T1#social-media#messaging#gaming#child-safety

Discord とは ── ゲーマーの通話アプリからコミュニティの場へ

出典Discord Inc. (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons で見る ↗

メタデータ

日付
年代
2010s
Tier
T1
出典数
10
関連項目
00
Tags
#social-media#messaging#gaming#child-safety#data-breach

Discord は、「サーバ」と呼ぶ集まりの中にテキストや音声のチャンネルを作り、仲間と文字・声・映像で話せるコミュニケーションサービスである。いつからあるのかという問いへの答えは2015年5月。Discord はこの月に最初の版を出し、5月13日を自社の誕生日としている(2021年5月13日に6周年、2025年5月13日に10周年を祝う記事を出した)。作ったのは Jason Citron と Stanislav Vishnevskiy の二人で、もともとはゲームをしながら話すための道具だった。

時期出来事出典
2012年4月Citron が新しいゲームスタジオ Phoenix Guild を設立Discord
2013年4月Vishnevskiy が合流Discord
2014年夏社名を Hammer & Chisel に変え、スマホゲーム『Fates Forever』を公開Discord
2015年5月Discord の最初の版を公開Discord
2017年初め有料プラン Discord NitroDiscord
2020年6月30日標語を「Your place to talk」に変更Discord
2025年4月Citron が CEO を退き、Humam Sakhnini が CEO にDiscord

ゲームを作る会社のゲーム外の道具

Discord の会社紹介ページは、出発点を一言で書いている。Citron と Vishnevskiy はゲームが好きだったが、オンラインで遊びながら確実に話せる手段が見つからなかった。二人がいた Hammer & Chisel は、2014年夏にスマホ向けゲーム『Fates Forever』を出していたゲームスタジオで、Discord はそのかたわらで作られた。

会社紹介の年表は、公開後の機能追加を次のように並べている。

時期追加されたもの
2016年春PC ゲームの画面に重ねて表示するオーバーレイ
2016年夏DM とグループ DM での音声通話
2017年初め有料の Discord Nitro
2017年秋DM とグループ DM でのビデオ通話と画面共有
2019年夏サーバの仲間にゲーム画面を配信する Go Live
2021年春PlayStation とのアカウント連携

ゲーム専用からの転換

2020年6月30日、Citron と Vishnevskiy は連名のブログで、Discord の看板を掛け替えた。記事によれば、Discord はゲーム仲間と遊ぶために作られたが、利用者の多くは本や音楽、美術の話など、より広い会話に使うようになっていた。利用者からは、Discord について最もよく耳にする誤解は「ゲーム専用」だという声が寄せられ、会社のブランドもその変化に追いついていなかったという。新しい標語は「Your place to talk」だった。

同じ記事は、月間アクティブ利用者を1億人超としている。その後の数字は、Discord 自身の発表で次のように推移した。指標と時点が違うので、横に並べて伸びを読むことはできない。

Discord の発表数値指標
2020年6月30日のブログ1億人超月間アクティブ利用者
2021年5月13日のブログ1億5,000万人超月間アクティブ利用者
2025年5月13日のブログ2億人超毎月利用する人
会社紹介ページ(2025年第4四半期時点の社内データ)9,000万人超日次アクティブ利用者

Discord の上で動くサービスも現れた。画像生成 AI の Midjourney は、アプリではなく Discord のサーバとして始まっている。

買収交渉と独立

2021年には、Discord の売却をめぐる報道が続いた。Game Informer の2021年4月20日の記事によれば、同年3月には Microsoft が Discord を100億ドルで買う候補の一つだと報じられていた。そして4月、The Wall Street Journal が、Discord は Microsoft を含む外部との買収交渉を打ち切ったと報じた。記事は、Discord が単独でも業績が良いとして独立を選んだとし、交渉が再開する可能性にも触れている。

未成年の安全と年齢確認

利用者が増えるにつれ、未成年の安全が争点になった。NBC News によれば、ニュージャージー州の司法長官 Matthew Platkin は2025年4月17日、州の消費者詐欺法に違反するとして Discord を提訴した。この問題で Discord を訴えた州は初めてだった。訴えは、13歳未満の利用を禁じながら年齢を偽ってチェック欄に印を付けるだけで登録できること、成人が未成年を見つけて接触するのを十分に防いでいないことなどを挙げた。Discord は安全対策への投資を誇りに思っているとし、法廷で争う姿勢を示した。

年齢の確認そのものも、別の危険を生んだ。Discord は2025年10月3日、カスタマーサービスを委託していた 5CA が侵害されたと公表した。年齢に関する異議の審査に使われた身分証画像が約7万人分流出した可能性があり、ほかにカスタマーサービスとのやり取りなども含まれていた。Discord は自社のシステムの侵害ではないとし、攻撃者の狙いは Discord から身代金を取ることだったと説明している。

2026年2月9日、Discord はすべての利用者に10代向けの初期設定を適用し、年齢が確認された成人だけがそれを外せるようにすると発表した。確認の方法は、端末内で処理する顔による年齢推定、委託先への身分証の提出、行動などから成人かどうかを推定するモデルの3つだった。発表には、誰もが顔のスキャンや身分証の提出を求められるという受け止めから反発が集まり、共同創業者で CTO の Vishnevskiy は2月24日のブログで説明不足を認めた。全世界での導入は2026年後半に延期し、顔による推定を行う委託先にはすべて端末内での処理を求めるとした。英国とオーストラリアでは、すでに年齢確認が導入されている。

上場の観測

PocketGamer.biz は2026年1月7日、Bloomberg の報道として、Discord が米国での上場を非公開で申請したと伝えた。上場を見送る可能性もあるとされ、記事は月間アクティブ利用者を2億人超としている。2026年10月24日に米証券取引委員会(SEC)の EDGAR を確認した範囲では、Discord の公開の上場申請書類(S-1)は出ていない。

系譜

Discord は、仲間内の通話アプリから、話題ごとに集まる場の基盤へと広がった。同じ時代のメッセージングには電話番号を ID にした WhatsApp があり、仕事の会話をチャンネルに分けた Slack は1年早く一般公開されている。全体の流れは ソーシャルメディアの年表 を参照。

よくある質問

Discord はいつからあるのですか。
最初の版が出たのは2015年5月です。Discord は5月13日を誕生日としており、2021年5月13日に6周年、2025年5月13日に10周年を祝う記事を出しています。
Discord を作ったのは誰ですか。
Jason Citron と Stanislav Vishnevskiy です。二人はスマホゲーム『Fates Forever』を作っていた Hammer & Chisel(前身は Phoenix Guild)で働いており、ゲームをしながら確実に話せる手段が無いことから Discord を作りました。Citron は2025年4月に CEO を退き、Humam Sakhnini が後任になりました。
Discord の2025年の情報流出とは何ですか。
2025年10月3日、Discord はカスタマーサービスを委託していた 5CA が侵害され、年齢に関する異議の審査に使われた身分証画像が約7万人分流出した可能性があると公表しました。Discord は自社のシステムの侵害ではないとし、攻撃者は Discord から身代金を取ろうとしたとしています。
Discord は上場したのですか。
2026年1月、Bloomberg が Discord は非公開で上場を申請したと報じました。2026年10月24日に SEC の EDGAR を確認した範囲では、公開の上場申請書類(S-1)は出ていません。

出典

  1. 一次資料Your Place to Talk — Discord Blog, Jun 30, 2020

    取得日: 2026-10-24

  2. 一次資料Thank You for Ten Years — Discord Blog, May 13, 2025

    取得日: 2026-10-24

最終更新:

共有