T1
Windows 3.0 ── 商業的に成功した最初の Windows

メタデータ
- 日付
- 年代
- 1990s
- Tier
- T1
- 参照年表
- OSの歴史 · Microsoftの歴史
- 出典数
- 12
- 関連項目
- 04
Windows 3.0 は、Microsoft が1990年5月22日に発売した Windows で、商業的に大きく成功した最初の版である。Windows 1.0 から5年近く、全バージョン合わせても200万本に届かなかった Windows が、3.0 では1年目だけで400万本を売った。約2年後の1992年4月6日に出た Windows 3.1 はその改良版で、検索ではしばしば一緒に扱われるが、別の製品である。この記事では両者を分けて説明する。
3.0 で何が変わったか
Microsoft 自身の社史は、3.0 で「Windows はその後の版のような見た目になり始めた」と振り返っている。変化は画面の見た目と、内部の動き方の両方にあった。
| 領域 | Windows 3.0 で入ったもの |
|---|---|
| シェル | MS-DOS Executive に代わる Program Manager。ファイル操作は File Manager、印刷は Print Manager に分かれた |
| 画面 | 16色のグラフィックスと刷新されたアイコン(同梱ドライバは EGA・MCGA・VGA で最大16色。256色は対応アダプタと Palette Manager 経由) |
| CPU 対応 | Intel 80386 を本格的に活かす 386 エンハンスドモード |
| 動作モード | リアル・スタンダード・386 エンハンスドの3つ |
画面がまず変わり、その下で動作の仕組みも変わった。Microsoft は、新しく出回り始めた 386 搭載 PC が 3.0 の人気を後押しし、386 を全面的にサポートしたことでプログラムの動作が目に見えて速くなったとしている。
3つの動作モード
Windows 3.0 は、搭載された CPU とメモリに応じて3つのモードのどれかで動いた。
| モード | 想定する CPU | 特徴 |
|---|---|---|
| リアルモード | 80286 未満(8086/8088) | 旧来の Windows 2.x 用アプリケーションのための互換モード |
| スタンダードモード | 80286 | プロテクトモードで動作。当時の平均的な PC に合っていた |
| 386 エンハンスドモード | 80386 以上 | 仮想記憶と、複数の MS-DOS セッションの並行実行 |
386 エンハンスドモードの構造について、Microsoft の Raymond Chen は「実際には3つの OS が同時に動いていた」と説明している。主導権を握るのは32ビットのプロテクトモードで動く仮想マシンマネージャで、最初の仮想マシンの中でスタンダードモードの Windows が動き、他の仮想マシンではそれぞれ MS-DOS が動いて DOS のセッションを受け持った。それでも Windows が「16ビット OS」と呼ばれたのは、動かすアプリケーションが16ビットだったからだという。
ニューヨークでの発表
1990年5月、Microsoft はニューヨークで大規模な発表イベントを開いた。後に Windows 部門を率いる Steven Sinofsky は、単一の製品のためにこれほどの規模のイベントを開いたのは同社にとって最初期の例で、間違いなくもっとも高くついたものだったと振り返っている。当日は衛星中継で Microsoft の社内の会議室にも映像が送られた。
売れ方は速かった。Motley Fool の回顧記事によれば、最初の2週間で10万本が売れた。ただし IBM は自社 PC への Windows 3.0 のプリインストールを断っており、発売から3年ほどの OS/2 をまだ推していた。Microsoft はその代わりに、約30社の PC メーカーと同梱の契約を取り付けている。
| 期間 | 販売数 | 出典 |
|---|---|---|
| 最初の2週間 | 10万本 | Motley Fool |
| 最初の1年 | 400万本 | InfoWorld(TIME の集計) |
| 3.0 と 3.1 の最初の2年(合算) | 1000万本 | Microsoft |
OS/2 との分岐
Windows 3.0 の成功は、IBM との関係を変えた。両社は1985年8月に共同開発契約を結び、DOS の後継となる OS/2 を一緒に作ってきた。Microsoft と IBM は開発者に対して、長期的な基盤は OS/2 だと揃って呼びかけていた、と Sinofsky は書いている。
ところが、MS-DOS の上で動く Windows 3.0 が売れたことで、OS/2 の利点は「ほとんど理論上のもの」になった(Sinofsky)。1990年のうちに両社の共同開発はほころび、Microsoft は OS/2 の開発を IBM に委ねて Windows に軸足を移した。Microsoft の社史も、この成功の大きさが「それまでの計画を見直させた」と書いている。
Windows 3.1 は何が違うのか
1992年4月6日、Microsoft は Windows 3.1 を出した。3.0 と混同されやすいが、次の点がはっきり異なる。
| 項目 | Windows 3.0(1990年) | Windows 3.1(1992年) |
|---|---|---|
| リアルモード | あり | 廃止。80286 以上が必須 |
| 拡大縮小フォント | Adobe Type Manager など他社製品が必要 | TrueType を標準搭載 |
| マルチメディア | 標準では非搭載(1991年10月に Multimedia Extensions 版) | サウンドカード、MIDI、CD オーディオに対応 |
| 付属ゲーム | ソリティア、リバーシ | ソリティア、マインスイーパー(リバーシに代わる) |
| 設定 | INI ファイル | レジストリを導入(INI ファイルと併用) |
Computer History Museum によれば 3.1 の小売価格は149ドルで、TIME が集めた InfoWorld の数字では発売後3か月ほどで300万本を売った。日本語版の Windows 3.1 は1993年に投入され、Microsoft 日本法人によれば初年度に146万本が出荷された。
つまり「Windows 3.1」として記憶されている機能の多く ── TrueType のフォント、マインスイーパー ── は 3.0 にはなく、逆に Program Manager や 386 エンハンスドモードは 3.0 で登場したものだ。
その次へ
3.0 と 3.1 が築いた Windows の利用者層の上に、1995年の Windows 95 が来る。Windows 95 はスタートメニューとタスクバーで画面を作り変え、Win32 アプリケーションにプリエンプティブなマルチタスクを与えたが、Windows 3.1 向けの16ビットアプリケーションを動かし続けることも求められた。その継ぎ目の話は Windows 95 の記事で扱っている。
よくある質問
- Windows 3.0 はいつ発売されたのか
- 1990年5月22日です。Microsoft はこの日にニューヨークで大規模な発表会を開き、同日に販売を始めました。後継の Windows 3.1 は約2年後の1992年4月6日に出ています。
- Windows 3.0 と Windows 3.1 の違いは
- 3.1(1992年4月6日)は 3.0 にあったリアルモードを廃止して 80286 以上を必須とし、拡大縮小できる TrueType フォント、マインスイーパー、OLE の改良、サウンドや MIDI などのマルチメディア機能、レジストリを加えました。Program Manager や 386 エンハンスドモードは 3.0 で登場したもので、3.1 はそれを引き継いでいます。
- Windows 3.0 はどれくらい売れたのか
- InfoWorld の数字を集めた TIME の集計では、発売1年目に400万本です。Microsoft 自身は、3.0 と 3.1 を合わせて最初の2年で1000万本と説明しています。3.1 は発売後3か月ほどで300万本を売りました。
- Windows 3.0 で何が新しくなったのか
- MS-DOS Executive に代わる Program Manager と File Manager、Print Manager、16色のグラフィックスと新しいアイコン、そして 80386 の性能を活かす 386 エンハンスドモードです。動作モードはリアル・スタンダード・386 エンハンスドの3つで、CPU とメモリに応じて選ばれました。
出典
二次資料Kouyoumdjian, V. DOS/V, Windows, Prices, and the Future... — Computing Japan, August 1994
日本語版 Windows 3.1 の1993年投入と、Microsoft 日本法人による初年度146万本の出荷数
三次資料OS/2 — Wikipedia
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