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メルセデス・ベンツ DRIVE PILOT ── 米国で認められたレベル3

アリゾナ州メサの販売店の駐車場に停まった2021年型メルセデス・ベンツ S580 4MATIC(W223型 S クラス)。DRIVE PILOT が設定された世代の S クラス
出典HJUdall (Wikimedia Commons) · CC0 · Commons で見る ↗

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日付
年代
2020s
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T1
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DRIVE PILOT(ドライブパイロット)は、メルセデス・ベンツが S クラスと EQS に設定した、SAE レベル3(条件付運転自動化)の自動運転システムである。混雑した高速道路など限られた条件の中で車が運転を担い、運転者はその間、車載ディスプレイで別の作業ができる。ドイツでは2021年12月9日に連邦自動車庁(KBA)のシステム認可を受け、2022年5月17日から注文を受け付けた。米国では 2023年1月26日 にネバダ州が州の規則への適合を確認し、メルセデスはこれを、SAE レベル3を米国に持ち込んだ世界初の自動車メーカーになったと発表した。2023年6月8日にはカリフォルニア州車両局(DMV)が配備許可を出し、DMV は同社を、自動運転システムを備えた車を一般の人に販売・リースすることを認められた最初の企業だとしている。メルセデスの一連の発表に、日本での提供開始は含まれていない。

レベルの定義は SAE J3016 のページに、日本で先にレベル3の型式指定を受けたホンダの例はレジェンドのページにある。

ドイツ ── UN-R157 による認可

メルセデスによると、ドイツは2017年に道路交通法(StVG)をレベル3のシステムに向けて開き、こうしたシステムを認証できる技術基準 UN-R157 は2021年初めに発効した。国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)でこの国際基準が成立したのは2020年6月である。2021年12月9日、KBA は UN-R157 に基づいて DRIVE PILOT にシステム認可を与えた。メルセデスは、UN-R157 のレベル3の要件を満たした世界初の自動車メーカーだと述べている。

この「世界初」は UN-R157 という基準についての限定付きの表現である。日本では、ホンダのレジェンドが国内の基準による型式指定を2020年11月に受け、2021年3月にリース販売を始めていた。

ドイツでの当初の条件は、適した高速道路区間で交通量が多いときや渋滞時に、時速60kmまでというものだった。メルセデスは、まずドイツの1万3,191kmの高速道路で提供するとした。注文は2022年5月17日から受け付け、価格は S クラスで5,000ユーロだった。2024年12月には KBA が時速95kmまでの作動を認め、右車線で前の車に続いて走る条件で使えるようになった。メルセデスは、量産車で認証を受けたレベル3としては世界最速だとしている。

米国 ── ネバダとカリフォルニア

メルセデスによると、米国では規制の枠組みが州ごとに異なる。ネバダ州は2023年1月26日、自動運転車に関する州法(第482A章)の要件に DRIVE PILOT が適合することを確認した。

カリフォルニア州 DMV は2023年6月8日、メルセデス・ベンツ USA に自動運転車の配備許可を出した。DMV によると、配備許可を受けたのは同社が4社目で、自動運転システムを備えた車を一般に販売・リースすることを認められたのは同社が初めてである。

項目ドイツ(2022年)カリフォルニア州(2023年)
認可KBA のシステム認可(2021年12月9日、UN-R157)DMV の配備許可(2023年6月8日)
速度時速60kmまで(2024年12月に95kmまで拡大)時速40マイル(約64km)まで
場所適した高速道路区間指定された高速道路(ベイエリア、セントラルバレー、ロサンゼルス、サクラメント、サンディエゴ、ネバダへ通じる州間高速15号線)
主な条件交通量が多いときや渋滞時昼間のみ。市や郡の道路、工事区間、大雨や濃霧、冠水した道路などを除く

DMV は許可の条件として、車の持ち主がシステムの能力と作動・解除の方法を説明する必修の動画を見ない限り、メルセデスは DRIVE PILOT を有効にしないと定めた。配備許可には、走行設計領域の明示、連邦の安全基準への適合、警察や消防が車に対応するための計画、500万ドルの保険または保証などが求められる。メルセデスは2023年9月27日、米国では2023年末に台数を限った EQS から提供を始め、有効化の料金は2,500ドルからだと発表した。

何ができて、何をしなければならないか

メルセデスの説明によると、DRIVE PILOT は速度と車間を制御し、車線の中を走り、予期しない状況にも車線内での回避や制動で対応する。作動中は、走行中には使えない車載ディスプレイのアプリが使えるようになる。ただし運転者は、求められればいつでも運転を引き継がなければならない。運転者がたび重なる要請に応じない場合(重い急病など)、車はハザードランプを点けて停止し、緊急通報を作動させ、救助のためにドアのロックを外す。

装備は、通常の運転支援用のセンサーに加え、ライダー、リアウインドウのカメラ、緊急車両を聞き分けるマイク、路面の濡れを検知するセンサーなど。ステアリングとブレーキ、車載電源を二重化し、どれかが故障しても運転者に安全に引き継げるようにしたとしている。運転中にどこまでの作業が許されるかは、国ごとの交通法規による、とメルセデスは注記している。

2026年の転換

electrive などが2026年1月に伝えたドイツの経済紙 Handelsblatt の報道によると、1月29日に発表される改良型 S クラスには DRIVE PILOT が設定されない。代わりに導入されるのは、運転者が前方を見続けることを前提にした運転支援 MB.DRIVE ASSIST PRO(electrive はレベル2++ と表現)で、事故の責任は運転者に残る。electrive は、レベル2ならコストのかかるライダーを省けて価格を下げられ、渋滞の高速道路に限らず使える場面が広いことを理由に挙げている。同じ記事によると、メルセデスは Nvidia と組んでレベル4を目指しており、次の S クラス(2028〜2030年の見込み)での実現を狙う。

日付出来事
2017年ドイツが道路交通法をレベル3に向けて改正
2020年6月WP29 で国際基準(UN-R157)が成立
2021年12月9日KBA が DRIVE PILOT にシステム認可
2022年5月17日ドイツで注文受付開始(時速60kmまで)
2023年1月26日ネバダ州が適合を確認
2023年6月8日カリフォルニア州 DMV が配備許可
2024年12月KBA が時速95kmまでを認可
2026年1月改良型 S クラスに設定されないと報道

社会への影響

DRIVE PILOT は、運転中の時間を運転者に返すという価値を掲げた。メルセデスの技術責任者 Markus Schäfer は、顧客に時間を返すことが同社の戦略の中核だと述べている。規制の面では、カリフォルニア州 DMV が利用者教育の動画や警察・消防との連携計画を許可の条件にしたように、個人が所有するレベル3の車をどう社会に受け入れるかの手続きを具体化した。

一方で、速度と道路が限られ、カリフォルニアでは昼間だけという条件の下で、レベル3が個人向けの商品として成り立つかは別の問題だった。electrive が挙げた2026年の転換の理由は、コストと使える場面の狭さが、目を離せる運転という価値を上回りうるという見方である。Mobileye のように、レベル3と4の区別そのものが不要だとする業界の見方もある(SAE J3016 のページ)。運転者のいないレベル4のロボタクシーについては、Waymo のページにある。

よくある質問

DRIVE PILOT とは何ですか。
メルセデス・ベンツが S クラスと EQS に設定した SAE レベル3の自動運転システムです。混雑した高速道路など限られた条件の中で車が運転を担い、運転者はその間、車載ディスプレイで別の作業ができますが、要請があれば運転を引き継ぐ必要があります。
DRIVE PILOT はいつ米国で認められたのですか。
2023年1月26日にネバダ州が州法への適合を確認し、2023年6月8日にカリフォルニア州車両局が配備許可を出しました。カリフォルニア州車両局は、自動運転システムを備えた車を一般に販売・リースすることを認めた最初の企業だとしています。
DRIVE PILOT はどんな条件で使えるのですか。
カリフォルニア州では、指定された高速道路で、昼間に時速40マイルまでです。市や郡の道路、工事区間、大雨や濃霧、冠水した道路などでは使えません。ドイツでは当初、交通量の多い高速道路で時速60kmまでで、2024年12月に時速95kmまで認められました。
DRIVE PILOT は世界初のレベル3ですか。
メルセデスの表現は、国連基準 UN-R157 のレベル3の要件を満たした世界初の自動車メーカー、というものです。日本ではホンダ レジェンドが2020年11月に国内の型式指定を受け、2021年3月にリース販売されていました。

出典

  1. 一次資料First internationally valid system approval: Conditionally automated driving — Mercedes-Benz Group, Dec 9, 2021 (archived)

    group.mercedes-benz.com は自動取得を403で拒むため保存版。KBA の UN-R157 認可、2017年の StVG 改正、UN-R157 の2021年初めの発効、時速60km、1万3,191km、センサーと冗長化

    取得日: 2026-10-18

  2. 一次資料Mercedes-Benz world's first automotive company to certify SAE Level 3 system for U.S. market — Mercedes-Benz Group, Jan 26, 2023 (archived)

    ネバダ州による適合確認、第482A章、米国初という同社の表現、時速40マイル、要請に応じない場合の停止と緊急通報、Schäfer の発言

    取得日: 2026-10-18

  3. 一次資料California DMV Approves Mercedes-Benz Automated Driving System for Certain Highways and Conditions — California DMV, Jun 8, 2023

    配備許可、4社目で一般への販売・リースは初、昼間・時速40マイル・除外条件、対象地域、必修動画、許可の要件と500万ドルの保険

    取得日: 2026-10-18

  4. 一次資料Mercedes-Benz announces U.S. availability of DRIVE PILOT — Mercedes-Benz Group, Sep 27, 2023 (archived)

    2023年末の EQS の限定台数からの提供、州ごとに異なる規制、有効化2,500ドルから

    取得日: 2026-10-18

  5. 二次資料Mercedes-Benz opens sales of Level 3 autonomous driving system 'DRIVE PILOT' in Germany — S&P Global Mobility AutoTechInsight, May 9, 2022

    2022年5月17日の注文受付開始、S クラス5,000ユーロ、時速60km

    取得日: 2026-10-18

  6. 二次資料Autonomous driving: Mercedes is allowed to drive up to 95 km/h (Level 3) — heise autos, Dec 17, 2024

    KBA による時速95kmまでの認可、右車線で前車に続く条件、2025年春の販売開始予定、世界最速という同社の主張

    取得日: 2026-10-18

  7. 二次資料Mercedes pauses Level 3 driving assistance — electrive, Jan 12, 2026

    Handelsblatt の報道(改良型 S クラスに設定せず)、MB.DRIVE ASSIST PRO への置き換え、理由、Nvidia と組んだレベル4の方針

    取得日: 2026-10-18

  8. 一次資料【別紙2】自動運行装置の保安基準の概要 — 国土交通省, 2020年11月11日

    WP29 での国際基準の成立(2020年6月)

    取得日: 2026-10-18

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