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Intel 4004 ── 市販された最初のマイクロプロセッサ

パッケージを開けた Intel 4004(1971年製)。ダイとボンディングワイヤが見える
出典the Science Museum (Science Museum Group), via Wikimedia Commons · CC BY 4.0 · Commons で見る ↗

メタデータ

日付
年代
1970s
Tier
T1
出典数
08
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01
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部品として市販された最初のマイクロプロセッサ ── 中央処理装置をまるごと1チップに収め、どの技術者でも注文できる製品 ── は Intel 4004 である。Intel は1971年11月15日、Electronic News 誌の広告でこれを一般に発表した。チップ自体はその年の初めから動いており、4004 を載せた最初の製品であるビジコンの印字式電卓 141-PF は、1971年10月に発売されている。「世界初のマイクロプロセッサ」と言うときには、この限定が要る。数個の LSI でプロセッサを組む試みはそれ以前にもあり、4004 は単一チップの部品として公開市場に出た最初のものだった。

日本の電卓メーカーからの注文

4004 は受託開発から始まった。Intel 自身の歴史紹介によれば、1969年、ビジコン(Busicom)ブランドの電卓を作っていた日本計算機販売(Nippon Calculating Machine Corporation)が、新しい印字式電卓 141-PF のために12種類の専用チップの設計を Intel に依頼した。当時の Intel は、前年に Robert Noyce と Gordon Moore が創業したばかりの若い会社で、主力はメモリだった。

Intel の Ted Hoff と Stan Mazor は別の案を出す。十数種類の専用チップではなく、少数の汎用チップの組み合わせにし、その一つをプログラム可能なプロセッサにするという案である。Computer History Museum(CHM)は、MCS-4 チップセットの一員として 4004 を構想したのは Hoff と Mazor だとしている。MCS-4 には ROM、RAM、入出力拡張用のチップも含まれていた。

Faggin、嶋正利、シリコンゲート MOS

構想をシリコンに落とし込んだのは Federico Faggin である。Faggin は Fairchild でシリコンゲート MOS 技術を開発したのち、1970年に Intel へ移った。ビジコンの技術者だった嶋正利が彼と並んで作業した。CHM は、Faggin が嶋の助けを得て、シリコンゲートの経験を生かし 4004 の2,300個のトランジスタを安価な16ピンのパッケージに収めた、と説明している(CHM の「This Day in History」のページは2,250個としており、この記事は Silicon Engine の数字を採る)。

Faggin は自身のサイトで、1971年1月のある夕方に最初の 4004 のウェハを受け取り、誰もいない研究所で一人、午前3時ごろまで試験を続け、主要な機能がすべて動くのを確かめた経緯を書いている。彼は設計に署名も残した。チップには彼のイニシャル「F.F.」が刻まれている。

情報処理学会のコンピュータ博物館によれば、4004 は1971年3月に完成し、ビジコンはこれを載せた最初の製品 141-PF を1971年10月に発売した。

チップの能力

4004 は4ビットのプロセッサで、電卓が扱う10進の数字に向いていた。Intel のデータシートには、46種類の命令、P チャネルのシリコンゲート MOS による製造、10.8マイクロ秒の命令サイクルが記されている。1語の命令は8クロック、2語の命令は16クロックかかった。この時間から計算すると、1サイクルで終わる命令だけなら毎秒約9万2千命令になる。

4004 は単体では計算機にならない。プログラムを入れる ROM、データ用の RAM、入出力のために、MCS-4 の他のチップが必要だった。新しかったのは、命令を取り出して実行する部分 ── プロセッサ ── が一つの標準部品になったことである。

権利の買い戻し

電卓用の部品を製品に変えた決め手は、商売上の判断だった。設計の独占権はビジコンが持っていた。Intel の歴史紹介によると、1971年5月、設計チームの強い勧めを受けた Noyce が、ビジコンが出した開発費6万ドルを返す代わりに、電卓以外のあらゆる用途でこのチップを売る権利を買い戻した。Faggin の側は、4004 が電卓以外にも使えることを示したうえで、一般市場に出すよう社内で働きかけたと書いている。

これで11月の広告が可能になった。CHM はこれをマイクロプロセッサの最初の広告として記録している。ビジコンのほうは長続きしなかった。Intel によれば同社は1974年に倒産している。

「最初」をどう言うか

CHM の記述は、先行例について慎重である。1969年、Four-Phase Systems の Lee Boysel が8ビットの CPU スライス AL-1 を作り、1970年には Garrett AiResearch の Steve Geller と Ray Holt が、F-14A 戦闘機の中央エアデータコンピュータ用に6個のメタルゲートチップからなる MP944 を設計した。どちらも 4004 より前にプロセッサの機能を MOS の LSI に収めていたが、一般に売られた単一チップの CPU ではなかった。したがって 4004 について言えるのは「部品として売られた最初の単一チップ CPU」であって、「シリコン上の最初のプロセッサ」ではない。

8008 は別の系統

8ビットの 8008(1972年発表)は、しばしば 4004 の後継として語られる。CHM の説明は違う。8008 は Computer Terminal Corporation(のちの Datapoint)向けに設計されたもので、Faggin の監督のもと Hal Feeney が設計を担当し、4004 の後ではなく並行して進んだ。CHM はさらに、1974年に登場した第2世代の8ビットプロセッサ ── Intel の 8080 と Motorola の 6800 ── が、マイクロプロセッサという考え方を広く受け入れさせたと付け加えている。

さらに読む

設計者4人 ── Faggin、Hoff、Mazor、嶋 ── は、のちに IEEE Micro(1996年)で 4004 の歴史を共同で書いている。会社については Intel、4004 が裏付けることになったチップ集積度の予測については ムーアの法則 を参照。続きは ハードウェアの年表 にある。

よくある質問

世界初のマイクロプロセッサは何か
部品として市販された最初の単一チップ CPU は Intel 4004(1971年)です。ただし CPU を少数の LSI に収める試みはそれ以前にもあり、Four-Phase Systems の AL1(1969年)はレジスタと演算器を1チップにまとめたものの制御部は外付けで、Garrett AiResearch の MP944(1970年)は F-14 戦闘機用の6チップ構成でした。
Intel 4004 はいつ発売されたのか
1971年3月に完成し、まずビジコンの電卓 141-PF に載って同年10月に発売されました。Intel が一般向けに発表したのは1971年11月15日、Electronic News 誌の広告です。
Intel 4004 を設計したのは誰か
構想は Intel の Ted Hoff と Stan Mazor、シリコンゲート技術による回路とレイアウトの設計は Federico Faggin で、ビジコンの嶋正利が加わりました。Computer History Museum はこの4人を設計者として挙げています。
Intel 4004 の性能はどの程度か
4ビットで、トランジスタは約2,300個(Computer History Museum の別のページは2,250個とする)。命令サイクルは10.8μsで、1サイクルで終わる命令だけなら毎秒約9万2千命令に相当します。

出典

  1. 一次資料Faggin, F., Hoff, M. E., Mazor, S. & Shima, M. (1996). The history of the 4004. IEEE Micro 16(6), 10–20

    DOI が IEEE Micro の当該論文(4人の設計者の共著)に解決することを Crossref で確認

    取得日: 2026-10-05

  2. 一次資料Intel 4004 Single Chip 4-Bit P-Channel Microprocessor — Intel datasheet (archived)

    10.8μs の命令サイクル、1語命令は8クロック、46命令、シリコンゲート P チャネル MOS

    取得日: 2026-10-05

  3. 二次資料1971: Microprocessor Integrates CPU Function onto a Single Chip — The Silicon Engine, Computer History Museum

    Hoff と Mazor の構想、Faggin と嶋、2300トランジスタ、16ピン、AL-1(1969年)と MP944(1970年・6チップ)、8008 は CTC 向けで Hal Feeney 設計

    取得日: 2026-10-05

  4. 一次資料Announcing a New Era of Integrated Electronics — Intel

    1971年5月、Noyce がビジコンの開発費6万ドルを返して電卓以外の権利を買い戻した。ビジコンは1974年に倒産

    取得日: 2026-10-05

  5. 二次資料Busicom 141-PF — IPSJ Computer Museum (Information Processing Society of Japan)

    4004 は1971年3月に完成、141-PF は1971年10月に発売、Intel の一般販売は1971年11月

    取得日: 2026-10-05

  6. 一次資料The Intel 4004 Microprocessor and the Silicon Gate Technology — Federico Faggin's site

    1971年1月、最初のウェハで 4004 が動作したという Faggin の証言、チップ上の F.F. の署名

    取得日: 2026-10-05

  7. 三次資料Intel 4004 — Wikipedia

    取得日: 2026-10-05

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