T1#research#standard
世界最初のウェブサイト info.cern.ch

メタデータ
- 日付
- 年代
- 1990s
- Tier
- T1
- 参照年表
- インターネットとWebの歴史
- 出典数
- 11
- 関連項目
- 02
- Tags
- #research#standard
世界最初のウェブサイト は、CERN(欧州原子核研究機構)の Tim Berners-Lee が立ち上げた info.cern.ch である。最初のページのアドレスは http://info.cern.ch/hypertext/WWW/TheProject.html で、中身はウェブというプロジェクトそのものの説明だった。いつ「公開」されたかは、何をもって公開とするかで答えが変わる。CERN によれば最初のサーバとブラウザは1990年末には CERN 内で動いており、外の世界に向けて告げられたのは、Berners-Lee がニュースグループ alt.hypertext に投稿した 1991年8月6日 である。
ウェブを提案した1989年の文書と、サーバになった NeXT の機械については World Wide Web の提案 のページにある。ここでは、そのサーバで公開された最初のサイトそのものを扱う。
1990年末から1991年8月まで
W3C が保存している年表と CERN の説明を合わせると、最初のサイトが「内側」から「外側」へ開いていく順序が分かる。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1990年11月 | 最初のサーバは nxoc01.cern.ch、のちの info.cern.ch。最初のページは http://nxoc01.cern.ch/hypertext/WWW/TheProject.html |
| 1990年11月13日 | 知られている中で最も古い更新日時を持つページの最終更新(アドレスはその後変わった) |
| 1990年のクリスマス | 行モードブラウザと WorldWideWeb ブラウザ兼エディタが実演可能に。ハイパーテキストのファイル、CERN の大型機の索引 FIND、ネットニュースにアクセスできた |
| 1991年3月 | 行モードブラウザを限られた利用者に公開 |
| 1991年5月17日 | CERN の中央の計算機で WWW を全面公開 |
| 1991年8月6日 | alt.hypertext に投稿。ファイルを FTP で入手可能に |
| 1991年10月 | 匿名 telnet サービスを開始。メーリングリスト www-talk も始まる |
| 1991年12月12日 | SLAC の Paul Kunz が欧州の外で最初のウェブサーバを設置 |
検索の答えが「1990年12月」と「1991年8月」に割れるのは、このためである。前者は CERN の中で動き始めた時期、後者は誰でもたどり着けるようになった時期を指している。
8月6日の投稿
その投稿は、新しい告知ではなく返信だった。DEC のアドレスから投稿した Nari Kannan が、異なる種類の情報源からハイパーテキストのリンクでデータを取り出す研究を知らないかと尋ねたのに対し、Berners-Lee は「The WorldWideWeb (WWW) project aims to allow links to be made to any information anywhere.」(WWW プロジェクトは、どこにあるどんな情報にもリンクを張れるようにすることを目指している)と答えた。
投稿によれば、当時あったのは NeXT 用の試作のハイパーテキストエディタと、ほとんど何でも動く行モード端末用のブラウザだった。どちらもローカルのファイル、NFS、匿名 FTP のファイルを読め、さらに HTTP という単純なプロトコルでサーバにつなぐことができた。CERN の大型機では、計算機センターの文書をすべてハイパーテキストとして提供するサーバがすでに動いていた。
Berners-Lee は、コードはまだかなり試作段階だが info.cern.ch から匿名 FTP で入手でき、著作権は CERN にあるものの配布と利用はふつう問題にならない、と書いた。NeXT のエディタでこの投稿を読んでいる人は、そのまま http://info.cern.ch/hypertext/WWW/TheProject.html をクリックすればプロジェクトについて知ることができる ── 最初のウェブサイトのアドレスは、こうしてネットニュースの中で外の世界に示された。
W3C の年表によれば、この投稿は8月6日に2回、19日にもう1回行われ、20日には comp.sys.next.announce、22日には comp.text.sgml などにも告知が出た。
最初のサイトには何があったのか
最初のページは、ウェブの中身についてのページではなく、ウェブというプロジェクトについてのページだった。2013年の CERN の発表によれば、そのサイトはウェブの基本的な仕組み、他人の文書へのアクセスのしかた、自分のサーバの立て方を説明していた。
いま info.cern.ch で読める版の見出しは次のとおりである。
| 見出し | 内容 |
|---|---|
| What's out there? | 世界のオンライン情報、主題別、W3 サーバへの案内 |
| Help | 使っているブラウザのヘルプ |
| Software Products | 行モード、X11 用の Viola、NeXTStep、サーバ、ツール、メールロボット、ライブラリ |
| Technical | プロトコル、形式、プログラム内部の詳細 |
| Bibliography / People / History | 文献、関係者、プロジェクトの経緯 |
| How can I help? / Getting code | 支援のしかた、匿名 FTP でのコードの入手 |
ただし、これは1991年8月の姿そのものではない。CERN の Dan Noyes は2013年4月、復元プロジェクトのブログで、W3C のサイトに残っていた1992年の写しを使ってファイルを元のアドレスに戻したと書き、これが見つかる中で最も古い写しかもしれず、もっと古いものを探し続けるとしている。Viola のように1992年の項目が混じっているのはそのためである。最初のウェブサイトの1990年や1991年の状態は、そのままの形では残っていない。
「がっかりしないで」
外から試す方法の一つは telnet だった。CERN は1991年10月に匿名 telnet サービスを始めている。CERN の復元プロジェクトが見つけた1993年9月のドイツの研究ネットワーク会議(DFN)向けの記事は、WWW について知るには telnet info.cern.ch と打てばよいと案内し、そうすればごく基本的な行モードの画面が出ると説明したうえで、「Don't be disappointed」(がっかりしないで)と書いている。その画面を使って、手元により高度なブラウザを入れる方法を調べてほしい、というのである。記事に載っていた info.cern.ch の IP アドレスは 128.141.201.74 だった。
2013年の復元
2013年4月30日、CERN は、ウェブの技術を誰でも使えるようにした1993年の文書から20年になるのに合わせ、最初のウェブサイトを復元し、ウェブ誕生にまつわるデジタル資産を保存するプロジェクトを始めると発表した。発表文は、最初のサーバだった NeXT の機械は CERN に残っているが、最初のウェブサイトは元のアドレスではもう公開されていないと書いている。1993年の決定そのものの経緯は World Wide Web の提案 のページにある。
復元プロジェクトの目標には、最初の URL のファイルをできるだけ古い版に戻すこと、文書に出てくる機械名と IP アドレスを元に戻すこと、NeXT の機械のデータとハードウェアを保存すること、行モードブラウザと NeXT のブラウザ兼エディタの体験を再現すること、が並んでいた。2013年9月には CERN で行モードブラウザの開発合宿が開かれ、現在の info.cern.ch からは行モードブラウザのシミュレータで最初のサイトを閲覧できる。2019年2月には、WorldWideWeb ブラウザを現代のブラウザの中に再現するプロジェクトも CERN で行われた。
最初のサイトは、いまも元のアドレスで読める。復元された写しとして、である。
ウェブのその後は インターネットとウェブの年表 に、最初のサーバとブラウザを作った人物については Tim Berners-Lee にある。最初のサイトが話していたプロトコルについては用語集の HTTP を参照。2年後、グラフィカルな Mosaic がウェブを一般の利用者に開いた。
よくある質問
- 世界最初のウェブサイトは何ですか。
- CERN の Tim Berners-Lee が立ち上げた info.cern.ch です。最初のページは http://info.cern.ch/hypertext/WWW/TheProject.html で、ウェブの基本的な仕組み、他人の文書へのアクセスのしかた、自分のサーバの立て方など、ウェブというプロジェクトそのものを説明していました。
- 最初のウェブサイトはいつ公開されたのですか。
- 数え方で答えが変わります。CERN によれば最初のサーバとブラウザは1990年末に CERN 内で動いていました。CERN の中央の計算機での全面公開は1991年5月17日、外部への告知は Berners-Lee がニュースグループ alt.hypertext に投稿した1991年8月6日です。
- 最初のウェブサイトはいまも見られますか。
- 見られます。CERN が2013年に始めた復元プロジェクトが、W3C に残っていた1992年の写しを使って元のアドレスにファイルを戻しました。1990年や1991年の状態そのものは残っていません。info.cern.ch では行モードブラウザのシミュレータでも閲覧できます。
出典
一次資料A short history of the Web — CERN
1990年末に最初のサーバとブラウザが稼働、info.cern.ch が最初のウェブサイトとサーバのアドレス、1991年3月と8月の公開、SLAC のサーバ
一次資料Berners-Lee, T. Re: Qualifiers on Hypertext links... — alt.hypertext, 6 Aug 1991 (W3C archive)
8月6日の投稿の本文。NeXT のエディタと行モードブラウザ、HTTP、匿名 FTP での配布、TheProject.html への案内
一次資料A Little History of the World Wide Web — W3C
nxoc01.cern.ch、1990年11月13日の最古のページ、1990年クリスマスの実演、1991年3月・5月17日・8月・10月・12月12日の出来事
一次資料CERN celebrates 20 years of a free, open web — CERN press release, 30 April 2013
最初のウェブサイトの内容、NeXT が CERN に残ること、復元プロジェクトの開始
一次資料First URL active once more — Restoring the first website (CERN, archived), 29 Apr 2013
W3C に残る1992年の写しで最初の URL を復活、1993年の DFN 向け記事の「Don't be disappointed」
最終更新: