担当者が座る試験、助手席に座る試験という段階を踏んだと説明している。発表の時点で、百度の自動運転車の試験走行は累計3,200万キロ超、Apollo Go の注文は累計100万件超で、同社は Apollo Go を世界最大のロボタクシー事業者と称していた。いずれも百度自身の数字である。百度の自動運転事業の副総裁で安全運行の責任者の Wei Dong は、完全無人の車が公道で有料の客を乗せることを、業界が待ち望んだ瞬間であり、大きな質的変化だと述べた。
百度が自動運転に取り組み始めたのは2013年である(CnEVPost)。米国では Waymo が2020年にフェニックスで完全無人の乗車を一般に開放しており、中国でも都市ごとの許可を足がかりに、無人の車で運賃を取る段階に入った。
2024年 ── 武漢での拡大と「飯碗」をめぐる騒ぎ
CNBC によると、Apollo Go は2024年3月から武漢の一部の地区で、1日24時間、車内に係員のいない運行を始めた。4月の時点で武漢の乗車の70%超が完全無人で、7月には同市で500台超が走り、年末までに1,000台に増やす計画だった。
2024年7月、Apollo Go は中国の SNS、微博(Weibo)で上位の話題になった。CNBC は、無人の配車が人々の「飯碗」(仕事)を奪うのかという趣旨のハッシュタグが広がったと伝えている。武漢のタクシー会社が6月下旬に出したとされる文書は、収入の減少で159台のうち4台が4月以降に営業をやめたと主張し、税の軽減と Apollo Go への規制を求めた。CNBC はこの文書の真偽を独自に確認できなかったとしている。
Reuters によると、武漢の配車運転手は Apollo Go の車を、方言の語呂合わせで「ばかな大根」と呼び、渋滞の原因になっていると不満を述べた。36歳の運転手 Liu Yi は、建設の仕事が減って配車の運転を始めたが、ロボタクシーとの競争で皆が飢えることになると語った。中国交通運輸部によると、中国の登録された配車運転手は2024年5月末で700万人を超え、2021年7月の351万人から倍増していた。
Reuters は、配車やタクシーの運転手は、AI による失業の脅威に世界で最初に直面する労働者の一つだと経済学者や業界の専門家が見ていると伝えた。一方で百度は運転手の懸念へのコメントを控え、Apollo Go の総経理 Chen Zhuo は、同社が世界で最初に商業的に利益を出す自動運転の配車プラットフォームになると述べていた。
規制の速さ ── 米国との対比
Reuters によると、中国では少なくとも19都市がロボタクシーやロボバスの試験を行い、そのうち7都市が人間の監視なしの試験を認めていた。ボストン コンサルティング グループの Augustin Wegscheider は、中国では許可の発行が急速に進む一方、米国はずっと段階的だと述べた。Waymo の元 CEO の John Krafcik も、米国の開発者ははるかに厳しい監視と高いハードルに直面しており、米中の間には明確な違いがあると語っている。米国ではその前年、Cruise の事故の後にカリフォルニア州が同社の許可を止めていた。
2025〜2026年 ── 中東へ、そして武漢の一斉停止
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2022年8月8日 | 武漢と重慶で完全無人の有料運行の許可 |
| 2024年3月 | 武漢の一部で24時間の完全無人運行 |
| 2025年3月 | ドバイで1,000台超を数年かけて導入する計画を発表 |
| 2025年11月 | アブダビで完全無人の商用運行の許可を得る |
| 2026年1月17日 | アブダビのヤス島で、AutoGo と組んで完全無人の商用配車を開始 |
| 2026年3月31日 | 武漢で多数の車が路上で停止 |
| 2026年4月1日 | ドバイで、道路交通局と組み Apollo Go のアプリで完全無人の商用配車を開始 |
| 2026年8月18日 | 世界28都市に展開と発表 |
TechNode によると、アブダビでの運行は、百度にとって海外で初めての完全無人の商用配車である。ドバイでは、百度は道路交通局(RTA)と協力し、ドバイ・タクシー社と提携して、初めて海外で自社アプリを使った配車を始めた。百度の2026年第2四半期の発表によると、ドバイでは Uber のアプリからも乗れるようになり、香港では初めての完全無人の試験許可を得て空港島で試験を始め、ロンドンでは Uber と Lyft と組んで公道試験を始めた。
拡大の一方で、弱さも露呈した。CnEVPost によると、2026年3月31日の夜、武漢で多数の Apollo Go の車が突然路上で止まり、高架道路の上で取り残された乗客もいた。武漢の交通警察は予備調査でシステムの故障が原因だとし、乗客は全員けがなく降りたと発表した。Apollo Go の顧客窓口は通信の問題が原因だと地元メディアに説明したが、百度は公式の声明を出していなかった。運行はその後再開された。
規模は大きい。CnEVPost によると、Apollo Go は2025年第4四半期に完全無人の配車を340万件提供し、前年同期の3倍を超えた。2026年2月時点で世界26都市、累計の注文は2,000万件を超えた。百度は8月18日、展開先が28都市になり、自動運転の累計走行は3億5,000万キロ超、そのうち完全無人が2億4,000万キロ超だと発表している。
社会への影響
Reuters によると、Wegscheider は中国の自動運転の後押しを、電気自動車への支援になぞらえた。武漢では、都市が許可を段階的に広げることで、運行が数年で数百台規模に達した。その一方で、経済学者は、景気の減速のなかで配車の運転が最後のよりどころの仕事になっており、ロボタクシーの副作用が政府にブレーキを踏ませる可能性もあると見ていた。
米国では Tesla や Zoox がロボタクシーを広げ始めており、同じ問いが向けられている。全体の流れは自動運転の年表と AI と社会の年表に、自動化の段階は SAE の自動運転レベルにある。
よくある質問
- Apollo Go とは何ですか。
- 中国の百度(Baidu)が運営する自動運転の配車サービスで、中国名は萝卜快跑です。2022年8月8日に、武漢と重慶で車内に人間の運転者のいないロボタクシーで運賃を取る許可を得たと発表しました。2026年8月の時点で世界28都市に展開しています。
- Apollo Go はなぜ武漢で反発を受けたのですか。
- 2024年7月、武漢で500台超に増えたロボタクシーが運転手の仕事を奪うのではないかという議論が微博で広がったためです。配車運転手は渋滞の原因だと不満を述べ、地元のタクシー会社とされる文書は Apollo Go への規制を求めました。中国の配車運転手は当時700万人を超えていました。
- Apollo Go は海外でも走っていますか。
- はい。2026年1月17日にアブダビのヤス島で AutoGo と組んで完全無人の商用配車を始め、4月1日にはドバイで自社アプリによる完全無人の商用配車を始めました。百度によると、香港では完全無人の試験許可を得て、ロンドンでは Uber と Lyft と組んで公道試験を行っています。
- 武漢の一斉停止とは何ですか。
- 2026年3月31日の夜、武漢で多数の Apollo Go の車が突然路上で止まり、高架道路の上で取り残された乗客もいた出来事です。武漢の交通警察は予備調査でシステムの故障が原因だとし、乗客は全員けがなく降りたと発表しました。運行はその後再開されています。
出典
武漢と重慶永川区の許可、運行時間・台数・範囲、試験の段階、累計3,200万キロと注文100万件超という百度の数字
一次資料Baidu Announces Second Quarter 2026 Results (Exhibit 99.1 to Form 6-K) — Baidu, Inc., Aug 18, 2026
28都市、自動運転3億5,000万キロ超と完全無人2億4,000万キロ超、ドバイの Uber 経由の配車、香港の試験許可、ロンドンの公道試験
武漢の24時間運行と500台超、微博での話題、タクシー会社の文書、配車運転手700万人超(交通運輸部)
運転手の証言、AI による失業の最初の労働者という専門家の見方、19都市の試験、米中の規制の違い、陳卓の発言
二次資料Baidu Apollo Go robotaxis hit by rare mass paralysis in Chinese city — CnEVPost, Apr 1, 2026
3月31日の一斉停止と交通警察の発表、2025年第4四半期の完全無人340万件、26都市と累計2,000万件
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