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富士通
1935年6月に富士電機製造から電話交換装置などの製造販売権を承継し、富士通信機製造株式会社として設立された企業。1954年10月にリレー式自動計算機 FACOM 100 を完成させ、1967年に現社名へ改めた。1990年に英国 ICL をグループに加え、理化学研究所とはスーパーコンピュータ「京」と「富岳」を開発した。HDD、携帯端末、個人向けパソコン、新光電気工業、富士通ゼネラルなどを次々に手放し、現在はサービスソリューションが売上の約3分の2を占める。英国では、ICL Pathway が最初の版を、富士通がのちの版を供給した Post Office の会計システム Horizon をめぐり、法定調査が2025年の第1巻報告で富士通の従業員の一部が欠陥を知っていたと認定した。2026年3月期の売上収益は3兆5,030億円。

組織情報
- 設立
- 1935
- 状態
- 稼働中
- 活動期間
- 1935–
- 関連事象
- 02
- 名称
- ENFujitsu LimitedJA富士通
富士通株式会社は、1935年6月に富士電機製造(現在の富士電機)から電話交換装置・電話機・装荷線輪の製造と販売の権利を承継し、富士通信機製造株式会社 として設立された企業である。同社の有価証券報告書によれば、1938年11月に本店を神奈川県川崎市の上小田中へ移し、1949年5月に東京証券取引所の再開と同時に上場、1967年に富士通株式会社へ商号を変えた。連結従業員数は99,203人(2026年3月末)。
電話機の会社から計算機へ、そして世界最速のスパコンへ
情報処理学会のコンピュータ博物館によると、富士通信機製造は1954年10月に、日本初の実用リレー式自動計算機とされる FACOM 100 を完成させた。本体は約4,500個のリレーで組まれ、プログラムは紙テープから読み込んだ。電話交換装置の製造から始まった会社が、20年足らずで計算機をつくる側に回ったことになる。
その後のスーパーコンピュータは、理化学研究所との共同開発で TOP500 の首位に2度立った。
| システム | TOP500 首位のリスト | プロセッサ(TOP500 の記載) | LINPACK 実測値(Rmax) |
|---|---|---|---|
| 京 | 2011年6月 | SPARC64 VIIIfx 2.0GHz | 8,162.00 TFlop/s |
| 富岳 | 2020年6月 | A64FX 48コア 2.2GHz | 415.53 PFlop/s |
TOP500 はどちらのシステムでも富士通をベンダーとして記載している。開発の経緯と性能の詳細は、それぞれの項目に譲る。
買って、売って、サービスに残った
有価証券報告書の沿革を並べると、この会社の形は海外での買収と、国内の製造事業の切り離しでできている。
| 年月 | 出来事(有価証券報告書の沿革による) |
|---|---|
| 1986年2月 | 日商岩井との合弁でエヌ・アイ・エフ(のちのニフティ)を設立 |
| 1990年11月 | 英国 ICL をグループ会社化 |
| 1999年10月 | 独 Siemens との合弁で Fujitsu Siemens Computers を設立(2009年4月に完全子会社化) |
| 2009年10月 | ハードディスクドライブ事業を東芝へ譲渡 |
| 2018年3月 | 携帯端末事業をポラリス・キャピタル・グループへ譲渡 |
| 2018年5月 | 個人向けパソコン事業を中国の Lenovo へ譲渡 |
| 2024年4月 | サーバ・ストレージ事業をエフサステクノロジーズに承継 |
| 2025年6月 | 新光電気工業を産業革新投資機構などへ譲渡 |
| 2025年7月 | ネットワーク製品の 1FINITY を設立 |
| 2025年8月 | 富士通ゼネラルをパロマ・リームホールディングスへ譲渡 |
2026年3月期の決算短信では、報告セグメントは「サービスソリューション」「ハードウェアソリューション」「ユビキタスソリューション」の3つだけになった。外部顧客への売上収益3兆5,030億円のうち、サービスソリューションが2兆3,147億円で約66%を占める。
英国 Post Office の Horizon 事件
富士通の名がいま英国でもっとも知られているのは、計算機ではなく、Post Office(郵便局会社)の支店会計システム Horizon をめぐる事件である。以下は、英国の法定調査、裁判所、法律が認定・規定したことに限る。
- システム: 法定調査の第1巻報告(2025年7月8日公表、委員長 Sir Wyn Williams)によると、Post Office は1999年9月ごろから Horizon を支店に導入した。最初の版(Legacy Horizon)は ICL Pathway が開発・供給し、2010年の HNG-X(Horizon Online)と2017年の HNG-A は富士通が開発・供給した。報告書は「富士通」の語に ICL Pathway と Fujitsu Services を含めると断っている。
- 調査の認定: 報告書は、導入前から富士通の従業員の一部が、Legacy Horizon がバグ・エラー・欠陥(bugs, errors and defects)によって実在しない損失や利益を支店の帳簿に表示しうることを知っていたと認定した。Horizon Online についても、富士通と Post Office の従業員の一部がそれを知っていたと委員長は述べている。その結果、数百人が誤って有罪とされ、数千人が実在しない損失の責任を負わされたとした。裏付けとなる証拠の説明は、後の巻に回されている。
- 訴追と裁判: 訴追したのは Post Office である(2000年から2013年秋まで、イングランドとウェールズで)。控訴院は2021年4月23日、42人の上訴のうち39人の有罪を破棄し、Post Office は Horizon の信頼性に重大な問題があると知りながら開示を怠ったと判断した。
- 立法: 2024年5月24日に成立した Post Office (Horizon System) Offences Act 2024 は、イングランド・ウェールズと北アイルランドで、Horizon が使われていた期間の一定の罪の有罪判決を法律によって破棄した。
- 富士通の立場: 富士通は2026年3月期の有価証券報告書で、英国子会社 Fujitsu Services が法定調査に対応しており、調査結果に基づいて英国政府と対応に取り組むとしたうえで、連結財務諸表への影響は現時点で予想が難しいと注記している。
調査の公表物の一覧では、2026年10月時点で公表された報告は第1巻だけで、残りの巻については委員長が2026年7月8日に進捗を報告している。富士通の組織としての責任の範囲は、後の巻で示されることになる。
重要事件
- 1935年6月: 富士電機製造から通信機の製造販売権を承継し、富士通信機製造として設立。
- 1949年5月: 東京証券取引所の再開と同時に上場。
- 1954年10月: FACOM 100 が完成(情報処理学会)。
- 1967年: 富士通株式会社へ商号変更。
- 1990年11月: 英国 ICL をグループ会社化。
- 1999年: Post Office が Horizon の支店導入を始める(法定調査)。
- 1999年10月: Fujitsu Siemens Computers を設立。
- 2011年6月: 京が TOP500 で1位。
- 2018年5月: 個人向けパソコン事業を Lenovo へ譲渡。
- 2020年6月: 富岳が TOP500 で1位。
- 2021年4月: 英国控訴院が Horizon 事件の39人の有罪を破棄。
- 2024年5月: 英国で Horizon 事件の有罪を一括で破棄する法律が成立。
- 2025年7月: 英国の法定調査が第1巻報告を公表。
- 2025年: 新光電気工業(6月)と富士通ゼネラル(8月)を譲渡。
業績指標
2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)、IFRS。2026年4月28日の決算短信による。2024年度第4四半期からデバイスソリューションを非継続事業に分類しており、売上収益と営業利益は継続事業の数値である。
- 売上収益: 3兆5,030億円(前期比-1.3%) / 営業利益: 3,483億円(+31.4%) / 調整後営業利益: 3,905億円(+27.1%)
- 親会社の所有者に帰属する当期利益: 4,494億円(+104.5%)
| セグメント | 売上収益(セグメント間を含む) | 前期比 | 調整後営業利益 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| サービスソリューション | 2兆3,469億円 | +4.5% | 3,615億円 | +24.7% |
| ハードウェアソリューション | 1兆99億円 | -9.8% | 670億円 | +9.3% |
| ユビキタスソリューション | 2,298億円 | -8.7% | 388億円 | +23.8% |
前期比は、決算短信の前期・当期の数値から計算した。調整後営業利益は、事業再編や買収などの一時的な損益を営業利益から除いた同社の指標である。
利益の伸びの大半はサービスソリューションから来ている。売上が4.5%しか増えないなかで調整後営業利益は24.7%増え、利益率は15.4%になった。ハードウェアとパソコンは売上を落としながら利益を増やしており、量を追うより採算を取る方向に寄せている。FACOM から富岳まで計算機をつくってきた会社の稼ぎの中心は、いまは顧客のシステムを組み、運用するサービスである。
関連する出来事
よくある質問
- 富士通はいつ、どう始まった会社ですか。
- 1935年6月、富士電機製造(現在の富士電機)から電話交換装置・電話機・装荷線輪の製造と販売の権利を承継し、富士通信機製造株式会社として設立されました。1967年に富士通株式会社へ商号を変えています。
- 富士通は英国の Post Office Horizon 事件にどう関わっていますか。
- Horizon は Post Office が1999年ごろから支店に導入した会計システムで、最初の版は ICL Pathway が、2010年以降の版は富士通が開発・供給しました。英国の法定調査は2025年7月8日公表の第1巻で、導入前から富士通の従業員の一部が、実在しない損益を表示しうる欠陥を知っていたと認定しました。訴追したのは Post Office で、控訴院は2021年4月に39人の有罪を破棄しました。富士通は、英国子会社が調査に対応しており、財務への影響は現時点で予想が難しいとしています。
- 富士通の最近の業績はどれくらいですか。
- 2026年3月期(2025年4月〜2026年3月、IFRS)の売上収益は3兆5,030億円(前期比1.3%減)、営業利益は3,483億円(31.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,494億円でした。連結従業員数は2026年3月末で99,203人です。
出典
一次資料第126期 有価証券報告書(2025年4月1日〜2026年3月31日)— 富士通株式会社(Wayback Machine 保存版)
沿革(1935年6月の設立、1967年の商号変更、ICL・Fujitsu Siemens Computers、事業の譲渡)、連結従業員数99,203人(2026年3月31日)、英国 Post Office 向け会計システムの事案に関する偶発事象の注記
売上収益・営業利益・調整後営業利益・当期利益、3つの報告セグメントの売上収益と調整後営業利益、デバイスソリューションの非継続事業への分類
二次資料【富士通】 FACOM 100 — 情報処理学会 コンピュータ博物館(Wayback Machine 保存版)
日本初の実用リレー式自動計算機として1954年10月に完成、約4,500個のリレー
1位: K computer(SPARC64 VIIIfx、富士通、理化学研究所)、Rmax 8,162.00 TFlop/s
1位: 富岳(A64FX 48コア、富士通、理化学研究所計算科学研究センター)、Rmax 415.53 PFlop/s
一次資料Post Office Horizon IT Inquiry Report: Volume 1 — Sir Wyn Williams, published 8 July 2025
Horizon の導入(1999年ごろから)と版(Legacy Horizon は ICL Pathway、HNG-X と HNG-A は富士通)、富士通の従業員の一部が欠陥を知っていたという認定、誤った有罪判決は数百人に及ぶという認定
一次資料Reports and statements — Post Office Horizon IT Inquiry
第1巻の公表日(2025年7月8日)と、残りの巻についての2026年7月8日の進捗報告
42人の上訴のうち39人の有罪を破棄。訴追は Post Office が行い、Horizon の信頼性について開示を怠ったとの判断
一次資料Post Office (Horizon System) Offences Act 2024 (c. 14) — legislation.gov.uk
2024年5月24日成立。イングランド・ウェールズと北アイルランドで、Horizon 使用期間の一定の罪の有罪を法律で破棄
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