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Anthropic
2021年1月に OpenAI を離れた7名 ── Dario Amodei・Daniela Amodei 兄妹ら ── が米国で設立した AI 安全研究企業。成文化された原則リストでモデルを律する Constitutional AI(2022年12月の論文)を提唱し、2023年3月に Claude と Claude Instant を申請制で公開した。Google と Amazon が主要な出資者で、2026年4月に Amazon が最大250億ドル、Google が最大400億ドルの追加投資を表明。2026年5月28日の Series H は 650億ドルを post-money 9,650億ドル評価で調達し、同年6月1日に SEC へ IPO の秘密申請を行った。
組織情報
- 設立
- 2021
- 状態
- 稼働中
- 活動期間
- 2021–
- 関連事象
- 05
- 名称
- ENAnthropicJAAnthropic
Anthropic は、 2021年1月に OpenAI を離れた7名 ── Dario Amodei・Daniela Amodei 兄妹を中心とする ── が米国で設立した AI 安全研究企業である。 サンフランシスコに本社を置き、 大規模言語モデルの挙動を成文化された原則リスト(「憲法」)で律する Constitutional AI と、 機械的解釈可能性(mechanistic interpretability)研究を二本柱に、 Claude を提供する。 2026年5月時点の年間換算売上(run-rate revenue)は470億ドル、 同月28日の Series H は 650億ドルを post-money 9,650億ドル評価で調達し、 6月1日には SEC へ IPO の秘密申請を行った。
OpenAI を出て、 post-money 9,650億ドルへ
Dario Amodei は OpenAI で研究担当 VP として GPT-2・GPT-3 の開発を主導したのち、 2020年末から2021年1月にかけて COO となる妹の Daniela を含む計7名で退社し、 2021年に Anthropic を設立した。 「フロンティア AI の能力進展より速いペースで安全研究を進めること」を掲げ、 2021年5月の Series A で 1.24億ドルを調達、 元 OpenAI 研究者の Jared Kaplan・Tom Brown・Sam McCandlish ら GPT-3 論文の主要著者を集めた。
Constitutional AI の論文「Constitutional AI: Harmlessness from AI Feedback」は2022年12月に公開された(arXiv:2212.08073)。 2023年3月14日、 Claude と軽量版 Claude Instant を申請制で公開(誰でも使える一般公開ではない)。 同年7月に Claude 2、 11月に Claude 2.1(コンテキスト 200,000 トークン)。 出資では Google が2023年2月に約3億ドル、 Amazon が2023年9月に最大40億ドル(のち総額80億ドル)を投じた。 2024年3月に Claude 3(Opus/Sonnet/Haiku)、 同年6月に Claude 3.5 Sonnet、 同10月に「コンピュータ使用」(画面を読みマウス・キーボードを操作する)対応。 2025年5月に Claude Opus 4 と Claude Sonnet 4 を公開し、 同時に Responsible Scaling Policy に定める AI Safety Level 3(ASL-3)の配備・セキュリティ基準を予防的措置として発動した。 同年11月に Claude Opus 4.5、 2026年6月30日に Claude Sonnet 5、 7月24日に Claude Opus 5 を公開している。 開発者向け CLI の Claude Code は2025年5月に一般提供を開始した。
2024年11月、 Palantir と AWS との三社提携で、 米国の情報・国防コミュニティに Claude 3 / 3.5 を Palantir の IL6 認定環境で提供すると発表した(AI 軍事利用 2024 の中核事案)。 資本面では2026年2月に Series G(300億ドル、 post-money 3,800億ドル、 GIC と Coatue が主導)、 4月に Amazon が既存の80億ドルに加えて最大250億ドル、 Google が最大400億ドル(現金と計算資源の組合せ)を表明、 5月28日に Series H(650億ドル、 post-money 9,650億ドル、 Altimeter・Dragoneer・Greenoaks・Sequoia が主導)と続いた。 Series H により、 民間 AI 企業の評価額として OpenAI の8,520億ドル(2026年3月)を上回った。
Claude を届ける三つの経路
| カテゴリ | 製品 | 概要 |
|---|---|---|
| 対話 AI | Claude.ai(Free / Pro / Max)、 Claude Teams、 Claude Enterprise、 Claude for Government | Opus / Sonnet / Haiku の3系統 |
| 開発者プラットフォーム | Anthropic API、 Amazon Bedrock、 Google Cloud Vertex AI | 三経路での提供 |
| エージェント / コード | Claude Code CLI、 Claude Cowork、 Computer Use、 MCP(Model Context Protocol) | エンタープライズ成長の主軸 |
| 安全研究 | Constitutional AI、 機械的解釈可能性、 Responsible Scaling Policy(RSP / ASL) | 政策・標準形成にも影響 |
| 公共契約 | Palantir-AWS 連合経由の米国情報コミュニティ向け Claude | 2024年11月〜 |
重要事件
- 2021年1月: Dario・Daniela Amodei ら7名が OpenAI を退社、 同年 Anthropic 設立。
- 2021年5月: Series A で 1.24億ドル調達。
- 2022年4月: Series B で 5.8億ドル調達(Sam Bankman-Fried の FTX 関連が約 5億ドルを占め、 FTX 破綻後に当該株式は破産財団へ渡った)。
- 2022年12月: Constitutional AI 論文を公開。
- 2023年3月14日: Claude と Claude Instant を申請制で公開。 同日 OpenAI が GPT-4 を発表。
- 2023年7月: Claude 2 一般公開。 同年9月に Amazon が最大40億ドル投資を発表。
- 2024年3月: Claude 3 系(Opus/Sonnet/Haiku)公開。
- 2024年6月: Claude 3.5 Sonnet 公開。
- 2024年10月: コンピュータ使用機能を追加。
- 2024年11月: Palantir・AWS と提携、 米情報・国防に Claude 提供。
- 2025年5月: Claude Opus 4 / Sonnet 4 公開、 ASL-3 の配備・セキュリティ基準を発動。 Claude Code を一般提供化。
- 2025年11月: Claude Opus 4.5 公開。
- 2026年2月: Series G ── 300億ドル、 post-money 3,800億ドル。
- 2026年4月: Amazon が最大250億ドル、 Google が最大400億ドルの追加投資を表明。
- 2026年5月28日: Series H ── 650億ドル、 post-money 9,650億ドル。
- 2026年6月1日: SEC へ IPO の秘密申請(draft S-1)。
- 2026年6月30日 / 7月24日: Claude Sonnet 5、 Claude Opus 5 を公開。
業績指標
- 年間換算売上(run-rate revenue): 470億ドル(2026年5月、 Anthropic 発表)
- 評価額: post-money 3,800億ドル(2026年2月 Series G)→ post-money 9,650億ドル(2026年5月 Series H)
- 主要出資: Amazon 80億ドル+最大250億ドル(2026年4月)、 Google 最大400億ドル(2026年4月、 現金と計算資源)、 ほかに Spark Capital、 General Catalyst、 Lightspeed、 GIC、 Coatue、 Altimeter など
- 上場: 2026年6月1日に draft S-1 を SEC へ秘密提出。 株数・価格は未定
安全を掲げる会社が、 防衛契約に踏み込むところ
Anthropic は「安全な AI 開発」を明示的な企業理念に掲げる珍しい大手であり、 2023年に公表した Responsible Scaling Policy(RSP)は AI Safety Level(ASL)の段階定義により能力進展と安全対策の整合をとる枠組みを業界に持ち込んだ。 2025年5月の Claude Opus 4 公開時には ASL-3 基準を発動しているが、 これは「Opus 4 が ASL-3 を要する能力閾値を超えたと判定したから」ではなく、 「CBRN 関連能力の向上により、 従来のように ASL-3 相当のリスクを明確に否定できなくなったため」の予防的・暫定的措置だと同社自身が説明している。 機械的解釈可能性の研究では Sparse Autoencoder による内部表現の特徴抽出などで学術界の最前線水準を保っている。 一方で、 「より速い競合がいるからこそ我々が前にいる必要がある」という創業時のロジックは、 結果的に最先端 LLM 競争の加速に寄与しているという批判("acceleration paradox")も続く。
2024年11月の Palantir-AWS 提携 は、 設立時のスタッフ・支援者から「AI 安全企業が軍事・情報機関に LLM を供給することの正当性」を巡って強い議論を呼んだ。 Anthropic は使用ポリシーで核・生物兵器の設計や大規模な国内監視への利用を禁じる一方、 防衛分析やサイバーセキュリティでの使用は許諾しており、 2026年2月にはこの2つの例外を維持する姿勢が米政権と正面から衝突した。
訴訟も抱える。 楽曲歌詞の学習を巡る Universal Music 等の提訴(2023年〜)、 出版各社による著作権訴訟、 Reddit による学習データ訴訟など、 OpenAI と同種の問題系をすべて共有する。 また Amazon・Google との深い結びつきは、 クラウド計算資源への支払コミットと引き換えに出資を受ける「コンピュート対資金」モデルの典型であり、 独立性とインフラ依存のバランスは継続課題である。
関連する出来事
出典
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