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ASML

1984年に Philips と ASM International(ASMI)がリソグラフィ(露光)装置を開発するために設立したオランダの半導体製造装置メーカー。当初の社名は ASM Lithography で、本社はアイントホーフェン近郊のフェルトホーフェンにある。1995年にアムステルダムとニューヨークで上場した。波長13.5nm の極端紫外線(EUV)で回路を焼き付ける露光装置について、同社は EUV を自社だけの技術と説明し、2025年には EUV 装置48台の売上を計上した。2025年12月期の売上高は326億6,730万ユーロ、純利益は96億940万ユーロで、売上高の29.1%が中国の顧客向けだった。EUV 装置と一部の液浸 DUV 装置の輸出にはオランダ・米国などの許可が要る。

フェルトホーフェンの ASML 本社ビル(2008年)
出典A ansems (Wikimedia Commons) · Public domain · Commons で見る ↗

組織情報

設立
1984
状態
稼働中
活動期間
1984–
関連事象
00
名称
ENASML Holding N.V.JAASML

ASML は、半導体の回路パターンをウェハに焼き付けるリソグラフィ(露光)装置のオランダのメーカーである。同社の沿革によると、1984年に電機大手の Philips と半導体製造装置メーカーの ASM International(ASMI)が、成長する半導体市場向けの露光装置を開発する会社として ASM Lithography を設立した。最初の拠点はアイントホーフェンの Philips の建物の隣の、雨漏りのする小屋だったと同社は書いている。同年に最初の装置 PAS 2000 ステッパーを出し、1985年には従業員100人でフェルトホーフェンの新社屋に移った。1995年にアムステルダムとニューヨークの市場に上場し、Philips は上場時に持株の半分を売り、残りもその後の数年で手放した。

何を売っている会社か

ASML の装置は、使う光の波長で世代が分かれる。年次報告書(Form 20-F)の技術別の装置売上を並べると、2025年は台数では旧世代の装置がなお多いが、金額では EUV が半分近くを占める。

技術2023年 台数2023年 百万ユーロ2025年 台数2025年 百万ユーロ
EUV 0.55NA(EXE、High NA)——41,156.9
EUV 0.33NA(NXE)539,124.04410,445.8
ArF 液浸(DUV)1259,017.413110,311.4
ArF ドライ32780.216427.0
KrF1842,202.5781,001.3
i 線55278.454307.3
計測・検査151536.1208824.6
合計60021,938.653524,474.3

2025年の EUV 装置48台の売上は116億270万ユーロで、装置売上244億7,430万ユーロの47%に当たる。用途別では、ロジック向けが160億5,410万ユーロ、メモリ向けが84億2,020万ユーロだった。

EUV ── 自社だけの技術

EUV 露光は、波長13.5nm の光で回路を描く。ASML の説明では、空気さえ EUV を吸収するため光路全体を高真空に置き、レンズではなく多層膜の鏡で光を導く。光源は、高速で飛ぶスズの液滴に CO2 レーザーを2回当てて EUV を発生させる。

ASML は EUV を自社だけの技術と説明し、その経緯を次のように書く。実用化の取り組みは1994年に始まり、ASML を含む半導体業界の企業連合が最初の試作機を作って EUV が可能なことを示した。しかし開発は難しく費用もかかり、最終的に実用的な装置へ向けて開発を続けたのは ASML と協力企業・供給元だけだった。ASML は17年間で60億ユーロ超を EUV の研究開発に投じたとしている。光学部品を作る Carl Zeiss SMT は、20-F によれば ASML の鏡やレンズなどの唯一の供給元で、同社の生産能力が ASML の装置の生産台数の上限になる。

年出来事(ASML の沿革による)
2006年EUV のデモ機を米オールバニの研究機関とベルギーの imec に出荷
2010年最初の EUV 試作機 NXE:3100 をアジアの半導体メーカーの研究施設に出荷
2013年光源メーカーの Cymer(米サンディエゴ)を買収。第2世代の NXE:3300 を出荷
2016年顧客が量産向けの NXE:3400 をまとまった数で発注し始める
2023年NA 0.55 の次世代 EUV(High NA、EXE)を初出荷

量産の側では、TSMC が2019年10月、N7+ を業界で初めて商用化された EUV リソグラフィ技術として発表している。7nm 世代そのものの位置づけは TSMC 7nm(2018年) の項目に譲る。

輸出規制と中国

先端の露光装置は、各国の輸出管理の対象になっている。ASML の20-F は、オランダ・米国などの法令のもとで、EUV 装置、特定の液浸 DUV 装置、その他一部の製品の輸出に許可が必要だと書く。

  • 2023年6月30日: オランダ政府が先端半導体製造装置の新たな輸出規則を公表した。Al Jazeera の報道では、ASML は DUV の 2000 シリーズ以降のモデルに許可が必要になると説明し、規則は9月1日に施行される見込みだった。同じ記事は、ASML の最先端の EUV 装置は中国に出荷されたことがないと伝えている。
  • 2025年1月15日: オランダが規制対象に、主に計測・検査装置を加えた(20-F)。
  • 2025年10月1日: 米商務省がエンティティ・リストの対象を、リスト掲載企業が50%以上を持つ会社に広げる規則を導入した。20-F によれば、中国との貿易合意の一環で2026年11月10日まで1年間停止されている。
  • 2025年11月: EU がオランダの国内規制の一部を EU の規制品目リストに取り込み、液浸 DUV などの EU 域外への輸出に全加盟国で許可が要るようになった。ASML にとってはすでにオランダの許可が必要だった製品で、変化はなかったと同社は書く。

中国の顧客向けの売上は、2024年に売上高の36.1%、2025年に29.1%だった。20-F は、2025年の中国向けの DUV 事業が想定より強かったとしている。

重要事件

  • 1984年: Philips と ASMI が ASM Lithography を設立。PAS 2000 を発売。
  • 1985年: フェルトホーフェンの新社屋へ移転。
  • 1995年: アムステルダムとニューヨークで上場。
  • 2006年: EUV のデモ機を出荷。
  • 2010年: EUV 試作機 NXE:3100 を出荷。
  • 2013年: Cymer を買収。
  • 2023年: High NA EUV を初出荷。オランダが先端装置の輸出規則を公表。
  • 2025年: EUV 装置48台の売上を計上。

業績指標

2025年12月期(米国会計基準)。20-F による。

  • 売上高: 326億6,730万ユーロ(前年282億6,290万ユーロ、15.6%増)
  • 装置の売上: 244億7,430万ユーロ / 保守サービスとオプションの売上: 81億9,300万ユーロ
  • 純利益: 96億940万ユーロ
  • 研究開発費: 46億9,880万ユーロ
  • 従業員: 4万4,000人超(フルタイム換算)

数字は、この会社が少数の装置にどれだけ依存しているかを示している。装置の台数のうち EUV は1割に満たないが、装置の売上ではほぼ半分になり、その EUV を作れるのは同社の説明では自社だけである。その装置の行き先を各国政府が許可で決めるようになった結果、ASML の業績は、顧客の投資計画と同じくらい輸出管理の行方に左右されるようになった。

よくある質問

ASML はいつ、どのように設立されたのですか。
1984年に、電機大手の Philips と半導体製造装置メーカーの ASM International が、成長する半導体市場向けにリソグラフィ装置を開発する会社として設立しました。社名は ASM Lithography で、同年に最初の装置 PAS 2000 ステッパーを出しています。1995年にアムステルダムとニューヨークの市場に上場しました。
EUV 露光装置を作っているのは ASML だけですか。
ASML は EUV を自社だけの技術と説明しており、開発に費用がかかるなかで、最終的に実用的な装置へ向けて開発を続けたのは自社と協力企業だけだったとしています。2025年には 0.33NA の NXE を44台、0.55NA(High NA)の EXE を4台、売上として計上しました。
ASML は中国に EUV 装置を売れるのですか。
ASML の年次報告書によると、EUV 装置と一部の液浸 DUV 装置の輸出には、オランダ・米国などの法令にもとづく輸出許可が必要です。Al Jazeera は2023年6月、ASML の最先端の EUV 装置は中国に出荷されたことがないと報じました。中国の顧客向けの売上は2025年の売上高の29.1%(2024年は36.1%)でした。
ASML の最近の業績はどれくらいですか。
2025年12月期の売上高は326億6,730万ユーロ、純利益は96億940万ユーロでした。装置の売上が244億7,430万ユーロ、保守サービスとオプションの売上が81億9,300万ユーロで、研究開発費は46億9,880万ユーロです。

出典

  1. 一次資料History — ASML

    1984年の Philips と ASMI による設立、最初の装置 PAS 2000、1985年のフェルトホーフェン移転、1986年の Carl Zeiss との提携、1995年の上場、2006年の EUV デモ機、2010年の EUV 試作機 NXE:3100、2013年の Cymer 買収、2016年の NXE:3400 の受注、2023年の High NA 初出荷

    取得日: 2026-10-25

  2. 一次資料EUV lithography systems — ASML

    波長13.5nm、EUV は ASML 独自の技術という同社の説明、開発を続けたのは最終的に ASML と協力企業だけだったという説明、NXE(NA 0.33)と EXE(NA 0.55)の解像度

    取得日: 2026-10-25

  3. 一次資料ASML Holding N.V., Annual Report on Form 20-F for the year ended December 31, 2025 — SEC, filed February 25, 2026

    売上高・純利益・研究開発費、技術別の装置販売台数と金額、中国の顧客の売上比率(2025年29.1%、2024年36.1%)、EUV と一部液浸 DUV の輸出許可、2025年のオランダ・米国・EU の規制の動き、Carl Zeiss SMT が光学部品の唯一の供給元であること、従業員4万4,000人超(FTE)

    取得日: 2026-10-25

  4. 二次資料Dutch firms must seek licence before exporting chip gear: Gov't — Al Jazeera, June 30, 2023

    オランダ政府の新規則で ASML の DUV の 2000 シリーズ以降に許可が必要に、9月1日施行の見込み、ASML の最先端 EUV 装置は中国に出荷されたことがない

    取得日: 2026-10-25

  5. 一次資料TSMC's N7+ Technology is First EUV Process Delivering Customer Products to Market in High Volume — TSMC, October 7, 2019

    N7+ を業界で初めて商用化された EUV リソグラフィ技術とする TSMC の発表

    取得日: 2026-10-25

  6. 三次資料ASML — Wikipedia

    取得日: 2026-10-25

最終更新:

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