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NFT ブーム ── Beeple の作品がクリスティーズで6930万ドル

2025年12月、Art Basel Miami Beach の催しで話す Beeple(Mike Winkelmann)
出典Jennifer 8. Lee / WikiPortraits (Wikimedia Commons) · CC BY-SA 4.0 · Commons で見る ↗

メタデータ

日付
年代
2020s
Tier
T1
出典数
08
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NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン) は、ブロックチェーン上に記録される、1点ずつ区別できるトークンである。2021年3月11日、デジタルアーティスト Beeple(本名 Mike Winkelmann)の「Everydays: The First 5000 Days」が、クリスティーズのオンライン競売で 6934万6250ドル で落札された。クリスティーズは競売の前から、これをデジタルアートの市場の発展における重要な節目と位置づけていた。

この記事は投資判断の材料を提供せず、価格の予想もしない。ここでは、NFT が技術的に何であり、どこから来て、ブームの後に取引がどう動いたかを、出典と日付とともに並べる。

NFT とは何か

ビットコイン の1枚は、別の1枚と区別されない。同じ価値で入れ替えられる、つまり代替可能(fungible)である。NFT はその逆で、トークンの1つひとつが別物として扱われる。多くの場合、NFT はデジタルの作品、写真、動画、音声などのファイルへの参照を含み、所有者はそれを他人に移転できる。

ただし Wikipedia がまとめるとおり、ブロックチェーン上の NFT の所有は、それ自体には法的な意味を持たない。元のデジタルファイルの著作権や知的財産権を与えるとは限らず、ファイルの共有や複製を止めるものでもない。同じファイルを参照する別の NFT が作られるのも防げない。

背景 ── CryptoPunks と ERC-721

NFT の多くは イーサリアム の上で作られてきた。Larva Labs が今日の NFT の「原型」と呼ぶのが CryptoPunks である。

日付出来事
2017年6月23日Larva Labs(Matt Hall と John Watkinson)が CryptoPunks を公開。24×24ピクセルの人物像1万点をアルゴリズムで生成し、イーサリアムのウォレットを持つ人なら誰でも無料で受け取れるようにした
2017年1万点すべてが受け取られるまでに8日かかった(Larva Labs による)
2017年後半CryptoKitties を作った Dapper Labs の Dieter Shirley らが、NFT を正式に定義する規格 ERC-721 を提案
2018年1月24日ERC-721 の提案文書(EIP-721)の作成日
2022年CryptoPunks の知的財産を Yuga Labs が取得
2025年デジタルアートの非営利団体 Infinite Node Foundation に移る

Larva Labs は、2017年に CryptoPunks を作った時点では NFT という言葉はまだ存在せず、広く使われていた代替可能なトークンの規格を改造して、自前で仕組みを作ったと振り返っている。受け取るのは無料で、払うのはネットワークの手数料だけだった。

ERC-721 の提案文書は、自らを "A standard interface for non-fungible tokens, also known as deeds." と説明する。代替可能なトークンの規格 ERC-20 では、それぞれの資産が別物である NFT を追跡するのに足りない、というのが提案の理由だった。

2021年3月11日 ── クリスティーズの単一ロット競売

項目内容(クリスティーズの競売ページから)
作品Beeple「The First 5000 Days」
形式1点だけのオンライン競売
期間2021年2月25日〜3月11日
落札総額6934万6250ドル
作品の中身Beeple が2007年5月1日から毎日1点ずつ発表してきた「Everydays」の最初の5,000点を、1枚の構図にまとめたもの

クリスティーズは、この競売を、大手競売会社が純粋なデジタル作品、つまり NFT を出品した初めての例だとしている。Al Jazeera は、入札は100ドルから始まったと伝えた。同紙が引くクリスティーズの発表によれば、33人の入札者の91%がクリスティーズで初めて入札する人で、ミレニアル世代と X 世代が大半を占めた。クリスティーズは、この落札で Beeple が存命の芸術家のうち最も高額な3人に入ったと発表し、デジタルアートの発展にとっての分水嶺だと述べている。代金に暗号資産の Ether を受け付けるとも発表していた。

2022年 ── 取引額の急減

ブームは長く続かなかった。ただし、何をどの期間で測るかで見え方が変わる。分析会社 DappRadar が Decrypt に示した集計(2023年1月4日の記事)は、不正な自己売買(wash trade)と疑われる取引を除いた数字である。

指標数字(DappRadar、Decrypt 経由)
年間取引額2021年 約251億ドル → 2022年 約247億ドル
年間取引件数2021年 約5860万件 → 2022年 約1億100万件
月間取引額2022年5月 約33億ドル → 6月 約10億ドル強。以後年末まで10億ドルを超えず
2022年12月約6億8400万ドル

年間の合計はほぼ横ばいだったが、それは年初の取引が大きかったためである。Decrypt によれば、2022年1月には最大の取引所 OpenSea だけで月50億ドルの記録的な取引があった。暗号資産の価格は5月の Terra の LUNA と UST の崩壊で下落を速め、NFT の取引もそれに続いた。件数が増えて金額が横ばいということは、1件あたりの価格が下がったということでもある。

その後も金額の縮小は続いた。DappRadar の2025年第2四半期の報告を伝えた Decrypt(2025年7月4日)によれば、この四半期の取引額は8億2300万ドル、取引件数は1250万件だった。

批判と論点

Wikipedia は、NFT が投機的な投資として使われてきたこと、一部のブロックチェーンの電力消費と炭素排出、そして美術品をめぐる詐欺への利用が批判を集めてきたことをまとめている。電力については、NFT の多くが載るイーサリアムが2022年9月に計算量で競う方式をやめており、イーサリアムの側はそれで電力消費が大きく減ったとしている(イーサリアム を参照)。

NFT は、デジタルのものに「これは1点物だ」という記録を付ける仕組みとして広まった。その記録が法的に何を意味するかは、技術とは別の問題として残っている。ネットの上で価値をやり取りする仕組みの流れは インターネットとWebの年表 にある。

よくある質問

NFT とは何ですか。
ブロックチェーン上に記録される、1点ずつ区別できるトークンです。ビットコインのように1枚ずつが同じ価値で交換できるもの(代替可能)と違い、それぞれが別物として扱われるので「非代替性トークン」と呼ばれます。デジタルの作品や画像などへの参照を含むことが多く、所有者が移転できます。
Beeple の NFT はいくらで売れたのですか。
クリスティーズのオンライン競売(2021年2月25日〜3月11日)で、「Everydays: The First 5000 Days」が6934万6250ドルで落札されました。Beeple が2007年5月1日から毎日1点ずつ発表してきた最初の5,000点を1枚に組み合わせた作品です。
NFT を買うと著作権も手に入るのですか。
必ずしもそうではありません。ブロックチェーン上の NFT の所有はそれ自体に法的な意味を持たず、元のデジタルファイルの著作権などの権利を与えるとは限りません。ファイルの共有や複製を止めるものでもありません。
2022年に NFT 市場はどうなったのですか。
DappRadar の集計(不正な自己売買を除く)では、2022年の年間取引額は約247億ドルで、2021年の約251億ドルとほぼ同じでした。ただし月間の取引額は5月の約33億ドルから6月に約10億ドルへ落ち、その後は年末まで10億ドルを超えませんでした。

出典

  1. 一次資料CryptoPunks — Larva Labs

    取得日: 2026-10-24

  2. 一次資料CryptoPunks — cryptopunks.app

    取得日: 2026-10-24

  3. 三次資料Non-fungible token — Wikipedia

    取得日: 2026-10-24

最終更新:

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