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TSMC(台湾積体電路製造)
1987年に Morris Chang(張忠謀)が創業した台湾の半導体受託製造企業。台湾政府と民間投資家の合弁として同年2月21日に法人化された。顧客が設計したチップを製造するだけで自社製品を持たない専業ファウンドリの方式を、TSMC は自ら切り開いたとしている。1994年に台湾証券取引所、1997年にニューヨーク証券取引所(ADS)に上場。2025年12月期の売上高は3兆8,091億台湾ドル(1,214億米ドル)で、うち58%が HPC(AI 用途を含む)、ウェハ売上の74%が 7nm 以下の先端プロセスだった。台湾のほか米アリゾナ、熊本(JASM)、独ドレスデン(ESMC)に工場を持つか建設している。

組織情報
- 設立
- 1987
- 状態
- 稼働中
- 活動期間
- 1987–
- 関連事象
- 05
- 名称
- ENTSMC (Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)JATSMC(台湾積体電路製造)
TSMC(台湾積体電路製造)は、1987年に Morris Chang(張忠謀)が創業した台湾の半導体受託製造企業である。年次報告書(Form 20-F)によると、台湾政府と民間投資家の合弁として1987年2月21日に法人化され、1994年9月5日に台湾証券取引所、1997年10月8日にニューヨーク証券取引所(ADS)へ上場した。本社は新竹サイエンスパーク。従業員は90,557人(2025年12月末)。
同社は自らを、顧客の製品だけを製造する「専業ファウンドリ」方式の開拓者だと説明している。自社ブランドのチップを売らないので、設計会社にとっては競合にならない製造委託先になる。2025年には534社の顧客向けに、305種類の製造技術で12,682種類の製品を作ったと公表している。
誰のチップを作っているか
20-F は顧客名を挙げないが、売上の形ははっきり出している。2025年は上位10社で売上の78%、最大の顧客1社で19%、2番目の顧客で17%を占めた。地域別(顧客の本社所在地による)では北米が75%、中国が9%、日本が4%。用途別では、AI 用途を含む HPC の比率が3年で大きく伸びた。
| 用途 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|
| HPC(AI 用途を含む) | 43% | 51% | 58% |
| スマートフォン | 38% | 35% | 29% |
| IoT | 8% | 6% | 5% |
| 自動車 | 6% | 5% | 5% |
| デジタル家電 | 2% | 1% | 1% |
| その他 | 3% | 2% | 2% |
HPC の売上は2025年に前年比48%増えた。このサイトの項目では、NVIDIA H100 が TSMC 4N、Blackwell B200 が TSMC 4NP で作られている。Apple は製造元を公表していないが、iPhone XS の A12 は分解調査会社 TechInsights が TSMC 製と特定し、Mac 向けの Apple M1 も TSMC 製と報じられている。
先端プロセスの比率
ウェハ売上をプロセス別に分けると、7nm 以下の比率は2023年の58%から2025年の74%へ上がった。7nm の量産開始そのものは TSMC 7nm(2018年) の項目に譲る。
| プロセス | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|
| 3nm | 6% | 18% | 24% |
| 5nm | 33% | 34% | 36% |
| 7nm | 19% | 17% | 14% |
| 7nm 以下の合計 | 58% | 69% | 74% |
| 16nm | 10% | 8% | 7% |
| 28nm | 10% | 7% | 7% |
20-F によると、2nm は2025年に量産へ入り、16オングストロームの技術は2026年にリスク生産を見込む。年間の生産能力は12インチ換算で1,700万枚を超えた(2025年)。
台湾の外の工場
20-F の記載では、工場の大半は新竹・台中・台南の各サイエンスパークにあり、米国に2工場、上海・南京に各1工場、日本に1工場がある。2020年代に入って、米日欧で新しい拠点を立ち上げている。
| 拠点 | 設立 | 出資 | 状況(20-F) |
|---|---|---|---|
| TSMC Arizona(米アリゾナ州フェニックス、Fab 21) | 2020年11月 | TSMC 100% | 第1工場は2024年末に量産開始。第2工場を建設中、第3工場は2025年に着工。米商務省の CHIPS 法による最大66億ドルの直接助成と、最大50億ドルの政府融資の契約を2024年11月に締結 |
| JASM(熊本県、Fab 23) | 2021年12月 | TSMC 約72.6%。ソニーセミコンダクタソリューションズ、デンソー、トヨタが少数株主 | 2022年4月着工、2024年12月に量産開始。第2工場は2025年10月に着工 |
| ESMC(独ドレスデン、Fab 24) | 2023年6月 | TSMC 70%。Bosch、Infineon、NXP が各10% | 2024年に着工 |
重要事件
- 1987年2月21日: 台湾政府と民間投資家の合弁として法人化。
- 1994年9月5日: 台湾証券取引所に上場。
- 1997年10月8日: ADS がニューヨーク証券取引所に上場。
- 2018年: 7nm の量産開始。
- 2020年11月: TSMC Arizona を設立。
- 2021年12月: 熊本に JASM を設立。
- 2023年6月: ドレスデンに ESMC を設立。
- 2024年12月: JASM が量産開始。アリゾナの第1工場も同年末に量産へ。
- 2025年: 2nm が量産入り。米商務省が付与していた南京工場の VEU 認定は12月に失効し、年次の輸出許可に切り替わった。
業績指標
2025年12月期(IFRS)。20-F による。
- 売上高: 3兆8,091億台湾ドル(1,214億米ドル、前年比31.6%増)
- 粗利益率: 59.9%(前年56.1%)
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 1兆6,976億台湾ドル(541億米ドル)
- 設備投資: 1兆2,724億台湾ドル(409億米ドル)。2026年は520億〜560億米ドルを見込む
- 研究開発費: 2,464億台湾ドル(売上の6.5%)
調査会社 TrendForce の推計では、2026年第2四半期の上位10社のファウンドリ売上に占める TSMC のシェアは72.5%、Samsung の Foundry 事業は5.9%、SMIC は5.4%だった。これは売上高のシェアで、生産能力や生産量のシェアではない。
中立な製造者であることの重さ
専業ファウンドリという方式は、顧客の側に設計だけをする会社が育つことで成り立つ。HPC の比率が58%に上がり、上位2社だけで売上の36%に達した2025年の数字は、AI を含む HPC の需要が、ごく少数の大口顧客を経由して TSMC の工場に集まっていることを示す。20-F 自身も、少数の大口顧客への依存と、顧客どうしの統合による集中の進行をリスクとして挙げている。
その集中は地政学の問題にもなった。20-F は、米国が2025年1月に先端計算用チップの規制を強めた結果、16nm 以下のプロセスで作る製品を特定の仕向け地へ出荷する際に輸出許可が必要になりうると書く。2024年10月には、自社が製造した顧客のチップの一種が規制対象の事業体に流れた可能性があると米台の当局に届け出たとも開示している。米国・日本・ドイツの新工場は、顧客と各国政府が求める供給網の分散に応えるものだが、20-F が認めるとおり、売上の大半はなお台湾での事業から生まれている。
関連する出来事
よくある質問
- TSMC はいつ、誰が創業したのですか。
- 1987年に Morris Chang(張忠謀)が創業しました。年次報告書(Form 20-F)によると、台湾政府と民間投資家の合弁として1987年2月21日に法人化されています。本社は台湾・新竹サイエンスパークにあります。
- ファウンドリ専業とはどういう意味ですか。
- 顧客が設計したチップを受託で製造し、自社ブランドのチップは売らない方式です。TSMC は自社をこの方式の開拓者としており、2025年には534社の顧客向けに12,682種類の製品を製造したと公表しています。
- TSMC の日本・米国・欧州の工場はどうなっていますか。
- 20-F によると、米アリゾナの第1工場は2024年末に量産を始め、第2工場を建設中、第3工場は2025年に着工しました。熊本の JASM は2024年12月に量産を始め、ソニー、デンソー、トヨタが少数株主です。ドイツ・ドレスデンの ESMC は Bosch、Infineon、NXP が各10%を持ち、2024年に着工しました。
- TSMC のファウンドリ市場シェアはどれくらいですか。
- 調査会社 TrendForce の推計では、2026年第2四半期の上位10社のファウンドリ売上に占める TSMC のシェアは72.5%で、2位の Samsung Foundry は5.9%でした。これは売上高のシェアで、生産量のシェアではありません。
出典
1987年2月21日の法人化と上場日、工場の所在地、ノード別・用途別・地域別の売上構成、上位顧客の比率、純利益、設備投資、研究開発費、従業員数、アリゾナ・JASM・ESMC の出資構成と進捗、米国の輸出規制と南京工場の許可
1987年に Morris Chang が創業、専業ファウンドリ方式を開拓したという同社の説明、2025年の顧客数・製品数・技術数
2026年第2四半期のファウンドリ売上シェア(TSMC 72.5%、Samsung Foundry 5.9%、SMIC 5.4%)
最終更新: