人物 :: PERSON
フェイフェイ・リー
コンピュータビジョンの研究者で、画像データセット ImageNet と、それを使った画像認識コンテスト ILSVRC を作った。15歳で中国から米国に移り、プリンストン大学で物理学の学士(1999年)、カリフォルニア工科大学で博士号(2005年)を得た。2009年からスタンフォード大学に在籍し、2013〜2018年に同大学の AI 研究所長、2017年1月〜2018年9月は休職して Google Cloud の AI/ML チーフサイエンティストを務めた。2019年に Stanford HAI を共同で立ち上げ、2024年には空間知能を掲げる World Labs を創業。2026年9月、AMD が World Labs を買収する最終合意を発表し、リーは AMD の執行副社長兼チーフサイエンティストに就く予定とされた。

プロフィール
- 生年
- 1976
- 存命
- 存命
- 在世
- 1976–
- 関連事象
- 01
- 名称
- ENFei-Fei LiJAフェイフェイ・リー
フェイフェイ・リー(Fei-Fei Li、 李飛飛、 1976年 ── )は、 画像データセット ImageNet と、 それを土台にした画像認識コンテスト ILSVRC を作ったコンピュータビジョンの研究者である。 2012年にこのコンテストで AlexNet が勝った ことが深層学習の時代の転機になり、 リー自身はその後、 大学の研究所の運営、 Google Cloud、 政策提言、 そしてスタートアップ World Labs へと活動の場を移してきた。 ImageNet の作り方とその功罪は出来事のページに譲り、 ここでは人物の経歴と、 ImageNet 以後の仕事を扱う。
経歴
Fortune によれば、 リーは15歳で両親とともに中国から米国ニュージャージー州 Parsippany に移った。 英語もお金も乏しく、 両親はレジ係として、 本人は中華料理店で働いた。 プリンストン大学に入学した頃に母親の健康が悪化し、 一家はクリーニング店を開く。 英語を話せるのが彼女だけだったため、 電話・検査・請求といった店の仕事を学業と並行して引き受け、 カリフォルニア工科大学の大学院に進んでからも遠隔で店を切り盛りした、 と本人は Bloomberg に語っている。
| 年 | 経歴(Stanford HAI の公式プロフィールによる) |
|---|---|
| 1999年 | プリンストン大学 物理学 学士(High Honors) |
| 2005年 | カリフォルニア工科大学 電気工学 博士 |
| 2005〜2006年 | イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 教員 |
| 2007〜2009年 | プリンストン大学 教員 |
| 2009年 | スタンフォード大学 助教授 |
| 2013〜2018年 | スタンフォード AI 研究所(SAIL)所長 |
| 2017年1月〜2018年9月 | 休職して Google の副社長、 Google Cloud の AI/ML チーフサイエンティスト |
| 2019年〜 | Stanford HAI を共同で率いて発足させる(現在の肩書きは創設所長) |
現在の肩書きはスタンフォード大学計算機科学科の初代 Sequoia 教授で、 AI 教育の多様性を広げる非営利団体 AI4ALL の共同創設者・会長でもある。
ImageNet と ILSVRC
HAI のプロフィールは、 リーを ImageNet と ImageNet Challenge の発明者と書いている。 プリンストン大学で2007年に始まり、 2009年の CVPR で発表されたデータセットの成り立ち ── WordNet の概念体系、 Amazon Mechanical Turk の作業者による仕分け、 人物カテゴリをめぐる2019年の批判と削除 ── は ImageNet のページ に詳しい。 2010年からはこのデータで毎年コンテストが開かれ、 2012年の AlexNet の勝利によって、 畳み込みニューラルネットワークと GPU による学習が画像認識の主流になった。
人物の側から見ると、 ImageNet の意味は、 アルゴリズムではなくデータの規模の側から問題を立て直したことにある。 2012年に Google の研究チームが YouTube の静止画から猫に反応するニューロンを得た実験も、 評価には ImageNet の2万2,000カテゴリを使っている(Andrew Ng のページ参照)。
Stanford HAI(2019年〜)
2019年3月18日、 スタンフォード大学は Institute for Human-Centered Artificial Intelligence(HAI)を発足させた。 共同で率いたのは、 哲学者で元プロボストの John Etchemendy とリーである。 発足時の発表によれば、 HAI は学内の7つの学部すべての教員を集め、 企業や AI4ALL のような団体とも連携して、 AI の研究・教育などを人間の状態をよくする方向へ進めることを掲げた。
HAI はその後、 政策提言の場としても使われるようになる。 2024年、 カリフォルニア州の AI 安全法案 SB 1047 について、 リーは Fortune への寄稿で、 善意の法案だが意図しない重大な結果を招き、 カリフォルニアだけでなく国全体の AI の生態系を損なうと反対した。 知事が法案を拒否した際に設けた作業部会にも加わっている。
World Labs(2024年〜)
2024年9月13日、 リーが創業した World Labs が約2億3,000万ドルの調達とともに公になった(TechCrunch)。 共同創業者は Justin Johnson、 Ben Mildenhall、 Christoph Lassner。 会社は自らを空間知能の企業と位置づけ、 3次元の仮想・物理世界を知覚・生成し、 その中で推論し行動する「ワールドモデル」の開発を掲げる。 テキストを中心に発展してきた大規模言語モデルとは別の路線である。
| 日付 | 出来事(World Labs の発表による) |
|---|---|
| 2024年9月 | 公開。 TechCrunch によれば Andreessen Horowitz、 NEA、 Radical Ventures などから約2億3,000万ドル |
| 2025年11月12日 | 最初の製品 Marble を一般公開。 画像・動画・テキストなどから3次元の世界を生成する |
| 2026年1月21日 | Marble の機能を外部のアプリから使える World API を公開 |
| 2026年2月18日 | 新たな資金調達を発表 |
| 2026年9月28日 | AMD に加わる最終合意に署名したと発表 |
AMD による買収合意(2026年9月)
World Labs の発表によれば、 両社は前年から AMD の GPU でのモデルの学習と推論の最適化で協力しており、 その延長で一つになることを決めた。 リーは AMD の執行副社長兼チーフサイエンティストとして CEO の Lisa Su と直接働き、 Johnson と Mildenhall が World Labs のチームを引き続き率いる。 TechCrunch によれば取引額は82億ドル。 取引は規制当局の承認などを条件に、 2026年末までに完了する見込みとされている(2026年10月時点で完了の発表はない)。
人物としての軌跡
リーの経歴は、 ImageNet という一つのデータセットが、 研究者個人の進路をどう変えたかの記録でもある。 データの規模で画像認識を作り直した研究者が、 次に大学の AI 研究所と HAI という制度を作り、 政策の議論に加わり、 最後には3次元の世界を扱うモデルの会社を作って半導体企業のチーフサイエンティストに就こうとしている。 深層学習の三つの要素 ── データ・計算・アルゴリズム ── のうち、 データの側から出発した人物の軌跡である。
関連する出来事
よくある質問
- フェイフェイ・リーは何をした人か
- 大規模な画像データセット ImageNet と、それを使った画像認識コンテスト ILSVRC を作ったことです。2012年の AlexNet はこのコンテストで勝ち、深層学習の時代の転機になりました。のちに Stanford HAI を共同で設立し、2024年に World Labs を創業しています。
- World Labs とは何の会社か
- リーが Justin Johnson、Ben Mildenhall、Christoph Lassner と創業した会社で、3次元の世界を知覚・生成し、その中で推論する「ワールドモデル」を開発しています。2024年9月に約2億3,000万ドルの調達とともに公になり、2025年11月に最初の製品 Marble を一般公開しました。
- AMD による World Labs の買収とは
- 2026年9月28日、World Labs は AMD に加わる最終合意に署名したと発表しました。TechCrunch によれば取引額は82億ドルです。リーは AMD の執行副社長兼チーフサイエンティストとして CEO の Lisa Su と直接働く予定で、取引は規制当局の承認などを条件に2026年末までの完了が見込まれています。
- Stanford HAI はいつできたのか
- 2019年3月18日に発足しました。哲学者で元学務担当副学長の John Etchemendy とリーが共同で率いました。
出典
一次資料Fei-Fei Li — Stanford HAI people profile
学歴(Princeton 1999年、Caltech 2005年)、UIUC・Princeton・Stanford の在籍年、AI 研究所長(2013〜2018年)、Google Cloud(2017年1月〜2018年9月)、ImageNet と ILSVRC、AI4ALL
共同創業者と最初の製品 Marble
一次資料Research & Insights (blog index) — World Labs
Marble の一般公開(2025年11月12日)、World API(2026年1月21日)
15歳での移住、ニュージャージー州 Parsippany、家業のクリーニング店
最終更新: