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Amazon の1万4,000人削減 ── 「AI で社員は減る」と書いた CEO と、「理由は文化だ」という説明

2025年10月28日、Amazon はコーポレート部門の約1万4,000職を削減すると発表した。その4か月前の6月17日、CEO の Andy Jassy は全社員宛てのメモで、生成 AI とエージェントの展開によって今後数年で会社全体のコーポレート部門の人員は減ると見込む、と書いていた。このため削減は「AI による人員削減」の代表例として世界で報じられた。
ところが Jassy 本人は、発表の2日後の決算説明会で、この削減は財務上の理由でも、少なくとも今のところ AI が理由でもなく、「文化」の問題だと説明した。AI は削減の理由なのか、そうでないのか。Amazon の事例は、企業が AI と雇用をどう語るかそのものが問われた出来事になった。
6月17日のメモ
Jassy は「Some thoughts on Generative AI」(生成 AI についての考え)と題したメモで、社内で1,000を超える生成 AI のサービスやアプリケーションを開発中または構築済みだと書き、エージェントをもっと作りやすくすると宣言した。そのうえで雇用について次のように述べている。
We will need fewer people doing some of the jobs that are being done today, and more people doing other types of jobs. It's hard to know exactly where this nets out over time, but in the next few years, we expect that this will reduce our total corporate workforce as we get efficiency gains from using AI extensively across the company.
いま行われている仕事の一部では必要な人が減り、別の種類の仕事では人が増える。差し引きがどうなるかは分からないが、AI を全社で広く使って効率が上がるにつれ、今後数年でコーポレート部門全体の人員は減ると見込む ── という内容である。Jassy は社員に、AI に好奇心を持ち、学び、研修を受け、できる限り使って試すよう呼びかけた。大企業の CEO が、AI によって自社の人員が減ると全社員に向けて書いた例として注目された。
10月28日の発表
削減を発表したのは、人事を担う上級副社長の Beth Galetti のメモだった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年10月28日 |
| 規模 | コーポレート部門で差し引き約1万4,000職の削減(一部の分野では採用も続ける) |
| 説明された目的 | 官僚主義をさらに減らし、階層を取り除き、最大の賭けに資源を移す |
| 対象者への措置 | 多くの社員に社内で新しい職を探す期間として90日。見つからない場合は退職金、再就職支援、医療保険の給付など |
| 2026年の見通し | 戦略分野では採用を続けつつ、階層をさらに減らし効率を上げる場所を探す |
Galetti は、業績が好調なのになぜ削減するのかという問いを自ら立て、「この世代の AI はインターネット以来最も変革的な技術」("This generation of AI is the most transformative technology we've seen since the Internet")であり、より少ない階層とより大きな当事者意識で、もっと身軽に組織される必要があると書いた。AP 通信によれば、Amazon のコーポレート部門の社員は約35万人、物流を含む全従業員は約156万人で、1万4,000職はコーポレート部門の約4%にあたる。
「理由は文化だ」
10月30日の決算説明会で、Jassy は削減について問われ、次のように答えたと Fortune は伝えている。
The announcement that we made a few days ago was not really financially driven, and it's not even really AI-driven, not right now at least. It's culture.
数日前に発表した削減は財務上の理由によるものではなく、少なくとも今のところは AI が理由でもない、文化の問題だ ── という説明である。Fortune は、削減が主に中間管理職に及んだこと、そしてそれが AI による効率化で人員が減ると書いた6月のメモに続くものだったことを指摘している。
| 日付 | 説明した人 | AI と削減の関係についての説明 |
|---|---|---|
| 2025年6月17日 | Jassy(全社メモ) | AI による効率化で、今後数年でコーポレート部門の人員は減る見込み |
| 2025年10月28日 | Galetti(全社メモ) | 官僚主義と階層を減らす取り組みの継続。AI の変革性が組織を身軽にする必要の背景 |
| 2025年10月30日 | Jassy(決算説明会) | 財務上の理由でも、今のところ AI が理由でもなく、文化 |
| 2026年1月28日 | Galetti(ブログ) | 約1万6,000職を追加削減。階層を減らし、当事者意識を高め、官僚主義をなくす |
2026年1月28日の追加削減について AP 通信は、2023年に2万7,000人を削減して以来の規模だと報じた。2023年の削減の経緯は 2023年のテック業界人員削減 にある。
社会への影響と、数字の読み方
Amazon の説明の揺れは、AI と人員削減の関係を外から測ることの難しさを示している。同じ一連の削減が、ある文書では AI の時代に身軽な組織になるための措置として、別の場では文化の問題として語られた。削減の対象となった人にとっても、その理由がどちらなのかは見えにくい。
米国全体の数字も見ておきたい。米再就職支援会社 Challenger, Gray & Christmas の集計によると、2025年に米国の企業が発表した人員削減計画は120万6,374人で、2020年以来の多さだった。このうち AI が理由として挙げられたのは5万4,836人、約4.5%である。テクノロジー業界の削減は15万4,445人で、同社は AI の開発と導入への急速な転換と、過去10年の採用のしすぎが重なったと分析している。ただし、これは企業が発表時に挙げた理由の集計であり、実際の原因を検証したものではない。
経済全体への影響については、Yale 大学の Budget Lab のように明確な変化は見られないとする分析と、若い働き手の採用が AI にさらされた職種で減っているとする研究が並んでいる。その詳細は「炭鉱のカナリア」論文のページにまとめた。企業が AI を理由に挙げた初期の例としては、2023年の IBM の採用停止発言 もある。
AI と雇用をめぐる出来事の流れは AI と社会の年表 で追える。
よくある質問
- Amazon は AI のために1万4,000人を削減したのですか。
- 会社の説明は揺れています。発表した Galetti のメモは、官僚主義を減らし階層を取り除く取り組みの継続だとしつつ AI の変革性に触れました。一方 Jassy は10月30日の決算説明会で、財務上の理由でも、少なくとも今のところ AI が理由でもなく文化だと述べています。6月の Jassy のメモは、AI で今後数年のうちにコーポレート部門の人員が減ると見込んでいました。
- Andy Jassy の6月のメモには何が書かれていたのですか。
- 2025年6月17日のメモで Jassy は、生成 AI とエージェントの展開で、今の仕事の一部では人が少なくて済み、別の種類の仕事では人が多く要るようになると書き、差し引きがどうなるかは分からないが、今後数年でコーポレート部門全体の人員は減ると見込むとしました。社員には AI を学び、使い、試すよう求めています。
- 削減の規模は Amazon 全体のどれくらいですか。
- AP 通信によれば、Amazon のコーポレート部門の社員は約35万人、物流を含む全従業員は約156万人で、1万4,000職はコーポレート部門の約4%です。2026年1月28日にはさらに約1万6,000職の削減が発表されました。
- 2025年に AI を理由にした人員削減はどれくらいありましたか。
- 米再就職支援会社 Challenger, Gray & Christmas の集計では、2025年に米国で発表された人員削減計画120万6,374人のうち、AI が理由として挙げられたのは5万4,836人でした。企業が発表時に挙げた理由の集計であり、実際の原因を検証したものではありません。
出典
一次資料Message from CEO Andy Jassy: Some thoughts on Generative AI — Amazon, Jun 17, 2025
生成 AI のサービスとアプリ1,000超、人が少なくて済む仕事と多く要る仕事、今後数年でコーポレート部門全体の人員が減る見込み、社員への呼びかけ
一次資料An update from SVP Beth Galetti on Amazon workforce reduction — Amazon, Oct 28, 2025
約1万4,000職、官僚主義と階層の削減、社内異動に90日、退職支援、AI はインターネット以来最も変革的な技術という記述、2026年も戦略分野では採用を続けるという見通し
コーポレート部門約35万人、全従業員約156万人、コーポレート部門の約4%
2025年の発表済み削減120万6,374人、AI を理由とするもの5万4,836人(2023年以降の累計7万1,825人)、テクノロジー業界15万4,445人
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