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Arm(Arm Holdings)

英ケンブリッジに本社を置く CPU 設計のライセンス企業。Acorn Computers の ARM プロセッサを源流に、1990年11月に Acorn、Apple、VLSI Technology の合弁 Advanced RISC Machines として設立された。チップを自ら製造・販売せず、命令セットと CPU 設計を半導体会社にライセンスし、契約料と出荷チップ1個ごとのロイヤルティを受け取る。1998年にロンドンと Nasdaq に上場し、2016年9月にソフトバンクグループが約240億ポンドで買収。NVIDIA への売却は規制上の障害で2022年2月に断念され、2023年9月に Nasdaq へ再上場した。2026年3月期の売上は49.2億ドル、累計出荷は3,500億個を超えたとしている。

ケンブリッジ、ピーターハウス・テクノロジーパークの ARM 本社ビル(2007年11月)
出典Keith Edkins (geograph.org.uk, via Wikimedia Commons) · CC BY-SA 2.0 · Commons で見る ↗

組織情報

設立
1990
状態
稼働中
活動期間
1990–
関連事象
05
名称
ENArm (Arm Holdings)JAArm(Arm Holdings)

Arm(Arm Holdings plc)は、英ケンブリッジに本社を置き、CPU の命令セットと設計をライセンスする企業である。年次報告書(Form 20-F)によると、事業会社の Arm Limited は1990年11月12日に Widelogic Limited として法人化され、同年12月3日に Advanced RISC Machines Limited、1998年5月21日に Arm Limited へ改称した。Acorn Computers、Apple Computer、VLSI Technology の合弁として始まり、その前史は Acorn が1985年に動かした ARM1 にさかのぼる。従業員は9,584人(2026年3月末)、うち約84%が技術者。Rene Haas が2022年2月から CEO を務める。

チップを売らずに設計を売る

Arm 自身はチップを製造・販売しない。半導体会社や機器メーカー、クラウド事業者に命令セットや CPU コアなどの設計をライセンスし、2種類の収入を得る。

収入中身(20-F)2026年3月期前年比
ロイヤルティ顧客が Arm ベースのチップを出荷するたびに、チップの平均販売価格に対する率、または1個あたりの定額で受け取る26.1億ドル+21%
ライセンスその他契約時のライセンス料、ソフトウェア開発ツール、設計サービス、サポートなど23.1億ドル+25%

顧客は Arm が設計した CPU コアをそのまま使うこともできるし、命令セットのライセンスだけを受けて独自の CPU を設計することもできる。20-F は後者が増えれば Arm に入る料金が減りうるとリスクに挙げている。Apple の M1 は自社設計の Arm 系 SoC であり、Raspberry Pi の Pi 3 と Pi 5 は Arm の Cortex コアを使う。x86 との違いは用語集にある。

20-F によると、累計で3,500億個を超える Arm ベースのチップの出荷が報告されている(2026年3月末)。モバイル向けアプリケーションプロセッサでは長年99%を超えるシェアを保っているとし、その分野がロイヤルティ収入の約43%を占める。PC では、Windows RT と Copilot+ PC が Arm 版 Windows の試みである。

所有者の移り変わり

時期出来事出典
1990年Acorn・Apple・VLSI の合弁として設立20-F
1998〜2016年ロンドン証券取引所と Nasdaq に上場20-F
2016年9月5日ソフトバンクグループが約240億ポンド(約310億ドル)の現金で買収し、上場廃止ソフトバンクグループ
2020年9月〜2022年2月NVIDIA への売却を発表。2022年2月7日、重大な規制上の課題を理由に打ち切り。ソフトバンクは前払い金12.5億ドルを受け取るNVIDIA
2022年3月28日中国の合弁 Arm China の持分をソフトバンクグループ傘下の会社に移す20-F
2023年9月14日ADS が Nasdaq で取引開始(売出価格は1 ADS あたり51ドル)。株式を売り出したのは既存株主で、Arm は資金を受け取っていない20-F
2026年5月21日時点ソフトバンクグループが発行済株式の約86.4%を保有20-F

NVIDIA の側から見た買収の経緯は NVIDIA の項目にある。

重要事件

  • 1990年11月12日: Widelogic Limited として法人化。12月3日に Advanced RISC Machines Limited へ改称。
  • 1998年: ロンドンと Nasdaq に上場。5月21日に Arm Limited へ改称。
  • 2016年9月5日: ソフトバンクグループが買収。
  • 2022年2月: NVIDIA への売却を断念。Rene Haas が CEO に就任。
  • 2022年8月31日: Qualcomm と Nuvia を提訴。
  • 2023年9月14日: Nasdaq に再上場。
  • 2025年8月26日: Artisan の基盤 IP 事業の売却を完了。
  • 2026年3月: 自社の量産シリコン製品 Arm AGI CPU を発表。

業績指標

2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)、米国会計基準。20-F による。

  • 売上: 49.2億ドル(前年比23%増)。うち関連当事者からの売上が15.0億ドル(前年8.2億ドル)
  • 営業利益: 9.0億ドル/ 純利益: 9.0億ドル
  • 研究開発費: 27.8億ドル(売上の56%)
  • 上位5社(Arm China とソフトバンクグループを含む)で売上の約57%。中国からの売上は約18%

中立な設計会社であり続けられるか

Arm の強さは、競い合う半導体会社のどれとも競合せず、全員に同じ設計を売れることにある。その前提がいくつかの方向から試されている。

一つは顧客との関係である。Arm は2022年8月、Qualcomm が買収した Nuvia のライセンス契約をめぐって Qualcomm を提訴したが、2024年12月の陪審評決と2025年9月の最終判決はいずれも Qualcomm に有利で、Arm は控訴した。20-F によると Qualcomm は Arm の売上の9%を占める大口顧客であり、訴訟の詳細は Qualcomm の項目に譲る。

もう一つは、自らチップを作る方向への踏み出しである。20-F によると、Arm は2026年3月に量産シリコン製品として Arm AGI CPU を発表し、チップレットや完全なチップの開発も進めている。同じ20-F は、こうした製品が重要な顧客との間に現実の、あるいは受け止められ方としての利益相反を生みうるとリスクに挙げている。設計を売る会社がチップも売るとき、顧客にとっての Arm は供給者であると同時に競合にもなる。

三つめは中国である。Arm は中国市場への IP の販売の大半を Arm China とのライセンス契約に頼るが、20-F は Arm もソフトバンクグループも Arm China の経営を支配していないと書く。米中の輸出規制や投資規制も、中国の顧客との取引を制約しうる要因として挙げられている。

関連する出来事

  1. ARM アーキテクチャ 初プロセッサ
  2. Raspberry Pi ── 35ドルの教育用シングルボードコンピュータ
  3. Windows 8 ── タブレットに賭けてスタートボタンを外した Windows
  4. Apple M1 ── Mac が自社設計の ARM チップへ
  5. Copilot+ PC と Recall ── オンデバイス AI と即時撤退

よくある質問

Arm はいつ設立されたのですか。
年次報告書(Form 20-F)によると、1990年11月12日に Widelogic Limited として法人化され、同年12月3日に Advanced RISC Machines Limited へ改称しました。Acorn Computers、Apple Computer、VLSI Technology の合弁として始まっています。
Arm はどうやって稼いでいるのですか。
命令セットや CPU 設計を半導体会社などにライセンスし、契約時のライセンス料と、Arm 技術を使ったチップの出荷1個ごとのロイヤルティを受け取ります。2026年3月期の売上49.2億ドルのうち、ロイヤルティが26.1億ドル、ライセンスその他が23.1億ドルでした。
ソフトバンクは Arm をどれだけ持っていますか。
ソフトバンクグループは2016年9月5日に約240億ポンド(約310億ドル)で Arm を買収して非上場化し、2023年9月の再上場後も、2026年5月21日時点で発行済株式の約86.4%を保有しています。
NVIDIA による Arm 買収はなぜ中止されたのですか。
2020年9月に発表された NVIDIA への売却について、NVIDIA とソフトバンクグループは2022年2月7日、重大な規制上の課題を理由に取引を打ち切りました。ソフトバンクは NVIDIA が前払いした12.5億ドルを受け取り、Arm は上場の準備に入りました。

出典

  1. 一次資料Arm Holdings plc, Annual Report on Form 20-F for the fiscal year ended March 31, 2026 — SEC, filed May 26, 2026

    1990年の法人化と改称、Acorn・Apple・VLSI の合弁、1998〜2016年の上場、ソフトバンクによる買収、2023年9月の IPO、ソフトバンクの持株比率、売上の内訳、純利益、研究開発費、従業員数、累計出荷数、モバイル向けシェアの主張、Arm China、上位顧客と中国の比率、Arm AGI CPU、Qualcomm との訴訟

    取得日: 2026-10-25

  2. 一次資料Completion of Acquisition of ARM by SoftBank — SoftBank Group Corp., September 5, 2016

    2016年9月5日の買収完了と買収総額(約240億ポンド)

    取得日: 2026-10-25

  3. 一次資料NVIDIA and SoftBank Group Announce Termination of NVIDIA's Acquisition of Arm Limited — NVIDIA Newsroom, February 7, 2022

    規制上の課題による買収の打ち切り、前払い12.5億ドルの扱い、上場準備

    取得日: 2026-10-25

  4. 一次資料QUALCOMM Incorporated, Annual Report on Form 10-K for the fiscal year ended September 28, 2025 — SEC, filed November 5, 2025

    Arm がクアルコムを訴えた裁判の評決と最終判決、Arm の控訴

    取得日: 2026-10-25

最終更新:

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