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Auto-GPT ── 「AI エージェント」が初めて流行語になった日

出典AutoGPT (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons で見る ↗

メタデータ

日付
年代
2020s
Tier
T1
出典数
10
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05
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AI エージェントとは、目標を与えられると、自ら手順を決め、検索やコード実行などの道具を使い、その結果を見て次の行動を選ぶ AI システムのことである。質問に1回ずつ答えるチャットボットとの違いは、何をどの順番でやるかを AI 自身が決め、終わるまで繰り返す点にある。この考えが研究者の外にまで一気に広まったのが2023年春で、きっかけになったのが Auto-GPT だった。ゲーム会社 Significant Gravitas の創業者 Toran Bruce Richards が GitHub で公開したこのプログラムは、README に掲げた2023年3月30日付のデモ動画とともに話題をさらい、GitHub で最も注目を集めるリポジトリの1つになった。

AI エージェントの定義

定義は1つに定まっていないが、よく引かれるものを並べると輪郭が見える。

出典定義の要点
IBM利用できる道具を使って作業の手順(ワークフロー)を自ら組み立て、利用者や別のシステムに代わってタスクを自律的にこなすシステム
Anthropic(2024年12月)LLM が自分の進め方と道具の使い方を動的に決め、作業のやり方を自ら制御するシステム。あらかじめコードで決めた経路に沿う「ワークフロー」と区別する

Anthropic の文章は原文で「Agents, on the other hand, are systems where LLMs dynamically direct their own processes and tool usage, maintaining control over how they accomplish tasks.」と書いている。つまり、手順を人間が書くか AI が決めるかが分かれ目になる。Auto-GPT は、その「AI が決める」側を、誰でも手元で試せる形で示した。

Auto-GPT の登場 ── 2023年3月30日

リポジトリ自体は2023年3月16日に作られ、当初は Entrepreneur-GPT と名乗っていた。GPT-4 に事業を経営させて資産を増やせるかを試す実験で、GPT-4 の公開(2023年3月14日)の2日後に始まっている。3月末の README は題を「Auto-GPT: An Autonomous GPT-4 Experiment」とし、GPT-4 が完全に自律して動く最初の例の1つだとうたった。デモ動画には30/03/2023の日付が付いている。

当時の README が挙げた機能は次のとおりである。

  • インターネットでの検索と情報収集
  • 長期・短期の記憶の管理
  • 文章生成に使う GPT-4 のインスタンス
  • 主要な Web サイトやサービスへのアクセス
  • GPT-3.5 によるファイルの保存と要約

利用者が目標を与えると、GPT-4 が自分でやることを決め、コマンドを選んで実行し、結果を読んで次を決める。標準では一歩ごとに利用者の承認を求めたが、承認なしに動き続ける「継続モード」もあった。README はこのモードについて「It is potentially dangerous and may cause your AI to run forever or carry out actions you would not usually authorise.」と警告している。

BabyAGI ── 同じ週のもう1つの試み

2日前の2023年3月28日には、投資家で開発者の Yohei Nakajima が、GPT-4、ベクトルデータベースの Pinecone、LangChain を組み合わせたタスク駆動型の自律エージェントを自身のサイトで公開していた。タスクを実行する役、結果から新しいタスクを作る役、タスクの優先順位を付け直す役の3つを GPT-4 が担う。このコードは4月3日に BabyAGI の名で GitHub に置かれた。Nakajima は同じ文章で、目標だけを追う仕組みが倫理や資源の制約なしに暴走する危険を、ペーパークリップを作り続ける AI の思考実験を引いて論じ、安全担当のエージェントや監視を置くよう勧めていた。

すぐに見えた限界

熱狂と同時に、限界もすぐに見えた。Auto-GPT の README 自身が、実験にすぎず製品ではないこと、現実の複雑な業務ではうまくいかないかもしれないこと、動かすのにかなり費用がかかるので OpenAI の API キーの上限を設定して監視するよう書いていた。

Vice は2023年4月4日の記事で、2つのエージェントの仕組みを紹介しながら、作業の連鎖の後ろに行くほど言語モデルが事実でないことを作り出しやすくなるという研究や、AI 研究者の Andrej Karpathy が GPT は自分の限界(扱える文脈の長さや暗算の弱さ)を知らず、生成が脱線しうると指摘したことを伝えた。Nakajima も Richards も、人間の監督がまだ必要だと強調していた。IBM の解説も、目的と関係のない作業にそれる、作り出した情報をもとに行動する、大きな作業では API 料金が高くつくといった弱点を挙げている。

項目Auto-GPT(2023年春)
中核モデルGPT-4(要約などに GPT-3.5)
必要なものPython と OpenAI の API キー(有料)
標準の動き方一歩ごとに利用者が承認
主な弱点ループ、事実でない情報の生成、費用
リポジトリのスター数約18.7万(2026年10月)

その後 ── 「エージェント」は業界の言葉になった

Auto-GPT 自体はその後、エージェントを作って動かすプラットフォームに姿を変え、リポジトリは2026年10月時点で約18.7万のスターを集めている。旧来の部分は MIT ライセンス、新しいプラットフォームは競合する有料サービスとしての提供を禁じる Polyform Shield ライセンスである。

2023年の Auto-GPT ができなかったことは、その後の製品が1つずつ埋めていった。画面を操作する Claude のコンピュータ使用(2024年)、「AI ソフトウェアエンジニア」を名乗った Devin(2024年)、ブラウザで用事を片付ける OpenAI Operator(2025年)、端末で開発を担う Claude Code(2025年)、そしてエージェントと外部ツールをつなぐ規格 MCP(2024年)である。

社会への影響と冷めた見方

Auto-GPT は、OpenAI の API キーと少しの手間さえあれば、大企業でなくても自律型 AI を試せることを示した。その一方で、エージェントのブームは期待の膨張も生んだ。調査会社 Gartner は2025年6月、エージェント型 AI のプロジェクトの40%超が、費用の高騰、事業価値の不明確さ、リスク管理の不備から2027年末までに中止されると予測した。チャットボットや RPA などの既存製品をエージェントと呼び替える「エージェント・ウォッシング」が横行しているとして、本物のエージェント型 AI の提供企業は数千社のうち約130社にとどまると見積もっている。同時に Gartner は、2028年までに日常業務の判断の少なくとも15%が自律的に行われるようになるとも予測しており、期待と幻滅が並走している。

AI エージェントの歴史を追うなら、AI の年表 と オープンソースの年表 が入口になる。Auto-GPT の土台になった言語モデルについては ChatGPT の公開 と GPT-4 のページを参照。

よくある質問

AI エージェントとは何ですか。
目標を与えられると、自ら手順を決め、検索やコード実行などの道具を使い、結果を見て次の行動を選ぶ AI システムです。Anthropic は、LLM が自分の進め方と道具の使い方を動的に決め、作業のやり方を自ら制御するシステムをエージェントと呼び、あらかじめ決めた手順に沿う「ワークフロー」と区別しています。
Auto-GPT とは何ですか。
Toran Bruce Richards が GitHub で公開した、GPT-4 を自律的に動かす実験的なオープンソースのアプリケーションです。目標を与えると GPT-4 が作業を自分で分け、Web 検索、ファイルの読み書き、記憶の管理をしながら動き続けます。2023年3月30日付のデモ動画をきっかけに広まりました。
Auto-GPT と BabyAGI の違いは何ですか。
BabyAGI は投資家で開発者の Yohei Nakajima が2023年3月28日に原型を公開した、より小さなタスク駆動型のエージェントです。GPT-4 による実行・タスク作成・優先順位付けの3役と、ベクトルデータベース Pinecone、LangChain で構成されていました。Auto-GPT は Web 閲覧やファイル操作など多くの機能を詰め込んだアプリケーションでした。
Auto-GPT の限界は何でしたか。
同じ作業を繰り返すループに陥る、事実でない情報を作り出す、GPT-4 の API 料金がかさむといった点です。README 自身が、実験にすぎず製品ではない、現実の複雑な業務ではうまくいかないかもしれない、動かすのにかなり費用がかかると書いていました。

出典

  1. 一次資料Auto-GPT README at commit 39b51697 — GitHub, Mar 31, 2023

    当時の README。「An Autonomous GPT-4 Experiment」、デモ(30/03/2023)、機能、継続モードの警告、限界と免責

    取得日: 2026-10-18

  2. 一次資料Significant-Gravitas/AutoGPT — GitHub

    リポジトリ作成は2023年3月16日、スター約18.7万、classic は MIT・プラットフォームは Polyform Shield

    取得日: 2026-10-18

  3. 一次資料yoheinakajima/babyagi — GitHub

    取得日: 2026-10-18

  4. 二次資料Developers Are Connecting Multiple AI Agents to Make More ‘Autonomous’ AI — Vice, Apr 4, 2023

    Auto-GPT と Nakajima のエージェントの仕組み、Karpathy のループについての発言、人の監督が必要だという作者2人の見解

    取得日: 2026-10-18

  5. 三次資料What is AutoGPT? — IBM

    取得日: 2026-10-18

  6. 三次資料What Are AI Agents? — IBM

    取得日: 2026-10-18

  7. 一次資料Building effective agents — Anthropic, Dec 19, 2024

    ワークフローとエージェントの区別

    取得日: 2026-10-18

  8. 二次資料Over 40% of Agentic AI Projects Will Be Scrapped by 2027, Says Gartner — Outlook Business, Jun 25, 2025

    Gartner の予測。2027年末までにエージェント型 AI プロジェクトの40%超が中止、エージェント・ウォッシング、本物のベンダーは約130社、2028年までに日常業務の判断の15%以上が自律化

    取得日: 2026-10-18

  9. 三次資料AutoGPT — Wikipedia

    取得日: 2026-10-18

最終更新:

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