人物 :: PERSON

モリス・チャン(張忠謀)

TSMC の創業者。1931年に中国・寧波で生まれ、MIT と Stanford で学んだ後、1958年から1983年まで Texas Instruments で半導体事業を率いた。General Instrument を経て台湾の工業技術研究院(ITRI)に招かれ、1987年に受託製造専業の TSMC を創業した。2005年に CEO を退いたが2009年6月に復帰し、2018年6月の株主総会をもって会長からも退任した。2011年 IEEE Medal of Honor 受賞。

2021年7月、APEC の非公式首脳会議にオンラインで参加するモリス・チャン(台湾総統府撮影)
出典Office of the President, Republic of China (Taiwan) (Wikimedia Commons) · CC BY 2.0 · Commons で見る ↗

プロフィール

生年
1931
存命
存命
在世
1931–
関連事象
00
名称
ENMorris ChangJAモリス・チャン(張忠謀)

モリス・チャン(張忠謀、 Morris Chang、 1931年 ── )は、 1987年に台湾で TSMC を創業した人物である。 ただし、 その経歴の半分以上は米国の半導体産業の中にある。 TSMC を始めたとき、 チャンはすでに55歳を過ぎ、 Texas Instruments で25年を過ごしていた。

米国での30年

Computer History Museum(CHM)の人物紹介によれば、 チャンは1931年に中国・寧波で生まれた。 学歴は MIT の機械工学で学士(1952年)と修士(1953年)、 そして Stanford 大学の電気工学博士(1964年)である。

期間所属役職・内容(CHM による)
1958〜1983年Texas Instruments世界の半導体事業を統括するグループ副社長まで昇進
1983年〜General Instrument社長兼 COO
その1年後〜工業技術研究院(ITRI、台湾)台湾政府に招かれて率いる
1987年TSMC創業

CHM は、 チャンの指揮下で TI が集積回路の世界最大の生産者になったと書いている。 General Instrument に移った年は資料によって揺れがあり、 CHM は1983年、 英語版 Wikipedia は在任を1984〜1985年としている。

TSMC の創業は、 個人の起業というより、 研究機関の長としての仕事の延長だった。 CHM は、 チャンが ITRI で技術を台湾の社会・経済の目標に役立てることに力を注ぎ、 その立場から TSMC を創業したと説明する。

二度の CEO

英語版 Wikipedia によれば、 チャンは1987年から2005年まで CEO を務め、 2005年に Rick Tsai へその職を譲った。 ところが2009年6月11日、 TSMC の取締役会はチャンを会長に再選すると同時に、 会長兼任の CEO に任命する(6月12日付)。 Tsai は新規事業開発組織のトップに回った。 当時の Form 6-K に載ったチャンの説明は、 会社には長期の成長機会を開く必要があり、 その仕事に Tsai を専念させる、 というものだった。

2017年の TSMC の発表文によれば、 2013年からは Mark Liu と C.C. Wei の二人が共同 CEO を務めていた。 チャンの二度目の CEO 在任は、 2009年から2013年までの4年ほどだったことになる。

2018年 ── 会長の退任

2017年10月2日、 チャンは自ら退任を発表した。 2018年6月初めの年次株主総会の直後に退き、 次期の取締役にもならず、 経営にも一切関わらない。 以後は Mark Liu が会長、 C.C. Wei が CEO の二人体制になる、 という内容である。 発表文の中でチャンはこう述べている。

The past 30-odd years, during which I founded and devoted myself to TSMC, have been an extraordinarily exciting and happy phase of my life.

退任と同じ2018年に、 TSMC は 7nm プロセス(N7)の量産 を始めている。 創業者が会社を離れたのは、 同社が先端プロセスで先頭に立った時期と重なる。

評価

IEEE は2011年、 チャンに IEEE Medal of Honor を贈った。 授賞理由は「For outstanding leadership in the semiconductor industry.」 ── 特定の発明ではなく、 産業の指導が対象だった。

計算機史の多くの創業者は、 新しい製品で名を残している。 チャンが作ったのは、 自社の製品を持たない会社だった。 CHM の説明では、 誰でも使える独立した工場があることで、 新興企業も既存の半導体メーカーも高価な工場を自前で建てずに、 回路と製品の設計で差をつけられるようになった。 その仕組みを始めたのは、 米国の大手半導体メーカーで25年を過ごした技術者だった。

よくある質問

モリス・チャンは TSMC の前に何をしていたか
1958年から1983年まで Texas Instruments に勤め、世界の半導体事業を統括するグループ副社長になりました。1983年に General Instrument の社長兼 COO に移り、その1年後に台湾政府に招かれて工業技術研究院(ITRI)を率いました。
モリス・チャンはいつ TSMC を退いたか
2017年10月2日に、2018年6月初めの年次株主総会の直後に退任すると発表しました。次期の取締役にもならず、経営にも関わらないとし、会長は Mark Liu、CEO は C.C. Wei の二人体制に移りました。
モリス・チャンは CEO を一度退いたのか
はい。2005年から2009年までは Rick Tsai が CEO でした。2009年6月11日、取締役会はチャンを会長兼任の CEO に任命し、6月12日付で復帰しています。

出典

  1. 二次資料Morris Chang — Computer History Museum, Honorary Council profile

    生年と出生地、学歴、TI・General Instrument・ITRI の経歴、1987年の TSMC 創業

    取得日: 2026-10-26

  2. 三次資料Morris Chang — Wikipedia

    CEO 在任期間(1987〜2005年)

    取得日: 2026-10-26

最終更新:

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