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パット・ゲルシンガー

1979年に18歳で Intel に入社し、初代 80486 の設計者、同社初の CTO を経て2009年に退社。EMC を経て2012年から2021年まで VMware の CEO を務め、2021年2月15日付で Intel の CEO として復帰した。「IDM 2.0」を掲げたが2024年12月1日付で退任 ── Intel は「retire(退職)」と発表し、CNBC は取締役会が退任を迫ったと報じた。2025年3月以降は Gloo の executive chair 兼 head of technology、Playground Global のゼネラルパートナー、EUV 光源スタートアップ xLight の executive chair を務める。

2017年の Web Summit に登壇したパット・ゲルシンガー(当時 VMware CEO)
出典Cody Glenn / Web Summit via Sportsfile (Wikimedia Commons) · CC BY 2.5 · Commons で見る

プロフィール

生年
1961
存命
存命
在世
1961–
関連事象
01
名称
ENPat GelsingerJAパット・ゲルシンガー

パット・ゲルシンガー(Patrick Paul Gelsinger、 1961年3月5日 ── )は、 1979年に18歳で Intel に入社し、 初代 80486 の設計者、 同社初の CTO を経て2009年に去り、 12年後に CEO として戻り、 4年足らずで 退任した人物である。 「Intel で育った最後の CEO」という呼ばれ方をするのは、 経歴が会社の歴史とほぼ同じ長さだからである。

Intel での30年

Pennsylvania 州 Robesonia の出身。 1979年に Intel でキャリアを開始した。 学位は Santa Clara 大学の電気工学学士と Stanford 大学の電気工学修士である(Gloo の委任状勧誘書類の略歴欄)。

Intel が2021年の CEO 就任発表で自ら記した略歴によれば、 ゲルシンガーは「初代 80486 プロセッサの設計者であり、 14の異なるマイクロプロセッサ・プログラムを率い、 Core と Xeon のファミリーで重要な役割を果たした」。 また Intel 初の CTO となり、 「USB や Wi-Fi といった重要な業界技術の創出を推し進めた」。 実装の担当者から標準の設計者へ ── この二段構えが、 後年の「技術者としての信頼」の土台になっている。

30年勤めた後、 2009年に Intel を離れ、 EMC で Information Infrastructure Products 部門の President 兼 COO を務めた。

VMware(2012–2021年)

2012年9月から2021年2月まで VMware の CEO。 Intel の発表は、 この期間に同社を「クラウドインフラ、 エンタープライズモビリティ、 サイバーセキュリティの世界的リーダーへと大きく変貌させ、 年間売上をほぼ3倍にした」と記述している ── これは Intel 自身による評価であり、 事実として断定するより帰属させて読むほうがよい。 VMware の取締役も同期間務めた。

Intel への復帰(2021年)

2021年1月13日、 Intel は取締役会がゲルシンガーを CEO に選任したと発表した。 発効は2月15日、 就任と同時に取締役にも就いた。 このとき彼はこう述べている ── 「この会社、 業界、 そして国にとって重要なこの時期に、 Intel に戻って率いることに胸が高鳴っている」「Intel でキャリアを始め、 Grove、 Noyce、 Moore の足元で学んだ身として、 この立場で戻れることは特権であり名誉である」。

以後の4年間 ── 「IDM 2.0」、 18A プロセスの遅れ、 AI チップでの敗北、 ファウンドリの赤字、 CHIPS Act の78.6億ドル ── は 2024年12月の項に詳しい。

退任(2024年12月)

Intel の発表文は「CEO Pat Gelsinger が40年を超える輝かしいキャリアを経て退職し、 取締役会からも退いた。 発効は2024年12月1日」と書き、 理由には触れなかった。 一方 CNBC は、 前週の取締役会での対立と再建計画への信認喪失を挙げ、 取締役会が退任を迫ったと報じている。 Intel は「退職」と呼び、 報道は「解任」と呼んだ ── どちらの言い方を採るかで、 この4年間の評価が変わる。

ゲルシンガー本人の声明は反論を含まない。 「Intel を率いたことは生涯の名誉だった」に始まり、 「今日はもちろん、 ほろ苦い。 この会社は私の職業人生の大半そのものだったのだから」と続く。 加えて「われわれ全員にとって難しい年だった。 現在の市場環境に合わせて Intel を位置づけるため、 厳しいが必要な決断をしてきた」。 Mobileye の取締役も同時期(2022年9月から2024年12月)に退いている。

Intel の後 ── 信仰、 ベンチャー、 そして EUV

Intel を離れた後の三つの役職には、 ゲルシンガーという人物の分かりやすい断面がある。

Gloo。 2016年8月から取締役を務めていた信仰系テック企業 Gloo で、 2025年3月に executive chair 兼 head of technology に就いた。 Gloo AI・Gloo Workspace などの製品・エンジニアリング・市場戦略を直接統括する立場である。 発表文が本人を「生涯のクリスチャン」と紹介しているとおり、 これは戦略であると同時に個人的な選択である。

Playground Global。 2025年3月26日、 ディープテック特化のベンチャーファンド Playground Global のゼネラルパートナーに就任。 「ディープテックへの投資は明日の経済の燃料であり、 米国のリーダーシップの燃料でもある」と述べている。

xLight。 同時に、 Playground の投資先で自由電子レーザーによる EUV 光源を開発する xLight の取締役兼 executive chair となった。 2026年6月2日、 米商務省と NIST は xLight への CHIPS Act 助成1億5000万ドルの最終確定を発表した。 ニューヨーク州 Albany Nanotech Complex での実証機建設に充てられる。

この最後の一項は、 経歴の対称形になっている。 Intel での退任は、 78.6億ドルの CHIPS Act 助成が確定した6日後だった。 その18か月後、 彼は1億5000万ドルの CHIPS 助成を確定させる側にいる ── 規模は50分の1だが、 賭けている場所は同じ、 米国内での先端リソグラフィである。

影響

ゲルシンガーの評価は二分されたままである。 半導体を製造する国家能力を政策課題として押し上げた功績と、 その旗を掲げた企業を4年で立て直せなかった結果は、 どちらも彼の在任期間に属する。 技術者としての遺産のほうは争いがない。 80486 と、 Intel 初の CTO 職と、 USB / Wi-Fi の推進 ── 現在の PC の裏側にはいまも彼が関わった規格が動いている。

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