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Midjourney とは ── Discord で始まった画像生成 AI

出典Midjourney; vector version by Tohaomg (Wikimedia Commons) · Public domain (simple geometric shapes; trademarked) · Commons で見る ↗

メタデータ

日付
年代
2020s
Tier
T1
参照年表
AIの歴史
出典数
14
関連項目
03
Tags
#launch#consumer#ethics#regulation

Midjourney(ミッドジャーニー)は、文章(プロンプト)から画像を作る生成 AI のサービスで、2022年7月に誰でも使えるオープンベータへ移った。「Midjourney とは何か」に一言で答えるなら、チャットサービス Discord の上で、ボットに文章を送ると4枚の絵が返ってくる ── その手軽さと独特の絵作りで、画像生成 AI を最初に大勢の手に渡したサービスの一つである。作ったのは、サンフランシスコの約10人の自己資金の研究所だった。

オープンベータの日付は資料によって幅がある。英語版 Wikipedia は、同社が2022年7月12日に「オープンベータへ移る」と告知したとする。PCWorld の7月26日の記事は、7月18日に24時間だけ全員に開いたあと、この日 Holz がベータテスターへのメールで「Midjourney のベータは全員に開かれた」と伝えたと報じている。最初のモデル V1 は2022年2月だった(英語版 Wikipedia による)。

David Holz と「約10人の研究所」

Midjourney を率いる David Holz は、手の動きを読み取って機器を操作する装置の会社 Leap Motion を2008年に共同創業し、12年間経営した人物である。The Register が2022年8月1日に載せた取材によれば、Holz は前年に Leap Motion を離れて Midjourney を始めた。そこで Holz は、会社は「約10人」で、自己資金で、投資家はおらず、すでに黒字だと語っている。

同じ取材での数字は、当時の規模感を伝える。利用者は数十万人で、それを支えるのに約1万台のサーバが要る。画像を見張るモデレーターは約40人。利用者の多くは楽しみのために使っているが、約30%は仕事で使い、グラフィックの作り手が顧客に見せる方向性の案出しに使っているという。料金は月10ドルと月30ドルの2段で、PCWorld によればベータの利用者は最初に約25枚を無料で作れた。

なぜ Discord だったのか

Midjourney は専用のアプリではなく、Discord のサーバとして始まった。新しい利用者は Midjourney の Discord に入り、初心者用のチャンネルにプロンプトを書く。結果はそのチャンネルにいる全員に見え、生成画像は標準で公開される。個別にボットとやりとりするには有料プランが必要だった。

Holz は The Verge の取材で、その理由を「people want to make things together」(人は一緒にものを作りたがる)と説明している。iOS で同じことをやろうとすれば自前の SNS を作らねばならないが、Discord ならすでにその場がある、という理屈である。誰かが「犬」と打ち、別の誰かが「宇宙の犬」、また別の誰かが「アステカの宇宙の犬」と打つ ── 他人のプロンプトを見て真似ることが、そのまま使い方の学習になった。

同じ2022年に画像生成 AI は三つの形で現れている。OpenAI の DALL·E 2 は待機リストから段階的に招待する閉じたサービス、Stable Diffusion は重みそのものの公開、そして Midjourney は誰でも入れる共有の場だった。Holz は The Register に、利用者の好みのデータからモデルを良くしてきたとも語り、V3 は絵の素材を足さずに、利用者がどの画像を気に入りどう使ったかのデータだけで大きく良くなったと説明している。

州フェアの1位と、教皇のダウンジャケット

Midjourney の名を一般に広めたのは、二つの画像だった。

一つめは2022年8月、Jason M. Allen が Midjourney で作った「Théâtre D'opéra Spatial」がコロラド州フェアの美術展のデジタルアート部門で1位になったことである。その経緯と、米国著作権局が AI 生成部分の除外を求めて登録を拒んだ顛末は、AI 生成画の州フェア受賞 の記事にある。

二つめは2023年3月、ローマ教皇フランシスコが白いダウンジャケットを着ているように見える画像が拡散したことである。BuzzFeed News によれば、作ったのはシカゴ近郊に住む31歳の建設作業員で、Midjourney で作った画像だった。本物の写真だと信じた人が多かったことが、画像生成の写実性がどこまで来たかを示した。その直前の3月15日に Midjourney は V5 のアルファ版を出している(英語版 Wikipedia による)。

版を重ねるモデル

Midjourney は数か月おきにモデルを入れ替えてきた。英語版 Wikipedia と Midjourney 自身の発表による節目は次のとおりである。

時期出来事
2022年2月V1
2022年7月オープンベータ(V3 は7月25日)
2022年11月5日V4 アルファ
2023年3月15日V5 アルファ
2023年12月21日V6 アルファ
2024年8月ウェブの操作画面を公開(Discord 以外からも使えるように)
2025年4月4日V7 アルファ。個人の好みを学習する「パーソナライズ」を標準で有効に
2025年6月18日初の動画モデル V1。生成した画像を動かす「Image-to-Video」
2026年3月17日V8 アルファ
2026年7月24日V8.2 が既定のモデルに

動画モデルの発表で Holz は、最終的に目指すのはリアルタイムの開かれた世界のシミュレーションであり、画像・動画・3D・リアルタイムのモデルはその部品だと書いている。

2025年8月22日には、Meta の最高 AI 責任者 Alexandr Wang が、Midjourney の「aesthetic technology」を今後のモデルと製品のためにライセンスすると発表した。Engadget は、Meta がすでに自前の画像生成と動画編集の AI を出していたことを踏まえ、OpenAI の Sora や Google の Veo と競うための提携と位置づけている。

訴えられる側として

画像の学習をめぐって、Midjourney は早くから訴訟の当事者になった。2023年1月、画家3人が Stability AI・DeviantArt とともに Midjourney を相手取った集団訴訟を起こしている。この訴訟の中身と2024年の判断は Stable Diffusion の記事にあるので、ここでは繰り返さない。

規模が変わったのは2025年である。6月11日、Disney と Universal が Midjourney をカリフォルニア州中部地区連邦地裁に著作権侵害で提訴した。NBC News はこれを、ハリウッドの大手による最初の AI 著作権訴訟と書いた。訴状は Midjourney を「the quintessential copyright free-rider and a bottomless pit of plagiarism」(典型的な著作権のただ乗りで、底なしの盗用の穴)と呼び、同社が前年に3億ドルを売り上げたと主張した。9月には Warner Bros. Discovery も提訴し、2つの訴訟は11月に併合された。

Variety の2026年7月2日の記事によれば、Midjourney は fair use(公正利用)を主張し、スタジオ側も同じように AI を使っていると反論して、スタジオ各社の AI の使い方を示す資料の開示を求めている。治安判事は6月15日、開示を消費者向けの AI 製品に限る判断を出した。裁判所は当事者に私的な調停を勧め、その期限を2026年8月19日としていた。2026年7月時点で、判決は出ていない。AI の学習と著作権をめぐる他の争いは AI と著作権の年表 にまとまっている。

その後

Midjourney は2022年に、外部の資本を入れない約10人の研究所として始まった。3年後には、Meta がその技術のライセンスを受ける相手になり、同じ年にハリウッドの大手スタジオから訴えられる相手にもなった。画像生成の質で評価されたことと、その質を何から学んだのかを問われることが、同じ会社の上で同時に起きている。生成 AI 全体の流れは AI の年表 で辿れる。

よくある質問

Midjourney はいつから使えるようになったのですか。
2022年7月にオープンベータへ移りました。英語版 Wikipedia は同社が7月12日にオープンベータへの移行を告知したとし、PCWorld は7月18日に24時間だけ全員に開いたあと、7月26日に Holz が全員への公開をメールで伝えたと報じています。最初のモデル V1 は2022年2月です。
Midjourney を作ったのは誰ですか。
サンフランシスコの Midjourney, Inc. で、率いるのは David Holz です。Holz は2008年に手の動きを読み取る入力機器の会社 Leap Motion を共同創業し、12年間経営しました。2022年8月の The Register の取材では、社員は約10人で投資家はいないと語っています。
Midjourney はなぜ Discord で提供されたのですか。
Holz は The Verge の取材に、人は一緒にものを作りたがり、iOS アプリでそれをやるには自前の SNS を作らねばならないが、Discord ならその場がすでにあると説明しました。初期の利用者は Discord の共有チャンネルにプロンプトを書き、他人の生成結果も見えるのが標準でした。2024年8月にはウェブの操作画面も公開されています。
Midjourney はどんな訴訟を起こされているのですか。
2023年1月に画家3人が Stability AI・DeviantArt とともに集団訴訟を起こしました。2025年6月11日には Disney と Universal が、9月には Warner Bros. Discovery が著作権侵害でカリフォルニア州中部地区連邦地裁に提訴し、2つの訴訟は11月に併合されました。Midjourney は fair use を主張しており、2026年7月時点で判決は出ていません。

出典

  1. 二次資料Holz, founder of AI art service Midjourney, on future images — The Register, August 1, 2022

    Leap Motion の経歴、約10人・投資家なし・黒字、数十万人の利用者と約1万台のサーバ、約40人のモデレーター

    取得日: 2026-10-20

  2. 一次資料Version — Midjourney Docs

    V8.0(2026年3月17日)、V8.1(4月14日)、V8.2 が既定に(7月24日)

    取得日: 2026-10-20

  3. 一次資料V7 Alpha — Midjourney, April 4, 2025

    取得日: 2026-10-20

  4. 一次資料Introducing Our V1 Video Model — Midjourney, June 18, 2025

    取得日: 2026-10-20

  5. 一次資料V8 Alpha — Midjourney, March 17, 2026

    取得日: 2026-10-20

  6. 三次資料Midjourney — Wikipedia

    オープンベータ告知の日付(7月12日)、V1〜V6 の日付、2024年8月のウェブ版

    取得日: 2026-10-20

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