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Meta Threads 公開 ── 5日で1億サインアップ

出典Meta Platforms, Inc. (Wikimedia Commons) · Public domain (logo, below threshold of originality) · Commons で見る

メタデータ

日付
年代
2020s
Tier
T1
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09
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02
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2023年7月5日、 Meta は Instagram 連携のテキスト型ソーシャルネットワーク「Threads」を100カ国以上で公開した。 公開から 7時間で1000万サインアップ2日で7000万5日で1億 ── いずれも Mark Zuckerberg 本人が Threads に投稿した数字であり、 いずれも登録数であって定着したユーザ数ではない。 7月10日の投稿は "just passed 100 million sign ups over the weekend"(週末のうちに1億サインアップを超えた)とし、 "mostly organic demand and we haven't even turned on many promotions yet"(ほぼ自然流入で、 プロモーションもまだほとんど動かしていない)と付け加えている。

サインアップという語を手放さないこと ── 続く1か月の話は全部そこにある。 誰もが持ち出した比較対象、 ChatGPT の「2ヶ月で1億」 も同じ物差しではない。 あちらは外部推計の月間アクティブユーザ数であって、 事業者が公表した登録数ではない。

なぜ登録がこれほど速かったか ── Instagram の上に立った

Threads が指数的に立ち上がった最大の理由は、 Meta が既存ソーシャルグラフを丸ごと持ち込んだ ことだった。 サインアップは Instagram アカウントに紐づけられ、 ユーザ名・プロフィール画像・フォロー関係はワンタップで Instagram から移行できた。 当時の Instagram の月間アクティブユーザは約20億人。 その5%がタップすれば、 5日で1億の登録は達成できる。

これは Twitter(当時はちょうど Musk 体制下の混乱の真っ最中、 7月1日に一時的な閲覧制限 ── 認証済みアカウント6000件/日、 未認証600件/日、 新規未認証300件/日 ── を導入したばかり) からの避難民を一気に吸い込む戦略でもあった。 公開週に Zuckerberg はこう投稿している ── "It'll take some time, but I think there should be a public conversations app with 1 billion+ people on it. Twitter has had the opportunity to do this but hasn't nailed it. Hopefully we will."(時間はかかるだろうが、 10億人以上が乗る公共会話アプリがあるべきだと思う。 Twitter にはその機会があったが、 やり切れなかった。 我々はやれるといい)。 Musk と Zuckerberg の「ケージマッチ」 騒動も話題を増幅させた。

EU 公開の5か月遅延 ── DMA という障壁

Threads は公開当初、 EU 加盟27カ国では使えなかった。 理由は EU の デジタル市場法(DMA、 2022年11月発効、 ゲートキーパーへの義務適用は2024年3月) への適合判断が未了だったため。 Instagram と Threads の間でユーザデータを横断利用する設計が、 DMA の「ゲートキーパーによるサービス横断データ統合の禁止」 に抵触する可能性があった。

EU 向けの Threads が利用可能になったのは 2023年12月14日、 米国公開から5か月9日後である。 Meta が出した答えは Instagram 紐づけのアンバンドルだった ── EU のユーザは Instagram アカウントに接続した Threads プロフィールを作ることも、 プロフィールを作らずに閲覧だけすることも選べる。 GDPR・DMA という欧州規制が、 米国テックの当然視する設計を一拍止めるという構造が、 改めて可視化された。

初期失速 ── サインアップはユーザではない

「最速で1億」 が話題になった裏で、 定着率は惨憺たるものだった。 Sensor Tower の計測では、 7月31日時点で日次アクティブは公開時から82%減、 1日あたり約800万。 公開翌日のピークは約4400万だった。 Similarweb も同じ形を捉えており、 7月7日の約4900万から7月29日には1100万強へ落ちている。 滞在時間も同様で、 公開日は1日平均19分・14回起動だったものが、 8月1日には2.9分・2.6セッションになった。

FIGThreads の日次アクティブユーザ ── 公開翌日と1か月後[ 百万人/日 ]
Threads の日次アクティブユーザ ── 公開翌日と1か月後
2023年7月6日(公開翌日、ピーク)約4400万
2023年7月31日約800万
5日で1億という数字は Meta が公表した「サインアップ数」であって、この図の日次アクティブとは別の指標である。両者を同じ軸に並べていないのはそのため。Similarweb も同じ形を捉えており、7月7日の約4900万から7月29日には1100万強へ落ちている。出典: Sensor Tower の計測(7月31日時点で公開時から82%減)

多くの新規登録者は「Twitter 避難先を一度試してみた」 だけで定着しなかった。 検索機能の貧弱さ、 ハッシュタグ非対応、 ダイレクトメッセージ機能なし、 タイムラインがアルゴリズム任せでフォロー中心の時系列が出ない ── Twitter ヘビーユーザの不満は累積した。

Meta はこれに応えて2023年後半から2024年にかけて、 検索改善、 トピックタグ、 Following タブ(時系列) 、 トレンド、 ウェブ版機能拡張、 投票機能などを次々に追加した。

ActivityPub 連携 ── 大資本が分散プロトコルに接続する

ActivityPub(Mastodon 等の Fediverse で使われる分散 SNS 規格) への対応は、 2023年12月に Meta 社員の少数アカウントでの限定テストとして始まった。 2024年3月21日、 米国・カナダ・日本の18歳以上・公開プロフィールのユーザを対象に Fediverse 共有ベータ を開放。 2024年12月にはオプトインで全グローバル展開(EU 除く)。 2025年6月には、 Mastodon・WriteFreely・Bookwyrm・Flipboard 等のユーザを Threads 内で検索・フォローできる Fediverse フィード を追加した。

これにより Threads は ActivityPub 上で圧倒的に最大のアプリ となった ── 分散 SNS 推進派にとって悲願であると同時に脅威でもある構図である。 Mastodon の登録アカウントは約1000万だが、 月間アクティブは100万を大きく下回る。 アクティブ数で見れば Threads は2〜3桁大きい。 「Embrace, extend, extinguish」 を警戒する声と、 「公共インフラとしての SNS プロトコルが実際に主流アプリで動く意義」 を強調する声が分かれた。

2025-2026年 ── 月間アクティブ5億超へ

失速後の成長曲線は、 遅いが本物だった。 Meta は2025年1月に月間アクティブ3.2億、 4月の2025年 Q1 決算で3.5億を報告。 2025年8月12日、 Zuckerberg が月間アクティブ4億到達を発表した ── 公開から2年である。 2025年 Q3 決算では指標を日次に切り替え、 "recently passed 150 million daily actives"(最近1.5億日次アクティブを超えた)と報告。 そして 2026年 Q2 決算で Zuckerberg は "Threads crossed 500 million monthly actives, making it the fastest growing conversation app ever"(Threads は月間アクティブ5億を超え、 会話アプリとして史上最速の成長となった)と述べた。 最上級は自社の主張であり、 かつカテゴリ名がいつのまにか「Twitter キラー」から「会話アプリ」に置き換わっている。 ただし数字そのものは、 公開週の熱狂ではなく決算開示の領域に移った。

広告は2025年に正式導入。 Instagram の広告システムを共有する形だが、 2025年 Q2 決算で Meta は "ad supply remains low and Threads is not expected to be a meaningful contributor to overall impression growth in the near-term"(広告在庫は依然として少なく、 近い将来のインプレッション成長への寄与は見込んでいない)と明言していた。 その1年後、 2026年 Q2 に Threads の広告グローバル展開の完了を報告している。

グラフという武器と、 規制の非対称

Threads は2つのことを示した。

第一に、 既存プラットフォームのソーシャルグラフは攻撃兵器になり得る。 ゼロから1億の登録を獲得するのに従来は数年を要したが、 隣接サービスから「移行ボタン1つ」 で運べるなら数日でいい。 ただしそれで買えるのは登録であって定着ではない ── 翌月の数字が示したとおりである。 これは Meta(Facebook、 Instagram、 WhatsApp) や Google(Gmail、 YouTube) のような複数サービス保有企業の独自の武器であり、 競争政策上の論点を提示した。

第二に、 規制の地理的な非対称性。 同じ製品が米国で7月5日に公開され、 EU では12月14日に公開された。 DMA、 GDPR、 デジタルサービス法(DSA) の存在が、 製品の機能設計と公開タイミングを実際に変えている。 「規制は技術革新を妨げる」 という単純な議論ではなく、 「規制は技術製品の地理的差別化を生む」 が、 2020年代後半のソーシャルプラットフォームの現実となった。

そして Twitter(X) から Threads への部分的な勢力移動は、 2006年に Jack Dorsey・Noah Glass・Biz Stone・Evan Williams が立ち上げた Twitter が広めたマイクロブログという形式自体は生き続けつつ、 その器が一個人の所有物(X) と巨大プラットフォーム事業者の戦略製品(Threads) と分散プロトコル(Mastodon、 Bluesky) の三つ巴に分かれた構図を残した。

よくある質問

Threads は本当に5日で1億人が使ったのですか。
1億はサインアップ数であり、アクティブユーザ数ではありません。日次アクティブは2023年7月末までに約82%減りました。その後は伸び、2026年 Q2 に月間アクティブ5億人超と Meta は報告しています。

出典

  1. 一次資料Threads has entered the fediverse — Engineering at Meta, Mar 21, 2024

    取得日: 2026-08-03

  2. 三次資料Threads (social network) — Wikipedia

    取得日: 2026-08-03

最終更新:

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