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Windows 10 のサポート終了

Windows 10 のロゴ ── サポート終了を迎えた OS
出典Microsoft (Wikimedia Commons) · Public domain (below threshold of originality; trademark applies) · Commons で見る

メタデータ

日付
年代
2020s
Tier
T1
出典数
13
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02
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#consumer#security#ethics

2025年10月14日、 Microsoft は Windows 10 への無償サポートを正式に終了した。 2015年7月29日のリリースから 10年3ヶ月 ── 同社が Windows 7 / 8.1 にも与えた10年ライフサイクルの慣例どおりの幕引きだった。

ただし、 この EOL は過去のどの Windows EOL とも違う色を帯びていた。 StatCounter の集計では、 終了月の2025年10月時点でもデスクトップ Windows の 41.7% が Windows 10 だった(Windows 11 は 55.2%)。 XP(2014年4月 EOL)や Windows 7(2020年1月 EOL)の終焉時には、 これほど多くの PC が「最後の日」を旧 OS で迎えてはいなかった。

そして、 Windows 11 へのアップグレード障壁となっていたのは ── 4年前に引かれた TPM 2.0 / 第8世代 Intel Core 以降 / Secure Boot の要件だった。

4億台が宙吊りに

EU の修理権団体 Right to Repair Europe が2025年9月に出した推計は 約4億台。 Windows 11 の公式ハードウェア要件を満たさず、 公式アップグレードパスを持たない Windows 10 PC の数である。

これらの PC の多くは、 ハードウェアとして壊れていない。 OS のサポートが切れただけで、 セキュリティ更新が止まる。 同団体のコーディネータ Cristina Ganapini は、 "Microsoft's decision to end support for Windows 10 could make 400 million computers obsolete — not because they're broken, but because of software."(Windows 10 のサポートを打ち切るという Microsoft の決定は、 4億台のコンピュータを陳腐化させかねない ── 壊れているからではなく、 ソフトウェアのせいで)と述べた。

国際 e-waste デーが10月14日 ── つまり Windows 10 EOL の同日 ── だったことは、 偶然以上の皮肉として広く引用された。

ESU: $30 と「無料の経路」

Microsoft が用意した延命策が Extended Security Updates(ESU) プログラム。 個人向けには、 これまで企業向けにのみ提供されてきた ESU を初めて開放した。 経路は3つで、 いずれも Microsoft アカウントが要る。

  • 有償: $30 の一括購入(年額ではない。 1ライセンスで最大10台まで)
  • 無料1: Windows バックアップで設定をクラウド同期する
  • 無料2: Microsoft Rewards 1,000ポイントを引き換える

企業・教育機関向けは Volume Licensing 経由の年間サブスクリプションで、 1年目が1台 $61、 以後は毎年倍額、 最長3年(2028年10月まで)。 累積課金なので、 2年目から入る場合は1年目分も払う。

EEA(欧州経済領域)では条件が別扱いになった。 Euroconsumers をはじめとする消費者団体の圧力を受け、 Microsoft は2025年9月、 EEA では「Windows バックアップの有効化」を無償 ESU の条件から外した。 ただし Microsoft アカウントでのサインインは残り、 60日ごとに再認証しないと更新の配信が止まる。

そして ── 当初 Microsoft は個人向け ESU を2026年10月13日までの 1年限りと位置づけていた。 これが変わった。 2026年6月25日、 同社は2025年6月の Windows Experience Blog 記事に編集注記を追記する形で、 個人向け ESU を 2027年10月12日までもう1年延長した。 プレスリリースも発表イベントもない、 静かな変更だった。 注記の文面は「the Windows 10 Extended Security Updates (ESU) program for personal use devices is being provided for an additional year, with coverage now available through Oct. 12, 2027」。

e-waste と「環境負荷」議論

Right to Repair Europe、 PIRG、 404 Media など複数の団体・メディアが、 Windows 10 EOL を e-waste 災害 と呼んだ。

  • 廃棄された場合の e-waste 生成量: 7億 kg 超(Right to Repair Europe 推計)
  • 資産管理ツールの Lansweeper が2022年10月に約6万組織・約2,700万台をスキャンした結果、 42.76% が Windows 11 の CPU 要件を満たさなかった(TPM 要件の不合格は 14.66%)
  • 「まだ動く PC を新品 Copilot+ PC に置き換える」マーケティングの環境コスト

Microsoft 側のフレーミングは一貫していた。 移行を促す公式ブログは、 Windows 11 PC は Windows 10 PC より最大 2.3 倍速く、 新しい Windows 11 PC ではセキュリティインシデントが 62% 減ったと報告されている、 と書いている ── いずれも同社自身の主張であって、 独立した検証値ではない。

批判側のカウンターはこうだ。 XP や Windows 7 の EOL では、 ハードウェア要件は実質的に変わらず、 ユーザは同じ PC を新 OS にアップグレードできた。 Windows 10 → 11 では、 OS 側のセキュリティ要件が物理的に旧 PC を排除する。 同じ形の EOL に見えて、 起きていることの中身が違う、 という指摘である。

法廷にも持ち込まれた。 2025年8月、 カリフォルニア州サンディエゴ在住の Lawrence Klein が、 Windows 10 のシェアが全 Windows の10%を下回るまで無償サポートを続けるよう求める訴え(public injunctive relief)を提起している。

パッチが当たらない数億台

サイバーセキュリティ側からの懸念は、 ESU に入らないまま稼働し続ける端末に向けられた。 一般家庭、 中小企業、 学校や病院のレガシー端末 ── これらは、 EOL 後に発見された脆弱性の修正を受け取れない。

比較対象として引かれるのが WannaCry(2017年)である。 これはランサムウェア ── 端末内のファイルを暗号化し、 復号鍵と引き換えに身代金を要求するマルウェア ── に、 SMB v1 の脆弱性(EternalBlue)を突く自己増殖機能を組み合わせたものだった。 人が添付ファイルを開かなくても、 ネットワーク越しに勝手に広がる。 ただし、 このとき最も被害を受けたのは XP ではない。 Kaspersky の集計では感染端末の 98%以上が Windows 7 で、 XP では worm が正常に動作せずクラッシュすることが多かった。 EOL 済みの古い OS より、 サポート中なのにパッチが当たっていない OS のほうが実際の被害面だった ── この点は、 Windows 10 EOL の議論でもしばしば混同される。

その後 ── 移行は起きなかった

EOL 後の推移は、 「期限が来れば買い替える」という前提を裏切った。 StatCounter の Windows 10 シェアは2025年10月の 41.7% から、 11月 42.7%、 12月 44.7% と上がった。 減少に転じたのはその後で、 2026年7月時点で 29.9%(Windows 11 は 68.9%)。 期限から9か月経っても、 3台に1台近くが Windows 10 のままだった。

ESU の1年延長は、 この数字への回答と読める。

OS 更新が経済・環境・規制の事件になった

Windows 10 EOL は、 単なる OS の世代交代ではなく OS のメジャー更新が経済・環境・規制のイベントになる時代 を確定させた出来事として残る。

技術側から見れば: TPM 2.0、 Secure Boot、 VBS、 Pluton、 Copilot+ PC ── Microsoft が4年前に敷いた線は、 2025年に予定どおり「閉じた」だけである。

ユーザ側から見れば: 2015〜2019年に買った PC が、 物理的に壊れていないのに「公式には次に進めない」状態に置かれた。

環境側から見れば: 7億 kg の電子廃棄物候補と、 「修理する権利」運動が EU で立法化を目指す追い風。

Windows 10 は「Windows は最後のバージョンになる」という物語とともに記憶されている。 ただしこれは公式表明ではない ── 2015年5月の Microsoft Ignite で、 同社の開発者エバンジェリスト Jerry Nixon が "because Windows 10 is the last version of Windows, we're all still working on Windows 10" と述べたものが独り歩きしたのであって、 Microsoft はこれを否定も追認もしなかった。 公式に約束されていたのは、 Windows 7 SP1 / 8.1 ユーザへの1年間の無償アップグレードのほうである。 その物語が10年で終わったこと ── これが、 この EOL に重みを与えている。

よくある質問

Windows 10 は2025年10月14日以降も更新を受けられますか。
個人向けの拡張セキュリティ更新(ESU)に登録すれば受けられます。費用は30ドルで、設定の同期などを使えば無償の経路もあり、期限は2027年10月まで延長されました。

出典

  1. 一次資料Windows 10 support has ended on October 14, 2025 — Microsoft Support

    取得日: 2026-08-08

  2. 一次資料Windows 10 Consumer Extended Security Updates (ESU) — Microsoft

    取得日: 2026-08-08

  3. 二次資料Over 98% of All WannaCry Victims Were Using Windows 7 — BleepingComputer

    取得日: 2026-08-08

  4. 二次資料Desktop Windows Version Market Share Worldwide — StatCounter GlobalStats

    取得日: 2026-08-08

  5. 三次資料Windows 10 — Wikipedia

    取得日: 2026-08-08

最終更新:

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