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Starlink ── 低軌道に数千基を並べた SpaceX の衛星インターネット

メタデータ
- 日付
- 年代
- 2010s
- Tier
- T1
- 参照年表
- インターネットとWebの歴史
- 出典数
- 12
- 関連項目
- 01
- Tags
- #launch#consumer#market#military#japan
Starlink は、SpaceX が運営する衛星インターネットである。地上から約550km の低い軌道に数千基の小型衛星を並べ、皿形のアンテナを置いた場所ならどこでもインターネットにつなぐ。運用を前提にした最初の衛星60基は、米東部時間2019年5月23日夜(協定世界時と日本時間では5月24日)に Falcon 9 ロケットで打ち上げられた。一般向けの有料サービスは2020年10月に米国で始まり、日本では2022年10月11日に個人向けサービスの開始が発表された。
2026年10月時点で、Starlink は上場企業 SpaceX の収益の柱の一つになっている。SpaceX が2026年10月20日に出した第3四半期の決算発表によれば、9月30日時点の個人・小規模事業向け契約者は1,360万、軌道上の衛星は約1.11万基、サービス提供国・地域は174である。
打ち上げまで
Wikipedia によれば、Starlink は2015年1月、ワシントン州レドモンドに衛星開発拠点を開いた際に公表された。2018年2月に試験衛星2基(Tintin A・B)を打ち上げ、翌2019年5月に最初の本格的な60基を軌道へ送った。
SpaceNews は、この60基を「最終的に1万2,000基にもなりうるインターネット衛星網」の最初の一群として報じた。国立天文台は2020年の声明で、打ち上げは2019年5月24日に始まり、計画どおり約1万2,000基がそろえば常に約200基が空に見えるという見積もりを紹介している。
「Better Than Nothing Beta」
CNBC によれば、SpaceX は2020年10月26日(月)、関心を登録していた人々にメールを送り、公開ベータ版の受付を始めた。名前は「Better Than Nothing Beta」、つまり「ないよりはまし」ベータで、料金は月99ドル、アンテナ・三脚・Wi-Fi ルーターをまとめた Starlink Kit が別に499ドルだった。それまでの数か月は社員向けの限定ベータだった。SpaceX はアプリの説明で、2020年に米国とカナダから始め、2021年には人の住む地域のほぼ全体へ広げるとしていた。打ち上げ済みの衛星はこの時点で900基近くだった。
日本と KDDI
日本では KDDI が早くから組んだ。BUSINESS NETWORK の2022年10月19日の記事によれば、KDDI は2021年9月に、au の基地局と通信網を結ぶ回線(バックホール)に Starlink を使う契約を SpaceX と結び、国内で唯一の認定 Starlink インテグレーターとして法人・自治体向けにも提供することになった。SpaceX は2022年10月11日に日本での個人向けサービスの開始を発表しており、記事はこれをアジアで初めての提供としている。
その先が、衛星とスマートフォンの直接通信である。KDDI と沖縄セルラーは2025年4月10日、au のスマートフォンが Starlink の衛星と直接つながる「au Starlink Direct」の提供を始め、日本初の Direct to Cell 衛星サービスだと発表した。発表によれば、au の人口カバー率は99.9%を超えるが、地形のため面積カバー率は約60%にとどまり、残りの約40%をこのサービスで補う。
ウクライナ
2022年2月、ロシアの侵攻を受けたウクライナで、Starlink は戦時の通信手段になった。CNBC によれば、2月26日(土)、ウクライナの副首相兼デジタル変革相 Mykhailo Fedorov が Musk に Starlink の端末を求め、Musk は同日夜、Twitter で「Starlink service is now active in Ukraine. More terminals en route.」と応じた。
Wikipedia によれば、その後 Starlink はウクライナの政府と軍の通信を支え、ドローンや砲兵の連携にも使われた。SpaceX は通信を超える攻撃的な利用には懸念を示し、技術的な制限もかけた。費用をめぐっては Musk が月2,000万ドルかかると述べ、2023年6月には米国防総省がウクライナでの利用費用を負担する契約を SpaceX と結んだ。
天文学からの懸念
衛星網は空の見え方も変えた。国際天文学連合(IAU)は2019年6月3日、Starlink のような大規模な衛星網が天文観測を損なうおそれがあるとの声明を出した。国立天文台も2019年7月9日(英訳は2020年3月13日)に声明を出し、衛星が太陽光を反射して望遠鏡には「人工の星」として写ること、衛星と地上の電波が電波天文の観測を妨げうることを挙げた。アリゾナ州のローウェル天文台では、銀河の画像に Starlink 衛星の反射光の筋が何本も写り込んだ例がすでに出ていた。
SpaceX 自身は、2026年3月31日時点の Starlink 衛星は、軌道上で稼働する操縦可能な衛星全体の約75%を占めると開示している。
数字で見る Starlink
SpaceX の開示では、契約者数は、Starlink.com のアカウントに直接ひもづく固有の回線を数えたもので、個別の契約を結ぶ企業・政府の顧客を含まない。2026年第3四半期からはこれを「consumer subscribers」と呼び替えた。
| 時点 | 契約者 | 衛星 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2023年12月31日 | 230万 | ── | S-1 |
| 2024年12月31日 | 440万 | ── | S-1 |
| 2025年12月31日 | 890万 | ── | S-1 |
| 2026年3月31日 | 1,030万 | 約9,600基(ブロードバンドとモバイル) | S-1 |
| 2026年6月30日 | 1,200万 | ── | 第2四半期報告書 |
| 2026年9月30日 | 1,360万 | 約1.11万基(運用終了の承認済みを含む) | 第3四半期決算発表 |
第3四半期の発表は、衛星の数え方を変えたと断っている。新しい定義は運用終了の承認を受けた衛星を含み、旧定義なら約400基少なくなる。契約者とは別に、企業向けの契約者が数十万あるとも書いている。
売上では、Starlink を中心とする Connectivity 部門が2025年に113億8,700万ドル、2026年第3四半期だけで52億4,800万ドルを稼いだ。一方で契約者1人あたりの月間売上(ARPU)は、2023年の99ドルから2025年の81ドルへ下がった。S-1 はその主な理由を、海外展開と低価格プランの追加に求めている。
上場した SpaceX の中で
SpaceX は2026年6月11日に新規株式公開の価格を1株135ドルに決め、翌12日に Nasdaq で取引が始まった(銘柄コード SPCX)。それに先立つ2月2日には xAI を買収しており、X(旧 Twitter)もその傘下に入っている(その経緯は X Corp.(旧 Twitter) を参照)。
衛星の側も世代が替わりつつある。第3四半期の発表によれば、初めて軌道に達した Starship の飛行(Flight 14)が次世代の Starlink V3 衛星26基を運んだ。SpaceX はこれを、Falcon 9 1回分の約10倍の下り容量の追加と説明している。スマートフォン向けの別の衛星網(S-1 によれば2026年3月31日時点で約650基)も、KDDI を含む各国の携帯会社と組んで広がっている。
インターネットの層の歴史は インターネットとWebの年表、SpaceX を率いる人物については Elon Musk を参照。
よくある質問
- Starlink はいつから始まったのですか。
- 運用を前提にした最初の衛星60基は米東部時間2019年5月23日夜(日本時間24日)に打ち上げられました。一般向けの有料サービスは2020年10月、米国での公開ベータ「Better Than Nothing Beta」から始まりました。
- 日本ではいつから Starlink を使えますか。
- SpaceX は2022年10月11日に日本での個人向けサービスの開始を発表し、アジアで初めての提供とされました。KDDI は2021年9月に au の基地局の回線に使う契約を結び、2025年4月10日にはスマートフォンと衛星が直接つながる au Starlink Direct を始めました。
- Starlink の契約者と衛星はどのくらいですか。
- SpaceX の2026年第3四半期の決算発表によれば、9月30日時点で個人・小規模事業向けの契約者は1,360万、軌道上の衛星は約1.11万基(運用終了の承認済みを含む)で、ほかに企業向けの契約者が数十万あります。
- Starlink は天文観測に影響しますか。
- 国際天文学連合は2019年6月3日に懸念を表明し、国立天文台も衛星の反射光が望遠鏡に人工の星として写ることや、衛星と地上の電波が電波天文を妨げうることを挙げて協力を求めました。
出典
2023〜2025年末と2026年3月末の契約者数、約9,600基、164か国・地域、契約者の定義、ARPU の低下理由、約75%、モバイル衛星約650基、KDDI など提携先
一次資料SpaceX Reports Third Quarter 2026 Results — Exhibit 99.1 to Form 8-K, October 20, 2026 — SEC EDGAR
1,360万の契約者、約1.11万基と定義の変更、174か国、Connectivity 部門の売上、Starship Flight 14 と V3 衛星26基
2019年5月24日の打ち上げ開始、約1万2,000基と約200基、ローウェル天文台の例、2019年6月3日の IAU 声明
二次資料「スマホの衛星通信元年だ」KDDIがStarlinkを法人向けに全国で提供 — BUSINESS NETWORK、2022年10月19日
2022年10月11日の日本での個人向けサービス開始(アジア初)、KDDI の2021年9月の契約、認定インテグレーター、約550km
2015年1月の公表、2018年2月の試験衛星、ウクライナでの軍事利用と費用、2023年6月の国防総省との契約
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