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OpenAI Codex ── クラウドで並列に働くソフトウェア開発エージェント

OpenAI Codex は、OpenAI のソフトウェア開発エージェントである。2025年5月16日、OpenAI はクラウド上で複数のタスクを並列にこなすエージェントとして Codex をリサーチプレビューで公開した。機能の実装、コードベースについての質問への回答、バグ修正、プルリクエストの提案といった作業を、タスクごとに利用者のリポジトリを読み込んだ隔離環境(サンドボックス)で進める。ChatGPT の Pro・Enterprise・Business 利用者に世界一斉に提供され、6月3日に Plus 利用者へ広がった。その1か月前の2025年4月16日には、端末で動くオープンソースの Codex CLI が先に出ている。
名前で混乱しやすいので先に整理しておく。2021年の Codex は、GitHub Copilot を支えたコード生成モデルの名前だった。2025年の Codex は、作業を丸ごと任せるエージェント製品の名前で、中身のモデルは別物である。
2つの Codex
| 2021年の Codex | 2025年の Codex | |
|---|---|---|
| 正体 | コード生成モデル | ソフトウェア開発エージェント(製品) |
| 主な使われ方 | GitHub Copilot の補完 | クラウドでのタスク委任、端末(CLI)、IDE |
| 中身のモデル | GPT 系の言語モデルをコードで調整 | codex-1(OpenAI o3 を調整)、のちに GPT-5-Codex など |
| 単位 | 次の数行の提案 | 1つのタスク(実装・修正・PR) |
Codex CLI ── 2025年4月16日
OpenAI は推論モデル o3 と o4-mini を発表した2025年4月16日、新しい実験と位置づけて Codex CLI を公開した。開発者の手元のコンピュータで直接動く軽量のコーディングエージェントで、画面の写しや手書きの図を渡してコードと合わせて考えさせることもできる。公開と同時に GitHub でオープンソース化され(ライセンスは Apache 2.0)、OpenAI は Codex CLI を使うプロジェクトに API クレジットで支援する100万ドルの計画も発表した。
クラウド版 Codex ── 2025年5月16日
クラウド版の Codex は ChatGPT のサイドバーから使う。タスクを書いて「Code」を押せば作業が始まり、「Ask」を押せばコードベースについて質問できる。
- codex-1:OpenAI o3 をソフトウェア開発向けに調整したモデル。実際の開発作業を使った強化学習で、人間の書き方やプルリクエストの好みに近いコードを書き、テストが通るまで繰り返すよう訓練された
- 隔離環境:各タスクは利用者のリポジトリを読み込んだ専用のコンテナで動き、公開時の設定では作業中のインターネット接続は遮断された
- 所要時間:タスクの完了には複雑さに応じて通常1〜30分かかる
- 検証の材料:端末のログやテスト結果を引用して、何をしたかを利用者が確かめられるようにする
- AGENTS.md:リポジトリに置いた指示書から、テストの実行方法やプロジェクトの流儀を読み取る
OpenAI は、エージェントが書いたコードは統合や実行の前に人間が確認することが不可欠だと明記した。マルウェア開発のような悪用の依頼は断るよう訓練したとも説明している。早期の試験企業には Cisco、Temporal、Superhuman、自動運転の Kodiak が並んだ。Superhuman は、プロダクトマネージャーがエンジニアの手を借りずに小さなコード変更を出せるようになったと報告している。
日本での提供
クラウド版は公開日に Pro・Enterprise・Business 利用者へ「globally」(世界一斉)に提供された。地域の限定はなく、日本も最初から対象に含まれた。Plus 利用者が使えるようになったのは2025年6月3日である。2025年10月の一般提供の発表では、利用企業として Duolingo、Vanta、Cisco と並んで楽天の名前が挙がっている。
一般提供と広がり
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年4月16日 | Codex CLI をオープンソースで公開 |
| 2025年5月16日 | クラウド版 Codex をリサーチプレビューで公開 |
| 2025年6月3日 | Plus 利用者へ拡大、作業中のインターネット接続を選べるように |
| 2025年9月15日 | Codex 向けに調整した GPT-5-Codex を発表 |
| 2025年10月6日 | 一般提供。Slack 連携と Codex SDK |
| 2025年12月9日 | AGENTS.md を Linux Foundation 傘下の Agentic AI Foundation に提供 |
一般提供の発表で OpenAI は、Codex の日次利用が8月初めから10倍以上に増えたこと、GPT-5-Codex が公開から3週間で40兆トークン超を処理したことを示した。社内ではほぼ全エンジニアが Codex を使い(7月は半数強)、週ごとのプルリクエストのマージが70%増えたという。いずれも OpenAI 自身の数字である。2026年6月には、週間アクティブユーザーが500万を超え、その20%をエンジニア以外の知識労働者が占めると OpenAI が述べたと Constellation Research が報じた。
仕事はどう変わるのか
OpenAI は公開時の文章で、ソフトウェア開発は AI による生産性向上を最初に大きく経験する業界の1つだとしながら、エージェントの普及が開発の進め方や、人・技能水準・地域ごとの技能形成にどう影響するかを、協力企業と調べているとも書いた。開発者がやりたい仕事は自分で手がけ、残りをエージェントに任せる未来を描いている。
楽観の一方で、生産性の測り方には異論がある。研究機関 METR が2025年7月に公表した実験では、熟練したオープンソース開発者が AI ツールを使うと、本人の実感とは逆に作業時間が19%延びた(詳しくは Claude Code のページ)。OpenAI のいうプルリクエスト70%増は社内の自己申告で、外部の検証を経たものではない。若手の採用への影響は AI と若手雇用 のページにある。
競争も激しくなった。Anthropic の Claude Code は2025年2月に先行し、Google は2025年6月25日に Apache 2.0 のオープンソースで Gemini CLI を公開して、プレビュー期間中は個人の Google アカウントなら1日1,000回まで無料とした。端末で動くコーディングエージェントは、半年のうちに大手3社がそろって手がける分野になった。各社のエージェントが外部ツールにつなぐ共通規格は MCP である。同じ時代の出来事は AI の年表 と AI と社会の年表 で追える。
よくある質問
- OpenAI Codex とは何ですか。
- OpenAI のソフトウェア開発エージェントです。2025年5月16日にクラウド版がリサーチプレビューとして公開され、タスクごとにリポジトリを読み込んだ隔離環境で、機能の実装、バグ修正、テストの実行、プルリクエストの提案を並列に行います。端末で動く Codex CLI や IDE 拡張もあります。
- 2021年の Codex とは同じものですか。
- 違います。2021年の Codex は GitHub Copilot を支えたコード生成モデルでした。2025年の Codex はエージェント製品の名前で、最初は OpenAI o3 を調整した codex-1、のちに GPT-5-Codex などのモデルで動いています。
- Codex CLI はいつ公開されたのですか。
- 2025年4月16日、OpenAI o3 と o4-mini の発表と同時に、オープンソースとして公開されました。ライセンスは Apache 2.0 です。クラウド版の Codex より1か月早く出ています。
- 日本でも使えるのですか。
- クラウド版は2025年5月16日に ChatGPT の Pro・Enterprise・Business 利用者へ世界一斉(globally)に提供され、地域の限定はありませんでした。2025年10月の一般提供の発表では、利用企業として楽天の名前が挙がっています。
出典
一次資料Introducing Codex — OpenAI, May 16, 2025
クラウド型エージェントのリサーチプレビュー、codex-1、隔離コンテナ、実行中はインターネット遮断、AGENTS.md、Cisco・Temporal・Superhuman・Kodiak、6月3日に Plus へ、Codex CLI の更新
一次資料Introducing OpenAI o3 and o4-mini — OpenAI, Apr 16, 2025
Codex CLI の公開とオープンソース化、100万ドルの支援プログラム
端末で動く軽量コーディングエージェント、Apache-2.0、Rust
一次資料Codex is now generally available — OpenAI, Oct 6, 2025
一般提供、Slack 連携、Codex SDK、8月初めから日次利用10倍超、GPT-5-Codex が3週間で40兆トークン、社内のほぼ全エンジニアが利用、PR マージ70%増、Duolingo・Vanta・Cisco・楽天
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