T1
iPhone 11 ── ナイトモードと「Pro」の誕生

メタデータ
- 日付
- 年代
- 2010s
- Tier
- T1
- 参照年表
- iPhone の歴史 · 携帯電話・スマートフォンの歴史
- 出典数
- 10
- 関連項目
- 02
iPhone 11 の発表は2019年9月10日、予約受付は9月13日(金)、発売は9月20日(金)である。iPhone 11・iPhone 11 Pro・iPhone 11 Pro Max の3機種は、すべて同じ9月20日に店頭に並んだ。日本は第一陣で、Apple の日本語版プレスリリースは予約・発売の対象として「日本、米国、プエルトリコ、米領バージン諸島、および30以上の国と地域」を挙げている。発売日の Apple のニュースルームは、ニューヨーク・パリと並べて東京の Apple 丸の内の行列を載せた。
後から振り返ると、この世代は「足したもの」と同じくらい「名前を変えたもの」「消したもの」で特徴づけられる。
3機種、1日、2つの価格帯
| iPhone 11 | iPhone 11 Pro | iPhone 11 Pro Max | |
|---|---|---|---|
| 背面カメラ | 超広角+広角 | 超広角+広角+望遠 | 同左 |
| ディスプレイ | 6.1インチ Liquid Retina(液晶) | Super Retina XDR(有機EL) | 同左(大型) |
| 日本での価格(税別) | 74,800円から | 106,800円から | 119,800円から |
| 米国での価格 | 699ドルから | 999ドルから | 1,099ドルから |
| 同梱の電源アダプタ | 5W | 18W USB-C | 18W USB-C |
前年の構成は iPhone XS / XS Max と iPhone XR だった。iPhone 11 は XR の後継の位置にあたり、米国の出発価格は XR の749ドルから699ドルへ下がった。上位機は XS の名を捨て、iPhone として初めて「Pro」を名乗った。
ナイトモードはセンサーから始まった
この世代を代表する機能は、暗い場所で撮った写真を明るく、色を自然に、ノイズを少なくするナイトモードである。
Apple の説明は、まずハードウェアから入っている。iPhone 11 ではフォーカスピクセルを100パーセントに配した新しい広角センサーがナイトモードを可能にし、室内や屋外の暗い環境で撮る写真が大きく改善する、と書く。Pro の説明も同じ骨格で、新しい広角センサーと高度なソフトウェアがナイトモードを可能にする、としている。
つまりナイトモードは、ソフトウェアだけで後から配れる機能として出されたのではなく、このセンサーと A13 Bionic の組み合わせとして出された。A13 について Apple は、Neural Engine の高速化に加えて CPU に機械学習アクセラレータを加え、毎秒1兆回を超える演算を可能にしたと説明している。
同じ考え方の延長にあるのが Deep Fusion である。機械学習で写真をピクセル単位で処理し、質感・細部・ノイズを最適化するという機能で、発表時にはこの秋の後半に提供するとされ、実際には10月28日の iOS 13.2 で iPhone 11 と 11 Pro に届いた。発売日に買った人は、カメラの一部を1か月あとから受け取ったことになる。
超広角が標準機にも来た
二つ目の変化は、超広角カメラが標準機まで降りてきたことだ。Apple は超広角が4倍広いシーンを写すと説明した。
前年の XR は背面カメラが1つだった。iPhone 11 で標準機も2眼になり、Pro は望遠を加えた3眼になった。どの価格帯を選んでも、背面の画角を切り替えられる ── 機種ごとの差は「何本あるか」に移った。
前面の TrueDepth カメラも、4K・最大60fps の動画と120fps のスローモーションを撮れるようになった。
消えたもの ── 3D Touch
この世代で静かに終わった機能がある。3D Touch である。
3D Touch は2015年の iPhone 6s で入った、画面を押す強さを感知する入力方式で、軽く押してプレビューする「ピーク」、さらに押して開く「ポップ」といった操作を持っていた。iPhone 11 シリーズでは、3機種とも 3D Touch を持たない。代わりに入ったのは Haptic Touch ── 長押しと触覚フィードバックの組み合わせである。
Haptic Touch 自体は前年の iPhone XR が先に採用していた。MacRumors は発表当日、XR で導入された Haptic Touch がこれで iPhone のラインナップ全体に広がった、と書いている。圧力の段階を読み分けられる 3D Touch と違い、Haptic Touch に段階はない。画面全体を感圧式にする試みは、ここで4年で終わった。
「Pro」が買えたもの
Pro の名で何が上乗せされたのかを、Apple の資料から並べる。
- 望遠カメラ: 開口を ƒ/2.0 に広げ、Apple の説明では iPhone XS 比で40パーセント多く光を取り込む
- Super Retina XDR: Apple が独自設計した有機 EL で、HDR 表示時に最大1,200ニト、コントラスト比200万対1
- 筐体: テクスチャード加工のマットガラスの背面と、磨かれたステンレスの帯。新色はミッドナイトグリーン
- バッテリー: Apple の数字で、11 Pro は XS より1日あたり最大4時間、11 Pro Max は XS Max より最大5時間長い
- 同梱品: 18W の USB-C 電源アダプタと USB-C - Lightning ケーブル。それまで急速充電器は別売りで、MobileSyrup は発表当日、Pro の箱に急速充電器が入ることを従来の扱いからの転換として報じた。標準の iPhone 11 は 5W のままだった
最後の点は後から見ると皮肉である。翌2020年の iPhone 12 で、Apple は電源アダプタそのものを箱から外す。
「初めて」の主張は Apple のもの
Apple は A13 Bionic をスマートフォン史上最速のチップと呼び、空間認識のための U1 チップについて、超広帯域(UWB)技術をスマートフォンで初めて使ったものだと説明した。いずれも Apple 自身の主張である。発表時に Apple が U1 の用途として挙げたのは、9月30日の iOS 13.1 で AirDrop が端末の向きを踏まえて送信先を提案するようになる、という一点だった。
防水は IP68 で、Apple の説明では最大水深2メートルで最大30分。Dolby Atmos の空間オーディオ再生にも対応した。
前後の世代とのつながり
iPhone X が持ち込んだノッチと Face ID の構成は、iPhone 11 でも変わっていない。iPhone 11 世代が変えたのは前面ではなく、背面のカメラの数と、写真の後処理の重さだった。前面の形が動くのは、2021年の iPhone 13 でノッチが小さくなり、2022年の iPhone 14 Pro でパンチ穴に変わってからである。
よくある質問
- iPhone 11 はいつ発売されましたか。
- 発表は2019年9月10日、予約受付は9月13日、発売は9月20日です。iPhone 11・iPhone 11 Pro・iPhone 11 Pro Max の3機種とも同じ9月20日に発売され、日本は米国などと並んで最初の発売国に含まれていました。
- iPhone 11 の発売時の価格はいくらでしたか。
- 日本では iPhone 11 が74,800円(税別)から、iPhone 11 Pro が106,800円(税別)から、iPhone 11 Pro Max が119,800円(税別)からでした。米国では順に699ドル、999ドル、1,099ドルからで、iPhone 11 は前年の iPhone XR(749ドルから)より安く設定されました。
- iPhone 11 に 3D Touch はありますか。
- ありません。iPhone 11 シリーズでは3機種とも感圧式の 3D Touch が廃止され、長押しと触覚フィードバックによる Haptic Touch に置き換えられました。Haptic Touch は前年の iPhone XR が先に採用していた方式です。
- iPhone 11 に急速充電器は付属していましたか。
- Pro の2機種だけです。iPhone 11 Pro と 11 Pro Max には 18W の USB-C 電源アダプタと USB-C - Lightning ケーブルが同梱されましたが、標準の iPhone 11 は従来どおりの 5W アダプタでした。
出典
一次資料Apple、デュアルカメラ搭載のiPhone 11を発表 — Apple Newsroom(日本), 2019年9月
日本での価格(税別)と予約・発売日
最終更新: